非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、2021年10月20日、「第17回 東
京-北京フォーラム」の開催に先立ち、「第17回日中共同世論調査」の結果を公表いたしました。
世界は今、米中の対立や、コロナ感染や温暖化など、地球規模の危機への対応で、これまでにない困難に直面しています。こうした歴史的な局面で、日中両国の国民は相手国についてどのように感じているのか、そして米中対立や東アジアの将来について、どのように考えているのか。世界で唯一の世論調査から、中国の国民の意識が明らかになります。なお、今回の調査は、今年の8月中旬から9月上旬にかけて実施しました。
詳細な調査結果は、言論NPOウェブサイトで公開いたします。報道関係者の皆様には、この調査結果をぜひご報道いただきたく、お願い申し上げます。
中国国民の日本に対する意識がこの一年で急激に悪化、対日印象は8年ぶり、現状の日中関係に対しても5年ぶりに悪化に転じた
中国国民で日本に対する「良くない印象(どちらかと言えばを含む)」を持っている人が昨年の52.9%から66.1%と13.2ポイントも増加した。中国国民の日本に対する「印象」が悪化に転じるのは、尖閣諸島での対立が表面化した2013年以来、8年ぶりである。
また、中国人で「現在の日中関係」を「悪い」と考える人は、2016年以降、改善傾向にあったが、5年ぶりに悪化に転じ、昨年の22.6%から42.6%と20ポイントも増加し、「良い」と見る人は昨年の22.1%から半減し、10.6%となった。この悪化幅は、2013年の尖閣諸島ショック後の調査に次ぐものとなった。
冷え込んでいた日本国民の対中意識に改善はなく、中国へのマイナス印象は9割を越え、現状の日中関係を「良い」と思う人は2.6%に落ち込んだ。この結果、両国の国民意識は調査が始まった2005年ごろの水準に戻り始めている
日本国民では、中国に「良くない」という印象を持っている人は今年も改善傾向はなく、90.9%と9割を超えた。2013年の尖閣諸島の以降、高止まりしている。
現在の日中関係を「悪い」と考える日本人は昨年の悪化以降、改善しておらず今年も54.6%と半数を超えた。「良い」と考える日本人は2.6%に過ぎない。
この世論調査は2005年、日中関係が最も厳しい時に始まったが、今年の日中両国の相手国への意識は結果的に調査が始まった16年前に戻っている。
中国国民の対日意識の急激な悪化では、両国政府に「信頼関係ができていない」ことや、「一部政治家の不適切な言動」を理由にする人が増えている。
中国国民が現状の「日中関係の発展を妨げるもの」として選んだもので、昨年から最も回答が増えたのは、「中日両政府の間に政治的信頼関係がないこと」で、今年は29.3%だが、昨年から10.4ポイントも増加している。日本の印象を良くないとする理由では、「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」を挙げる人が77.5%と突出している。加えて、「一部の政治家の言動が不適切だから」で、今年は21%と昨年の12.3%から8.7ポイントも増加している。
今回の世論調査では、お互いの軍事的な脅威だけが議論され、国民間に不安がある中で政府間外交が動かず、さらにコロナ過で国民間の直接交流がないこと、また歴史認識問題が再び中国で話題になっていることも明らかになっています。
米中対立の影響下でも日中両国民に世界やアジア、経済での日中協力への期待は強い。また日本の立ち位置では日本国民の5割は米中の「どちらにもつかず世界の発展に努力すべき」。
世界経済の安定した発展と東アジアの平和を実現するために、日中両国はより強い新たな協力関係を構築すべきだと考えている中国人は、70.6%と7割を超え、日本人でも42.8%と最も多い回答となった。
さらに、日中両国やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについて、日本人の56.5%、中国人の76.2%が「賛成」している。
加えて、米中対立の影響が日中関係にも及ぶ中での、日中協力のあり方について、日本人の33.7%、中国人の37.9%が「米中対立の影響を最小限に管理し、日中間の協力を促進する」べきだと回答している。これに、「米中対立と無関係に日中の協力関係を発展させる」(日本人11.1%、中国人10.5%)を選んだ人を加えると、日本人の4割、中国人の半数近くが米中対立下でも日中協力を促進すべきだと考えている。
また、米中対立下の日本の立ち位置について、日本国民の55%が、日本は米中の「どちらにもつかず世界の協力発展に努力すべき」と考えている。
▼詳細な調査結果はこちらから
https://www.genron-npo.net/world/archives/11542.html
■「第17回日中共同世論調査」概要
日本側の世論調査は、日本の18歳以上の男女を対象に2021年8月21日から9月12日まで訪問留置回収法により実施された。有効回収標本数は1000。最終学歴は小中学校卒が5.2%、高校卒が48.4%、短大・高専卒が19.8%、大学卒が23.6%、大学院卒が1.8%、その他が1.0%。年齢は20歳未満が2.5%、20歳~29歳が11.8%、30歳~39歳が14.9%、40歳~49歳が17.3%、50歳~59歳が14.8%、60歳以上が38.7%。
中国側の世論調査は中国側の世論調査は北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州の10都市で18歳以上の男女を対象に同年8月25日から9月25日にかけて調査員による面接聴取法により実施された。有効回収標本は1547。回答者の性別は男性49.8%、女性50.2%。年齢は20歳未満が1.9%、20~29歳が22.3%、30~39歳が21.6%、40~49歳が26.8%、50~59歳が9.9%、60歳以上が17.5%。最終学歴は中学校以下が12.7%、高校・職業高校卒が25.3%、専門学校卒が28.2%、大学卒が31.9%、ダブルディグリーが0.2%、大学院卒が1.7%である。
【言論NPOとは】
言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして15年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25カ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
また、2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、会議での議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり出しました。
さらに、米中対立下で、米国と中国が出席する4カ国の「アジア平和会議」を2020年1月に創設し、歴史的な作業に着手しています。
【中国国際出版集団とは】
中国国際出版集団(China International Publishing Group,CIPG)は1949 年10 月に設立された。
中国で最も歴史が古く、最も規模が大きい専門的な外国向け出版発行機関で、60 年余りにわたり、多言語で国際社会に向けて中国の歴史や文明を紹介し、中国と世界の交流と理解、協力と友情を増進するために重要な役割を果たしてきた。
出版社7 社と雑誌社5 社、チャイナネット、中国国際図書貿易グループ、対外伝播研究センター、翻訳資格審査評議センター、デジタルメディアセンターなど計20 の組織を傘下に持つ。毎年40余りの言語で約5000 種の図書を刊行し、30 余りの言語の定期刊行物を180 以上の国・地域に届けている。
同時に30 余りの多言語ウェブサイトと100 近いソーシャルメディアのプラットフォームを運営し、対外的で国際的な多言語、マルチメディアの新しい事業枠組みを作り上げている。
京-北京フォーラム」の開催に先立ち、「第17回日中共同世論調査」の結果を公表いたしました。
世界は今、米中の対立や、コロナ感染や温暖化など、地球規模の危機への対応で、これまでにない困難に直面しています。こうした歴史的な局面で、日中両国の国民は相手国についてどのように感じているのか、そして米中対立や東アジアの将来について、どのように考えているのか。世界で唯一の世論調査から、中国の国民の意識が明らかになります。なお、今回の調査は、今年の8月中旬から9月上旬にかけて実施しました。
詳細な調査結果は、言論NPOウェブサイトで公開いたします。報道関係者の皆様には、この調査結果をぜひご報道いただきたく、お願い申し上げます。
中国国民の日本に対する意識がこの一年で急激に悪化、対日印象は8年ぶり、現状の日中関係に対しても5年ぶりに悪化に転じた
中国国民で日本に対する「良くない印象(どちらかと言えばを含む)」を持っている人が昨年の52.9%から66.1%と13.2ポイントも増加した。中国国民の日本に対する「印象」が悪化に転じるのは、尖閣諸島での対立が表面化した2013年以来、8年ぶりである。
また、中国人で「現在の日中関係」を「悪い」と考える人は、2016年以降、改善傾向にあったが、5年ぶりに悪化に転じ、昨年の22.6%から42.6%と20ポイントも増加し、「良い」と見る人は昨年の22.1%から半減し、10.6%となった。この悪化幅は、2013年の尖閣諸島ショック後の調査に次ぐものとなった。
冷え込んでいた日本国民の対中意識に改善はなく、中国へのマイナス印象は9割を越え、現状の日中関係を「良い」と思う人は2.6%に落ち込んだ。この結果、両国の国民意識は調査が始まった2005年ごろの水準に戻り始めている
日本国民では、中国に「良くない」という印象を持っている人は今年も改善傾向はなく、90.9%と9割を超えた。2013年の尖閣諸島の以降、高止まりしている。
現在の日中関係を「悪い」と考える日本人は昨年の悪化以降、改善しておらず今年も54.6%と半数を超えた。「良い」と考える日本人は2.6%に過ぎない。
この世論調査は2005年、日中関係が最も厳しい時に始まったが、今年の日中両国の相手国への意識は結果的に調査が始まった16年前に戻っている。
中国国民の対日意識の急激な悪化では、両国政府に「信頼関係ができていない」ことや、「一部政治家の不適切な言動」を理由にする人が増えている。
中国国民が現状の「日中関係の発展を妨げるもの」として選んだもので、昨年から最も回答が増えたのは、「中日両政府の間に政治的信頼関係がないこと」で、今年は29.3%だが、昨年から10.4ポイントも増加している。日本の印象を良くないとする理由では、「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」を挙げる人が77.5%と突出している。加えて、「一部の政治家の言動が不適切だから」で、今年は21%と昨年の12.3%から8.7ポイントも増加している。
今回の世論調査では、お互いの軍事的な脅威だけが議論され、国民間に不安がある中で政府間外交が動かず、さらにコロナ過で国民間の直接交流がないこと、また歴史認識問題が再び中国で話題になっていることも明らかになっています。
米中対立の影響下でも日中両国民に世界やアジア、経済での日中協力への期待は強い。また日本の立ち位置では日本国民の5割は米中の「どちらにもつかず世界の発展に努力すべき」。
世界経済の安定した発展と東アジアの平和を実現するために、日中両国はより強い新たな協力関係を構築すべきだと考えている中国人は、70.6%と7割を超え、日本人でも42.8%と最も多い回答となった。
さらに、日中両国やアジア地域に存在する課題の解決に向けて、日中両国が協力を進めることについて、日本人の56.5%、中国人の76.2%が「賛成」している。
加えて、米中対立の影響が日中関係にも及ぶ中での、日中協力のあり方について、日本人の33.7%、中国人の37.9%が「米中対立の影響を最小限に管理し、日中間の協力を促進する」べきだと回答している。これに、「米中対立と無関係に日中の協力関係を発展させる」(日本人11.1%、中国人10.5%)を選んだ人を加えると、日本人の4割、中国人の半数近くが米中対立下でも日中協力を促進すべきだと考えている。
また、米中対立下の日本の立ち位置について、日本国民の55%が、日本は米中の「どちらにもつかず世界の協力発展に努力すべき」と考えている。
▼詳細な調査結果はこちらから
https://www.genron-npo.net/world/archives/11542.html
■「第17回日中共同世論調査」概要
日本側の世論調査は、日本の18歳以上の男女を対象に2021年8月21日から9月12日まで訪問留置回収法により実施された。有効回収標本数は1000。最終学歴は小中学校卒が5.2%、高校卒が48.4%、短大・高専卒が19.8%、大学卒が23.6%、大学院卒が1.8%、その他が1.0%。年齢は20歳未満が2.5%、20歳~29歳が11.8%、30歳~39歳が14.9%、40歳~49歳が17.3%、50歳~59歳が14.8%、60歳以上が38.7%。
中国側の世論調査は中国側の世論調査は北京・上海・広州・成都・瀋陽・武漢・南京・西安・青島・鄭州の10都市で18歳以上の男女を対象に同年8月25日から9月25日にかけて調査員による面接聴取法により実施された。有効回収標本は1547。回答者の性別は男性49.8%、女性50.2%。年齢は20歳未満が1.9%、20~29歳が22.3%、30~39歳が21.6%、40~49歳が26.8%、50~59歳が9.9%、60歳以上が17.5%。最終学歴は中学校以下が12.7%、高校・職業高校卒が25.3%、専門学校卒が28.2%、大学卒が31.9%、ダブルディグリーが0.2%、大学院卒が1.7%である。
【言論NPOとは】
言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして15年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25カ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
また、2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、会議での議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり出しました。
さらに、米中対立下で、米国と中国が出席する4カ国の「アジア平和会議」を2020年1月に創設し、歴史的な作業に着手しています。
【中国国際出版集団とは】
中国国際出版集団(China International Publishing Group,CIPG)は1949 年10 月に設立された。
中国で最も歴史が古く、最も規模が大きい専門的な外国向け出版発行機関で、60 年余りにわたり、多言語で国際社会に向けて中国の歴史や文明を紹介し、中国と世界の交流と理解、協力と友情を増進するために重要な役割を果たしてきた。
出版社7 社と雑誌社5 社、チャイナネット、中国国際図書貿易グループ、対外伝播研究センター、翻訳資格審査評議センター、デジタルメディアセンターなど計20 の組織を傘下に持つ。毎年40余りの言語で約5000 種の図書を刊行し、30 余りの言語の定期刊行物を180 以上の国・地域に届けている。
同時に30 余りの多言語ウェブサイトと100 近いソーシャルメディアのプラットフォームを運営し、対外的で国際的な多言語、マルチメディアの新しい事業枠組みを作り上げている。