水産物総合卸売商社の株式会社クラハシ(本社:広島県福山市、代表:天野文男)は、福山大学、広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センターの指導のもとシロギスの「完全養殖(※)」による量産化を実現し、この度、福山大学が命名した『びんごの姫』ブランドとして、2023年11月16日(木)に沖縄で1万尾(全量)を水揚げして、11月18日(土)に福山卸市場から初出荷しました。
(※完全養殖とは、人工ふ化した仔魚を親魚まで育て、その親魚から採卵し、人工ふ化させて次の世代を生み出していく技術。 これにより天然資源に頼らず、すべてのプロセスを人工下で育てることが可能になります。)
(※完全養殖とは、人工ふ化した仔魚を親魚まで育て、その親魚から採卵し、人工ふ化させて次の世代を生み出していく技術。 これにより天然資源に頼らず、すべてのプロセスを人工下で育てることが可能になります。)
◆ブランド魚『びんごの姫』の完全養殖の初出荷 安定した供給・価格が可能に
当社は、福山大学が開発した、シロギスの養殖技術を活用し、同大学指導のもと、卵から成魚までを高効率で育成する「完全養殖」を進め、沖縄県内の陸上養殖施設を借りて本格的な養殖をスタートしました。広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センターには、仔魚の生命線である餌のワムシ生産管理と摂餌方法等を詳細に解説する動画での指導を賜り、当社の基礎力向上につながりました。
そしてこの度、シロギスの「完全養殖」の量産化に成功し、『びんごの姫』ブランドとして、天然ものがオフシーズンとなる秋に初出荷しました。11月16日(木)に沖縄の陸上養殖場から水揚げし、11月18日(土)に福山地方卸売市場に並びました。
福山大学では、2015年からシロギスの生態や特徴を研究し、産卵期のコントロールや高成長・安定的な飼育技術の開発をおこなってきました。当社は2018年から実証化に参画し、沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設にて、福山大学で生まれた稚魚を育て、成長した親魚が産んだ卵を孵化させて飼育する「完全養殖」の取り組みを進めてきました。
伊平屋島の施設では、冬場の水温も瀬戸内海と比較しても非常に高く、シロギスの出荷の目安とされる15cm以上に成長するまで通常2~3年かかるところ、1年弱で育ち効率的な養殖が可能です。
しかし、養殖開始当初は、夏場の高温で仔魚が全滅してしまうなど試行錯誤が続き、事業として養殖に取り組むにはいくつもの困難がありました。特に、現地の若い養殖担当の社員は養殖に関しては素人で、毎日オンラインで福山大学の指導を受けながら、必死に命と向き合ってきました。昨年4月には、養殖場に隣接した水温管理のできる沖縄種苗研究センターを創設し、親魚の採卵を開始。現在は伊平屋島漁協が所有する陸上養殖水槽を活用した養殖をおこない、初の本格出荷を迎えた本年は、養殖のシロギスの生産量を増やし、1万尾を出荷することができました。
◆福山大学と産学連携「養殖シロギスプロジェクト」 高級魚を1年中安定供給
シロギスはパールピンクや虹色に輝いて見える魚体の美しさから、“海の女王”と呼ばれています。また、くせや臭みがなく熱を通しても身が締まらないことから、刺身や昆布締め、天ぷらやフライなど、食材としての価値も高い人気の魚です。春から夏にかけて水揚げされ、秋以降は品薄のシーズンオフとなり高値で流通する高級魚でもあります。近年は漁獲量が10分の1に激減し、市場での不足を補うため代替として近縁種が輸入されていますが、国産シロギスの上品な甘さやくせのない淡白な味わいには及びません。
そこで当社は、これまで養殖の対象になっていなかったシロギスの完全養殖により、オフシーズンに高品質なシロギスを安定供給させることで、シロギスのおいしさを一年中味わっていただくことが可能になると考え、福山大学のプロジェクトに参画しました。『びんごの姫』は養殖なので傷がほぼなく、鮮度も良好に保てるため、身質は天然物と同様かそれ以上と、非常に高い評価を受けています。
当社では、『びんごの姫』を国内のみならず海外輸出も視野に入れて事業展開するほか、これまで養殖の対象とされていなかった魚種にも着目して展開を拡大することで、新たな経営の柱にしたいと考えています。当社は今後も「養殖シロギスプロジェクト」をはじめとした養殖事業の拡大を目指し、未来の海のために持続可能な漁場への取り組みに貢献したいと考えています。
◆今後の展開について 広島県の補助支援策の採択により開発推進が可能に
養殖事業は思いのほか人出のかかる作業が多い上、「魚の機嫌」を感じ取るセンスも求められます。中でも卵から孵化した繊細な仔魚を飼育する種苗生産の分野は、種苗異常や種苗が斃死する原因が必ずしも明瞭には掌握出来ないケースもあり、AIによる分析管理も困難と考える方が多いのが実情です。
当社では、広島県の補助支援策である「広島県ものづくり価値創出支援補助金(令和2年)」に採択を頂き、広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センターと福山大学に多大なるご協力を賜り、共同で「IoTデバイスを用いたリモートセンシングによる温度および人工照明の高度環境制御を行える高効率な種苗生産システム」の開発を進めてきました。
また、「中小・ベンチャー企業チャレンジ応援事業補助金(令和元年、令和3年)」でも採択を頂き、過密養殖を考慮した「海水電解式の水質浄化システム」と「人的支援システム(デジタルツイン)」を目指してシステム開発を推進してきました。未だ実現途上ではありますが、本業である養殖事業に集中するため現在は開発を中止しております本研究事業は、次年度以降時期を見て再開する予定です。
【「福山大学養殖シロギスプロジェクト」の経緯】
2015年:福山大学にてプロジェクト開始。
2018年:クラハシが参画。
子会社のマリンリンク(沖縄県伊平屋村)を通じ、陸上養殖水槽にて養殖を開始。
2022年春:沖縄県伊平屋村の養殖場に温度管理ができる「種苗センター」を新設。
採卵や、仔魚の中間育成のため小型水槽15基を整備。
2021・22年:試験的に出荷。高値が付き、味も好評を得る。
2023年3月:ブランド名を「びんごの姫」と命名。ブランドサイトを立ち上げる。
2023年11月2日 :広島県庁にて試食会を開催。
2023年11月16日:沖縄県伊平屋村の陸上養殖場にて初水揚げ。
2023年11月18日:福山卸市場より初出荷。
当社は、福山大学が開発した、シロギスの養殖技術を活用し、同大学指導のもと、卵から成魚までを高効率で育成する「完全養殖」を進め、沖縄県内の陸上養殖施設を借りて本格的な養殖をスタートしました。広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センターには、仔魚の生命線である餌のワムシ生産管理と摂餌方法等を詳細に解説する動画での指導を賜り、当社の基礎力向上につながりました。
そしてこの度、シロギスの「完全養殖」の量産化に成功し、『びんごの姫』ブランドとして、天然ものがオフシーズンとなる秋に初出荷しました。11月16日(木)に沖縄の陸上養殖場から水揚げし、11月18日(土)に福山地方卸売市場に並びました。
福山大学では、2015年からシロギスの生態や特徴を研究し、産卵期のコントロールや高成長・安定的な飼育技術の開発をおこなってきました。当社は2018年から実証化に参画し、沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設にて、福山大学で生まれた稚魚を育て、成長した親魚が産んだ卵を孵化させて飼育する「完全養殖」の取り組みを進めてきました。
伊平屋島の施設では、冬場の水温も瀬戸内海と比較しても非常に高く、シロギスの出荷の目安とされる15cm以上に成長するまで通常2~3年かかるところ、1年弱で育ち効率的な養殖が可能です。
しかし、養殖開始当初は、夏場の高温で仔魚が全滅してしまうなど試行錯誤が続き、事業として養殖に取り組むにはいくつもの困難がありました。特に、現地の若い養殖担当の社員は養殖に関しては素人で、毎日オンラインで福山大学の指導を受けながら、必死に命と向き合ってきました。昨年4月には、養殖場に隣接した水温管理のできる沖縄種苗研究センターを創設し、親魚の採卵を開始。現在は伊平屋島漁協が所有する陸上養殖水槽を活用した養殖をおこない、初の本格出荷を迎えた本年は、養殖のシロギスの生産量を増やし、1万尾を出荷することができました。
◆福山大学と産学連携「養殖シロギスプロジェクト」 高級魚を1年中安定供給
シロギスはパールピンクや虹色に輝いて見える魚体の美しさから、“海の女王”と呼ばれています。また、くせや臭みがなく熱を通しても身が締まらないことから、刺身や昆布締め、天ぷらやフライなど、食材としての価値も高い人気の魚です。春から夏にかけて水揚げされ、秋以降は品薄のシーズンオフとなり高値で流通する高級魚でもあります。近年は漁獲量が10分の1に激減し、市場での不足を補うため代替として近縁種が輸入されていますが、国産シロギスの上品な甘さやくせのない淡白な味わいには及びません。
そこで当社は、これまで養殖の対象になっていなかったシロギスの完全養殖により、オフシーズンに高品質なシロギスを安定供給させることで、シロギスのおいしさを一年中味わっていただくことが可能になると考え、福山大学のプロジェクトに参画しました。『びんごの姫』は養殖なので傷がほぼなく、鮮度も良好に保てるため、身質は天然物と同様かそれ以上と、非常に高い評価を受けています。
当社では、『びんごの姫』を国内のみならず海外輸出も視野に入れて事業展開するほか、これまで養殖の対象とされていなかった魚種にも着目して展開を拡大することで、新たな経営の柱にしたいと考えています。当社は今後も「養殖シロギスプロジェクト」をはじめとした養殖事業の拡大を目指し、未来の海のために持続可能な漁場への取り組みに貢献したいと考えています。
◆今後の展開について 広島県の補助支援策の採択により開発推進が可能に
養殖事業は思いのほか人出のかかる作業が多い上、「魚の機嫌」を感じ取るセンスも求められます。中でも卵から孵化した繊細な仔魚を飼育する種苗生産の分野は、種苗異常や種苗が斃死する原因が必ずしも明瞭には掌握出来ないケースもあり、AIによる分析管理も困難と考える方が多いのが実情です。
当社では、広島県の補助支援策である「広島県ものづくり価値創出支援補助金(令和2年)」に採択を頂き、広島県立総合技術研究所 水産海洋技術センターと福山大学に多大なるご協力を賜り、共同で「IoTデバイスを用いたリモートセンシングによる温度および人工照明の高度環境制御を行える高効率な種苗生産システム」の開発を進めてきました。
また、「中小・ベンチャー企業チャレンジ応援事業補助金(令和元年、令和3年)」でも採択を頂き、過密養殖を考慮した「海水電解式の水質浄化システム」と「人的支援システム(デジタルツイン)」を目指してシステム開発を推進してきました。未だ実現途上ではありますが、本業である養殖事業に集中するため現在は開発を中止しております本研究事業は、次年度以降時期を見て再開する予定です。
【「福山大学養殖シロギスプロジェクト」の経緯】
2015年:福山大学にてプロジェクト開始。
2018年:クラハシが参画。
子会社のマリンリンク(沖縄県伊平屋村)を通じ、陸上養殖水槽にて養殖を開始。
2022年春:沖縄県伊平屋村の養殖場に温度管理ができる「種苗センター」を新設。
採卵や、仔魚の中間育成のため小型水槽15基を整備。
2021・22年:試験的に出荷。高値が付き、味も好評を得る。
2023年3月:ブランド名を「びんごの姫」と命名。ブランドサイトを立ち上げる。
2023年11月2日 :広島県庁にて試食会を開催。
2023年11月16日:沖縄県伊平屋村の陸上養殖場にて初水揚げ。
2023年11月18日:福山卸市場より初出荷。
【会社概要】
社名 :株式会社クラハシ
代表 :代表取締役社 天野 文男
本社所在地:〒721-0942広島県福山市引野町1-1-1 福山市地方卸売市場内
TEL :084-941-3510
設立日 :2006年3月23日
URL :https://www.kurahashi.co.jp/
資本金 :100,000千円
従業員数 :約150名(正社員110名)
事業内容 :福山市地方卸売市場・水産物荷受(広島県公認)水産物及び関連商品、冷凍食品等の卸売
【株式会社クラハシとは】
当社は、1896(明治29)年創業の藤井商店を、1946(昭和21)年に倉橋商店として受け継ぎ、1958(昭和33)年に法人化、1972(昭和47)年に現社名となりました。1950(昭和25)年の市場移転に伴い、備後地方の台所「福山地方卸売市場」に入場し本社を構えてから50年余り、水産物部門で「荷受」と呼ばれる大卸業務をおこなっています。地域拠点型の中心的荷受を目指しながら、生鮮水産品や加工・冷凍食品の集荷と、量販店や飲食店などに提案型販売をおこなう食品総合卸売商社として事業を展開しています。
当社は、水産と冷凍食品を中心にスーパーへの直接販売、鮮魚の加工提案、魚の養殖をおこなうなど“開発する総合卸売商社”として事業展開を進めています。SDGsが取り上げられるより以前から、乱獲や温暖化により瀬戸内の漁獲量が激減していることを受け、「獲る漁業から育てる漁業へ」という思いを実現する形で、「備蓄事業」や「養殖」に着手してきました。
当社は、昨今減少傾向にある“魚食”の啓発として、生物多様性の観点では、天然資源を絶やさない努力を前提とした上で、養殖飽和魚種ではない、前例のない新たな魚種の養殖が重要な鍵になると考えています。減少を続ける天然資源を鑑み、養殖魚は天然魚が増えるための調整魚と銘打ち、引き続養殖事業に尽力していきます。
社名 :株式会社クラハシ
代表 :代表取締役社 天野 文男
本社所在地:〒721-0942広島県福山市引野町1-1-1 福山市地方卸売市場内
TEL :084-941-3510
設立日 :2006年3月23日
URL :https://www.kurahashi.co.jp/
資本金 :100,000千円
従業員数 :約150名(正社員110名)
事業内容 :福山市地方卸売市場・水産物荷受(広島県公認)水産物及び関連商品、冷凍食品等の卸売
【株式会社クラハシとは】
当社は、1896(明治29)年創業の藤井商店を、1946(昭和21)年に倉橋商店として受け継ぎ、1958(昭和33)年に法人化、1972(昭和47)年に現社名となりました。1950(昭和25)年の市場移転に伴い、備後地方の台所「福山地方卸売市場」に入場し本社を構えてから50年余り、水産物部門で「荷受」と呼ばれる大卸業務をおこなっています。地域拠点型の中心的荷受を目指しながら、生鮮水産品や加工・冷凍食品の集荷と、量販店や飲食店などに提案型販売をおこなう食品総合卸売商社として事業を展開しています。
当社は、水産と冷凍食品を中心にスーパーへの直接販売、鮮魚の加工提案、魚の養殖をおこなうなど“開発する総合卸売商社”として事業展開を進めています。SDGsが取り上げられるより以前から、乱獲や温暖化により瀬戸内の漁獲量が激減していることを受け、「獲る漁業から育てる漁業へ」という思いを実現する形で、「備蓄事業」や「養殖」に着手してきました。
当社は、昨今減少傾向にある“魚食”の啓発として、生物多様性の観点では、天然資源を絶やさない努力を前提とした上で、養殖飽和魚種ではない、前例のない新たな魚種の養殖が重要な鍵になると考えています。減少を続ける天然資源を鑑み、養殖魚は天然魚が増えるための調整魚と銘打ち、引き続養殖事業に尽力していきます。
<クラハシの最新の取り組み>
こだわりの逸品をEC販売「贅沢至高」
消費者には瀬戸内の新鮮な高級食材をネットで手軽に購入できる一方で、魚の価値を「価値通りに販売」することで生産者の安定した所得につながる仕組み作りに寄与。
目利きと触れ合う、地域交流の場「尾道朝市」
毎月第二・第四土曜日の午前7時~9時に尾道市場で朝市を開催中。「鮪の解体ショー」などを実施し、子どもには「魚食」を啓発、高齢者には「人との関り」を提供する。
こだわりの逸品をEC販売「贅沢至高」
消費者には瀬戸内の新鮮な高級食材をネットで手軽に購入できる一方で、魚の価値を「価値通りに販売」することで生産者の安定した所得につながる仕組み作りに寄与。
目利きと触れ合う、地域交流の場「尾道朝市」
毎月第二・第四土曜日の午前7時~9時に尾道市場で朝市を開催中。「鮪の解体ショー」などを実施し、子どもには「魚食」を啓発、高齢者には「人との関り」を提供する。