株式会社牧歌舎東京本部(東京都千代田区、代表取締役社長:竹林哲己、以下牧歌舎)は、 2021年12月に、石田隆一著『卵の予感・くるみ割り人形』を発売いたします。2021年12月より全国書店およびWEB書店にて発売。
『偽証: 模倣された若妻刺殺事件』(石田隆一)も同日発売されます。
<出版社より>
【卵の予感】
節度なく人を愛する季節の真っ只中にいる樋口利一は、彼には不似合いな手段で児童養護施設を逃げ出す途中、新興宗教の教祖の娘とバスで乗り合わせる。バスを終点で降りた直後、利一は交通事故に遭って病院に運び込まれ、そこで二人は再会する。 彼女は後継者としても自分の能力に自信を失い、健康な目の機能を喪失しようとしていたところだった。祖母は盲目で、母も極端な弱視だったから。 利一は必死になって諫めようとしたが、彼女はとうとう盲目になり、割れた体温計を残して姿を消した。 ほどなく不美人な妹の献身的な手引きのよって、二人は快楽に耽溺する密会を重ねる。密着した肌と肌との共謀したぬくもりに、ふと利一は欺瞞の匂いを嗅ぎつけた。 「あの交通事故は仕組まれたものではなかったか?」 彼女が他の男と逢っている現場に駆け付けた利一は、雨の中を自分に向かって疾駆する車に脅かされながら、事故の光景をまざまざと思い出した。そのとき間近に迫ったフロントガラスの向こうでじっと利一を見据えている運転手の顔は、まさに……。 やがて利一は教祖に見初められて七日間の修行にはいることになった。
【くるみ割り人形】
学年で一番の秀才の生徒が季節外れの学校のプールに溺死体で発見された。遺体が異様に肥って見えたのは腰に紐の結び目から長く伸ばされたロープと空気の詰まったチューブが巻き付いていたからだった。異様な状況から自殺とも虐待とも即断しかねた。身体を沈めるにはチューブの浮力に抵抗しなくてはならないという矛盾から、虐待と推測する意見に、担任教師は真っ向から反対した。「覚悟の自殺ですわ。チューブは自分の遺体を私たち教師に見せつけるためだったのです」 三日後の深夜に宿直員室とプールを結ぶ一直線上にボヤ騒ぎがあった。駆けつけた交番の巡査は濡れそぼった灰の底から分厚い封筒を発見した。「遺書だな」 当人はすでに死亡しているのだから、おそらく寸前に断念して埋めた遺書の上に、彼の悲痛な告発を白日の下にさらそうとした人物が焚火によって報せたものと考えられた。
■著者プロフィール
【訳者略歴】
氏名:石田隆一(いしだ・りゅういち)
石川県七尾市在住。 ハウステンボス株式会社執行役員、 株式会社加賀屋顧問を経て、 遺書を書くつもりで創作活動に入る。 著書 『怪物 腹が一つで背中が二つの』(鳥影社) 『夢の弾力』(鳥影社) 『偽証: 模倣された若妻刺殺事件』(牧歌舎) 『アルミニウムの湖』(近刊) 『犯行声明』(近刊)
■書籍データ
・書名:卵の予感・くるみ割り人形
・著者:石田隆一
・発行所:株式会社牧歌舎
・発売元:株式会社星雲社
・体裁:四六判ハードカバー
・総頁数:386頁
・定価:本体1600円+税
・ISBN:978-4434293948 C0093
『偽証: 模倣された若妻刺殺事件』(石田隆一)も同日発売されます。
<出版社より>
【卵の予感】
節度なく人を愛する季節の真っ只中にいる樋口利一は、彼には不似合いな手段で児童養護施設を逃げ出す途中、新興宗教の教祖の娘とバスで乗り合わせる。バスを終点で降りた直後、利一は交通事故に遭って病院に運び込まれ、そこで二人は再会する。 彼女は後継者としても自分の能力に自信を失い、健康な目の機能を喪失しようとしていたところだった。祖母は盲目で、母も極端な弱視だったから。 利一は必死になって諫めようとしたが、彼女はとうとう盲目になり、割れた体温計を残して姿を消した。 ほどなく不美人な妹の献身的な手引きのよって、二人は快楽に耽溺する密会を重ねる。密着した肌と肌との共謀したぬくもりに、ふと利一は欺瞞の匂いを嗅ぎつけた。 「あの交通事故は仕組まれたものではなかったか?」 彼女が他の男と逢っている現場に駆け付けた利一は、雨の中を自分に向かって疾駆する車に脅かされながら、事故の光景をまざまざと思い出した。そのとき間近に迫ったフロントガラスの向こうでじっと利一を見据えている運転手の顔は、まさに……。 やがて利一は教祖に見初められて七日間の修行にはいることになった。
【くるみ割り人形】
学年で一番の秀才の生徒が季節外れの学校のプールに溺死体で発見された。遺体が異様に肥って見えたのは腰に紐の結び目から長く伸ばされたロープと空気の詰まったチューブが巻き付いていたからだった。異様な状況から自殺とも虐待とも即断しかねた。身体を沈めるにはチューブの浮力に抵抗しなくてはならないという矛盾から、虐待と推測する意見に、担任教師は真っ向から反対した。「覚悟の自殺ですわ。チューブは自分の遺体を私たち教師に見せつけるためだったのです」 三日後の深夜に宿直員室とプールを結ぶ一直線上にボヤ騒ぎがあった。駆けつけた交番の巡査は濡れそぼった灰の底から分厚い封筒を発見した。「遺書だな」 当人はすでに死亡しているのだから、おそらく寸前に断念して埋めた遺書の上に、彼の悲痛な告発を白日の下にさらそうとした人物が焚火によって報せたものと考えられた。
■著者プロフィール
【訳者略歴】
氏名:石田隆一(いしだ・りゅういち)
石川県七尾市在住。 ハウステンボス株式会社執行役員、 株式会社加賀屋顧問を経て、 遺書を書くつもりで創作活動に入る。 著書 『怪物 腹が一つで背中が二つの』(鳥影社) 『夢の弾力』(鳥影社) 『偽証: 模倣された若妻刺殺事件』(牧歌舎) 『アルミニウムの湖』(近刊) 『犯行声明』(近刊)
■書籍データ
・書名:卵の予感・くるみ割り人形
・著者:石田隆一
・発行所:株式会社牧歌舎
・発売元:株式会社星雲社
・体裁:四六判ハードカバー
・総頁数:386頁
・定価:本体1600円+税
・ISBN:978-4434293948 C0093