資源・環境の生態系危機、情報化・デジタル化、そこでは囲い込みといえる「新たなエンクロージャー」が進行しています。そして、これに対抗するさまざまなコモンズ活動が、今、起きています。
コモンズ活動は、E.オストロムなどコモンズ研究者とD.ボリアーたちコモンズ活動家・ジャーナリストが協力し、横断的にネットワーク化しています。生態的コモンズ、都市的コモンズ、デジタルコモンズでの先端的な活動事例をできるだけ具体的に紹介、それらの相互関連を解読しています。
例えば、ラテン・アメリカを中心にした連帯経済と欧米を中心にしたフリーソフト・オープンソフト運動といった2つの代表的な活動の2008年以降の合流など、コモンズの動態を具体的に描き、出現しつつある「ポスト資本主義的ガバナンス」を読みとっています。
著者 山本 眞人
発行日 2022年8月6日
定価 本体2600円(税別)
発行所 BMFT出版部
本書の背景と意味
◆日本のコモンズ論に欠けた部分を埋める
近年、日本でも、環境危機を打開する社会改革の要として、コモンズへの関心が高まっています。しかし、先進的なコモンズ的活動についての具体的な理解が欠けているために、漠然とした期待に止まっていました。
本書では、こうした欠落部分を埋めるために、世界各地のコモンズ的活動のたくさんの事例を紹介するとともに、それらの相互関連を解読し、出現しつつあるボトム・アップ的な社会改革の具体的なモデルを読みとりました。
◆コモンズ活動の横断的ネットワーク
国内の議論で見落とされがちなのは、E.オストロムなどコモンズ研究者とD.ボリアーたちコモンズ活動家・ジャーナリストが協力しあって、世界中の各分野の先端的なコモンズ的活動を横断的にネットワーク化していることです。本書では、各分野の先端的な事例のうち重要なものについて資料を読み込み、できるだけ具体的に紹介しました。
◆「新たなエンクロージャー」と「コモンズの復権」の間の争い
そして、事例の相互関連の解読を通じて、1990年代以降の情報化・デジタル化と環境危機による歴史的転換のもとで起きている、「新たなエンクロージャー」と「コモンズの復権」の間のヘゲモニー争いを明らかにしました。
力強いコモンズ的活動のうち、ラテン・アメリカを中心にした連帯経済と欧米を中心にしたフリーソフト・オープンソフト運動といった2つの代表的な動きの連携が欠けていましたが、2008年リーマン・ショック以降、両方の流れが合流して、末端からのボトムアップ的な社会改革のモデルが生まれつつあります。
本書では、こうした動態を具体的に描き、「ポスト資本主義的ガバナンス」の萌芽を読みとっています。
◆デヴィッド・グレーバーの遺作の詳しい紹介
デヴィッド・グレーバー&デヴィッド・ヴェングロー”The Dawn of Everything--New History of Humanity(あらゆることの夜明け-人間性の新たな歴史)”の英語版が昨年、出版されました。この本は、『負債論』や『ブルシット・ジョブ』で話題になっているグレーバーの遺作です。
近年の考古学的研究の蓄積を踏まえて定説の「農業革命論(新石器革命論)」を批判し、人類史の夜明けの時代についての「歴史の新しい語り方」を提示した画期的な大作です。環境危機を打開するボトム・アップ的な社会改革の構想に、多くのヒントを与えてくれるという意味でも、とても重要な書です。
「コモンズ思考」についての私たちの探究と補完的な関係にあり、また、まだ日本語での紹介がほとんどされていないようなので、本書の補論として詳しい紹介を加えました。
著者紹介
山本 眞人(やまもと まひと)
(株)需要研究所代表取締役
地域文化フィールドワーカー
主な著書
石垣昭子との共著『西表島・紅露工房シンフォニー
―自然共生型暮らし・文化再生の先行モデル』地湧社
『宇宙卵を抱く---21世紀思考の可能性』BMFT出版部
『インターネット共創社会---野のネットワークに向けて』光芒社
◎ウェブサイト Mapping Commons Thinking
<https://kenji-world.net/commons/>
世界各地のコモンズ的活動の事例の紹介と、それらの相互関連の解読によって、日本でのコモンズについての議論に欠けている部分を埋めることは、本書でほぼ達成できたと思われます。
しかし、日本におけるコモンズ活動がよく見えてこないことが課題として残っています。そこで、本書について発信するウェブサイト Mapping Commons Thinking を作り、本書で提示したテーマについて交流を行うとともに、日本でのコモンズ的な活動の芽を見つけ出し、育み、横につなげていくためのコミュニケーションの場にしていきたいと考えています。
【本書お問い合わせ先】
株式会社BMFT(ビー・エム・エフティー)
http://www.bmft.co.jp/
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-4-7
グリーンパーク原宿101
電話 : 03-6447-1271
◆日本のコモンズ論に欠けた部分を埋める
近年、日本でも、環境危機を打開する社会改革の要として、コモンズへの関心が高まっています。しかし、先進的なコモンズ的活動についての具体的な理解が欠けているために、漠然とした期待に止まっていました。
本書では、こうした欠落部分を埋めるために、世界各地のコモンズ的活動のたくさんの事例を紹介するとともに、それらの相互関連を解読し、出現しつつあるボトム・アップ的な社会改革の具体的なモデルを読みとりました。
◆コモンズ活動の横断的ネットワーク
国内の議論で見落とされがちなのは、E.オストロムなどコモンズ研究者とD.ボリアーたちコモンズ活動家・ジャーナリストが協力しあって、世界中の各分野の先端的なコモンズ的活動を横断的にネットワーク化していることです。本書では、各分野の先端的な事例のうち重要なものについて資料を読み込み、できるだけ具体的に紹介しました。
◆「新たなエンクロージャー」と「コモンズの復権」の間の争い
そして、事例の相互関連の解読を通じて、1990年代以降の情報化・デジタル化と環境危機による歴史的転換のもとで起きている、「新たなエンクロージャー」と「コモンズの復権」の間のヘゲモニー争いを明らかにしました。
力強いコモンズ的活動のうち、ラテン・アメリカを中心にした連帯経済と欧米を中心にしたフリーソフト・オープンソフト運動といった2つの代表的な動きの連携が欠けていましたが、2008年リーマン・ショック以降、両方の流れが合流して、末端からのボトムアップ的な社会改革のモデルが生まれつつあります。
本書では、こうした動態を具体的に描き、「ポスト資本主義的ガバナンス」の萌芽を読みとっています。
◆デヴィッド・グレーバーの遺作の詳しい紹介
デヴィッド・グレーバー&デヴィッド・ヴェングロー”The Dawn of Everything--New History of Humanity(あらゆることの夜明け-人間性の新たな歴史)”の英語版が昨年、出版されました。この本は、『負債論』や『ブルシット・ジョブ』で話題になっているグレーバーの遺作です。
近年の考古学的研究の蓄積を踏まえて定説の「農業革命論(新石器革命論)」を批判し、人類史の夜明けの時代についての「歴史の新しい語り方」を提示した画期的な大作です。環境危機を打開するボトム・アップ的な社会改革の構想に、多くのヒントを与えてくれるという意味でも、とても重要な書です。
「コモンズ思考」についての私たちの探究と補完的な関係にあり、また、まだ日本語での紹介がほとんどされていないようなので、本書の補論として詳しい紹介を加えました。
著者紹介
山本 眞人(やまもと まひと)
(株)需要研究所代表取締役
地域文化フィールドワーカー
主な著書
石垣昭子との共著『西表島・紅露工房シンフォニー
―自然共生型暮らし・文化再生の先行モデル』地湧社
『宇宙卵を抱く---21世紀思考の可能性』BMFT出版部
『インターネット共創社会---野のネットワークに向けて』光芒社
◎ウェブサイト Mapping Commons Thinking
<https://kenji-world.net/commons/>
世界各地のコモンズ的活動の事例の紹介と、それらの相互関連の解読によって、日本でのコモンズについての議論に欠けている部分を埋めることは、本書でほぼ達成できたと思われます。
しかし、日本におけるコモンズ活動がよく見えてこないことが課題として残っています。そこで、本書について発信するウェブサイト Mapping Commons Thinking を作り、本書で提示したテーマについて交流を行うとともに、日本でのコモンズ的な活動の芽を見つけ出し、育み、横につなげていくためのコミュニケーションの場にしていきたいと考えています。
【本書お問い合わせ先】
株式会社BMFT(ビー・エム・エフティー)
http://www.bmft.co.jp/
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-4-7
グリーンパーク原宿101
電話 : 03-6447-1271