6月は「歯と口腔の健康づくり普及月間」です。近年、親子が一緒に歯の健康を学ぶイベントが全国各地で開催されていますが、今年はさらに大人たちも真剣に「口腔衛生の大切さ」を学ぶ機会にしてください――。
我々、特定非営利活動(NPO)法人 日本臨床口腔病理学会(理事長:前田初彦、会員数512名、事務局:東京都港区)は、近年増加傾向にある口腔がんの早期発見・早期治療を推進するため、全国29の歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科など(※参考資料を参照)を通じて、開業歯科医が第一発見者となることが多い口腔粘膜の悪性腫瘍の正確な病理診断に取り組んできました。今後はさらに各歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科における取り組みを拡充させるとともに連携を深め、口腔疾患の早期発見・撲滅に取り組むことを6月14日に発表します。
開業歯科医との連携、医科歯科連携を深めていくだけでは、口腔がんの撲滅にはつながりません。なぜなら、口腔がんの早期発見には、一般市民の側にも日頃から自覚が必要だからです。ふだんから口の中に気を遣うことはもちろん、少しでも異常を感じ取ったら行きつけの歯科医院等で検診を受け、不安がある場合は自ら主治医に対し、「大学病院など医療機関で病理診断をしてください」との意思表示が必要です。というのも、口腔がんをはじめとする口腔疾患に関して診断を下せるのは我々、口腔病理医・病理医だからです。
口腔疾患でお悩みを抱えている方は、今年の「歯と口腔の健康づくり普及月間」中に(もちろんその後でも構いません)、ぜひお近くの歯科医院を受診して下さい。大学病院などの専門医療機関(※参考資料を参照)を直接受診されても大丈夫です。それが取りも直さず、口腔がんの早期発見・早期治療につながるのです。
芸能人の公表で関心が集まる「口腔がん」
「口腔(こうくう)」という言葉は、一般の方には聞き慣れないものかも知れませんが、「口からのどまでの間の空間」を意味します。口腔にはう蝕(虫歯)や歯周病など様々な疾患が発生しますが、悪性腫瘍である口腔がんの罹患者が近年増えています。
中には、比較的早期に口腔内の異常に気づき、歯科医院を受診しながら、担当した歯科医の判断の遅れから早期治療の機会を逃した、という非常に残念なケースもあります。
口腔がんは早期のうちに発見できれば、5年生存率は90%を超すというデータもあり、話したり食べたりする機能もほとんど障害を受けません。ところが、ステージが進むと5年生存率は約50%まで低下し、手術で舌やあごの骨を切除しなければならず、食事や会話が不自由になります。一般的に口腔粘膜病変(口腔潜在的悪性疾患)から口腔がんになるまでには数年かかることから、家庭での口腔内チェックに加えて、かかりつけの歯科医院で定期的に検診を受け、かつ適切な診療・処置を受けることが早期発見・早期治療の決め手となります。
「口腔・咽頭がん」の死亡数は、過去50年間で男性が約10倍、女性が約7倍に増加
「日本人の2人に1人が、がんに罹患する時代」と言われ、国民のがんへの関心が高まる中、これまでマスメディアでは取り上げられることの少なかった口腔がんですが、芸能人がステージIVの舌がんになったことを公表して以来、舌がんや口腔がんへの関心が高まっています。口腔がん罹患者の約6割は60歳代以上であることから、高齢化が進む日本社会においては決して看過できないがんと言えます。
国立がん研究センターの統計では、口腔がんは「口腔・咽頭がん」として扱われています。口の中にできる悪性腫瘍を口腔がんといい、発症部位により舌がん、歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあります。そのうち日本人に一番多いのが、舌がんです。口腔・咽頭がんの発生頻度はがん全体の約2~4%と高くはなく「希少がん」に分類されますが、日本国内では年間約7000人が口腔・咽頭がん(舌がんは年間約4200人)に罹患し、約3000人が亡くなっています。
口腔がんの組織学的な診断を下すのは「口腔病理医・病理医」
口腔がんをはじめとする口腔疾患の教育・研究・診断を行うのが口腔病理学であり、日本臨床口腔病理学会は日本歯科医学会の専門分科会として、口腔病理についての学術研究、教育普及活動、臨床活動および国際活動を行っている学術団体です。通常、口腔病理医・病理医は患者の前に立つ機会はほとんどありません。ただ、臨床的な視診・触診を踏まえ、口腔がんが疑われる部位の細胞や組織を顕微鏡などで調べて、がん細胞か否かの最終判定としての病理診断を行うのは、我々口腔病理医・病理医です。
これまで当学会や口腔病理医らは“黒子的存在”と言えましたが、これからは一般市民を対象により積極的に助言・支援・協力を行い、様々な啓発活動を通して口腔がんの予防を訴えていきたいと考えています。
<NPO法人日本臨床口腔病理学会について>
日本臨床口腔病理学会は、日本歯科医学界の専門分科会として口腔の病変についての診断、教育、研究を推進しています。その主な活動として口腔領域の病理診断を行っています。全国29の歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科を通じて、開業歯科医のみなさまが第一発見者となることが多い口腔粘膜の悪性腫瘍の早期発見や、難治性疾患の診断などに貢献しています。
URL:http://www.jsop.or.jp/activity/
住所:東京都港区芝大門1-2-21 セゾンビル芝大門3階 株式会社ウィザップ東京支店内
NPO法人日本臨床口腔病理学会事務局 Email:jsop-info@sksp.co.jp
TEL:03-3431-3058 FAX:03-3431-3059 担当:金子由幸
我々、特定非営利活動(NPO)法人 日本臨床口腔病理学会(理事長:前田初彦、会員数512名、事務局:東京都港区)は、近年増加傾向にある口腔がんの早期発見・早期治療を推進するため、全国29の歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科など(※参考資料を参照)を通じて、開業歯科医が第一発見者となることが多い口腔粘膜の悪性腫瘍の正確な病理診断に取り組んできました。今後はさらに各歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科における取り組みを拡充させるとともに連携を深め、口腔疾患の早期発見・撲滅に取り組むことを6月14日に発表します。
開業歯科医との連携、医科歯科連携を深めていくだけでは、口腔がんの撲滅にはつながりません。なぜなら、口腔がんの早期発見には、一般市民の側にも日頃から自覚が必要だからです。ふだんから口の中に気を遣うことはもちろん、少しでも異常を感じ取ったら行きつけの歯科医院等で検診を受け、不安がある場合は自ら主治医に対し、「大学病院など医療機関で病理診断をしてください」との意思表示が必要です。というのも、口腔がんをはじめとする口腔疾患に関して診断を下せるのは我々、口腔病理医・病理医だからです。
口腔疾患でお悩みを抱えている方は、今年の「歯と口腔の健康づくり普及月間」中に(もちろんその後でも構いません)、ぜひお近くの歯科医院を受診して下さい。大学病院などの専門医療機関(※参考資料を参照)を直接受診されても大丈夫です。それが取りも直さず、口腔がんの早期発見・早期治療につながるのです。
芸能人の公表で関心が集まる「口腔がん」
「口腔(こうくう)」という言葉は、一般の方には聞き慣れないものかも知れませんが、「口からのどまでの間の空間」を意味します。口腔にはう蝕(虫歯)や歯周病など様々な疾患が発生しますが、悪性腫瘍である口腔がんの罹患者が近年増えています。
中には、比較的早期に口腔内の異常に気づき、歯科医院を受診しながら、担当した歯科医の判断の遅れから早期治療の機会を逃した、という非常に残念なケースもあります。
口腔がんは早期のうちに発見できれば、5年生存率は90%を超すというデータもあり、話したり食べたりする機能もほとんど障害を受けません。ところが、ステージが進むと5年生存率は約50%まで低下し、手術で舌やあごの骨を切除しなければならず、食事や会話が不自由になります。一般的に口腔粘膜病変(口腔潜在的悪性疾患)から口腔がんになるまでには数年かかることから、家庭での口腔内チェックに加えて、かかりつけの歯科医院で定期的に検診を受け、かつ適切な診療・処置を受けることが早期発見・早期治療の決め手となります。
「口腔・咽頭がん」の死亡数は、過去50年間で男性が約10倍、女性が約7倍に増加
「日本人の2人に1人が、がんに罹患する時代」と言われ、国民のがんへの関心が高まる中、これまでマスメディアでは取り上げられることの少なかった口腔がんですが、芸能人がステージIVの舌がんになったことを公表して以来、舌がんや口腔がんへの関心が高まっています。口腔がん罹患者の約6割は60歳代以上であることから、高齢化が進む日本社会においては決して看過できないがんと言えます。
国立がん研究センターの統計では、口腔がんは「口腔・咽頭がん」として扱われています。口の中にできる悪性腫瘍を口腔がんといい、発症部位により舌がん、歯肉がん、口腔底がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあります。そのうち日本人に一番多いのが、舌がんです。口腔・咽頭がんの発生頻度はがん全体の約2~4%と高くはなく「希少がん」に分類されますが、日本国内では年間約7000人が口腔・咽頭がん(舌がんは年間約4200人)に罹患し、約3000人が亡くなっています。
口腔がんの組織学的な診断を下すのは「口腔病理医・病理医」
口腔がんをはじめとする口腔疾患の教育・研究・診断を行うのが口腔病理学であり、日本臨床口腔病理学会は日本歯科医学会の専門分科会として、口腔病理についての学術研究、教育普及活動、臨床活動および国際活動を行っている学術団体です。通常、口腔病理医・病理医は患者の前に立つ機会はほとんどありません。ただ、臨床的な視診・触診を踏まえ、口腔がんが疑われる部位の細胞や組織を顕微鏡などで調べて、がん細胞か否かの最終判定としての病理診断を行うのは、我々口腔病理医・病理医です。
これまで当学会や口腔病理医らは“黒子的存在”と言えましたが、これからは一般市民を対象により積極的に助言・支援・協力を行い、様々な啓発活動を通して口腔がんの予防を訴えていきたいと考えています。
<NPO法人日本臨床口腔病理学会について>
日本臨床口腔病理学会は、日本歯科医学界の専門分科会として口腔の病変についての診断、教育、研究を推進しています。その主な活動として口腔領域の病理診断を行っています。全国29の歯学部・歯科大学や関連病院の病理診断科を通じて、開業歯科医のみなさまが第一発見者となることが多い口腔粘膜の悪性腫瘍の早期発見や、難治性疾患の診断などに貢献しています。
URL:http://www.jsop.or.jp/activity/
住所:東京都港区芝大門1-2-21 セゾンビル芝大門3階 株式会社ウィザップ東京支店内
NPO法人日本臨床口腔病理学会事務局 Email:jsop-info@sksp.co.jp
TEL:03-3431-3058 FAX:03-3431-3059 担当:金子由幸