株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年の車載用リチウムイオン電池世界市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、車載用LiB生産の前提となる、世界のxEV生産台数推移・予測について公表する。
1.市場概要
2019年の世界xEV(次世代車)市場はメーカー生産数量ベースで前年比118.8%、682.1万台と推計した。内訳をみると、ハイブリッド車(以下、HEV)が428.7万台(同128.6%)、電気自動車(以下、EV)は195.8万台(同113.2%)、プラグインハイブリッド車(以下、PHEV)が57.6万台(同84.9%)であった。
欧州を中心にHEV(Mild HEV、Strong HEV)が高い伸びを示し、EVではTesla モデル3等を中心に中容量(パック容量40kWh~69kWh程度)EVが大きな成長を見せている。一方で、PHEV、低容量(パック容量5kWh~39kWh程度)EVは前年割れに転じている。特に中国では、Aセグメント領域の低容量EV、PHEV、そしてバスを中心とした商用EVを中心に拡大し、これまでxEV市場を牽引してきたが、補助金条件の変更等を背景に需要は伸び悩んでいる。 高容量(パック容量70Kwh以上)EVに関しては、同セグメントのメインプレーヤーであったTeslaが中容量領域であるモデル3へ軸足を移したこと、また各国で補助金の恩恵を受けていた高価格帯のEVの需要が減少したことが前年割れの主要因であると考える。
1.市場概要
2019年の世界xEV(次世代車)市場はメーカー生産数量ベースで前年比118.8%、682.1万台と推計した。内訳をみると、ハイブリッド車(以下、HEV)が428.7万台(同128.6%)、電気自動車(以下、EV)は195.8万台(同113.2%)、プラグインハイブリッド車(以下、PHEV)が57.6万台(同84.9%)であった。
欧州を中心にHEV(Mild HEV、Strong HEV)が高い伸びを示し、EVではTesla モデル3等を中心に中容量(パック容量40kWh~69kWh程度)EVが大きな成長を見せている。一方で、PHEV、低容量(パック容量5kWh~39kWh程度)EVは前年割れに転じている。特に中国では、Aセグメント領域の低容量EV、PHEV、そしてバスを中心とした商用EVを中心に拡大し、これまでxEV市場を牽引してきたが、補助金条件の変更等を背景に需要は伸び悩んでいる。 高容量(パック容量70Kwh以上)EVに関しては、同セグメントのメインプレーヤーであったTeslaが中容量領域であるモデル3へ軸足を移したこと、また各国で補助金の恩恵を受けていた高価格帯のEVの需要が減少したことが前年割れの主要因であると考える。
2.将来展望
xEV市場を取り巻く市場環境、特にコロナ禍によって産業全体が縮小した世界の自動車市場、また現時点での景気・経済対策等を考慮し、政策ベース予測と市場ベース予測の2つの成長予測を行った。
政策ベース予測では、世界的な環境規制強化の動きと、各国の普及政策、自動車メーカー(以下 OEM)各社の電動化シフトを背景に、2020年も欧州を中心にxEV市場が成長を維持するシナリオを読み込んでいる。
欧州ではドイツ、フランス等でPHEV、EVに対する補助金政策が2020年6月に発表されており、新型コロナウイルス感染拡大以降も成長継続が見られるEV市場を後押しする形となっている。2021年以降は環境規制クリアに向け、PHEV、EVで一定の成長が維持される見通しで、補助金条件や中国LiBメーカーによる新たなパック技術の発表状況等を含めて、中容量EVを中心に伸びると予測する。また、小容量EVに関してもVWが2023年に予定している小型EV「ID.1」の上市を踏まえ、一定規模での成長を実現すると予測する。MildHEV(以下、M-HEV)に関しては欧州OEMを中心に標準装備が今後進み、システム価格の下落、普及拡大が期待される。Strong HEV(以下、S-HEV)は2019年の実績、並びに欧州OEMや中国OEMで新規参入の動きが見られる点を含め、引き続き成長が続く可能性がある。上記を踏まえ、政策ベースでのxEV市場規模(メーカー生産数量ベース)は2025年で2,821万台、2030年には4,792万台になると予測する。
市場ベース予測では、使い勝手の良さや車両価格の求めやすさなどの消費者側のニーズを背景に、新型コロナウイルスの影響による経済の減退を受け、xEV市場も前年割れで推移するシナリオを読み込んでいる。2021年以降、xEV市場は回復に転ずると予測するが、自動車市場全体が縮小傾向にある中、OEM各社は内燃機関車(ICE)に比べ利幅が少ないPHEV、EVの展開が当初の想定よりも困難となり、また経済環境を考慮すると消費者側の需要拡大も、やはり当初の見込み程には至らないと予測する。一方、S-HEVに関してはガソリン価格下落の影響が懸念されるも、欧州OEMや中国OEMで新規参入の動きが見られる点を含め、今後も一定の成長が続く可能性があると予測する。また、M-HEVに関しては欧
州OEMを中心に標準装備が今後進み、台数規模では政策ベース予測を下回るも、上記のようにPHEV、EVの台数伸び悩みを受け、構成比率は高くなると予測する。上記を踏まえ、市場ベース予測でのxEV市場規模は2025年で1,206万台、2030年には2,030万台になると予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2491
調査要綱
1.調査期間: 2020年5月~7月
2.調査対象: 自動車メーカー(日本、欧州、中国、韓国)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2020年7月31日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
xEV市場を取り巻く市場環境、特にコロナ禍によって産業全体が縮小した世界の自動車市場、また現時点での景気・経済対策等を考慮し、政策ベース予測と市場ベース予測の2つの成長予測を行った。
政策ベース予測では、世界的な環境規制強化の動きと、各国の普及政策、自動車メーカー(以下 OEM)各社の電動化シフトを背景に、2020年も欧州を中心にxEV市場が成長を維持するシナリオを読み込んでいる。
欧州ではドイツ、フランス等でPHEV、EVに対する補助金政策が2020年6月に発表されており、新型コロナウイルス感染拡大以降も成長継続が見られるEV市場を後押しする形となっている。2021年以降は環境規制クリアに向け、PHEV、EVで一定の成長が維持される見通しで、補助金条件や中国LiBメーカーによる新たなパック技術の発表状況等を含めて、中容量EVを中心に伸びると予測する。また、小容量EVに関してもVWが2023年に予定している小型EV「ID.1」の上市を踏まえ、一定規模での成長を実現すると予測する。MildHEV(以下、M-HEV)に関しては欧州OEMを中心に標準装備が今後進み、システム価格の下落、普及拡大が期待される。Strong HEV(以下、S-HEV)は2019年の実績、並びに欧州OEMや中国OEMで新規参入の動きが見られる点を含め、引き続き成長が続く可能性がある。上記を踏まえ、政策ベースでのxEV市場規模(メーカー生産数量ベース)は2025年で2,821万台、2030年には4,792万台になると予測する。
市場ベース予測では、使い勝手の良さや車両価格の求めやすさなどの消費者側のニーズを背景に、新型コロナウイルスの影響による経済の減退を受け、xEV市場も前年割れで推移するシナリオを読み込んでいる。2021年以降、xEV市場は回復に転ずると予測するが、自動車市場全体が縮小傾向にある中、OEM各社は内燃機関車(ICE)に比べ利幅が少ないPHEV、EVの展開が当初の想定よりも困難となり、また経済環境を考慮すると消費者側の需要拡大も、やはり当初の見込み程には至らないと予測する。一方、S-HEVに関してはガソリン価格下落の影響が懸念されるも、欧州OEMや中国OEMで新規参入の動きが見られる点を含め、今後も一定の成長が続く可能性があると予測する。また、M-HEVに関しては欧
州OEMを中心に標準装備が今後進み、台数規模では政策ベース予測を下回るも、上記のようにPHEV、EVの台数伸び悩みを受け、構成比率は高くなると予測する。上記を踏まえ、市場ベース予測でのxEV市場規模は2025年で1,206万台、2030年には2,030万台になると予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2491
調査要綱
1.調査期間: 2020年5月~7月
2.調査対象: 自動車メーカー(日本、欧州、中国、韓国)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2020年7月31日
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