株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のポイントサービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
1. 市場概況
2023年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、2兆6,569億円まで拡大し、2024年度には前年度比104.7%の2兆7,831億円になる見込みである。
1. 市場概況
2023年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、2兆6,569億円まで拡大し、2024年度には前年度比104.7%の2兆7,831億円になる見込みである。
2020年度以降、コロナ禍で一部の業種では消費が落ち込んでいたが、既に多くの業種で2019年度以前に近い水準まで消費が回復傾向にあり、国内におけるポイント発行額は拡大基調にある。
共通ポイントサービス提供事業者では、引き続き消費者が日常利用する店舗・サービスを対象に加盟店の開拓を進めており、加盟店舗数は拡大している。また、キャッシュレス決済の進展により、コード決済やクレジットカードの取扱高が増加したことで、ポイント発行額は伸長した。
さらに、ポイントを効率的かつ最大限獲得する活動、いわゆる「ポイ活」が消費者間で一般化したことで、ポイントを意識的に獲得するユーザーが増加したことも、ポイント発行額を押し上げる要因となった。
2.注目トピック~ポイントを中心とした経済圏の拡大
共通ポイントサービス提供事業者は、一部事業者を除き、自社またはグループ企業間で通信回線やコード決済、クレジットカード、証券、保険、銀行、ECなど様々なサービスを提供し、いわゆる「経済圏」を構築している。各社は、経済圏として消費者が日常的に利用するサービスを複数提供することで、ユーザーとの長期的な関係構築を図り、顧客一人ひとりの生涯にわたる価値、つまりLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上を狙う。ポイントはその経済圏において、サービスの利用に応じて発行され、ユーザーへのサービス利用を促すなど、中心的な役割を果たしている。
また、経済圏のなかには、提供しているサービスの利用度合いに応じて、コード決済やEC決済時のポイント還元率を高めるプログラムを提供しているものがある。その高い還元率の獲得を目的に、一部のユーザーでは利用するサービスを特定の経済圏に集中させる動きも見られる。
それらのポイントを中心とした経済圏における会員基盤と各サービスのIDを連携することで、ユーザー属性データおよび購買データの一元化が可能となり、事業者はユーザー一人ひとりに向けて最適化されたマーケティング施策を実施しやすくなる。今後も、ポイント経済圏を志向する事業者においては、LTV向上のため、ユーザーが日常で利用するサービスの強化や拡充を行いながら、自社サービスに対するキャンペーンで積極的にポイントを発行すると考えられる。
3.将来展望
キャッシュレス決済の普及やポイント経済圏の拡大、共通ポイント加盟店の拡大、ハウスポイント提供企業の増加などの要因により、今後も市場は成長し、2028年度の国内ポイントサービス市場規模は3兆2,838億円まで拡大すると予測する。
キャッシュレス決済の普及率上昇に伴い、今後もクレジットカードやコード決済の取扱高は増える見込みで、それに応じてポイント発行額も伸びる。また、ポイント経済圏を志向する事業者においては、自社サービスの利用に応じたポイントの発行に加え、新規ユーザーの獲得を目的としたキャンペーンの積極的な実施が見込まれることからも、共通ポイント発行額が増加すると予測する。
さらに、ポイント経済圏の拡大は、加盟店に対してもプラスに働く。加盟店としては、積極的にポイントを貯める利用者やポイントの利用される機会が豊富なほど、販促の観点で有効となる。そのため、共通ポイントサービス提供事業者は経済圏内で豊富にポイントを発行し、加盟店で充当するといった一連のサイクルの確立が欠かせない。
なお、共通ポイント以外に、ハウスポイントを導入する事業者の増加も見込まれる。これまで、ポイントサービスは流通・小売業での集客・囲い込みの観点での利用が多かったが、今後は新たな業態でもポイントサービスの活用が進むとみられる。新たにポイントサービスを導入する事業者では、ポイントによる集客や囲い込みに加えて、会員組織化を通じた会員データの獲得に重きが置かれるようになると考える。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3605
調査要綱
1.調査期間:2024年4月~7月
2.調査対象:共通ポイントサービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント交換サービス提供事業者、ポイント関連ソリューションベンダなど
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年7月30日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
共通ポイントサービス提供事業者では、引き続き消費者が日常利用する店舗・サービスを対象に加盟店の開拓を進めており、加盟店舗数は拡大している。また、キャッシュレス決済の進展により、コード決済やクレジットカードの取扱高が増加したことで、ポイント発行額は伸長した。
さらに、ポイントを効率的かつ最大限獲得する活動、いわゆる「ポイ活」が消費者間で一般化したことで、ポイントを意識的に獲得するユーザーが増加したことも、ポイント発行額を押し上げる要因となった。
2.注目トピック~ポイントを中心とした経済圏の拡大
共通ポイントサービス提供事業者は、一部事業者を除き、自社またはグループ企業間で通信回線やコード決済、クレジットカード、証券、保険、銀行、ECなど様々なサービスを提供し、いわゆる「経済圏」を構築している。各社は、経済圏として消費者が日常的に利用するサービスを複数提供することで、ユーザーとの長期的な関係構築を図り、顧客一人ひとりの生涯にわたる価値、つまりLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上を狙う。ポイントはその経済圏において、サービスの利用に応じて発行され、ユーザーへのサービス利用を促すなど、中心的な役割を果たしている。
また、経済圏のなかには、提供しているサービスの利用度合いに応じて、コード決済やEC決済時のポイント還元率を高めるプログラムを提供しているものがある。その高い還元率の獲得を目的に、一部のユーザーでは利用するサービスを特定の経済圏に集中させる動きも見られる。
それらのポイントを中心とした経済圏における会員基盤と各サービスのIDを連携することで、ユーザー属性データおよび購買データの一元化が可能となり、事業者はユーザー一人ひとりに向けて最適化されたマーケティング施策を実施しやすくなる。今後も、ポイント経済圏を志向する事業者においては、LTV向上のため、ユーザーが日常で利用するサービスの強化や拡充を行いながら、自社サービスに対するキャンペーンで積極的にポイントを発行すると考えられる。
3.将来展望
キャッシュレス決済の普及やポイント経済圏の拡大、共通ポイント加盟店の拡大、ハウスポイント提供企業の増加などの要因により、今後も市場は成長し、2028年度の国内ポイントサービス市場規模は3兆2,838億円まで拡大すると予測する。
キャッシュレス決済の普及率上昇に伴い、今後もクレジットカードやコード決済の取扱高は増える見込みで、それに応じてポイント発行額も伸びる。また、ポイント経済圏を志向する事業者においては、自社サービスの利用に応じたポイントの発行に加え、新規ユーザーの獲得を目的としたキャンペーンの積極的な実施が見込まれることからも、共通ポイント発行額が増加すると予測する。
さらに、ポイント経済圏の拡大は、加盟店に対してもプラスに働く。加盟店としては、積極的にポイントを貯める利用者やポイントの利用される機会が豊富なほど、販促の観点で有効となる。そのため、共通ポイントサービス提供事業者は経済圏内で豊富にポイントを発行し、加盟店で充当するといった一連のサイクルの確立が欠かせない。
なお、共通ポイント以外に、ハウスポイントを導入する事業者の増加も見込まれる。これまで、ポイントサービスは流通・小売業での集客・囲い込みの観点での利用が多かったが、今後は新たな業態でもポイントサービスの活用が進むとみられる。新たにポイントサービスを導入する事業者では、ポイントによる集客や囲い込みに加えて、会員組織化を通じた会員データの獲得に重きが置かれるようになると考える。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3605
調査要綱
1.調査期間:2024年4月~7月
2.調査対象:共通ポイントサービス提供事業者、マイレージサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント交換サービス提供事業者、ポイント関連ソリューションベンダなど
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年7月30日
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