2021年03月09日 09:30

MCA、基地局市場の動向に関する調査結果を発表~約1.3兆円のモバイルキャリア投資が2020年度に1.6兆円へ拡大、基地局ベンダシェアでは北欧勢が過半占める~

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移動体通信・IT分野専門の調査会社である株式会社 MCA(http://www.mca.co.jp/)は、携帯電話基地局市場の調査を実施し、その結果を3月9日に発表しました。調査結果の要点は以下の通りです。

【ポイント】
◆キャリア各社の設備投資額の推移と予測
・楽天モバイルの投資本格化で2020年度の設備投資額は1.6兆円規模に
・ピークを過ぎた2022年度以降も1.4兆円規模で推移

◆5G基地局数と5G投資額の推移と予測
・2019年度は5G基地局数が約500局に拡大
・現在はFDD-LTEがメインとなるキャリア各社の基地局投資

◆基地局(無線機)ベンダシェア・動向
・北欧ベンダが過半数を占有、今後も隆盛続く
・アジアベンダは中国ベンダが失速、国内ベンダもシェア縮小続く

本調査結果については、調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2020年版」として、発刊しています。
https://www.mca.co.jp/itforecastreport/mobile-basestation-market-2020/



■調査結果抄録

◆キャリア各社の設備投資額の推移と予測

□楽天モバイルの投資本格化が全体投資を底上げ
2019年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5,728億円、KDDI(au)は3,534億円、ソフトバンクが3,050億円、楽天モバイルは1,871億円、UQコミュニケーションズ(UQC)が211億円、Wireless City Planning(WCP)は150億円の合計1兆4,544億円となった。KDDI(au)を除き、各社とも、2018年度よりも投資額は縮小しているが、楽天モバイルの大幅投資増の影響が大きい。
□2020年度に1.6兆円規模へ押し上げた楽天モバイルの大幅投資増
2020年度はNTTドコモが5,700億円、KDDI(au)は3,500億円、ソフトバンクが3,350億円、楽天モバイルは3,359億円、UQCが200億円、WCPは150億円の合計1兆6,259億円を見込む。キャリア各社による投資抑制が叫ばれていたが、楽天モバイルの参入により、全体投資額での抑制は底を打ったといえる。

□ピークを過ぎた2022年度以降も1.4兆円規模で推移
今後、キャリア各社は5G時代も現在の投資規模で推移し、NTTドコモが6,000億円未満、KDDI(au)はモバイル向けに3,000億円台半ばの投資が続き、ソフトバンクも移動通信向けに3,000億円台前半の投資が見込まれる。高騰している楽天モバイルの投資は4Gネットワークの全国展開が落ち着く2020年度がピークとみられ、2022年度以降は1,000億円規模で推移するものとみられる。なお、合計投資額としては、楽天モバイルの参入もあり、今後も1兆4,000億円を下回らない規模で推移していく見込みである。


◆5G基地局数と5G投資額の推移と予測

□2019年度は5G基地局数が約500局に拡大
2019年度における国内5G基地局数は470局と推定した。NTTドコモが240局、KDDI(au)は160局、ソフトバンクが70局、楽天モバイルは数局である。NTTドコモが公表している2019年度の500局には、スタジアムや商業施設などの屋内基地局数も含まれており、当該レポートの対象である屋外基地局数を抽出した。今後、大手3社は年間10,000局規模の5G新局数が続き、楽天モバイルは徐々に5G新局数が拡大していくものとみている。
□現在はFDD-LTEがメインとなるキャリア各社の基地局投資
現在、キャリア各社の設備投資はFDD-LTE向けが主流になっており、今後はKDDI(au)と楽天モバイルによる1.7GHz帯FDD-LTE向け投資が動き出す。一方、TDD-LTE向け投資は3.5GHz帯から3.4GHz帯にシフトし、NTTドコモとソフトバンクによる投資が拡大していく見込みである。5G投資に関しては、年間1,000億円の投資が続くNTTドコモ、投資が拡大していくKDDI(au)、年間700億円規模の投資が続くソフトバンクとなる。

◆基地局(無線機)ベンダシェア・動向

□今後も続く北欧ベンダの隆盛
国内無線機ベンダシェアの推移をみると、2019年度は北欧ベンダが過半数を占め、失速した中国ベンダのシェアを奪取した格好となった。一方、国内ベンダは下落幅が小さくなっているものの、シェア縮小に歯止めがかかっていない。今後も中国ベンダの回復が見込めないため、北欧ベンダの隆盛が続くものとみられ、国内ベンダはNTTドコモの基地局投資頼みの面がある。
□北欧ベンダが過半数を占有
エリクソン・ジャパンはKDDI(au)とソフトバンクで高シェアを獲得し、国内最大手の位置を維持している。2018年度はソフトバンク向けで華為技術日本に圧されていたが、ソフトバンクの方針転換により、メインベンダになった。一方、ノキアソリューションズ&ネットワークスはKDDI(au)とソフトバンクで低調であったが、NTTドコモでの堅調さと楽天モバイルへの参入により、大手に返り咲いている。現状、ノキアはKDDI(au)とソフトバンクでの低迷を、NTTドコモと楽天モバイルで補完する流れで、国内ベンダと同様に、NTTドコモの基地局投資拡大に期待がかかる。

□シェア縮小が続く国内ベンダ
NTTドコモの基地局投資抑制が続き、富士通と日本電気が大きな影響を受けた。NTTドコモのみに無線機を供給している富士通とNECは試練が続いている。NECはNTTドコモ以外に、楽天モバイルのSub6向けに無線機を供給しているが、2019年度における5G基地局展開は小規模にとどまった。今後、NTTドコモの基地局投資回復次第により、国内ベンダに勢いが戻る可能性もあり、国内ベンダの復活に注目が集まる。

□アジアベンダは中国ベンダが失速
ソフトバンクでの華為技術日本とZTEジャパン失速により、アジアベンダはサムスン電子ジャパンのみになった。サムスン電子ジャパンは引き続き、KDDI(au)とUQコミュニケーションズで堅調な動きをみせ、華為技術日本とZTEジャパンの抜けたアジアベンダで唯一、気を吐いている。華為技術日本とZTEジャパンは米中関係の煽りから国内5G市場への参入が困難な上、メインキャリアであったソフトバンクによる方針転換により、4G基地局でも採用が見送られ、現在のところ、打つ手がみえない状況にある。



■調査レポート
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2020年版」
~2019年度におけるセルラーキャリアのLTE-A/5Gインフラ戦略及び投資動向と周辺部材市場を多角的な視点から総合的に分析~
発行日:2021年2月
判型:PDFファイル(A4版190頁)
発行・販売:株式会社 MCA
頒価:220,000円(消費税込み)
販売方法:pdfファイルのダウンロード及びA4コピー刷り製本
申込方法:オンライン注文
https://www.mca.co.jp/itforecastreport/mobile-basestation-market-2020/

※記載内容(リンク先を含む)のサービスや表現の適法性について、ドリームニュースでは関知しておらず確認しておりません。

  • IT、通信、コンピュータ技術

会社概要

商号
株式会社MCA(カブシキカイシャ エムシーエイ)
代表者
天野 浩徳(アマノ ヒロノリ)
所在地
〒163-0649
東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル49F
TEL
03-5325-0222
業種
リサーチ
上場先
未上場
従業員数
10名未満
会社HP
http://www.mca.co.jp/

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