株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内eラーニング市場について調査を実施し、BtoB、BtoC各市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2023年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで前年度比0.9%減の3,690億円を見込む。内訳は、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場が1,140億円(前年度比6.0%増)、個人向けのBtoC市場が2,550億円(同3.8%減)であり、当年度はBtoC市場が前年度割れとなったことによって全体市場はマイナス成長での推移を見込む。
BtoB市場は、コロナ禍で生じたeラーニングの特需(遠隔教育需要の急速な高まり)は完全に落ち着きがみられているものの、企業のDX推進、リスキリングへの対応としてeラーニングを志向する需要は高まる環境にあり、企業研修におけるeラーニングの利用は堅調な状況を維持している。
一方、BtoC市場は、学習手段としてのeラーニングはますます一般化し、かつサービスの多様化は進行する環境にあるものの、2023年度は学習塾・予備校の生徒数や通信教育の受講者数に伸び悩みがみられており、学習塾・予備校や通信教育で用いられるeラーニングサービスが停滞傾向で推移したことが影響した。
1.市場概況
2023年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで前年度比0.9%減の3,690億円を見込む。内訳は、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場が1,140億円(前年度比6.0%増)、個人向けのBtoC市場が2,550億円(同3.8%減)であり、当年度はBtoC市場が前年度割れとなったことによって全体市場はマイナス成長での推移を見込む。
BtoB市場は、コロナ禍で生じたeラーニングの特需(遠隔教育需要の急速な高まり)は完全に落ち着きがみられているものの、企業のDX推進、リスキリングへの対応としてeラーニングを志向する需要は高まる環境にあり、企業研修におけるeラーニングの利用は堅調な状況を維持している。
一方、BtoC市場は、学習手段としてのeラーニングはますます一般化し、かつサービスの多様化は進行する環境にあるものの、2023年度は学習塾・予備校の生徒数や通信教育の受講者数に伸び悩みがみられており、学習塾・予備校や通信教育で用いられるeラーニングサービスが停滞傾向で推移したことが影響した。
2.注目トピック~生成AIの活用状況~
生成AIの代表的なサービスである「ChatGPT」が2022年11月に公開されてから、eラーニングの領域でも生成AIを実装したサービスの開発・リリースに加速化がみられている。
現状では、テストや教材の作成、わからない用語の説明文の作成、授業音声の文章化、学習アドバイスの生成、語学学習の発話トレーニング、苦手な英単語を使用した英文の生成による英単語の暗記学習などの用途で、eラーニング事業者において生成AIの活用が進められており、生成AIの活用について様々な方向性がみられている。なお、生成AIを実装したサービスの提供を行っていても、生成AIでどのようなことが実現できるかを模索している段階にある事業者も多い。また、自社業務における生成AIの活用では、議事録の作成やアイデア出しなどが挙げられ、特に類題などの作問の領域では多くの事業者が生成AIを活用している。
生成AIの登場に関しては、自社の事業にとって追い風と感じているeラーニング事業者が多い一方、この活用に関する課題としては、元データに関する著作権、学習の効率化を目的とするサービスがコモディティ化(一般化)し競合との差別化が難しくなるという懸念、顧客企業がeラーニング事業者や教育研修事業者に頼らずに社員研修・社員教育を行いやすくなり、eラーニングを社内で完結してしまうという懸念、などが指摘されている。
3.将来展望
2024年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比0.1%増の3,693億5,000万円を予測する。
BtoB市場は、企業のDX推進やリスキリングへの対応としてeラーニングが志向される環境が引き続き高まっていくと考えられることなどから、当該市場は堅調な需要を維持し推移するものと予測する。ただし、顧客の裾野拡大による小規模導入の増加からなる顧客単価の下落の進行や競合状況の激化、学習塾・予備校業界の不振などを受けて市場成長率は鈍化傾向に進むものと考える。
BtoC市場は、当該市場を構成する大きな要素である学習塾・予備校の映像授業や通信教育で提供されるデジタルを活用した学習サービスにおいて学習者数の伸び悩みが想定され、それに伴い当該市場規模は減少基調で推移するものと予測する。一方、資格取得などの学習ではeラーニングによる学習の増加が考えられることや、英語学習では海外出張や海外赴任、海外旅行機会の回復などを受けて、英語学習関連のeラーニングの需要は堅調に推移するものと予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3512
調査要綱
1.調査期間: 2024年1月~3月
2.調査対象: eラーニングシステム開発・構築・販売事業者、eラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、 eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、 学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月25日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
生成AIの代表的なサービスである「ChatGPT」が2022年11月に公開されてから、eラーニングの領域でも生成AIを実装したサービスの開発・リリースに加速化がみられている。
現状では、テストや教材の作成、わからない用語の説明文の作成、授業音声の文章化、学習アドバイスの生成、語学学習の発話トレーニング、苦手な英単語を使用した英文の生成による英単語の暗記学習などの用途で、eラーニング事業者において生成AIの活用が進められており、生成AIの活用について様々な方向性がみられている。なお、生成AIを実装したサービスの提供を行っていても、生成AIでどのようなことが実現できるかを模索している段階にある事業者も多い。また、自社業務における生成AIの活用では、議事録の作成やアイデア出しなどが挙げられ、特に類題などの作問の領域では多くの事業者が生成AIを活用している。
生成AIの登場に関しては、自社の事業にとって追い風と感じているeラーニング事業者が多い一方、この活用に関する課題としては、元データに関する著作権、学習の効率化を目的とするサービスがコモディティ化(一般化)し競合との差別化が難しくなるという懸念、顧客企業がeラーニング事業者や教育研修事業者に頼らずに社員研修・社員教育を行いやすくなり、eラーニングを社内で完結してしまうという懸念、などが指摘されている。
3.将来展望
2024年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比0.1%増の3,693億5,000万円を予測する。
BtoB市場は、企業のDX推進やリスキリングへの対応としてeラーニングが志向される環境が引き続き高まっていくと考えられることなどから、当該市場は堅調な需要を維持し推移するものと予測する。ただし、顧客の裾野拡大による小規模導入の増加からなる顧客単価の下落の進行や競合状況の激化、学習塾・予備校業界の不振などを受けて市場成長率は鈍化傾向に進むものと考える。
BtoC市場は、当該市場を構成する大きな要素である学習塾・予備校の映像授業や通信教育で提供されるデジタルを活用した学習サービスにおいて学習者数の伸び悩みが想定され、それに伴い当該市場規模は減少基調で推移するものと予測する。一方、資格取得などの学習ではeラーニングによる学習の増加が考えられることや、英語学習では海外出張や海外赴任、海外旅行機会の回復などを受けて、英語学習関連のeラーニングの需要は堅調に推移するものと予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3512
調査要綱
1.調査期間: 2024年1月~3月
2.調査対象: eラーニングシステム開発・構築・販売事業者、eラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、 eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、 学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年03月25日
お問い合わせ
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