■高精度精子結合抗体検査とは
不妊治療において非常に重要なことは時間です。タイミング法で何年も妊娠できない原因が、実は抗精子抗体だったということが良くあります。治療開始の段階から精子結合抗体の検査を行い、お互いに受精を阻害する要素が無いかを確認することで貴重な妊活期間をムダにするかもしれないリスクを減らせます。
本検査では、受精障害を起こすリスクの高い4つの結合抗体がご夫婦にないかどうかを中心に評価を行い、早急なステップアップの必要があるかどうかを医師からアドバイスします。
■ご夫婦の血清で調べる高精度の精子結合抗体検査
下図のように、卵管を泳ぎ昇った精子が腹腔内に侵入した際に、免疫細胞が精子を異物とみなして抗体を作り出すことがあります。これにより妻の血液(体液)中に夫精子の働きを抑制し、卵に受精する過程をさまたげる抗体が産生され、不妊の原因となることが知られておりました。これを抗精子抗体と呼びます。従来の抗精子抗体検査は、奥様の血清を検査会社に送付し、そこで提供された精液に血清を加えて、精子の運動を障害(精子不動化抗体※1)するか、そして精子に結合した抗体が精子同士を凝集(精子凝集抗体※2)させるかの2点を顕微鏡観察により評価しました。
※1精子不動化抗体:女性の体内に存在すると、子宮頸管部や子宮内で精子に抗体が付着し、精子の動きを止めてしまうため、自然妊娠や人工授精での妊娠が非常に難しくなる。
※2精子凝集抗体:女性の体内に存在すると、精子どうしが凝集し、運動を止めてしまう。
不妊治療において非常に重要なことは時間です。タイミング法で何年も妊娠できない原因が、実は抗精子抗体だったということが良くあります。治療開始の段階から精子結合抗体の検査を行い、お互いに受精を阻害する要素が無いかを確認することで貴重な妊活期間をムダにするかもしれないリスクを減らせます。
本検査では、受精障害を起こすリスクの高い4つの結合抗体がご夫婦にないかどうかを中心に評価を行い、早急なステップアップの必要があるかどうかを医師からアドバイスします。
■ご夫婦の血清で調べる高精度の精子結合抗体検査
下図のように、卵管を泳ぎ昇った精子が腹腔内に侵入した際に、免疫細胞が精子を異物とみなして抗体を作り出すことがあります。これにより妻の血液(体液)中に夫精子の働きを抑制し、卵に受精する過程をさまたげる抗体が産生され、不妊の原因となることが知られておりました。これを抗精子抗体と呼びます。従来の抗精子抗体検査は、奥様の血清を検査会社に送付し、そこで提供された精液に血清を加えて、精子の運動を障害(精子不動化抗体※1)するか、そして精子に結合した抗体が精子同士を凝集(精子凝集抗体※2)させるかの2点を顕微鏡観察により評価しました。
※1精子不動化抗体:女性の体内に存在すると、子宮頸管部や子宮内で精子に抗体が付着し、精子の動きを止めてしまうため、自然妊娠や人工授精での妊娠が非常に難しくなる。
※2精子凝集抗体:女性の体内に存在すると、精子どうしが凝集し、運動を止めてしまう。
私どもは、抗精子抗体検査の高精度化を目的として、新たに高精度精子結合抗体検査を開発しました。この検査は、実際の授精に用いる夫の選別精子を対象として、妻(夫)血中の免疫グロブリン※3(抗体)が精子のどの部位に結合するか、免疫2重染色法を用いて詳細に観察します。
※3免疫グロブリン:異物が体内に入った時に排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質です。この免疫グロブリンを奥様の血清から取り出して、ご主人の精子に悪い作用を及ぼすかどうかを調べます。
※3免疫グロブリン:異物が体内に入った時に排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質です。この免疫グロブリンを奥様の血清から取り出して、ご主人の精子に悪い作用を及ぼすかどうかを調べます。
■なぜ、抗精子抗体検査を高精度精子結合抗体検査に変更するのか
従来の抗精子抗体検査では、抗精子抗体が確認できる頻度(陽性頻度)は1%未満と非常に低く、他の精液、精子検査と比べて重要性は低いと考えられてきました。
まず私どもは、医学研究で汎用される免疫2重染色法による観察に切り替えました。この方法は、細胞(ここでは精子)に結合した血清中の免疫グロブリンを蛍光ラベルした抗免疫グロブリン抗体で標識します。これにより、精子のどの部位(抗原)に抗体が結合したか、詳細に観察できます。
源精液から良好精子を選別する目的は、射精を待つ間に細胞膜が損傷し、さらにDNAが断片化してしまい運動能を失った精子(劣化精子)と、細胞膜が正常であり、DNA非断片化(DNAが切れていない)運動精子を分離することです。後者を体外受精などの授精に用います。
免疫2重染色法を用いて、奥様の血清に対する夫の劣化精子と選別精子の抗原性を比較すると、選別精子では精子の様々な部位に抗体が結合し、精子結合抗体陽性率は2~3割に達するのに対し、劣化精子では細胞表面の抗原が脱落しており、抗体の結合率は極めて低いことがわかりました。また尾部に対して多量の抗体が結合(強陽性)しても、必ずしも運動が低下するわけではないこともわかりました。これらの基礎研究から、劣化精子が大半を占める精液を対象として、従来の方法で観察すると、ほとんどが陰性となってしまうことが明らかになりました。
従来の抗精子抗体検査では、抗精子抗体が確認できる頻度(陽性頻度)は1%未満と非常に低く、他の精液、精子検査と比べて重要性は低いと考えられてきました。
まず私どもは、医学研究で汎用される免疫2重染色法による観察に切り替えました。この方法は、細胞(ここでは精子)に結合した血清中の免疫グロブリンを蛍光ラベルした抗免疫グロブリン抗体で標識します。これにより、精子のどの部位(抗原)に抗体が結合したか、詳細に観察できます。
源精液から良好精子を選別する目的は、射精を待つ間に細胞膜が損傷し、さらにDNAが断片化してしまい運動能を失った精子(劣化精子)と、細胞膜が正常であり、DNA非断片化(DNAが切れていない)運動精子を分離することです。後者を体外受精などの授精に用います。
免疫2重染色法を用いて、奥様の血清に対する夫の劣化精子と選別精子の抗原性を比較すると、選別精子では精子の様々な部位に抗体が結合し、精子結合抗体陽性率は2~3割に達するのに対し、劣化精子では細胞表面の抗原が脱落しており、抗体の結合率は極めて低いことがわかりました。また尾部に対して多量の抗体が結合(強陽性)しても、必ずしも運動が低下するわけではないこともわかりました。これらの基礎研究から、劣化精子が大半を占める精液を対象として、従来の方法で観察すると、ほとんどが陰性となってしまうことが明らかになりました。
4つのポイント
■ポイント1■ 生殖補助医療において、実際に授精に用いる選別した精子を用いて検査します。
ご夫婦に抗精子抗体があり受精への過程が阻害されてしまうと、自然な妊娠や人工授精での妊娠も難しくなるため、生殖補助医療を開始する前に調べておきたい検査です。従来の抗精子抗体検査で陰性とされたご夫婦でも、高精度精子結合抗体検査で調べると、実は抗精子抗体が陽性であったケースがでてきます。
■ポイント2■ ご夫婦の免疫グロブリンで検査を行うことで、夫の選別精子に対する結合抗体の有無、さらに精子のどの部位に抗体が産生されたかわかります。
不妊検査では、実際の授精に用いる選別精子に対する抗体の結合部位を知りたいのであり、当院の高精度精子結合抗体検査では、精度向上を目指して、血清から免疫グロブリン(抗体)を精製して夫選別精子との結合を検査します。
■ポイント3■ ご主人本人に抗精子抗体(自己抗体)がないかも調べられます。
これまでは、妻血中の抗体のお話をしてきましたが、頻度は低いですが、夫血中に自分の精子に対する抗体が産生されることがあります。精巣や精巣上体等の炎症や陰部の外傷、パイプカット等の手術により、精子が精巣、精巣上体から体内に出てしまうと、免疫細胞が精子を異物と認識して抗体を作ってしまうことがあります。この場合ご主人に自己抗体がある場合は、顕微授精をお勧めすることになります。
■ポイント4■ 精子のどの部位に抗体が結合するかを特定できます。結合部位によってはより自然妊娠が困難となります。
これまでの抗精子抗体検査では、精子不動化抗体、精子凝集抗体陽性=受精障害とされてきました。高精度精子結合抗体検査では、免疫グロブリンが精子の様々な部位に結合することがわかりました。精子表面の抗原に抗体が結合することにより、受精に著しく影響がある、逆に影響がない、場合が考えられ、結合部位を特定し受精障害のリスクを評価することはとても重要になります。
当院では、従来法による精子不動化抗体、精子凝集抗体の検査を夫選別精子も併せて行います。この場合、夫選別精子に妻、夫の血清を加えて、精子の変化を顕微鏡観察します。
本検査では、(1)赤道部に凝集抗体がある場合(2)尾部に凝集抗体がある場合(3)精子不動化抗体がある場合(4)精子凝集抗体がある場合、の受精障害を起こすリスクの高い4つの結合抗体の有無を中心に評価を行い、早急なステップアップの必要があるかどうかを医師からアドバイスします。
生殖補助医療へのステップアップに抵抗があり、自然妊娠を目指したいご夫婦は、お互いに受精を阻害する要素が無いかを確認することをお勧めします。
■ポイント1■ 生殖補助医療において、実際に授精に用いる選別した精子を用いて検査します。
ご夫婦に抗精子抗体があり受精への過程が阻害されてしまうと、自然な妊娠や人工授精での妊娠も難しくなるため、生殖補助医療を開始する前に調べておきたい検査です。従来の抗精子抗体検査で陰性とされたご夫婦でも、高精度精子結合抗体検査で調べると、実は抗精子抗体が陽性であったケースがでてきます。
■ポイント2■ ご夫婦の免疫グロブリンで検査を行うことで、夫の選別精子に対する結合抗体の有無、さらに精子のどの部位に抗体が産生されたかわかります。
不妊検査では、実際の授精に用いる選別精子に対する抗体の結合部位を知りたいのであり、当院の高精度精子結合抗体検査では、精度向上を目指して、血清から免疫グロブリン(抗体)を精製して夫選別精子との結合を検査します。
■ポイント3■ ご主人本人に抗精子抗体(自己抗体)がないかも調べられます。
これまでは、妻血中の抗体のお話をしてきましたが、頻度は低いですが、夫血中に自分の精子に対する抗体が産生されることがあります。精巣や精巣上体等の炎症や陰部の外傷、パイプカット等の手術により、精子が精巣、精巣上体から体内に出てしまうと、免疫細胞が精子を異物と認識して抗体を作ってしまうことがあります。この場合ご主人に自己抗体がある場合は、顕微授精をお勧めすることになります。
■ポイント4■ 精子のどの部位に抗体が結合するかを特定できます。結合部位によってはより自然妊娠が困難となります。
これまでの抗精子抗体検査では、精子不動化抗体、精子凝集抗体陽性=受精障害とされてきました。高精度精子結合抗体検査では、免疫グロブリンが精子の様々な部位に結合することがわかりました。精子表面の抗原に抗体が結合することにより、受精に著しく影響がある、逆に影響がない、場合が考えられ、結合部位を特定し受精障害のリスクを評価することはとても重要になります。
当院では、従来法による精子不動化抗体、精子凝集抗体の検査を夫選別精子も併せて行います。この場合、夫選別精子に妻、夫の血清を加えて、精子の変化を顕微鏡観察します。
本検査では、(1)赤道部に凝集抗体がある場合(2)尾部に凝集抗体がある場合(3)精子不動化抗体がある場合(4)精子凝集抗体がある場合、の受精障害を起こすリスクの高い4つの結合抗体の有無を中心に評価を行い、早急なステップアップの必要があるかどうかを医師からアドバイスします。
生殖補助医療へのステップアップに抵抗があり、自然妊娠を目指したいご夫婦は、お互いに受精を阻害する要素が無いかを確認することをお勧めします。
■エス・セットクリニックについて
当院は、精子精密検査が受けられる国内初の男性不妊専門の不妊治療医院として、平成24年の開院以来、10000組を超えるご夫婦の男性不妊の相談や治療を実施してきました。日本国内には非常に少ない、男性不妊を専門に行う泌尿器科医師が在籍しており、男性不妊の精密検査から、男性不妊治療用に開発したサプリメント等による薬物治療や日帰り精索静脈瘤手術・MD-TESE・良好精子選別サービスまで、男性不妊治療を一施設で一貫してできる体制が整っています。
精子精密検査の有効性検証のための健常人(自然妊娠による挙児を得たご主人)向けの臨床研究も行っており、ボランティアを募集しています。
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■本リリースに関するお問い合せ先
エス・セットクリニック
お問い合わせはこちら
E-mail : info@sset-clinic.com
〒101-0033 東京都千代田区神田岩本町1-5清水ビル7階
TEL/ FAX:03-6262-0745
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当院は、精子精密検査が受けられる国内初の男性不妊専門の不妊治療医院として、平成24年の開院以来、10000組を超えるご夫婦の男性不妊の相談や治療を実施してきました。日本国内には非常に少ない、男性不妊を専門に行う泌尿器科医師が在籍しており、男性不妊の精密検査から、男性不妊治療用に開発したサプリメント等による薬物治療や日帰り精索静脈瘤手術・MD-TESE・良好精子選別サービスまで、男性不妊治療を一施設で一貫してできる体制が整っています。
精子精密検査の有効性検証のための健常人(自然妊娠による挙児を得たご主人)向けの臨床研究も行っており、ボランティアを募集しています。
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