株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の住宅設備機器市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
1. 市場概況
2022年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器+水まわり関連設備機器+創エネ関連設備機器)の市場規模は、前年度比7.7%増の1兆9,430億円と推計した。
内訳をみると、概ね、どの市場も前年度対比で伸長したが、その主な理由は、東南アジアをはじめとする設備機器の部品生産国における供給網(サプライチェーン)の正常化により部品不足が解消され、設備機器メーカーが減産分を挽回生産したことや、原材料費の高騰に伴い、製品価格へ転嫁したことが挙げられる。加えて、コロナ禍に伴う在宅時間の長期化を背景に住環境を見直す機運が高まったことで、比較的、高価格帯の住宅リフォーム需要が堅調に推移したことなども挙げられる。
1. 市場概況
2022年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器+水まわり関連設備機器+創エネ関連設備機器)の市場規模は、前年度比7.7%増の1兆9,430億円と推計した。
内訳をみると、概ね、どの市場も前年度対比で伸長したが、その主な理由は、東南アジアをはじめとする設備機器の部品生産国における供給網(サプライチェーン)の正常化により部品不足が解消され、設備機器メーカーが減産分を挽回生産したことや、原材料費の高騰に伴い、製品価格へ転嫁したことが挙げられる。加えて、コロナ禍に伴う在宅時間の長期化を背景に住環境を見直す機運が高まったことで、比較的、高価格帯の住宅リフォーム需要が堅調に推移したことなども挙げられる。
2.注目トピック~住宅設備機器市場のキーワードは「時短」と「カーボンニュートラル」
住宅設備機器市場を展望する上で、今後は「時短」と「カーボンニュートラル」がキーワードになると考える。
まず、時短については、共働き世帯の増加に伴う家事労働への負担軽減といった背景が挙げられる。共働き世帯の増加という社会的な構造変化を踏まえ、住宅設備機器メーカーは家事労働負荷の軽減に寄与する製品を積極的に投入している。
その一例として、食器洗い乾燥機が挙げられる。内閣府「消費動向調査」によると食器洗い乾燥機の二人以上の世帯における普及率は2023年3月時点で37.1%となり、集計を開始した2005年3月(21.6%)から15.5ポイント上昇している。今後についても、新築向けの装着率向上や買い替え需要の拡大などがプラス要因となり、食器洗い乾燥機は長期的な市場拡大が見込まれる。
次に、カーボンニュートラルについては、政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年10月)以降、その実現に向けた機運が急速に高まっているといった背景がある。2030年度以降の新築のZEH※義務化を背景に、電気の自家発電・自家消費が可能な太陽光発電システムや蓄電池システムの市場が伸長している。また、家庭からの二酸化炭素排出量の一定程度を占める給湯器については、ヒートポンプ給湯器や潜熱回収型給湯器といった高効率給湯器への代替が加速していくものと思われる。
※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:Net Zero Energy House)とは、断熱性能の向上等により大幅な省エネルギーを実現させた上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などにより、年間のエネルギー収支をゼロ以下にすることで、カーボンニュートラルの実現に寄与する住宅である。
3.将来展望
2023年度の主要住宅設備機器の市場規模は、前年度比0.6%減の1兆9,312億円と予測する。
水まわり設備機器市場は、新設住宅着工戸数の減少を見込むほか、これまでのコロナ禍を背景とした内向きの巣ごもり消費から、レジャーや旅行など外向きの消費へのシフトにより、コロナ禍で堅調であったリフォーム需要がある程度落ち着くことを想定し、前年度比2.3%減の1兆50億円と予測する。
水まわり関連設備機器市場は、供給網の正常化により、部品不足が解消された前年度における旺盛な需要は一旦落ち着くものの、値上げ効果の継続等から、同0.7%増とほぼ横ばいの5,546億円と予測する。
創エネ関連設備機器市場は、家庭用蓄電システムの好調な需要が牽引し、同2.3%増の3,716億円と予測する。昨今、電気代高騰を契機とした自家消費目的が顕著に増えていることも、市場成長の後押しになるものと思われる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3316
調査要綱
1.調査期間: 2023年5月~7月
2.調査対象: 住宅設備機器メーカー、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメール等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年7月27日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
住宅設備機器市場を展望する上で、今後は「時短」と「カーボンニュートラル」がキーワードになると考える。
まず、時短については、共働き世帯の増加に伴う家事労働への負担軽減といった背景が挙げられる。共働き世帯の増加という社会的な構造変化を踏まえ、住宅設備機器メーカーは家事労働負荷の軽減に寄与する製品を積極的に投入している。
その一例として、食器洗い乾燥機が挙げられる。内閣府「消費動向調査」によると食器洗い乾燥機の二人以上の世帯における普及率は2023年3月時点で37.1%となり、集計を開始した2005年3月(21.6%)から15.5ポイント上昇している。今後についても、新築向けの装着率向上や買い替え需要の拡大などがプラス要因となり、食器洗い乾燥機は長期的な市場拡大が見込まれる。
次に、カーボンニュートラルについては、政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」(2020年10月)以降、その実現に向けた機運が急速に高まっているといった背景がある。2030年度以降の新築のZEH※義務化を背景に、電気の自家発電・自家消費が可能な太陽光発電システムや蓄電池システムの市場が伸長している。また、家庭からの二酸化炭素排出量の一定程度を占める給湯器については、ヒートポンプ給湯器や潜熱回収型給湯器といった高効率給湯器への代替が加速していくものと思われる。
※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:Net Zero Energy House)とは、断熱性能の向上等により大幅な省エネルギーを実現させた上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などにより、年間のエネルギー収支をゼロ以下にすることで、カーボンニュートラルの実現に寄与する住宅である。
3.将来展望
2023年度の主要住宅設備機器の市場規模は、前年度比0.6%減の1兆9,312億円と予測する。
水まわり設備機器市場は、新設住宅着工戸数の減少を見込むほか、これまでのコロナ禍を背景とした内向きの巣ごもり消費から、レジャーや旅行など外向きの消費へのシフトにより、コロナ禍で堅調であったリフォーム需要がある程度落ち着くことを想定し、前年度比2.3%減の1兆50億円と予測する。
水まわり関連設備機器市場は、供給網の正常化により、部品不足が解消された前年度における旺盛な需要は一旦落ち着くものの、値上げ効果の継続等から、同0.7%増とほぼ横ばいの5,546億円と予測する。
創エネ関連設備機器市場は、家庭用蓄電システムの好調な需要が牽引し、同2.3%増の3,716億円と予測する。昨今、電気代高騰を契機とした自家消費目的が顕著に増えていることも、市場成長の後押しになるものと思われる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3316
調査要綱
1.調査期間: 2023年5月~7月
2.調査対象: 住宅設備機器メーカー、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメール等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年7月27日
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