日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、厚生労働省の補助金事業による米国、カナダ、EU等の医療用大麻、産業用大麻、嗜好用大麻調査を本学会WEBページにて解説付きで今月10日に公表した。
この報告書は、2018年10月のカナダの嗜好用大麻の解禁の話題、2017年のヨーロッパの産業用大麻国際会議に視察したときの話題、アメリカの医療用大麻、嗜好用大麻、CBDの州規制の状況について調査結果を261ページにまとめたものです。
タイトル:危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する特別研究(2018年3月)
目次
I. 総括研究報告
危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究 ・・・・ 1
井村伸正(公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
II. 分担研究報告
1. 大麻の成分に関する文献調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
花尻瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部第 3 室)
2.欧州における産業用大麻の現状について ・・・・・・・・ 41
花尻瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部第 3 室)
3.カナダにおける医療用大麻の実態 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
鈴木 勉(星薬科大学薬学部)
資料1Cesamet セサメット(ナビロン)制吐作用を有する合成カンナビノイド製剤
資料2Sativex 大麻草由来THC/CBDを有する多発性硬化症痛み改善薬
資料3CanniMed 医療用乾燥大麻製品、医療用大麻オイル製品
資料4HerbShop
ペットのための大麻に、マリファナ&ブレックファスト、大麻に適した運動
資料5PhrPrac 大麻療法で患者をどのように手助けできるか
資料6カナダ政府HP 大麻の合法化および規制
資料7大麻法Q&A カナダ「大麻法」の導入: 関連する質問への回答
4.米国における大麻規制の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 161
舩田正彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
5.大麻関連成分の生体作用に関する文献調査・・・・・・・・・・・・・ 169
カンナビジオール(CBD)の生体に及ぼす影響について
舩田正彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
6.大麻の有害性と医療適用への可能性に関する調査研究 ・・・・・・・ 175
山本経之(長崎国際大学薬学部)
7. 薬物濫用防止のより効果的な普及啓発に関する社会薬学的研究 ・・・ 191
鈴木順子(北里大学薬学部薬学教育研究センター 社会薬学部門)
III. 参考資料
ドイツ連邦共和国 麻薬取引に関する法律 (黒澤睦 監訳)
引用:厚生労働省科学研究成果データベース
危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する特別研究(2018年3月)
平成29年度総括・分担研究報告書
厚生労働行政推進調査事業費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD02.do?resrchNum=201724019A
この報告書は、2018年10月のカナダの嗜好用大麻の解禁の話題、2017年のヨーロッパの産業用大麻国際会議に視察したときの話題、アメリカの医療用大麻、嗜好用大麻、CBDの州規制の状況について調査結果を261ページにまとめたものです。
タイトル:危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する特別研究(2018年3月)
目次
I. 総括研究報告
危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する研究 ・・・・ 1
井村伸正(公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
II. 分担研究報告
1. 大麻の成分に関する文献調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
花尻瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部第 3 室)
2.欧州における産業用大麻の現状について ・・・・・・・・ 41
花尻瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部第 3 室)
3.カナダにおける医療用大麻の実態 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
鈴木 勉(星薬科大学薬学部)
資料1Cesamet セサメット(ナビロン)制吐作用を有する合成カンナビノイド製剤
資料2Sativex 大麻草由来THC/CBDを有する多発性硬化症痛み改善薬
資料3CanniMed 医療用乾燥大麻製品、医療用大麻オイル製品
資料4HerbShop
ペットのための大麻に、マリファナ&ブレックファスト、大麻に適した運動
資料5PhrPrac 大麻療法で患者をどのように手助けできるか
資料6カナダ政府HP 大麻の合法化および規制
資料7大麻法Q&A カナダ「大麻法」の導入: 関連する質問への回答
4.米国における大麻規制の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 161
舩田正彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
5.大麻関連成分の生体作用に関する文献調査・・・・・・・・・・・・・ 169
カンナビジオール(CBD)の生体に及ぼす影響について
舩田正彦(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部)
6.大麻の有害性と医療適用への可能性に関する調査研究 ・・・・・・・ 175
山本経之(長崎国際大学薬学部)
7. 薬物濫用防止のより効果的な普及啓発に関する社会薬学的研究 ・・・ 191
鈴木順子(北里大学薬学部薬学教育研究センター 社会薬学部門)
III. 参考資料
ドイツ連邦共和国 麻薬取引に関する法律 (黒澤睦 監訳)
引用:厚生労働省科学研究成果データベース
危険ドラッグ等の濫用防止のより効果的な普及啓発に関する特別研究(2018年3月)
平成29年度総括・分担研究報告書
厚生労働行政推進調査事業費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD02.do?resrchNum=201724019A
この報告書では、今後の課題について下記のように指摘しています。
【今後の課題】
我が国においては大麻の医療目的使用は認められていない。海外の大麻規制状況の調査結果ら、大麻の医療目的の使用(「医療用大麻」の使用)及び「産業用大麻」の使用については規制の緩和・合法化の流れがあることは否めない。
しかし、これまでの大麻の生理活性についての国外での臨床医学的検討結果は直ちに我が国で「医療用大麻」の規制を緩和するための evidenceとしては十分とは考えにくく、更なるより規模の大きい精細な臨床疫学的研究が必要であることが分担研究者による海外調査や文献調査によっても指摘されている。
欧米各国の国民医療費の節減、関連産業の収益増、国家・自治体の大幅な税収増加などの社会経済的状況が大麻規制緩和の要因になっているように見受けられる。このような視点からの調査、解析が今後求められると考えている。
本学会WEBページ
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=104691
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2019年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法 Cannabis Control Act
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2016年の時点で、全国作付面積7.9ha、大麻栽培者34名、大麻研究者400名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。
【今後の課題】
我が国においては大麻の医療目的使用は認められていない。海外の大麻規制状況の調査結果ら、大麻の医療目的の使用(「医療用大麻」の使用)及び「産業用大麻」の使用については規制の緩和・合法化の流れがあることは否めない。
しかし、これまでの大麻の生理活性についての国外での臨床医学的検討結果は直ちに我が国で「医療用大麻」の規制を緩和するための evidenceとしては十分とは考えにくく、更なるより規模の大きい精細な臨床疫学的研究が必要であることが分担研究者による海外調査や文献調査によっても指摘されている。
欧米各国の国民医療費の節減、関連産業の収益増、国家・自治体の大幅な税収増加などの社会経済的状況が大麻規制緩和の要因になっているように見受けられる。このような視点からの調査、解析が今後求められると考えている。
本学会WEBページ
http://cannabis.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=104691
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2019年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。http://cannabis.kenkyuukai.jp/
日本の大麻取締法 Cannabis Control Act
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2016年の時点で、全国作付面積7.9ha、大麻栽培者34名、大麻研究者400名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままである。