日本臨床カンナビノイド学会(事務局:神奈川県川崎市)は、2024 年に大麻の規制緩和をした国と地域の調査結果を2024 年12月27 日の本プレスリースにて発表しました。2024年は、産業用1地域、医療用4地域、嗜好用3地域の各分野で規制緩和が進みました。
我が国においても、23年12月13日に官報にて大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律が公布されています。改正大麻法/麻向法は、複数のパブリック・コメントを経て、第一段施行(医薬品の解禁、施用罪の適用)を24年12月12日、第二段施行(第一種/第二種栽培制度)を25年3月1日としています。
2024年
1月1日 米国:国際住宅規格 (IRC)付録にヘンプクリート(ヘンプ石灰建材)が収載
1月1日 米国ケンタッキー州 医療用大麻を合法化施行(38番目の州)
2月13日 ウクライナ:医療用大麻(THC0.3%を超えるもの)を合法化
2月26日 パキスタン:医療用大麻栽培を合法化(大麻管理庁の設立)
4月1日 ドイツ:嗜好用大麻を合法化(マルタ、ルクセンブルグに次いで欧州で3番目)
(18歳以上、個人所持(公共25g、自宅50g)以下、自家栽培3本まで)
ドイツ:医療用大麻(ハーブ医薬品)は、特別扱いが必須だった麻薬ではなく、処方箋医薬品に変更
4月26日 日本:エピディオレックス(CBD医薬品)を希少疾病用医薬品への指定を了承
5月16日 米国:大麻を一部の解熱鎮痛剤などと同程度の「危険性の低い薬物(スケジュール3)」に分類変更を公式発表
5月28日 南アフリカ:嗜好用大麻を合法化
5月30日 日本:改正大麻法/麻向法のパブリック・コメント公募(6月29日まで)
6月17日 米国・メリーランド州:大麻所持などで有罪判決を受けた17万5000人に恩赦
6月26日 ブラジル:最高裁判決により大麻所持40gまでを非犯罪化
7月1日 欧州薬局方(Ph. Eur.) Suppl. 11.5に乾燥大麻花、CBDモノグラフが収載/施行
(乾燥大麻花:THC優勢、中間、CBD優勢タイプの3種類を規格化)
7月1日 ドイツ:嗜好用大麻の栽培組合制度を施行(会員数は最大 500 名まで、THC濃度10%以下)
8月1日 米国薬局方USP 生薬一覧 (HMC) モノグラフに乾燥大麻花が収載
8月6日 米国・オハイオ州 嗜好用大麻の販売開始
8月16日 ウクライナ:産業用大麻の定義THC0.3%以下(27年2月まで0.2%以下)に変更
9月1日 中国: CBDを含む7つの物質が前駆化学物質の管理規制の対象
11月5日 米国・ネブラスカ州 医療用大麻の合法化を可決(39州目)、但し州裁判所の判断待ち
11月27日 オーストラリア:上院で嗜好用大麻合法化法案を否決
11月19日 日本:大麻草由来成分を含有する製品を使用した臨床研究の実施へ
12月12日 日本:改正大麻法/麻向法の第一段階(医薬品の解禁、施用罪の適用)が施行
厚生労働省.令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html
我が国においても、23年12月13日に官報にて大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律が公布されています。改正大麻法/麻向法は、複数のパブリック・コメントを経て、第一段施行(医薬品の解禁、施用罪の適用)を24年12月12日、第二段施行(第一種/第二種栽培制度)を25年3月1日としています。
2024年
1月1日 米国:国際住宅規格 (IRC)付録にヘンプクリート(ヘンプ石灰建材)が収載
1月1日 米国ケンタッキー州 医療用大麻を合法化施行(38番目の州)
2月13日 ウクライナ:医療用大麻(THC0.3%を超えるもの)を合法化
2月26日 パキスタン:医療用大麻栽培を合法化(大麻管理庁の設立)
4月1日 ドイツ:嗜好用大麻を合法化(マルタ、ルクセンブルグに次いで欧州で3番目)
(18歳以上、個人所持(公共25g、自宅50g)以下、自家栽培3本まで)
ドイツ:医療用大麻(ハーブ医薬品)は、特別扱いが必須だった麻薬ではなく、処方箋医薬品に変更
4月26日 日本:エピディオレックス(CBD医薬品)を希少疾病用医薬品への指定を了承
5月16日 米国:大麻を一部の解熱鎮痛剤などと同程度の「危険性の低い薬物(スケジュール3)」に分類変更を公式発表
5月28日 南アフリカ:嗜好用大麻を合法化
5月30日 日本:改正大麻法/麻向法のパブリック・コメント公募(6月29日まで)
6月17日 米国・メリーランド州:大麻所持などで有罪判決を受けた17万5000人に恩赦
6月26日 ブラジル:最高裁判決により大麻所持40gまでを非犯罪化
7月1日 欧州薬局方(Ph. Eur.) Suppl. 11.5に乾燥大麻花、CBDモノグラフが収載/施行
(乾燥大麻花:THC優勢、中間、CBD優勢タイプの3種類を規格化)
7月1日 ドイツ:嗜好用大麻の栽培組合制度を施行(会員数は最大 500 名まで、THC濃度10%以下)
8月1日 米国薬局方USP 生薬一覧 (HMC) モノグラフに乾燥大麻花が収載
8月6日 米国・オハイオ州 嗜好用大麻の販売開始
8月16日 ウクライナ:産業用大麻の定義THC0.3%以下(27年2月まで0.2%以下)に変更
9月1日 中国: CBDを含む7つの物質が前駆化学物質の管理規制の対象
11月5日 米国・ネブラスカ州 医療用大麻の合法化を可決(39州目)、但し州裁判所の判断待ち
11月27日 オーストラリア:上院で嗜好用大麻合法化法案を否決
11月19日 日本:大麻草由来成分を含有する製品を使用した臨床研究の実施へ
12月12日 日本:改正大麻法/麻向法の第一段階(医薬品の解禁、施用罪の適用)が施行
厚生労働省.令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html
図 12月12日に施行したCBD製品等のTHC残留限度値の具体例
2023年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000292470/
2022年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000273183/
2021年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000251130/
2020年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000228936/
2019年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000207964/
2018年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000187079/
<用語集>
Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。
2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。
(一社)日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。E-ラーニングによる専門家育成(登録医/登録師)、研究支援等を行い、世界的に権威のある"Cannabis and Cannabinoid Research"(大麻&カンナビノイド研究)を公式ジャーナルとしている。2023年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)113名、賛助法人会員13名、 賛助個人会員11名、合計137名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2020年の時点で、全国作付面積7ha、大麻栽培者30名、大麻研究者450名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままであった。
国内外の情勢の変化を受け、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された。その後、第212回臨時国会にて大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律(2023年12月6日制定、法律第84号)が成立した。新法によって大麻由来医薬品の利用の道が開かれた。
2023年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000292470/
2022年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000273183/
2021年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000251130/
2020年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000228936/
2019年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000207964/
2018年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000187079/
<用語集>
Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。
2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。
(一社)日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。E-ラーニングによる専門家育成(登録医/登録師)、研究支援等を行い、世界的に権威のある"Cannabis and Cannabinoid Research"(大麻&カンナビノイド研究)を公式ジャーナルとしている。2023年10月段階で、正会員(医療従事者、研究者)113名、賛助法人会員13名、 賛助個人会員11名、合計137名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2020年の時点で、全国作付面積7ha、大麻栽培者30名、大麻研究者450名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままであった。
国内外の情勢の変化を受け、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された。その後、第212回臨時国会にて大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律(2023年12月6日制定、法律第84号)が成立した。新法によって大麻由来医薬品の利用の道が開かれた。