株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の人事・総務関連業務アウトソーシング市場を調査し、主要14分野サービスの動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2022年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場規模(主要14分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比7.0%増の11兆1,109億円であった。内訳を見ると、シェアードサービス市場(シェアードサービスセンター、学校法人業務アウトソーシング)が前年度比1.6%増の5,670億円、人事業務アウトソーシング市場(給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サー ビス、採用アウトソーシング (RPO)、アセスメントツール)が同4.0%増の1兆165億円、総務業務アウトソーシング市場 (従業員支援プログラム(EAP)、健診・健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス)が同4.1%増の2,919億円、人材関連業務アウトソーシング市場 (人材派遣、人材紹介、再就職支援)が同7.8%増の9兆2,355億円 で、人材関連業務アウトソーシング市場が全体の8割超を占めている。
1.市場概況
2022年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場規模(主要14分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比7.0%増の11兆1,109億円であった。内訳を見ると、シェアードサービス市場(シェアードサービスセンター、学校法人業務アウトソーシング)が前年度比1.6%増の5,670億円、人事業務アウトソーシング市場(給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サー ビス、採用アウトソーシング (RPO)、アセスメントツール)が同4.0%増の1兆165億円、総務業務アウトソーシング市場 (従業員支援プログラム(EAP)、健診・健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス)が同4.1%増の2,919億円、人材関連業務アウトソーシング市場 (人材派遣、人材紹介、再就職支援)が同7.8%増の9兆2,355億円 で、人材関連業務アウトソーシング市場が全体の8割超を占めている。
2.注目トピック~経営資源の本業への集中投下、DX推進がサービス需要拡大を後押し~
2020年度以降は、コロナ禍の影響を受けて業績を悪化させる企業・業界が散見された。しかし、経済活動が本格的に再開した2022年度後半頃からは、ウィズコロナ時代の新たなビジネス環境に対応した新サービスが投入されるといった動きも活発化しており、コロナ禍以前のサービス需要を徐々に取り戻している。加えて、就労人口減少による恒常的な人材不足が顕在化しており、貴重な社内人材を間接業務ではなくコア業務(主要業務)に専念させる流れが加速している。定年退職者数の増加とともに間接業務を担う人材を外部から採用する流れとも相俟って、アウトソーシング需要は引き続き拡大基調である。また、コロナ禍以降、テレワークが広く普及したことで、間接業務を行うために出社するよりも外注化したほうが効率的で生産性が高いとの考えが浸透し、アウトソーシングサービスの活用に踏み切る企業が増加するなど、当該市場にとっては、コロナ禍が悪影響を与えるというよりもむしろサービス需要を喚起している、とプラスに捉える向きも多い。
特に大企業では、政府が推進する人的資本経営(※1)に取り組む中で、限りある経営資源をコア業務(主要業務)へ効果的に集中投下する動きがある一方で、間接業務の経費をより一層圧縮する方向にあるため、コスト圧縮手段としてアウトソーシングサービスの活用に踏み切る企業が増加している。また、近年は単なるコスト圧縮手段としてアウトソーシングサービスを活用するのではなく、DX推進(※2)を目的に活用するという流れも生じており、年々DX推進がサービス需要拡大を後押ししているとみる。
※1人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営
※2デジタル技術を活用した業務改革
3.将来展望
人事・総務業務アウトソーシング業界が最も影響を受けるのは、ユーザー(企業)の業績を左右する景気動向である。しかし、近年は働き方改革やDX等に取り組む企業が増える中で、市場の大きなマイナス要素となる景気減退の影響を上回る勢いでサービスニーズが拡大している分野が多い。
また、就労人口の減少も市場に大きな影響を与える要素である。近年の大きな動きとしては、業務の内製化を主体としてきた日系大企業においてベテランの人事担当者の定年退職等に合わせて外注化機運が高まっている。加えて、すでにアウトソーシングサービスを導入している企業のリピートや提供サービスの深耕、中堅・中小企業を中心としたアウトソーシングサービス未導入企業までサービス需要の裾野が拡大している。こうした流れを受けて、事業者は日系大企業や中堅・中小企業をターゲットとした需要取り込みを強化しており、さらなる市場拡大が期待できる状況にある。なかでも中堅・中小企業のサービス需要は、リーズナブルに利用できるクラウドサービスの登場に合わせて急速に顕在化しており、市場を活性化する大きな役割を果たしていることから、市場の拡大は今後も継続するものとみる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3526
調査要綱
1.調査期間: 2024年1月~3月
2.調査対象: 人事・総務関連業務アウトソーシングサービスを提供する主要事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月27日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
2020年度以降は、コロナ禍の影響を受けて業績を悪化させる企業・業界が散見された。しかし、経済活動が本格的に再開した2022年度後半頃からは、ウィズコロナ時代の新たなビジネス環境に対応した新サービスが投入されるといった動きも活発化しており、コロナ禍以前のサービス需要を徐々に取り戻している。加えて、就労人口減少による恒常的な人材不足が顕在化しており、貴重な社内人材を間接業務ではなくコア業務(主要業務)に専念させる流れが加速している。定年退職者数の増加とともに間接業務を担う人材を外部から採用する流れとも相俟って、アウトソーシング需要は引き続き拡大基調である。また、コロナ禍以降、テレワークが広く普及したことで、間接業務を行うために出社するよりも外注化したほうが効率的で生産性が高いとの考えが浸透し、アウトソーシングサービスの活用に踏み切る企業が増加するなど、当該市場にとっては、コロナ禍が悪影響を与えるというよりもむしろサービス需要を喚起している、とプラスに捉える向きも多い。
特に大企業では、政府が推進する人的資本経営(※1)に取り組む中で、限りある経営資源をコア業務(主要業務)へ効果的に集中投下する動きがある一方で、間接業務の経費をより一層圧縮する方向にあるため、コスト圧縮手段としてアウトソーシングサービスの活用に踏み切る企業が増加している。また、近年は単なるコスト圧縮手段としてアウトソーシングサービスを活用するのではなく、DX推進(※2)を目的に活用するという流れも生じており、年々DX推進がサービス需要拡大を後押ししているとみる。
※1人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営
※2デジタル技術を活用した業務改革
3.将来展望
人事・総務業務アウトソーシング業界が最も影響を受けるのは、ユーザー(企業)の業績を左右する景気動向である。しかし、近年は働き方改革やDX等に取り組む企業が増える中で、市場の大きなマイナス要素となる景気減退の影響を上回る勢いでサービスニーズが拡大している分野が多い。
また、就労人口の減少も市場に大きな影響を与える要素である。近年の大きな動きとしては、業務の内製化を主体としてきた日系大企業においてベテランの人事担当者の定年退職等に合わせて外注化機運が高まっている。加えて、すでにアウトソーシングサービスを導入している企業のリピートや提供サービスの深耕、中堅・中小企業を中心としたアウトソーシングサービス未導入企業までサービス需要の裾野が拡大している。こうした流れを受けて、事業者は日系大企業や中堅・中小企業をターゲットとした需要取り込みを強化しており、さらなる市場拡大が期待できる状況にある。なかでも中堅・中小企業のサービス需要は、リーズナブルに利用できるクラウドサービスの登場に合わせて急速に顕在化しており、市場を活性化する大きな役割を果たしていることから、市場の拡大は今後も継続するものとみる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3526
調査要綱
1.調査期間: 2024年1月~3月
2.調査対象: 人事・総務関連業務アウトソーシングサービスを提供する主要事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月27日
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