株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のベビー用品・関連サービス市場を調査し、ベビー用品、ベビー関連サービスの各分野別の市場動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにいたしました。
1.市場概況
2020年のベビー用品・関連サービスの市場規模は前年比1.0%増の4兆3,120億円と推計する。
当該市場は堅調な保育園市場に支えられプラス推移となった。尚、ベビー用品市場の中には、日本国内の出生数減少の影響で内需拡大が厳しい中、この数年はインバウンド(訪日外国人客)需要やEC経由での海外販売の増加によって市場拡大するケースも散見された。しかし、2020年は、2019年からの中国の電子商取引法施行による中国需要の減少、さらにはコロナ禍における外出向け商品の需要縮小によって、厳しい市場環境下にある。また、この数年において拡大基調にあった育児用ミルクやベビーフードも深刻な出生数の減少やコロナ禍での行動変容の影響による需要変動によって減少に転じている。
2.注目トピック~コロナ禍で需要変動が顕著に見られた商品のカテゴリー別動向
コロナ禍での影響については、乳幼児のいる子育て世帯の多くは外出を控えることとなり、外出時での利用がメインとなるベビーカーや抱っこ紐、ベビーシューズ等の需要減少が顕著に見られた。また近年、成長市場であったベビーフード市場においても、母親の在宅時間の増加に伴う調理時間の増加による手作りへのシフトや、外出機会の減少および外出時間の短縮によって外出時に使用する商品を中心に需要が減少し、当該市場は減少に転じている。
一方で、自宅で過ごす時間が増えたことで、知育玩具・乳幼児玩具の需要が伸長しており、親も自宅で過ごす時間が増えたことから、とくに親子で楽しめる玩具の需要が高まりをみせた。
3.将来展望
出生数減少の進行によって、ベビー用品・関連サービス市場の多くは長期的な漸減トレンドにあり、日本国内の需要拡大に期待が持てない状況にある中、昨今ではインバウンド需要や越境EC経由での外需の取り込みによって、ベビー用品市場の中には伸長に転じるケースも見られたが、2019年1月に施行された中国での電子商取引法の影響や、コロナ禍における訪日外国人旅行者数の大幅な減少によるインバウンド需要の減退によって、大きなマイナス影響が及んでいる。
ベビー用品市場が厳しい状況下にある中、ベビー関連ビジネス市場の拡大を牽引している保育園市場については引き続き拡大基調にあるものの、都市部においても定員を充足できない保育施設が散見されるなど、待機児童問題は解消に向かっており、保育園市場においても少子化の影響が顕在化している。こうした中、大手保育事業者の多くでは、保育施設数の拡大を重視するこれまでの施策から、保育士人材確保や処遇改善、教育体制の整備など、サービス内容の質を重視する方針転換の動きが見られる。そのため今後は保育施設の新規開設の減少が予測され、当該市場の拡大は鈍化していくものと見られる。
その一方で、保育施設には乳幼児が一定数存在することから、安定した需要を確保できるチャネルとして重要視するベビー関連事業者は年々増えており、これまでのBtoCビジネスのみならず、保育施設に向けたBtoBもしくはBtoBtoCサービスを強化する動きが顕著になっている。このように出生数減少・少子化の進行で厳しさが増している市場環境の中で、ベビー関連事業者における需要の確保や新たな需要先を開拓する動きはより一層活性化していく見通しである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2910
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~12月
2.調査対象: ベビー・マタニティ・子育て支援関連事業者各社
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年12月27日
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
1.市場概況
2020年のベビー用品・関連サービスの市場規模は前年比1.0%増の4兆3,120億円と推計する。
当該市場は堅調な保育園市場に支えられプラス推移となった。尚、ベビー用品市場の中には、日本国内の出生数減少の影響で内需拡大が厳しい中、この数年はインバウンド(訪日外国人客)需要やEC経由での海外販売の増加によって市場拡大するケースも散見された。しかし、2020年は、2019年からの中国の電子商取引法施行による中国需要の減少、さらにはコロナ禍における外出向け商品の需要縮小によって、厳しい市場環境下にある。また、この数年において拡大基調にあった育児用ミルクやベビーフードも深刻な出生数の減少やコロナ禍での行動変容の影響による需要変動によって減少に転じている。
2.注目トピック~コロナ禍で需要変動が顕著に見られた商品のカテゴリー別動向
コロナ禍での影響については、乳幼児のいる子育て世帯の多くは外出を控えることとなり、外出時での利用がメインとなるベビーカーや抱っこ紐、ベビーシューズ等の需要減少が顕著に見られた。また近年、成長市場であったベビーフード市場においても、母親の在宅時間の増加に伴う調理時間の増加による手作りへのシフトや、外出機会の減少および外出時間の短縮によって外出時に使用する商品を中心に需要が減少し、当該市場は減少に転じている。
一方で、自宅で過ごす時間が増えたことで、知育玩具・乳幼児玩具の需要が伸長しており、親も自宅で過ごす時間が増えたことから、とくに親子で楽しめる玩具の需要が高まりをみせた。
3.将来展望
出生数減少の進行によって、ベビー用品・関連サービス市場の多くは長期的な漸減トレンドにあり、日本国内の需要拡大に期待が持てない状況にある中、昨今ではインバウンド需要や越境EC経由での外需の取り込みによって、ベビー用品市場の中には伸長に転じるケースも見られたが、2019年1月に施行された中国での電子商取引法の影響や、コロナ禍における訪日外国人旅行者数の大幅な減少によるインバウンド需要の減退によって、大きなマイナス影響が及んでいる。
ベビー用品市場が厳しい状況下にある中、ベビー関連ビジネス市場の拡大を牽引している保育園市場については引き続き拡大基調にあるものの、都市部においても定員を充足できない保育施設が散見されるなど、待機児童問題は解消に向かっており、保育園市場においても少子化の影響が顕在化している。こうした中、大手保育事業者の多くでは、保育施設数の拡大を重視するこれまでの施策から、保育士人材確保や処遇改善、教育体制の整備など、サービス内容の質を重視する方針転換の動きが見られる。そのため今後は保育施設の新規開設の減少が予測され、当該市場の拡大は鈍化していくものと見られる。
その一方で、保育施設には乳幼児が一定数存在することから、安定した需要を確保できるチャネルとして重要視するベビー関連事業者は年々増えており、これまでのBtoCビジネスのみならず、保育施設に向けたBtoBもしくはBtoBtoCサービスを強化する動きが顕著になっている。このように出生数減少・少子化の進行で厳しさが増している市場環境の中で、ベビー関連事業者における需要の確保や新たな需要先を開拓する動きはより一層活性化していく見通しである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2910
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~12月
2.調査対象: ベビー・マタニティ・子育て支援関連事業者各社
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2021年12月27日
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