2024年09月19日 15:00

日本の幸福度が低下している(幸福度調査2024)

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幸福度や定住意欲度など、地域の持続性につながる指標について調査する「幸福度調査2024」をインターネットにて実施しました。その結果、コロナ禍が明けてから幸福度は2年連続の低下となりました。その原因を探りました。


◆「とても幸せ」は25%。「幸せではない」は17%が回答


  日本人の幸福度は、コロナ明けから年々低下している・・・。

 こんなショッキングな結果が2024年6月~7月にインターネットを使って実施した「幸福度調査2024」(都道府県ごとに有効回答数500人以上、計24,970人)で明らかになった。

 「あなたは幸せですか」という問いに対し、全回答者平均では「とても幸せ」が25.0%、「少し幸せ」が36.5%と計6割以上の61.5%が肯定的な回答を選んだ。これは前年の調査結果では計64.3%より2.8ポイント減少している。

 一方で、「あまり幸せではない」は11.3%、「全く幸せではない」は5.8%と否定的な回答は17.1%で、前年の14.2%より増加している。
肯定的な回答が減少し、否定的な回答が増加したことから、幸福度は65.9点となり、前年の68.3点より2.4点低下した。

(幸福度=「とても幸せ」×100点+「少し幸せ」×75点+「どちらでもない」×50点+「あまり幸せではない」×25点+「全く幸せではない」×0点)



◆「幸せではない」が増加


 2020年以降の幸福度を比較すると、コロナ禍が本格化した2020年は66.1点に対し、2022年には70.1点と2年連続で上昇した。ところが、コロナ禍が落ち着いた(5類に移行し、行動制限等がほぼ解除された)2022年以降は2年連続で低下している。

 こうした傾向は、否定的な回答の割合は全く逆で、「全く幸せではない」および「あまり幸せではない」と回答した人の割合も2020年から2022年までは減少していたが、2022年以降は増加している。

 コロナ禍による健康面での障害や不安が高まり、行動制限などの生活面での負荷が増加した一方で、幸福度は逆に上昇していた。一方で、コロナ禍が落ち着くと幸福度は低下するという、ある意味で逆転現象が起きている。これは、コロナ禍による制約により家族が一緒に過ごす時間が増えたことが、幸福度の上昇につながったのかもしれない。


◆40代が最も幸福度が低い


 幸福度を、回答者の年代別で比較してみると、最も幸福度が高いのは60代以上で70.4点。次いで20代が67.2点となった。
 ただし、「とても幸せ」と回答した人の割合は、60代以上の26.8%より20代の27.8%の方が高くなっている。ところが「全く幸せではない」との回答が60代では2.6%と少ないため、幸福度は60代の方が高くなった。

 一方で、最も幸福度が低いのは40代で62.6点。「とても幸せ」が22.6%と60代以上と比較すると4.2ポイントも少ない一方で、「全く幸せではない」は7.8%と60代の3倍と多い。

 40代に次いで幸福度が低いのは50代の64.0点となった。いわゆる「働き盛り」の幸福度が低いということになる。


 男女別で比較すると、男性の63.4点に対し、女性は68.3点と女性の方が幸福度は高くなった。男女別に年代による幸福度を比較すると、いずれも60代が最も高く、40代が最も低いという傾向は男女ともに同じだったが、50代では男性の方が女性よりかなり低くなっている。

 年代や男女より差がついたのは、婚姻。未婚者の幸福度が57.8点であるのに対し、既婚者は75.2点と高い。その差は14.7点もの差がある。そして、子どもがない人は60.3点であるのに対し、子どもがある人では71.6点と10点を超える差がついた。

 一人でいるより配偶者がいる人、そして子どもがいる人の方が幸福度が高い。つまり、家族が「幸せ」を高める要因となっていることがわかる。

 そう考えると、コロナ禍で旅行や外出はもちろん、学校や仕事にも出られない日が続くなど、行動制限が厳しかった時に家族で過ごす時間が増えたことで幸福感が高まり、そうした行動制限が緩和されるとともに幸福度が低下していることは納得できる結果なのかもしれない。
◆「家族・家庭」に幸せを感じる人が6割。「どれも感じない」は1割


 「どのような点に幸せを感じますか」という問いに対し、「健康」や「家族・家庭」など7つの項目と「どれも感じない」の中から該当するものを複数選んでもらった。

 その結果、最も幸せを感じる人が多いのは「家族・家庭」で、全回答者の半数を超える57.2%が同選択肢を選んでいる。家族・家庭に幸せを感じている人の割合は、60代以上が最も多く66.5%。すなわち3人に2人が幸せを感じていることになる。逆に最も少ないのは20代で46.5%。低いとは言っても、半数近い人が家族・家庭に幸せを感じているようだ。

 なお、既婚の人では家族・家庭に幸せを感じているのは74.0%で未婚ンお36.8%の2倍近い。また、子どもがいる人では72.9%に対し、子どもがいない人は41.8%と、その差も大きい。

 家族・家庭に次いで多いのは「健康」で39.2%。20代が最も低く31.0%に対し、60代以上では54.0%と高くなっている。年齢が高くなるほど健康に幸せを感じる人が増える、という結果になっている。
ちなみに、健康については男女、婚姻などではあまり差がみられなかった。

 続いて多いのは「趣味・娯楽」で37.4%。年代別では20代では41.9%であるのに対し、50代までは年齢が高くなるほど少なくなる傾向にあり、50代では34.7%に。ところが60代以上では38.1%と20代に次いで多くなっている。
また、既婚者が31.4%に対し、未婚者は44.8%と多くなっている。

 一方で、最も少なかったのは「恋愛」で10.5%。20代では22.3%だが、30代では12.0%とその半分にすぎない。40代以上は年齢が高くなるほど低くなり、60代以上では3.5%にすぎない。(周辺からは60代以上でも3.5%いることに驚くという声も聞こえるが・・・)

 恋愛に次いで少ないのは「仕事・学業」で14.5%、そして「収入・財産」の18.6%だった。
◆収入や財産に幸せを感じる人は、幸福度が低い!?


 次に、幸せの要素と幸福度の関係を「重回帰分析」という解析手法を用いて分析した。
(「幸福度」を目的変数、「幸せの要素」の7項目を説明変数として、回答者24,970人分の回答結果をもとに分析)。

 上の図がその結果で、棒グラフが影響度(重回帰係数)で、この値が大きいほど、幸福度に与える影響が大きいことを意味している。(影響度がマイナスの場合は、負の影響を与えることになる)。

 結果として、もっとも幸福度に影響が大きいのは「家族・家庭」だった。
他の項目より係数(影響度)が突出しており、非常に強い影響があることがわかる。

 次いで「健康」、そして「友人・知人」の順に強い影響がある。一方で、「収入・財産」はマイナス、すなわち収入・財産が幸せの要因と感じている人は、相対的に幸福度が低いという結果になった。
 一般的には収入や財産が豊かであることが、幸福の条件のように感じる人も多いと思うが、今回の調査結果によると、収入や財産には関係なく、家族や家庭、健康、友人・知人に幸せを感じる人の方が幸福度が高くなる傾向にあるということになる。


「幸せはカネでは買えないよ」という声が大きく聞こえてきそうだ。





◆調査概要・お問合せ


<調査概要>
 ・ 調 査 方 法  インターネット調査
 ・ 調 査 票  47都道府県ごとに調査票を作成
 ・ 回 答 者  登録している調査パネルから、居住している都道府県別に同数となるように抽出
 ・ 有効回答数  24,970人(都道府県には518~543人)
 ・ 調 査 時 期  2024年6月27日 ~ 7月8日
 ・ 設 問 数  10問(+回答者属性)
 ・ 実   施  株式会社ブランド総合研究所

<報告書注文ページ>
https://news.tiiki.jp/form/happinesssurvey2024

<ニュースリリース>
https://news.tiiki.jp/data/contentFile/4897/%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E5%BA%A6%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9.pdf

<パンフレット(PDF)>
https://news.tiiki.jp/data/contentFile/4897/%E3%80%90%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%91%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E5%BA%A6%E8%AA%BF%E6%9F%BB2024.pdf

<お問合せ>
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