特定非営利活動法人子宮頸がんを考える市民の会(理事長 渡部享宏)は今野良 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授と共に全国の自治体(市区町村)にアンケートを実施し、その結果を基にセミナーを開催する。
今回発表のもとになる本アンケートは、2022年度日本医療研究開発機構(AMED) 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 研究課題名 23fk0108650h0002 「既存ワクチンの有用性検証および今後の予防接種施策の向上に資する基礎的・臨床的・疫学的研究(研究代表者 菅秀 国立病院機構三重病院)」の「HPVワクチン導入後の子宮頸がん・頸部病変の発生に関するpopulation-based疫学研究(研究分担者 今野良 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授)」の一部として、特定非営利活動法人子宮頸がんを考える市民の会(理事長 渡部享宏)と共同して調査を実施した。
方法: 全国1,741自治体(市区町村)へ、アンケートを2023年2月24日より郵送
回答率:35.8% 624自治体
HPVワクチン不安に関する現場の困惑
2022年4月にHPVワクチン積極的推奨及びキャッチアップ世代への再勧奨がスタートした。その後の対応について、個別のアンケートを拝見すると全体的に自治体担当者が、HPVワクチンの意義や有効性への不信といった強い否定的意見はほとんどない一方、「副反応に対する不安や情報不足が根底にあり、様子を見ているといった曖昧な態度保留の傾向にある」「9価ワクチンの定期接種待ちという期待と先延ばし」などが分かった。最大の障壁であるHPVワクチンに関する漠然とした不安に対し、厚生労働省は、HPVワクチンに関する情報提供資材(リーフレット)を提供し、自治体では主に、これを使用している。
ただし、その記載に不備があり、国民が理解するには不十分だ、わかりにくいという指摘もある。とくに、接種率が増加しない背景には安全性に対する不安が多いにもかかわらず、その不安を払拭するような説得力のある説明が欠けているという感がある。
アンケートから読み解く全国自治体HPVワクチン担当者の本音をお伝えすると共に専門家より改善するための提言を行う
HPVワクチンの信用を取り戻すために
HPVワクチンの接種率の改善には、正確な情報を提供することが大切だ。医師などの専門家からのアドバイスも有効だ。学校や職場での接種促進活動や、自治体での啓発活動も効果的だ。さらに、接種場所を増やすことや、接種時間帯を拡大することも検討できる。HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、外陰部がんや肛門がんなども予防することができ、海外では中咽頭がんの予防も承認されている。以上のような方法を複合的に取り入れてキャンペーンをすることで、HPVワクチンの接種率を上げることができる。
HPVワクチンの接種率を上げるためには、国や自治体、都道府県、市区町村、保健所、医師、学校などが率先して啓発活動やキャンペーンを行うこと、さらには、マスコミとソーシャルメディアの活用が望ましいが、残念ながら、日本では他の国の状況に比べて、国や自治体によるキャンペーンが活発ではない。今後、官民一体となって国民の健康命を守るために信頼を取り戻す科学的なキャンペーンが必要だと考える。
実施概要
2023年4月25日(火)14:00~15:30@オンライン
zoomウェビナーを利用して行います
申込URL
https://peatix.com/event/3492010/
2023年4月24日(月)14時締め切り
参加費
無料
対象者
自治体の子宮頸がん担当者
地方議員
メディア・マスコミ
※一般の方を対象とした啓発イベントではございません。
※終了後、講師より質疑応答などメディア対応の時間を取ります。