株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の次世代デュアルユース(軍民両用)アイテム・技術市場を調査し、防衛産業向け・民間産業向けそれぞれの市場規模、航空・宇宙や情報技術、センシング、無人化・自動化、製造技術・部素材の5分野の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
ここでは、2040年度までの次世代デュアルユースアイテム・技術市場の予測について、公表する。
1.市場概況
近年の近隣諸国の動向などもあり、我が国の国家安全保障戦略及び国家防衛戦略に基づいた防衛関係費の予算額は拡大している。一方、防衛産業向けの調達については、発注頻度が低く、利益率が低いにもかかわらず、要求される仕様では保有設備や人材などのコストがかさむため、これまでかなりの数の民間企業や各種団体が撤退に追い込まれている。
こうした状況を解決するための方策として、デュアルユース(軍民両用)のアイテム・技術を開発し、その成果を安全保障分野において積極的に活用しようとする動きがあり、様々な法律・規制・制度の見直しや改定、新たな研究機関の発足が予定されている。
航空・宇宙や情報技術、センシング、無人化・自動化、製造技術・部素材の5分野での国内におけるデュアルユースのアイテム・技術を調査し、2023年度(見込)の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模(事業者売上高ベース)を57億円と推計した。足元状況においては、まだ大きな成果につながっておらず、比較的小規模にとどまった。
ここでは、2040年度までの次世代デュアルユースアイテム・技術市場の予測について、公表する。
1.市場概況
近年の近隣諸国の動向などもあり、我が国の国家安全保障戦略及び国家防衛戦略に基づいた防衛関係費の予算額は拡大している。一方、防衛産業向けの調達については、発注頻度が低く、利益率が低いにもかかわらず、要求される仕様では保有設備や人材などのコストがかさむため、これまでかなりの数の民間企業や各種団体が撤退に追い込まれている。
こうした状況を解決するための方策として、デュアルユース(軍民両用)のアイテム・技術を開発し、その成果を安全保障分野において積極的に活用しようとする動きがあり、様々な法律・規制・制度の見直しや改定、新たな研究機関の発足が予定されている。
航空・宇宙や情報技術、センシング、無人化・自動化、製造技術・部素材の5分野での国内におけるデュアルユースのアイテム・技術を調査し、2023年度(見込)の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模(事業者売上高ベース)を57億円と推計した。足元状況においては、まだ大きな成果につながっておらず、比較的小規模にとどまった。
2.注目トピック~デュアルユース促進に向け、合同推進会には多数のスタートアップが参加~
民間のイノベーションを推進し、その成果を安全保障分野において積極的に活用しようとする取り組みは、これまでも実施されてきた。
防衛省防衛装備庁では防衛産業基盤の強靭化に向けて、既存取引企業だけでなく、中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業との取引を増大させるための取り組みを進めている。その一つが、2016年度から開催されている防衛産業参入促進展で、有力な技術・製品は多くの取引先や顧客とうまくマッチングできるようになっている。
また、防衛省と経済産業省が協力し、スタートアップ支援の枠組みやネットワークを活用した「防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会」が2023年度から始められており、多数のスタートアップ企業が参加しマッチングが図られている。
さらに、政府は米国「DARPA(国防高等研究計画局)」によるデュアルユース活用状況を参考にして、新たな研究機関「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」を発足すると発表した。これは日本版DARPAという位置づけとなり、官民100人規模で構成され、デュアルユースの技術開発などに取り組むこととなる。2024年度には支援事業の募集を始める予定であり、1事業で年間数千万円から数億円の予算規模が見込まれている。日本版DARPAとして失敗を許容しつつ短期で成果を得るためのものとなり、具体的にはAIや無人機、量子など先端技術の開発を支援する見込みである。
3.将来展望
2030年度頃には、外為法や防衛装備移転三原則など各種のレギュレーションの見直しや、日本版DARPAなどデュアルユース研究開発を促進する活動の成果が出始めると想定し、2030年度の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模は609億円になると予測する。
2035年度頃には、防衛産業向けのアイテム・技術から民間産業向けへのスピンオフが盛んになり、民間産業向け市場の構成比が高くなり、海外へのアイテム・技術の輸出が積極的に行われると予測する。
2040年度の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模は1,507億円に成長を予測する。市場全体が成長していることから、民間産業向けの需要がより高まる見通しである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3510
調査要綱
1.調査期間: 2023年12月~2024年3月
2.調査対象: 防衛関連企業、大学・研究機関等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月27日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
民間のイノベーションを推進し、その成果を安全保障分野において積極的に活用しようとする取り組みは、これまでも実施されてきた。
防衛省防衛装備庁では防衛産業基盤の強靭化に向けて、既存取引企業だけでなく、中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業との取引を増大させるための取り組みを進めている。その一つが、2016年度から開催されている防衛産業参入促進展で、有力な技術・製品は多くの取引先や顧客とうまくマッチングできるようになっている。
また、防衛省と経済産業省が協力し、スタートアップ支援の枠組みやネットワークを活用した「防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会」が2023年度から始められており、多数のスタートアップ企業が参加しマッチングが図られている。
さらに、政府は米国「DARPA(国防高等研究計画局)」によるデュアルユース活用状況を参考にして、新たな研究機関「防衛イノベーション技術研究所(仮称)」を発足すると発表した。これは日本版DARPAという位置づけとなり、官民100人規模で構成され、デュアルユースの技術開発などに取り組むこととなる。2024年度には支援事業の募集を始める予定であり、1事業で年間数千万円から数億円の予算規模が見込まれている。日本版DARPAとして失敗を許容しつつ短期で成果を得るためのものとなり、具体的にはAIや無人機、量子など先端技術の開発を支援する見込みである。
3.将来展望
2030年度頃には、外為法や防衛装備移転三原則など各種のレギュレーションの見直しや、日本版DARPAなどデュアルユース研究開発を促進する活動の成果が出始めると想定し、2030年度の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模は609億円になると予測する。
2035年度頃には、防衛産業向けのアイテム・技術から民間産業向けへのスピンオフが盛んになり、民間産業向け市場の構成比が高くなり、海外へのアイテム・技術の輸出が積極的に行われると予測する。
2040年度の次世代デュアルユースアイテム・技術市場規模は1,507億円に成長を予測する。市場全体が成長していることから、民間産業向けの需要がより高まる見通しである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3510
調査要綱
1.調査期間: 2023年12月~2024年3月
2.調査対象: 防衛関連企業、大学・研究機関等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月27日
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