日本臨床カンナビノイド学会(太組一朗理事長)は、10月26日付けで、本学会が監修した翻訳本「CBDの科学: 大麻由来成分の最新エビデンス」が築地書館から発売された。
本書は、CBDの潜在的な医療効果に関する科学文献の包括的なレビューであり、前臨床研究とヒトを対象とした臨床研究の双方からの結果を解説する。
CBD(カンナビジオール)は、大麻草およびヘンプから採れる陶酔作用を持たない化合物で、ローションやスムージーからグミやペット用おやつに至るまで、さまざまな製品に含まれている。精神症、不安、疼痛、さらにはがんなどの病状の治療法として宣伝されているが、これは必ずしも科学的に立証されているわけではない。
本書では、大麻研究の第一人者である3人の研究者がCBDについての科学的なエビデンスを取り上げてその潜在的な医療効果に関する科学文献の包括的なレビューを提示し、前臨床研究とヒトを対象とした臨床研究の両方から得られた知見を解説している。
また、膨大な参考文献があるため、文献は本書に掲載せずに、下記WEBサイトから見れるようになっている。
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/hon-imgs/16571.pdf
本書は、CBDの潜在的な医療効果に関する科学文献の包括的なレビューであり、前臨床研究とヒトを対象とした臨床研究の双方からの結果を解説する。
CBD(カンナビジオール)は、大麻草およびヘンプから採れる陶酔作用を持たない化合物で、ローションやスムージーからグミやペット用おやつに至るまで、さまざまな製品に含まれている。精神症、不安、疼痛、さらにはがんなどの病状の治療法として宣伝されているが、これは必ずしも科学的に立証されているわけではない。
本書では、大麻研究の第一人者である3人の研究者がCBDについての科学的なエビデンスを取り上げてその潜在的な医療効果に関する科学文献の包括的なレビューを提示し、前臨床研究とヒトを対象とした臨床研究の両方から得られた知見を解説している。
また、膨大な参考文献があるため、文献は本書に掲載せずに、下記WEBサイトから見れるようになっている。
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/hon-imgs/16571.pdf
目次
巻頭の言葉
前書き
1 はじめに
米国における大麻および大麻由来製品の法的地位
カナダの大麻法(Cannabis Act)
2 化学的および薬理学的特徴
カンナビジオールの化学的性質
CBDの合成 / CBDの化学反応性
CBDの光化学反応 / (+)カンナビジオール
カンナビジオール酸 / カンナビジオールの誘導体
結論 CBDの化学的性質
カンナビジオールの薬理学的性質
CBDのバイオアベイラビリティ / CBDの代謝
CBDは体内でTHCに変換され得るか?
THC薬物検査に対するCBDの影響 / CBDの薬力学的性質
CBDの安全性および毒性 / CBDの依存性と乱用の可能性
結論 CBDの薬理学的性質
3 CBDとTHCの相互作用
薬力学的作用
薬物動態
CBDとTHCの相互作用について基礎研究から得られるエビデンス
ヒトにおけるCBDとTHCの相互作用
心拍数・血圧 / 主観的な酩酊作用 / 精神運動機能
睡眠 / 不安 / 認知機能
精神症(サイコーシス)
CBDとTHCの相互関係に関する研究の限界
ナビキシモルス(サティベックス)
結論
4 てんかん
CBDとてんかんの歴史的側面
CBDとてんかんに関する基礎研究
てんかんに対するCBDのヒトを対象とした臨床試験
難治性小児てんかん治療薬としてFDAが承認したCBD(エピディオレックス)の開発
結論
5 神経保護、組織保護、がん
酸化還元調節物質としてのCBD
CBDと免疫系
CBDとウイルス性疾患
CBDと脳虚血
CBDと心臓血管系疾患
CBDと肝臓・腎臓の損傷および疾患
CBDと炎症・大腸炎
CBDと自己免疫疾患v 1 型糖尿病 / 移植片対宿主病(GvHD)
実験的自己免疫性肝炎 / 実験的自己免疫性心筋炎
さまざまな自己免疫疾患
CBDと神経変性疾患
多発性硬化症(MS) / アルツハイマー病(AD)
パーキンソン病(PD) / ハンチントン病(HD
結論 CBDと神経変性疾患
CBDと皮膚疾患
市販されているCBD製品の規制上の懸念 / CBDの経皮投与
乾癬と湿疹 / 尋常性ざ瘡 / 紫外線からの防
メラノーマ(黒色腫) / 毛髪成長とCBD
結論 CBDと皮膚疾患
がん
CBDと乳がん / CBDとグリオーマ(神経膠腫)
CBDと白血病・リンパ腫 / CBDと肺がん
CBDと甲状腺がん / CBDと結腸がん
CBDと血管新生 / 細胞外小胞阻害剤としてのCBD
CBDとがんの臨床試験 / 結論 CBDとがん
結論
6 悪心、嘔吐、食欲
化学療法あるいは放射線治療による悪心と嘔吐
悪心と嘔吐におけるCBDと5-HTの関与─in vitro研究の結果
悪心と嘔吐におけるCBDと5-HTの関与─in vivo研究の結果
制吐作用 / 抗悪心作用
ヒトの悪心と嘔吐
悪心・嘔吐治療薬としてのナビキシモルス(THC+CBD)
悪心・嘔吐治療薬としてのCBD
CBD治療の副作用としての悪心・嘔吐
CBDによる食欲および体重の調節
in vitro研究 / 前臨床研究 / 臨床試験
カンナビノイド悪阻症候群(CHS)とCBDによる緩和の可能性
結論
7 痛みと炎症
CBDと疼痛─前臨床研究
CBDと急性痛モデル
CBDと、酢酸、ホルマリン、またはフェニルベンゾキノンが誘発する疼痛、
および急性炎症
CBDと神経障害性疼痛モデル
坐骨神経の慢性または部分的収縮損傷による神経障害性疼痛
化学療法誘発性の神経障害性疼痛
脊髄損傷による神経障害性疼痛
糖尿病性神経障害性疼痛 / CBDと術後痛
CBDと炎症性疼痛モデル
カラゲニン誘発炎症性疼痛 / 完全フロイントアジュバント誘発炎症性疼痛
変形性関節症モデル
CBDとその他の炎症性疾患の動物モデル
低酸素性虚血性脳損傷 / 消化管の炎症 / CBDと過敏性腸疾患患者
CBDと疼痛─臨床研究
ナビキシモルスと疼痛─臨床研究
多発性硬化症(MS) / がん性疼痛 / 神経障害性疼痛
関節炎 / 術後疼痛 / 線維筋痛症
結論
8 不安
CBDの抗不安作用─前臨床研究
ヒトの不安に対するCBDの効果
健常参加者に対する効果
結論
9 PTSD、うつ病、睡眠
CBDとPTSD
CBDとPTSD─前臨床研究 / CBDとPTSD─臨床研究 / CBDとPTSD─結論
CBDとうつ病
CBDとうつ病─前臨床研究 / CBDとうつ病─臨床研究 / CBDとうつ病─結論
CBDと睡眠>
CBDと睡眠─前臨床研究 / CBDと睡眠─臨床研究 / CBDと睡眠─結論
結論
10 精神症(サイコーシス)と統合失調症
前臨床研究
臨床研究
作用機序
結論
11 依存症
依存症の動物モデル
オピエート(麻薬)
ニコチン
アルコール
大麻
興奮誘発剤
結論
12 結論
FDAによって承認されたCBDの使用法─無作為化二重盲検臨床試験に基づくエビデンス
非常に限られた無作為化二重盲検比較試験に基づくエビデンス
前臨床in vivo動物モデルに基づくエビデンス
in vitro研究のみに基づくエビデンス
科学はここからどこに進むのか?
解説 日本における大麻取締法の改正を巡る動き
監訳者後書き
参考文献
索引
著者:
リンダ・パーカー(Linda A. Parker)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの名誉教授。
著書に『Cannabinoids and the Brain』(MIT Press)。
エリン・ロック(Erin M. Rock)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの博士研究員および非常勤教員。
ラファエル・ミシューラ(Raphael Mechoulam)
「大麻研究の父」と呼ばれ、ヘブライ大学のライオネル・ジェイコブソン医薬化学教授であり、
科学技術への顕著な貢献に対して2019年ハーベイ賞を受賞した。
訳者:
三木直子
監修及び本書の内容に関するお問い合わせ先
一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に医療従事者を中心に発足した非営利の学術団体。カンナビノイド医療および研究を通じて日本の医療・福祉に寄与することを目的としている。年2回の学術集会、E-ラーニングによる専門家育成(登録医/登録師)、研究支援等を行い、世界的に権威のある"Cannabis and Cannabinoid Research"(大麻&カンナビノイド研究)を公式ジャーナルとしている。カンナビノイド医療の普及、実践、研究に関心のある医師、歯科医師、薬剤師、看護師、大学や企業の研究者など医療従事者の入会を受け付けている。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/
巻頭の言葉
前書き
1 はじめに
米国における大麻および大麻由来製品の法的地位
カナダの大麻法(Cannabis Act)
2 化学的および薬理学的特徴
カンナビジオールの化学的性質
CBDの合成 / CBDの化学反応性
CBDの光化学反応 / (+)カンナビジオール
カンナビジオール酸 / カンナビジオールの誘導体
結論 CBDの化学的性質
カンナビジオールの薬理学的性質
CBDのバイオアベイラビリティ / CBDの代謝
CBDは体内でTHCに変換され得るか?
THC薬物検査に対するCBDの影響 / CBDの薬力学的性質
CBDの安全性および毒性 / CBDの依存性と乱用の可能性
結論 CBDの薬理学的性質
3 CBDとTHCの相互作用
薬力学的作用
薬物動態
CBDとTHCの相互作用について基礎研究から得られるエビデンス
ヒトにおけるCBDとTHCの相互作用
心拍数・血圧 / 主観的な酩酊作用 / 精神運動機能
睡眠 / 不安 / 認知機能
精神症(サイコーシス)
CBDとTHCの相互関係に関する研究の限界
ナビキシモルス(サティベックス)
結論
4 てんかん
CBDとてんかんの歴史的側面
CBDとてんかんに関する基礎研究
てんかんに対するCBDのヒトを対象とした臨床試験
難治性小児てんかん治療薬としてFDAが承認したCBD(エピディオレックス)の開発
結論
5 神経保護、組織保護、がん
酸化還元調節物質としてのCBD
CBDと免疫系
CBDとウイルス性疾患
CBDと脳虚血
CBDと心臓血管系疾患
CBDと肝臓・腎臓の損傷および疾患
CBDと炎症・大腸炎
CBDと自己免疫疾患v 1 型糖尿病 / 移植片対宿主病(GvHD)
実験的自己免疫性肝炎 / 実験的自己免疫性心筋炎
さまざまな自己免疫疾患
CBDと神経変性疾患
多発性硬化症(MS) / アルツハイマー病(AD)
パーキンソン病(PD) / ハンチントン病(HD
結論 CBDと神経変性疾患
CBDと皮膚疾患
市販されているCBD製品の規制上の懸念 / CBDの経皮投与
乾癬と湿疹 / 尋常性ざ瘡 / 紫外線からの防
メラノーマ(黒色腫) / 毛髪成長とCBD
結論 CBDと皮膚疾患
がん
CBDと乳がん / CBDとグリオーマ(神経膠腫)
CBDと白血病・リンパ腫 / CBDと肺がん
CBDと甲状腺がん / CBDと結腸がん
CBDと血管新生 / 細胞外小胞阻害剤としてのCBD
CBDとがんの臨床試験 / 結論 CBDとがん
結論
6 悪心、嘔吐、食欲
化学療法あるいは放射線治療による悪心と嘔吐
悪心と嘔吐におけるCBDと5-HTの関与─in vitro研究の結果
悪心と嘔吐におけるCBDと5-HTの関与─in vivo研究の結果
制吐作用 / 抗悪心作用
ヒトの悪心と嘔吐
悪心・嘔吐治療薬としてのナビキシモルス(THC+CBD)
悪心・嘔吐治療薬としてのCBD
CBD治療の副作用としての悪心・嘔吐
CBDによる食欲および体重の調節
in vitro研究 / 前臨床研究 / 臨床試験
カンナビノイド悪阻症候群(CHS)とCBDによる緩和の可能性
結論
7 痛みと炎症
CBDと疼痛─前臨床研究
CBDと急性痛モデル
CBDと、酢酸、ホルマリン、またはフェニルベンゾキノンが誘発する疼痛、
および急性炎症
CBDと神経障害性疼痛モデル
坐骨神経の慢性または部分的収縮損傷による神経障害性疼痛
化学療法誘発性の神経障害性疼痛
脊髄損傷による神経障害性疼痛
糖尿病性神経障害性疼痛 / CBDと術後痛
CBDと炎症性疼痛モデル
カラゲニン誘発炎症性疼痛 / 完全フロイントアジュバント誘発炎症性疼痛
変形性関節症モデル
CBDとその他の炎症性疾患の動物モデル
低酸素性虚血性脳損傷 / 消化管の炎症 / CBDと過敏性腸疾患患者
CBDと疼痛─臨床研究
ナビキシモルスと疼痛─臨床研究
多発性硬化症(MS) / がん性疼痛 / 神経障害性疼痛
関節炎 / 術後疼痛 / 線維筋痛症
結論
8 不安
CBDの抗不安作用─前臨床研究
ヒトの不安に対するCBDの効果
健常参加者に対する効果
結論
9 PTSD、うつ病、睡眠
CBDとPTSD
CBDとPTSD─前臨床研究 / CBDとPTSD─臨床研究 / CBDとPTSD─結論
CBDとうつ病
CBDとうつ病─前臨床研究 / CBDとうつ病─臨床研究 / CBDとうつ病─結論
CBDと睡眠>
CBDと睡眠─前臨床研究 / CBDと睡眠─臨床研究 / CBDと睡眠─結論
結論
10 精神症(サイコーシス)と統合失調症
前臨床研究
臨床研究
作用機序
結論
11 依存症
依存症の動物モデル
オピエート(麻薬)
ニコチン
アルコール
大麻
興奮誘発剤
結論
12 結論
FDAによって承認されたCBDの使用法─無作為化二重盲検臨床試験に基づくエビデンス
非常に限られた無作為化二重盲検比較試験に基づくエビデンス
前臨床in vivo動物モデルに基づくエビデンス
in vitro研究のみに基づくエビデンス
科学はここからどこに進むのか?
解説 日本における大麻取締法の改正を巡る動き
監訳者後書き
参考文献
索引
著者:
リンダ・パーカー(Linda A. Parker)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの名誉教授。
著書に『Cannabinoids and the Brain』(MIT Press)。
エリン・ロック(Erin M. Rock)
グエルフ大学の心理学および共同神経科学プログラムの博士研究員および非常勤教員。
ラファエル・ミシューラ(Raphael Mechoulam)
「大麻研究の父」と呼ばれ、ヘブライ大学のライオネル・ジェイコブソン医薬化学教授であり、
科学技術への顕著な貢献に対して2019年ハーベイ賞を受賞した。
訳者:
三木直子
監修及び本書の内容に関するお問い合わせ先
一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に医療従事者を中心に発足した非営利の学術団体。カンナビノイド医療および研究を通じて日本の医療・福祉に寄与することを目的としている。年2回の学術集会、E-ラーニングによる専門家育成(登録医/登録師)、研究支援等を行い、世界的に権威のある"Cannabis and Cannabinoid Research"(大麻&カンナビノイド研究)を公式ジャーナルとしている。カンナビノイド医療の普及、実践、研究に関心のある医師、歯科医師、薬剤師、看護師、大学や企業の研究者など医療従事者の入会を受け付けている。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/