2011年の東京電力福島第一原発事故に伴う放射能汚染対策の実態を知ることは、国家の信用と民主主義の基盤が破壊された現実を直視することである。
対策の柱となった「除染」は、この事故を一方的に幕引きする武器となった。集英社新書『除染と国家 21世紀最悪の公共事業』は、毎日新聞の記者である著者が入手した環境省の非公開会合の記録をもとに、官僚や学者に直撃取材を行い、為政者の真意を暴いた一冊である。
対策の柱となった「除染」は、この事故を一方的に幕引きする武器となった。集英社新書『除染と国家 21世紀最悪の公共事業』は、毎日新聞の記者である著者が入手した環境省の非公開会合の記録をもとに、官僚や学者に直撃取材を行い、為政者の真意を暴いた一冊である。
「日本のためお国のために
我慢しろと言えないといけない」
(汚染土再利用の放射能濃度を検討する非公開会合での環境省官僚の発言)
森友・加計学園問題、陸上自衛隊の日報隠蔽問題、裁量労働制に関する厚生労働省のデータ問題、それらに伴う説明責任の放棄、公文書の意図的な未作成、果ては改竄まで……。
これらの事件はすべて原発行政や事故にまつわる問題と同根であり、事故や汚染処理の幕引きを急ぐ国策としての除染事業はパンドラの箱を開け、この国の民主主義を壊した。この事実を気鋭の記者が、すべて暴露する。
【目次】
序 章 除染幻想-壊れた国家の信用と民主主義の基盤
第一章 被災者に転嫁される責任―汚染土はいつまで仮置きなのか
第二章 「除染先進地」伊達市の欺瞞
第三章 底なしの無責任-汚染土再利用(1)
第四章 議事録から消えた発言-汚染土再利用(2)
第五章 誰のため、何のための除染だったのか
第六章 指定廃棄物の行方
あとがき 原発事故が壊したもの
写真:2015年福島県富岡町(「第三章 底なしの無責任 - 汚染土再利用(1)」より 撮影/中筋純)
【書籍情報】
書名:除染と国家 21世紀最悪の公共事業
発売日:2018年11月16日(金)
著者:日野行介
定価:本体860円+税
集英社新書
ISBN978-4-08-721057-6
【書籍情報】
書名:除染と国家 21世紀最悪の公共事業
発売日:2018年11月16日(金)
著者:日野行介
定価:本体860円+税
集英社新書
ISBN978-4-08-721057-6
【著者プロフィール】
日野行介(ひの・こうすけ)
1975年生まれ。毎日新聞記者。九州大学法学部卒。1999年毎日新聞社入社。大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、東京社会部、特別報道グループ記者を経て、水戸支局次長。福島県民健康管理調査の「秘密会」問題や復興庁参事官による「暴言ツイッター」等多くの特報に関わる。 著書に『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』(いずれも岩波新書)、『原発棄民 フクシマ5年後の真実』(毎日新聞出版)等。
日野行介(ひの・こうすけ)
1975年生まれ。毎日新聞記者。九州大学法学部卒。1999年毎日新聞社入社。大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、東京社会部、特別報道グループ記者を経て、水戸支局次長。福島県民健康管理調査の「秘密会」問題や復興庁参事官による「暴言ツイッター」等多くの特報に関わる。 著書に『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』(いずれも岩波新書)、『原発棄民 フクシマ5年後の真実』(毎日新聞出版)等。