2021年8月26日、スイス、タルウィル - スイスのu-blox AG(日本法人:ユーブロックスジャパン株式会社、東京港区、代表入山鋭士)は、先ごろ米国FCC(Federal Communication Commission:連邦通信委員会)がこれまで保護されていたLバンドの一部を地上通信に使用することを認可したことによる、GPSなどの全地球測位システム(GNSS)、ひいては米国の大規模な顧客基盤に及ぼす悪影響について提言をしました。
FCCの決定以前、米国の衛星通信会社Ligado社に付与されていたライセンスは、衛星通信端末での使用に限定されていました。この端末は、衛星に向けて指向性のある電波を送信し、微弱な衛星信号を受信するものです。
今回のFCCの認可により、Ligado社はGNSSレシーバーに非常に近いこれらの周波数を自由に使用して、セル・タワーからのダウンリンク信号とユーザー機器からのアップリンク信号を送信できるようになります。これらの信号は、近傍のGNSSレシーバーが受信する信号と比較して、危険なほど高いレベルで送信されます。
これらの信号は、Ligado社の基地局または互換性のあるセルラー・ハンドセットの近くで動作している、あらゆる製造元のGNSSレシーバーの動作に障害を発生させる恐れがあります。これに起因する干渉に対するu-blox GNSSレシーバーの感受性についての内部調査では、送信によって近傍のGNSSレシーバーの動作に障害が発生することが確認されました。アプリケーション・ノートに概説されているユーブロックスの調査結果は、送信を行っているLigado社製ハンドセットの近くにある場合、およびLigado社の基地局から(認可されている基地局間の距離よりも長い)1km以内の場所にある場合、GNSSレシーバーの性能が低下することを示しています。
ユーブロックスではこれらの障害を軽減するための推奨事項を策定しましたが、数百万台に及ぶ導入済みの製品にこれらを実施するには、相当なコストとお客様の不都合が伴い、GNSSレシーバーの性能にもある程度影響することは避けられません。同じことは他社製造のレシーバーにも該当します。
ユーブロックスはFCCのテスト基準に異議
FCCの決定は、GNSSレシーバーの動作に有害であると想定される干渉レベルの測定に基づいて正当化されました。ユーブロックスは、この分野の豊富な専門知識に基づき、このテストに採用された基準に対して異議を唱えています。他のGNSSプロバイダー各社や技術専門家がすでに指摘しているように、GNSSレシーバーで測定される搬送波対雑音比を1dB低下させるレベルの干渉を「有害な干渉」とすることが、一般的に認められている唯一の基準です。
この1dB基準の正当性は極めて単純です。GNSS信号は、バックグラウンド・ノイズのレベルをはるかに下回っています。搬送波対雑音比が低いほど、多くの側面で性能が低下します。十分な性能を得るために、レシーバーは有限のリンク・マージンで動作しますが、搬送波対雑音比の低下は性能に影響を与えるこのリンク・マージンの低下を表します。1dBという基準は、容易に測定できる搬送波対雑音比の最小の変化を表します。
米国の顧客基盤を守る
ユーブロックスが製造するGNSSレシーバー・チップ/モジュールは、数千に上る製造元の機器に組み込まれ、米国で非常に多くのアプリケーションに使用されています。これらのアプリケーションには、車両ナビゲーション、自動運転支援、ドローン・ナビゲーション、車両追跡、資産追跡、ウェアラブル・アプリケーション、機械制御、基地局同期などがあります。これらのアプリケーション分野全体で、全米に配備されている何百万台ものデバイスに、複数の世代のu-blox GNSSレシーバーが使用されています。
何十年もの間、ユーブロックスのお客様は、近傍の周波数帯域に高出力信号がないことに基づいて予想されるレベルのGNSS干渉を処理する製品の設計を行ってきました。現在、FCCは一挙にその帯域の保護を廃止し、数千万のGNSSレシーバー・アプリケーションを危険にさらしています。
自動運転と5Gにとって不要な障害
ユーブロックスは、今回の決定の影響を受ける将来のアプリケーション向けの製品開発にも深く関わっています。一例は自動運転車とトラックです。これらのシステムはさまざまなセンサーを使用しますが、ほとんどの自動車メーカーが高度な自律性に不可欠であると認識している絶対位置情報のソースとして利用できるのはGNSSのみです。このアプリケーションは安全性重視であるため、高整合性GNSSレシーバーが必要ですが、ユーブロックスはこのようなソリューションの開発と展開に関与しています。
GNSSの周波数に近い周波数に強い信号が存在すると、高整合性GNSSレシーバーの整合性の性能が低下します。整合性の低下に対処するために、自動車メーカーはGPS発祥の地である米国で自動運転車の普及を遅らせることを余儀なくされます。
さらに、今回のFCCの決定が5G推進の支援を意図したものであるにもかかわらず、5G展開への影響があるという点も逆説的です。パブリック5Gセルラー・ネットワークでは、4Gネットワークよりも多くの基地局が必要になります。都市部や屋内では、これらの基地局の同期を維持するためにGNSSレシーバーが必要になります。しかし、これらのGNSSレシーバーはほとんどのGNSSレシーバーよりも少数かつ微弱な信号に依存するため、GNSSの周波数に近い周波数の強力なセルラー信号からの干渉によって、信頼性と精度がさらに低下します。
上記の理由により、ユーブロックスは、FCCがGNSSの周波数に近い周波数に対して規定していた保護を元に戻し、どのような状況においてもこれらの周波数が地上ワイヤレス通信に使用されないようにすることを強く提言します。
ユーブロックスについて
スイスのユーブロックス社(SIX:UBXN)は、民生、産業および自動車市場向けにワイヤレスと測位用半導体を提供するグローバルリーダーです。ユーブロックスのソリューションにより、人、自動車や機械等がそれぞれの位置を正確に決定し、さらにセルラーおよび近距離ネットワークでワイヤレス通信を行うことができます。ユーブロックスはチップ、モジュール、ソフトウェアの各ソリューションを多種用意して独自の地位を占め、OEMメーカーの皆様がIoTの革新的なソリューションを迅速かつ廉価に開発するためのお手伝いをしています。ユーブロックスはスイスのタルウィルに本社を置き、世界の各地、特に欧州、アジア、米国に多くのオフィスを構えています。詳細については www.u-blox.com/ja/ をご覧ください。
最新情報は、Facebook、LinkedIn、Twitter @ublox、YouTubeでもご覧いただけます。
<お問い合わせ先>
ユーブロックスジャパン株式会社
〒107-0052東京都港区赤坂4-8-6赤坂余湖ビル6階
Application Marketing, Automotive
仲 哲周
電話:090-1263-9796
e-mail: tesshu.naka@u-blox.com
*記載されている会社名および製品名は、一般に各社の商標または登録商標です。
FCCの決定以前、米国の衛星通信会社Ligado社に付与されていたライセンスは、衛星通信端末での使用に限定されていました。この端末は、衛星に向けて指向性のある電波を送信し、微弱な衛星信号を受信するものです。
今回のFCCの認可により、Ligado社はGNSSレシーバーに非常に近いこれらの周波数を自由に使用して、セル・タワーからのダウンリンク信号とユーザー機器からのアップリンク信号を送信できるようになります。これらの信号は、近傍のGNSSレシーバーが受信する信号と比較して、危険なほど高いレベルで送信されます。
これらの信号は、Ligado社の基地局または互換性のあるセルラー・ハンドセットの近くで動作している、あらゆる製造元のGNSSレシーバーの動作に障害を発生させる恐れがあります。これに起因する干渉に対するu-blox GNSSレシーバーの感受性についての内部調査では、送信によって近傍のGNSSレシーバーの動作に障害が発生することが確認されました。アプリケーション・ノートに概説されているユーブロックスの調査結果は、送信を行っているLigado社製ハンドセットの近くにある場合、およびLigado社の基地局から(認可されている基地局間の距離よりも長い)1km以内の場所にある場合、GNSSレシーバーの性能が低下することを示しています。
ユーブロックスではこれらの障害を軽減するための推奨事項を策定しましたが、数百万台に及ぶ導入済みの製品にこれらを実施するには、相当なコストとお客様の不都合が伴い、GNSSレシーバーの性能にもある程度影響することは避けられません。同じことは他社製造のレシーバーにも該当します。
ユーブロックスはFCCのテスト基準に異議
FCCの決定は、GNSSレシーバーの動作に有害であると想定される干渉レベルの測定に基づいて正当化されました。ユーブロックスは、この分野の豊富な専門知識に基づき、このテストに採用された基準に対して異議を唱えています。他のGNSSプロバイダー各社や技術専門家がすでに指摘しているように、GNSSレシーバーで測定される搬送波対雑音比を1dB低下させるレベルの干渉を「有害な干渉」とすることが、一般的に認められている唯一の基準です。
この1dB基準の正当性は極めて単純です。GNSS信号は、バックグラウンド・ノイズのレベルをはるかに下回っています。搬送波対雑音比が低いほど、多くの側面で性能が低下します。十分な性能を得るために、レシーバーは有限のリンク・マージンで動作しますが、搬送波対雑音比の低下は性能に影響を与えるこのリンク・マージンの低下を表します。1dBという基準は、容易に測定できる搬送波対雑音比の最小の変化を表します。
米国の顧客基盤を守る
ユーブロックスが製造するGNSSレシーバー・チップ/モジュールは、数千に上る製造元の機器に組み込まれ、米国で非常に多くのアプリケーションに使用されています。これらのアプリケーションには、車両ナビゲーション、自動運転支援、ドローン・ナビゲーション、車両追跡、資産追跡、ウェアラブル・アプリケーション、機械制御、基地局同期などがあります。これらのアプリケーション分野全体で、全米に配備されている何百万台ものデバイスに、複数の世代のu-blox GNSSレシーバーが使用されています。
何十年もの間、ユーブロックスのお客様は、近傍の周波数帯域に高出力信号がないことに基づいて予想されるレベルのGNSS干渉を処理する製品の設計を行ってきました。現在、FCCは一挙にその帯域の保護を廃止し、数千万のGNSSレシーバー・アプリケーションを危険にさらしています。
自動運転と5Gにとって不要な障害
ユーブロックスは、今回の決定の影響を受ける将来のアプリケーション向けの製品開発にも深く関わっています。一例は自動運転車とトラックです。これらのシステムはさまざまなセンサーを使用しますが、ほとんどの自動車メーカーが高度な自律性に不可欠であると認識している絶対位置情報のソースとして利用できるのはGNSSのみです。このアプリケーションは安全性重視であるため、高整合性GNSSレシーバーが必要ですが、ユーブロックスはこのようなソリューションの開発と展開に関与しています。
GNSSの周波数に近い周波数に強い信号が存在すると、高整合性GNSSレシーバーの整合性の性能が低下します。整合性の低下に対処するために、自動車メーカーはGPS発祥の地である米国で自動運転車の普及を遅らせることを余儀なくされます。
さらに、今回のFCCの決定が5G推進の支援を意図したものであるにもかかわらず、5G展開への影響があるという点も逆説的です。パブリック5Gセルラー・ネットワークでは、4Gネットワークよりも多くの基地局が必要になります。都市部や屋内では、これらの基地局の同期を維持するためにGNSSレシーバーが必要になります。しかし、これらのGNSSレシーバーはほとんどのGNSSレシーバーよりも少数かつ微弱な信号に依存するため、GNSSの周波数に近い周波数の強力なセルラー信号からの干渉によって、信頼性と精度がさらに低下します。
上記の理由により、ユーブロックスは、FCCがGNSSの周波数に近い周波数に対して規定していた保護を元に戻し、どのような状況においてもこれらの周波数が地上ワイヤレス通信に使用されないようにすることを強く提言します。
ユーブロックスについて
スイスのユーブロックス社(SIX:UBXN)は、民生、産業および自動車市場向けにワイヤレスと測位用半導体を提供するグローバルリーダーです。ユーブロックスのソリューションにより、人、自動車や機械等がそれぞれの位置を正確に決定し、さらにセルラーおよび近距離ネットワークでワイヤレス通信を行うことができます。ユーブロックスはチップ、モジュール、ソフトウェアの各ソリューションを多種用意して独自の地位を占め、OEMメーカーの皆様がIoTの革新的なソリューションを迅速かつ廉価に開発するためのお手伝いをしています。ユーブロックスはスイスのタルウィルに本社を置き、世界の各地、特に欧州、アジア、米国に多くのオフィスを構えています。詳細については www.u-blox.com/ja/ をご覧ください。
最新情報は、Facebook、LinkedIn、Twitter @ublox、YouTubeでもご覧いただけます。
<お問い合わせ先>
ユーブロックスジャパン株式会社
〒107-0052東京都港区赤坂4-8-6赤坂余湖ビル6階
Application Marketing, Automotive
仲 哲周
電話:090-1263-9796
e-mail: tesshu.naka@u-blox.com
*記載されている会社名および製品名は、一般に各社の商標または登録商標です。