株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内外における代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにいたしました。
1.市場概況
2021年の代替タンパク質の世界市場規模(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク計)はメーカー出荷金額ベースで、4,861億300万円と推計する。
国連の世界人口推計(中位推計)によれば、地球上の人口は2020年に77.9億人に達している。2030年には約85億人へ増加し、2040年には約92億人、2050年には約97億人へと急激に増加する見通しである。
農林水産政策研究所「2030年における世界の食料需給見通し」によれば、2017~19年の需要と比較して、2030年の世界の食肉需要は増加傾向での推移が予測される。牛肉では約0.62億トンから約0.71億トンへ増加し(2017~19年比15.7%増)、豚肉では約1.11億トンから約1.28億トンへの増加(同14.9%増)、鶏肉では約1.00億トンから約1.21億トンへ(同21.6%増)増加することが見込まれる。
世界の人口増加に伴い、食肉需要は増加している。しかし、畜産由来の温室効果ガス排出や飼料・水資源の大量利用など、畜産業が地球環境に与える影響が背景となり、将来的に従来の動物由来の食肉のみで需要を満たすことが困難になる可能性が出てきている。こうしたなか、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉、動物細胞を培養して製造する培養肉が注目されている。加えて、水産物の持続可能な需給バランスの観点から、植物由来シーフードや培養シーフードなど、代替シーフードの研究開発が進んでいる。
2.注目トピック~植物由来肉市場の活発化~大手食肉企業・大手食品企業の進出~
アメリカでは、スタートアップ企業の成功から植物由来肉のブームが始まり、企業の市場参入が活発化した。ブームの背景には、食味の向上、健康志向、持続可能な食糧生産への配慮や関心の高さなどが挙げられる。これを受け、2019年頃からは大手食肉企業や大手食品企業も植物由来肉市場へ進出し、2021年も引き続きこうした動きが活発化している。
日本においても、植物由来肉では特に2019年から2020年にかけて新商品の発売が活発化し、食品大手企業・食肉大手企業の参入が相次いでいる。2021年も継続して新商品の発売や商品ラインナップ拡充が進んでおり、一般消費者向け商品として小売店での売場整備が進められているほか、外食チェーン等への業務用商品の導入が活況である。加工原料生産から食品加工、卸、小売や外食においても、植物由来肉への注目度が高まっていると考える。
3.将来展望
植物由来肉では、すでに一定規模の市場を持つアメリカ、ヨーロッパが今後も順調な伸びを見せると考える。加えて、中国などアジア圏では健康志向の高まりとともに、植物由来肉の技術も飛躍的に進歩しており、今後は伸長するとみる。日本では、小売店舗における商品展開や外食へのメニュー導入などが進むことで、消費者の認知度が高まるとともに、JAS規格化による導入促進、SNSを活用したマーケティングなどが追い風となり、需要が伸長する見通しである。
培養肉では、2020年12月にシンガポールで初の上市が行われた。スタートアップ企業を中心とした研究開発が、アメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、日本などで行われている。一方で、生産コストの高さが課題とされており、コスト低減に向けた生産技術開発や効率化について、継続的な取り組みが進むとみる。
こうしたなか、2025年の代替タンパク質の世界市場規模(植物由来肉・植物由来シーフード、培養肉・培養シーフード、昆虫タンパク計)はメーカー出荷金額ベースで、1兆1,919億6,400万円を予測する。その後も拡大基調で推移し、2030年には3兆3,113億8,900万円になるものと予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2931
調査要綱
1.調査期間: 2021年9月~2022年2月
2.調査対象: 代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)参入事業者、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年02月17日
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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1.市場概況
2021年の代替タンパク質の世界市場規模(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク計)はメーカー出荷金額ベースで、4,861億300万円と推計する。
国連の世界人口推計(中位推計)によれば、地球上の人口は2020年に77.9億人に達している。2030年には約85億人へ増加し、2040年には約92億人、2050年には約97億人へと急激に増加する見通しである。
農林水産政策研究所「2030年における世界の食料需給見通し」によれば、2017~19年の需要と比較して、2030年の世界の食肉需要は増加傾向での推移が予測される。牛肉では約0.62億トンから約0.71億トンへ増加し(2017~19年比15.7%増)、豚肉では約1.11億トンから約1.28億トンへの増加(同14.9%増)、鶏肉では約1.00億トンから約1.21億トンへ(同21.6%増)増加することが見込まれる。
世界の人口増加に伴い、食肉需要は増加している。しかし、畜産由来の温室効果ガス排出や飼料・水資源の大量利用など、畜産業が地球環境に与える影響が背景となり、将来的に従来の動物由来の食肉のみで需要を満たすことが困難になる可能性が出てきている。こうしたなか、豆類や野菜などを原材料とした植物由来肉、動物細胞を培養して製造する培養肉が注目されている。加えて、水産物の持続可能な需給バランスの観点から、植物由来シーフードや培養シーフードなど、代替シーフードの研究開発が進んでいる。
2.注目トピック~植物由来肉市場の活発化~大手食肉企業・大手食品企業の進出~
アメリカでは、スタートアップ企業の成功から植物由来肉のブームが始まり、企業の市場参入が活発化した。ブームの背景には、食味の向上、健康志向、持続可能な食糧生産への配慮や関心の高さなどが挙げられる。これを受け、2019年頃からは大手食肉企業や大手食品企業も植物由来肉市場へ進出し、2021年も引き続きこうした動きが活発化している。
日本においても、植物由来肉では特に2019年から2020年にかけて新商品の発売が活発化し、食品大手企業・食肉大手企業の参入が相次いでいる。2021年も継続して新商品の発売や商品ラインナップ拡充が進んでおり、一般消費者向け商品として小売店での売場整備が進められているほか、外食チェーン等への業務用商品の導入が活況である。加工原料生産から食品加工、卸、小売や外食においても、植物由来肉への注目度が高まっていると考える。
3.将来展望
植物由来肉では、すでに一定規模の市場を持つアメリカ、ヨーロッパが今後も順調な伸びを見せると考える。加えて、中国などアジア圏では健康志向の高まりとともに、植物由来肉の技術も飛躍的に進歩しており、今後は伸長するとみる。日本では、小売店舗における商品展開や外食へのメニュー導入などが進むことで、消費者の認知度が高まるとともに、JAS規格化による導入促進、SNSを活用したマーケティングなどが追い風となり、需要が伸長する見通しである。
培養肉では、2020年12月にシンガポールで初の上市が行われた。スタートアップ企業を中心とした研究開発が、アメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、日本などで行われている。一方で、生産コストの高さが課題とされており、コスト低減に向けた生産技術開発や効率化について、継続的な取り組みが進むとみる。
こうしたなか、2025年の代替タンパク質の世界市場規模(植物由来肉・植物由来シーフード、培養肉・培養シーフード、昆虫タンパク計)はメーカー出荷金額ベースで、1兆1,919億6,400万円を予測する。その後も拡大基調で推移し、2030年には3兆3,113億8,900万円になるものと予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2931
調査要綱
1.調査期間: 2021年9月~2022年2月
2.調査対象: 代替タンパク質(植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)参入事業者、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年02月17日
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