11月3日の米大統領選挙の投票日があと一週間に迫る中、非営利シンクタンク・言論NPOは、「アメリカ大統領選と米中新冷戦」と題して、米中両国の経済・通商分野、外交・安全保障分野の専門家の専門家7氏にインタビューを実施。二日連続で特別企画でお送りしています。
第1弾につづき、第2弾は安全保障編として、トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)上級部長を務めたティム・モリソン氏、アメリカ上院軍事委員会政策ディレクターを務めた、マーク・モンゴメリ氏、中国からは、政治協商会議常務委員の賈慶国氏、中国人民解放軍のシンクタンク・中国国際戦略研究基金会の張沱生氏の計4氏の専門家へのインタビューを行い、10月27日に公開しました。
第1弾につづき、第2弾は安全保障編として、トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)上級部長を務めたティム・モリソン氏、アメリカ上院軍事委員会政策ディレクターを務めた、マーク・モンゴメリ氏、中国からは、政治協商会議常務委員の賈慶国氏、中国人民解放軍のシンクタンク・中国国際戦略研究基金会の張沱生氏の計4氏の専門家へのインタビューを行い、10月27日に公開しました。
【第2弾】安全保障編「アジアで米中が軍事衝突するリスクはあるのか」
https://www.genron-npo.net/society/archives/9215.html
●主な内容●
米中対立は、今や貿易摩擦を越え、安全保障も含めた全面対決へとエスカレートしている。南シナ海では軍事的緊張が高まり、昨日はアメリカが再度台湾への武器売却を決定し、中国は猛反発している。米大統領選を目前に控え、米中の対立がより先鋭化する中、今回は、長年政府機関をはじめ軍事・安全保障政策に実際に関わってきた専門家4氏に現在の米中関係、そしてアジア地域での安全保障面でのリスクについて聞いた。
米中関係は『新冷戦』に極めて近い状況
「米中は『冷戦関係』に極めて近いところに来ている」-米中の専門家4氏が一致した点だ。そして、アジア太平洋地域での偶発的な事故が米中間の軍事衝突につながる危険性を厳しく指摘する。
中国の専門家は、米中は冷戦まで至っていないが、特に南シナ海や台湾海峡で偶発的な事故が軍事衝突につながる危険性に懸念を示した。
アメリカ側も同様に厳しい認識を示した。NSC上級部長を務めたティム・モリソン氏は、「中国は少なくとも2012年から西側に政治的、経済的な戦争を仕掛けている」と指摘する。同氏は、中国が米国やインドなどの周辺国、また香港・台湾への強硬的対応を挙げ、「中国は多くの問題を引き起こしており、どれも危険な段階へとエスカレートする可能性がある」と強調した。
南シナ海と台湾海峡での緊張をどう和らげるか
4氏の専門家のインタビューの中で、もう一つ全員が一致したことは南シナ海と台湾海峡で米中軍事衝突のリスクが高まっている点である。
中国の軍事専門家・張沱生氏は、南シナ海で米国が航行の自由作戦や偵察を常態化させていること、軍艦や飛行機が多数通過していること、周辺国の基地に米軍が寄港していることを挙げ、「これらは、中国側からすれば、アメリカによる軍事化そのものに見える」と主張した。また、台湾海峡での軍事衝突のリスクを強調。台湾独立派やアメリカの一部の勢力が中国を挑発すれば、中国が行動に出ざるを得ない状況になることを指摘。そうなれば不測の事態よりはるかに大きな衝突になると警告した。
これに対し、アメリカ側の専門家も台湾問題が最も困難な問題であると認識。ただ、アメリカ側の専門家は、米国の同盟関係を強化すること、また米国の同盟国が自国の国防に予算を投じ、責任を持つことで、中国の間違った行動をけん制できると話した。
中国専門家「日本は米中どちらの側にも付かないように」
中国の専門家・賈慶国氏、張沱生氏が強調するのは、「日本は米国、或いは中国どちらの側にも付くべきではない」という点である。賈慶国氏は、「日本がどちらかの側に付けば、どちらかを敵に回すことになり、日本の利益にならない」と話し、さらに「米中の懸け橋になるように心掛け、両国が対立するのではなく話し合いや交渉が行わるように努めるべきだ」と付け加えた。
https://www.genron-npo.net/society/archives/9215.html
●主な内容●
米中対立は、今や貿易摩擦を越え、安全保障も含めた全面対決へとエスカレートしている。南シナ海では軍事的緊張が高まり、昨日はアメリカが再度台湾への武器売却を決定し、中国は猛反発している。米大統領選を目前に控え、米中の対立がより先鋭化する中、今回は、長年政府機関をはじめ軍事・安全保障政策に実際に関わってきた専門家4氏に現在の米中関係、そしてアジア地域での安全保障面でのリスクについて聞いた。
米中関係は『新冷戦』に極めて近い状況
「米中は『冷戦関係』に極めて近いところに来ている」-米中の専門家4氏が一致した点だ。そして、アジア太平洋地域での偶発的な事故が米中間の軍事衝突につながる危険性を厳しく指摘する。
中国の専門家は、米中は冷戦まで至っていないが、特に南シナ海や台湾海峡で偶発的な事故が軍事衝突につながる危険性に懸念を示した。
アメリカ側も同様に厳しい認識を示した。NSC上級部長を務めたティム・モリソン氏は、「中国は少なくとも2012年から西側に政治的、経済的な戦争を仕掛けている」と指摘する。同氏は、中国が米国やインドなどの周辺国、また香港・台湾への強硬的対応を挙げ、「中国は多くの問題を引き起こしており、どれも危険な段階へとエスカレートする可能性がある」と強調した。
南シナ海と台湾海峡での緊張をどう和らげるか
4氏の専門家のインタビューの中で、もう一つ全員が一致したことは南シナ海と台湾海峡で米中軍事衝突のリスクが高まっている点である。
中国の軍事専門家・張沱生氏は、南シナ海で米国が航行の自由作戦や偵察を常態化させていること、軍艦や飛行機が多数通過していること、周辺国の基地に米軍が寄港していることを挙げ、「これらは、中国側からすれば、アメリカによる軍事化そのものに見える」と主張した。また、台湾海峡での軍事衝突のリスクを強調。台湾独立派やアメリカの一部の勢力が中国を挑発すれば、中国が行動に出ざるを得ない状況になることを指摘。そうなれば不測の事態よりはるかに大きな衝突になると警告した。
これに対し、アメリカ側の専門家も台湾問題が最も困難な問題であると認識。ただ、アメリカ側の専門家は、米国の同盟関係を強化すること、また米国の同盟国が自国の国防に予算を投じ、責任を持つことで、中国の間違った行動をけん制できると話した。
中国専門家「日本は米中どちらの側にも付かないように」
中国の専門家・賈慶国氏、張沱生氏が強調するのは、「日本は米国、或いは中国どちらの側にも付くべきではない」という点である。賈慶国氏は、「日本がどちらかの側に付けば、どちらかを敵に回すことになり、日本の利益にならない」と話し、さらに「米中の懸け橋になるように心掛け、両国が対立するのではなく話し合いや交渉が行わるように努めるべきだ」と付け加えた。