2017年12月27日 17:00

ニールセン、成長市場を地域別・国別に読み解く季刊レポート「QUARTER BY NUMBERS」の最新号を発行 ~ 世界のFMCG(日用消費財)市場の状況は改善傾向に

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世界最大のマーケティング調査会社ニールセン(日本法人:ニールセン カンパニー合同会社、本社:東京都港区、社長:福徳 俊弘)は、本日、世界の成長市場を地域別・国別に読み解く季刊レポート“Quarter By Numbers” の最新版である2017年第3四半期号を公開しました。 同レポートより、日本ならびに各地域から抜粋した国々の概況を日本語抄訳でご紹介します。

世界最大のマーケティング調査会社※ ニールセン(日本法人:ニールセン カンパニー合同会社、本社:東京都港区、社長:福徳 俊弘)は、世界の成長市場を地域別・国別に読み解く季刊レポート“Quarter By Numbers” の最新版である2017年第3四半期号を発行しました。

世界的な消費者の景況感と楽観的展望の高まりが示すように、多くの国が現在、程度の違いこそあれ好調な勢いを見せています。消費者に楽観的傾向と将来的な購買意欲が見られるとはいえ、購買傾向や消費行動そして嗜好は流動的であり、特に消費者向けにビジネスを展開している製造・流通・小売業界は、引き続きそれらを注視し、常に把握するよう努める必要があります。

景況感に関しては、世界的な消費者マインドの改善により、ニールセンの世界消費者景況感指数も第3四半期に1ポイントアップし、世界平均で105ポイントに達しました(第2四半期は104ポイント)。2016年第3四半期の指数が99ポイントであったため、今回の上昇は、年間での景況感の改善を示すものとなっています。東南アジア、北米、アジア太平洋のいずれの地域でも、景況感スコアは100ポイントを十分に上回る値を維持しましたが、一方でアフリカ、中東、パキスタン、中南米、欧州では、引き続き90ポイントをなかなか超えられない状況となっています。

この現在の景況感を明らかにするのが、ニールセンが季刊で発行しているQuarter by Numbers【英語】です。
同レポートの最新版である2017年第3四半期号から、日本ならびに各地域から抜粋した国々の概況を日本語抄訳でご紹介します。

【日本】
国内景気は引き続き緩やかな回復傾向にあり、個人消費や設備投資などの内需は減少したものの、IT関連輸出が回復したことによる純輸出の外需がプラス押し上げに寄与しています。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の合意内容が7月に発表されました。関税の引き下げあるいは撤廃により海外製品を安く輸入できる一方で国産製品との競合が予測されます。
本年度第3四半期のFMCGカテゴリーの売上は前年同期比-0.9%となりました。スーパーマーケット・カテゴリーは-1.5%で、天候不順に伴う野菜価格の高騰が消費者の買い控えをもたらしたことが影響しました。コンビニエンスストア・カテゴリーも8月、9月の天候不順の影響でアイスクリームなどの夏向け商品は苦戦しましたが、一方で中華まんや麺類などは好調で、前年同期比の売上はプラスに推移しました。このような中、大手コンビニ・チェーンが、消費者の持ち帰りニーズに応え、店頭と同じ品質・鮮度にこだわったオリジナルの主力商品であるおにぎりやサンドイッチを扱う自動販売機をオフィスや工場などのインドアに設置する自販機コンビニ参入を発表しました。
また、新しい小売店の形態「グローサラント(食品スーパーマーケット+レストラン)」を大手流通小売業者が展開し、今後の拡大傾向が見られます。
また、日本の消費者にとって健康志向・ダイエット志向は引き続き強く、加えて、安全・自然を連想させる「オーガニック」も強いキーワードになりつつあります。今後は価格よりも品質を重視する消費者や節約一辺倒ではない消費者の増加に対応した商品戦略、商品開発、コミュニケーションがますます重要度を増すでしょう。
【インド】
インドは、今年の第2四半期に過去3年間で最低のGDP成長率を記録しましたが、第3四半期には推定6.3%の成長率を達成しています。この数字からも状況の改善は明らかであり、第4四半期についても見通しはポジティブです。
地方では二輪車やトラクターの売上が大幅な伸びを示しており、工業生産も、6月に落ち込んだ後に8月と9月に回復しています。7月1日に新たな物品サービス税(GST)が発効し、当初若干の混乱は見られたものの、経済活動は正常な状態に戻りつつあります。最近のニールセンの調査では、新税制の認知度はほぼ100%に達していました。GSTの導入前に低下した小売在庫水準も8月と9月で増加しましたが、昨年のレベルには達していません。
またインド政府側は、重要な利害関係者の意見に基づくGSTの調整の余地を残していると思われます。実際、GST評議会はGSTの設計と税率構造の大幅な見直しを行い、178の項目で税率が28%から18%へと引き下げられています。この中にはFMCGカテゴリーの品目、例えばシャンプーや洗剤、消臭剤も含まれます。引き下げは消費者にとっても利益があるため消費を促進するものだとして、メーカーもこの発表に対して好意的な反応を示しています。 また、世界銀行のEase of doing business(ビジネスのしやすさ)ランキングでの順位が上がったことも、インドにとっては有利な材料となっています。世界銀行が調査した190カ国中で、インドは昨年の130位から100位へと順位を上げました。消費者の景況感も非常にポジティブであり、今後は、デジタル化、グローバル化、人口面での強み、そして改革を背景に引き続き経済的好調が続く見込みです。
【チリ】
中南米では、チリがわずかながら明るい兆しを見せています。控えめながら継続的な回復が現在も続いています。今年の第1四半期のGDP成長率はわずか0.1%でしたが、それでも第2四半期には0.9%、第3四半期には2.0%の伸びを示しています。チリの成長を牽引してきた主要産業である鉱業は、過去2年間の赤字から抜け出し、第3四半期では前年比7.5%の成長を達成しています。
この鉱業の好調に加えて、チリの経済的復活の大きな要因となったのが小売およびサービス部門における消費です。第3四半期の消費者景況感は92ポイント(第2四半期は81ポイント)で大きく伸びており、消費者は総体的に安定感を共有しています。自分の仕事の今後に期待が持てると回答した人が41%、今後1年間の個人的金銭状況についても56%が楽観視しています。それでもチリの消費者は今も消費に対しては慎重であり、余ったお金は貯金したい、あるいは借金やクレジットカードやローンの返済に使いたいと考える人が3分の1を占めます。
しかしながらFMCGをめぐる環境は、経済状態の改善をいまだ反映するものとはなっていません。成長が停滞したいくつかの例に目を向けてみると、注目すべき具体的理由があります。例えばスーパーマーケット・チャネルにおけるスナック菓子カテゴリーの業績不振は、同国の2016年ラベリング法により脂肪や糖分やカロリーの詳しい表示が義務付けられて以降、消費者の購買習慣が変化したことが原因だと考えられます。
今後のビジネス機会ならびに成長の観点からFMCGの状況を見てみると、メーカーと小売業者は、一部のカテゴリーでの二重価格設定戦略に特に目を向けるべきだと思われます。すなわち、低価格ブランドの提供と合わせて、同カテゴリーの高級セグメントを消費者に売り込む戦略です。食品カテゴリーのプライベートブランドも、7%もの販売数量の増加を達成しています。成功のための機会を得るには市場の2つの価格帯にフォーカスすること、つまり低価格の商品とプレミアム商品の両方を、現代的なチャネルに力を入れながら販売することが重要です。プロモーション活動を伴うにせよ、消費者に、購買と引き換えに得られる価値を適切に伝えていく戦略が、チリの消費者には有効だと思われます。


【ルーマニア】
ヨーロッパ全域で消費者の景況感と経済動向は改善傾向にあり、ルーマニアは経済が繁栄し消費者も今後1年間について楽観的な見通しを持っている市場の一つです(2017年第3四半期の消費者景況感は98ポイントでした)。
経済面では、ルーマニアのGDPは過去1年間に欧州全体で最も伸びを示し、前年比8.8%の上昇となっています。この勢いは、食品に対する付加価値税(VAT)が9%へと引き下げられた後に、2015年の中盤から消費が増えたことによるものです。消費者景況感も同様に、消費者の経済的満足感を高めた過去2年間の複数の財政政策、例えば一部の税の引き下げ、最低賃金と年金の引き上げ、銀行の融資条件の緩和によりもたらされていると考えられます。
中流以下の層の購買力が総合的に高まったことは、FMCGの販売額からも明らかであり、過去12カ月で7.2%の上昇を示しています。大型スーパーマーケットは組織的取引という点で引き続き優位な地位にありますが、最も勢いがあるのは一般的なスーパーマーケットであり、過去数期で2桁成長を記録しています(店舗拡大に基づく計算)。ディスカウント・ショップが店舗数を増やす一方で、現在も市場の約40%を占める従来型の商店の店舗数は減っており、売上額も横ばいです。FMCGカテゴリーの多くが健全な伸びを示していますが、最大かつ最も勢いのあるカテゴリーとしてノンアルコール飲料、加工肉、乳製品が挙げられます。
楽観的な見通しと成長の一方で、消費が持続しないことと公的投資が不足していることを理由に、一部のエコノミストは成長予測に対して警鐘を鳴らし始めています。また各種の法律における変更が理由で、政府の決定に関する予測が難しいという点で懸念を示すエコノミストもいます。力強い成長を遂げるルーマニアは、羨むべき立場にあるにせよ、FMCG業界は消費者の嗜好の変化にきわめて影響されやすいため、今後の変化には警戒しておく必要があります。
【エジプト】
多くの市場同様、エジプトの消費者、メーカー、小売業者はすべてニュー・ノーマル(新常態)を構築する過程にあります。2016年第4四半期の改革による各種の変化は、大幅な通貨切り下げと業界の変動の引き金となりましたが、それから1年が経ち、改革がプラスの効果をもたらしつつあります。IMFは2017年第3四半期の第1回分の融資支援を行うことについて承認しており、新たな正常化フェーズが始まる兆しとなっています。一方で、以前の予測よりも遅いペースですが、GDPも引き続き伸びており(4.9%)、インフレはこの6カ月で安定化しています。
この新たな現状のもと、消費者は各種のプロモーションに良好な反応を示しており、メーカーも小売業者もそのためにプロモーションを重視してきました。規模の上では従来型の取引が引き続き最上位のセクターとなっていますが(77%)、現代型取引の成長も加速しており、小売業者は、消費者の環境の変化に対するクリエイティブな対応をとっています。このような取り組みの目的は、制限されてきた出費を拡大すること、そしてより大きな価値を届けることです。
この状況を考えると、今年FMCGへの出費が不調であったのも驚きではありません。全体としては、出費への影響が2つの点で見られました。まず、消費者が自分の購入する物のカテゴリーに対して新たに注意を払うようになったこと、そして教育費などの他の分野に資金の配分先を変えているために出費が減ったことが挙げられます。スナックや乳製品などの一部のカテゴリーでは、特に新学期シーズンは、斬新な手法を取り入れ消費者と新たな形でつながる好機となります。
今後については、正常化は必ずしも即座の安定を意味するものとはならないでしょう。それよりもむしろ、激しく変動する状況の緩和を招くと予想されます。企業がこうした機会を突き止めてその機会を背景に成果をあげられるのであれば、消費者は成長をもたらすきっかけとなるでしょう。


※ ESOMAR Industry Report “Global Market Research 2016” 調べ



Quarter By Numbers について
“Quarter By Numbers” は、ニールセンが2016年より四半期ごとに発行している、地域別・国別の調査報告書で、日本を含む世界5地域・45カ国の成長市場と新興市場について、マクロ経済データ、消費者インサイト、消費パターン、市場の最新トレンドについて各国のニールセン・オフィスがとりまとめたものです。
現在、地域別に5種類の “Quarter By Numbers” をオンラインで販売しています。【英語】https://goo.gl/b3VXLc
・ Asia Pacific (アジア太平洋)
・ LATAM (中南米)
・ Europe (欧州)
・ North America (北米)
・ Africa/Middle East (アフリカ・中東)

ニールセンについて
Nielsen Holdings plc(NYSE: NLSN)は、世界的なマーケティング調査会社として消費者の視聴行動、購買行動の分析を行っています。視聴行動分析部門は、メディア・広告企業向けに各種デバイス上での動画・音声・テキストのコンテンツおよび広告視聴動向を把握するトータルオーディエンス測定などを提供しています。購買行動分析部門は、消費財メーカーや小売企業を対象に業界で他に類を見ない世界規模のリテールパフォーマンス分析などを提供しています。視聴行動分析、購買行動分析を他のデータと組み合わせた世界レベルの測定・分析により、ニールセンはクライアントのパフォーマンス向上を支援します。S&P 500企業として、世界人口の90%を網羅する100カ国以上に拠点を有しています。詳細は当社ウェブサイトをご覧下さい: www.nielsen.com

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会社概要

ニールセン カンパニー合同会社
商号
ニールセン カンパニー合同会社(ニールセンカンパニーゴウドウカイシャ)
代表者
福徳 俊弘(フクトク トシヒロ)
所在地
〒107-0052
東京都港区赤坂2-17-7 赤坂溜池タワー11階
TEL
03-6837-6600
業種
リサーチ
上場先
未上場
従業員数
500名未満
会社HP
http://www.nielsen.com/jp/ja.html

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