2017年11月29日
<ニュースリリース>
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
欧州製薬団体連合会(EFPIA)
イノベーション促進政策の後退を意味する
日本政府の薬価制度改革案に衝撃と失望
~政府案は日本の患者さんの医薬品への早期アクセスを脅かす~
米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、本日開催された、中央社会保険医療協議会(中医協) 薬価専門部会での日本政府の薬価制度改革案に関する製薬業界側の意見陳述内容について、以下の通り共同声明を発表します。
PhRMAとEFPIAは、日本政府の薬価制度改革案において革新的新薬が広範囲かつ大幅な費用削減の対象となったことに衝撃を受けています。一方で、長期収載品と後発医薬品については、依然として大規模なコスト抑制の余地があるものと考えます。
同改革案が示すことは、国内外の製薬企業がイノベーションを推進し開発した革新的な医薬品に対する前向きな評価についての検討を「日本はあきらめた」ということであると、PhRMA及びEFPIAは受け止めています。これは、日本と世界の患者さんのために、次世代の治療法と医薬品開発を目指す製薬企業の日本に対する投資意欲を減退させます。
2010年以降、日本政府はイノベーションを促進する数々の政策を包括的プログラムとして推進してきており、これによって日本の患者さんが新たな治療法を利用できるようになるまでの海外からの遅れ(ドラッグラグ)は事実上解消され、日本のバイオ医薬品業界への投資は、特に臨床試験の分野において大幅に増大し、バイオ医薬品業界は日本経済の持続的発展を担う成長の原動力となりました。イノベーションを促進するこれらの政策における要の一つが、イノベーションに報い、特許期間中の医薬品の価格を安定的に維持するための新薬創出等加算です。新薬創出等加算には特許期間終了後の価格の大幅な低下と後発品への速やかな移行を促すという利点もあります。11月22日に日本政府が発表した改革案では、新薬創出等加算の対象範囲が大幅に狭められており、これは日本において過去数年間に実現してきた進歩の動きを逆行させることにもなりかねません。
この改革案が現状のまま採用された場合、日本及び日本の患者さんに対して、以下のような悪影響が及ぶ可能性があります。
●ドラッグラグが再び拡大し、生命を救う最先端の医薬品への日本の患者さんのアクセスが米国や欧州に比べて大幅に遅れるようになる。
●日本のこの分野における研究開発投資が急速に落ち込み、世界同時開発計画において日本が対象となる機会が劇的に減少する。
●海外市場で成功を収められる日本の製薬企業を新たに育成しようという動きが阻害される。
●成長の原動力として日本経済を支えてきた製薬業界がその能力を発揮できなくなる。
PhRMAとEFPIAとは、提案された対象要件の中に、公正で差別のない薬価政策への日本政府のコミットメントに疑念を抱かせる要素があることに懸念を持っています。
PhRMAとEFPIAは、国民皆保険制度の長期的持続可能性を確保するための日本の取り組みを完全に支持しています。そしてこの数年に起きた一時的な異常事態のために講じられた措置についても一定の理解を示しています。しかしながら、信頼性の高い客観的なデータソース(IQVIA、旧称:クインタイルズIMS)によれば、日本における薬剤費支出は適正に制御されています。さらに、日本はすべての主要な医薬品市場の中でもっとも成長が低く、薬剤費支出は近い将来低減していく可能性もあると予測されています。もし今回の改革案がこの内容のまま進められれば、日本の医薬品市場における、更なる投資意欲を阻害する要因となります。
PhRMA在日執行委員会委員長のパトリック・ジョンソンは次のように述べています。
「我々は日本がイノベーション促進政策から距離をおこうとしていることを強く懸念し、失望しています。そして何より、日本の患者さんたちに与えるであろう、甚大な負のインパクトに動揺しています。さらに今回の動きで、日本への投資が、意義のあるイノベーション促進政策の発令で今や日本を凌駕しつつある他国へと流出してしまうリスクも、日本は負うことになります。」
また欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)会長のオーレ・ムルスコウ・ベックも次のように述べています。
「日本の患者さんが他国に先駆けて新たな医薬品にアクセスできるように為された数多くの政策上の進歩が、振り出しに戻る政府案であると知り、大変に残念な思いを抱いています。政府案は、将来、日本の医師が患者さんのために最良の治療を施そうとしても、ごく限られた医薬品しか使用できないといった事態を生み出すことになりかねません。多くの革新的な医薬品が医療コスト全体の制御に寄与することがわかっているので、医療費抑制のためにイノベーションを阻害するような政策をとると、結果として日本全体にとって大きな代償となることがすぐに示されるであろうとEFPIAは信じています。」
プレスリリース詳細は以下よりご確認ください
http://www.phrma-jp.org/pressroom/pressrelease/release2017/phrma_efpia_pressrelease20171129/
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)
PhRMAは、米国で事業を行なっている主要な研究開発志向型製薬企業とバイオテクノロジ―企業を代表する団体です。加盟企業は新薬の発見・開発を通じて、患者さんがより長く、より健全で活動的に暮らせるよう、先頭に立って新しい治療法を探求しています。加盟企業の新薬研究開発に対する投資額は、2000年からの累計では6000億ドル以上に達し、2016年単独でも推定で655億ドルになりました。
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)日本オフィス
PhRMA日本オフィスは、米国PhRMAの会員である研究開発志向の製薬企業の日本法人で構成されており、画期的新薬が開発できる環境や患者さん中心の医療制度の確立に向けて25年以上に渡って活動を続けています。加盟企業は、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、アッヴィ合同会社、MSD株式会社、セルジーン株式会社、日本イーライリリー株式会社、バイオジェン・ジャパン株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、ムンディファーマ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社(五十音順)の10社です。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA)
ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置くEFPIAは、欧州で事業を展開する製薬業界の団体です。EFPIAに直接加盟する国の団体は33団体、主要な医薬品企業は42社ですが、EFPIAは世界中の人々のクオリティ・オブ・ライフを改善する新薬の開発・提供に専念する1,900社の声も代弁しています。
詳細については下記URLをご参照ください。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA) Japan
2002年4月に設立されたEFPIA Japanには、日本で事業展開している欧州の研究開発志向の製薬企業24社が加盟しています。2016年の加盟各社の総売上高は、日本の製薬市場の売上の約22%を占めています。EFPIA Japanの使命は、“革新的な医薬品・ワクチンの早期導入を通じて、日本の医療と患者さんに貢献する”ことです。EFPIAは常に“患者さん優先”に注力することで日本の医療向上に向けて政策決定者との対話を強化することを目指しています。
PhRMA日本オフィスホームページ http://www.phrma-jp.org
PhRMAホームページ http://www.phrma.org
PhRMA日本オフィスFacebook https://www.facebook.com/phrmajapanoffice
EFPIA JAPANホームページ http://efpia.jp/index.html
EFPIAホームページ http://www.efpia.eu/
【本件に関するお問い合わせ】
米国研究製薬工業協会(PhRMA)広報事務局
(株式会社ジャパン・カウンセラーズ内)
TEL:03-3291-0118
FAX:03-3291-0223
E-mail:phrma_pr@jc-inc.co.jp
<ニュースリリース>
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
欧州製薬団体連合会(EFPIA)
イノベーション促進政策の後退を意味する
日本政府の薬価制度改革案に衝撃と失望
~政府案は日本の患者さんの医薬品への早期アクセスを脅かす~
米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、本日開催された、中央社会保険医療協議会(中医協) 薬価専門部会での日本政府の薬価制度改革案に関する製薬業界側の意見陳述内容について、以下の通り共同声明を発表します。
PhRMAとEFPIAは、日本政府の薬価制度改革案において革新的新薬が広範囲かつ大幅な費用削減の対象となったことに衝撃を受けています。一方で、長期収載品と後発医薬品については、依然として大規模なコスト抑制の余地があるものと考えます。
同改革案が示すことは、国内外の製薬企業がイノベーションを推進し開発した革新的な医薬品に対する前向きな評価についての検討を「日本はあきらめた」ということであると、PhRMA及びEFPIAは受け止めています。これは、日本と世界の患者さんのために、次世代の治療法と医薬品開発を目指す製薬企業の日本に対する投資意欲を減退させます。
2010年以降、日本政府はイノベーションを促進する数々の政策を包括的プログラムとして推進してきており、これによって日本の患者さんが新たな治療法を利用できるようになるまでの海外からの遅れ(ドラッグラグ)は事実上解消され、日本のバイオ医薬品業界への投資は、特に臨床試験の分野において大幅に増大し、バイオ医薬品業界は日本経済の持続的発展を担う成長の原動力となりました。イノベーションを促進するこれらの政策における要の一つが、イノベーションに報い、特許期間中の医薬品の価格を安定的に維持するための新薬創出等加算です。新薬創出等加算には特許期間終了後の価格の大幅な低下と後発品への速やかな移行を促すという利点もあります。11月22日に日本政府が発表した改革案では、新薬創出等加算の対象範囲が大幅に狭められており、これは日本において過去数年間に実現してきた進歩の動きを逆行させることにもなりかねません。
この改革案が現状のまま採用された場合、日本及び日本の患者さんに対して、以下のような悪影響が及ぶ可能性があります。
●ドラッグラグが再び拡大し、生命を救う最先端の医薬品への日本の患者さんのアクセスが米国や欧州に比べて大幅に遅れるようになる。
●日本のこの分野における研究開発投資が急速に落ち込み、世界同時開発計画において日本が対象となる機会が劇的に減少する。
●海外市場で成功を収められる日本の製薬企業を新たに育成しようという動きが阻害される。
●成長の原動力として日本経済を支えてきた製薬業界がその能力を発揮できなくなる。
PhRMAとEFPIAとは、提案された対象要件の中に、公正で差別のない薬価政策への日本政府のコミットメントに疑念を抱かせる要素があることに懸念を持っています。
PhRMAとEFPIAは、国民皆保険制度の長期的持続可能性を確保するための日本の取り組みを完全に支持しています。そしてこの数年に起きた一時的な異常事態のために講じられた措置についても一定の理解を示しています。しかしながら、信頼性の高い客観的なデータソース(IQVIA、旧称:クインタイルズIMS)によれば、日本における薬剤費支出は適正に制御されています。さらに、日本はすべての主要な医薬品市場の中でもっとも成長が低く、薬剤費支出は近い将来低減していく可能性もあると予測されています。もし今回の改革案がこの内容のまま進められれば、日本の医薬品市場における、更なる投資意欲を阻害する要因となります。
PhRMA在日執行委員会委員長のパトリック・ジョンソンは次のように述べています。
「我々は日本がイノベーション促進政策から距離をおこうとしていることを強く懸念し、失望しています。そして何より、日本の患者さんたちに与えるであろう、甚大な負のインパクトに動揺しています。さらに今回の動きで、日本への投資が、意義のあるイノベーション促進政策の発令で今や日本を凌駕しつつある他国へと流出してしまうリスクも、日本は負うことになります。」
また欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)会長のオーレ・ムルスコウ・ベックも次のように述べています。
「日本の患者さんが他国に先駆けて新たな医薬品にアクセスできるように為された数多くの政策上の進歩が、振り出しに戻る政府案であると知り、大変に残念な思いを抱いています。政府案は、将来、日本の医師が患者さんのために最良の治療を施そうとしても、ごく限られた医薬品しか使用できないといった事態を生み出すことになりかねません。多くの革新的な医薬品が医療コスト全体の制御に寄与することがわかっているので、医療費抑制のためにイノベーションを阻害するような政策をとると、結果として日本全体にとって大きな代償となることがすぐに示されるであろうとEFPIAは信じています。」
プレスリリース詳細は以下よりご確認ください
http://www.phrma-jp.org/pressroom/pressrelease/release2017/phrma_efpia_pressrelease20171129/
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)
PhRMAは、米国で事業を行なっている主要な研究開発志向型製薬企業とバイオテクノロジ―企業を代表する団体です。加盟企業は新薬の発見・開発を通じて、患者さんがより長く、より健全で活動的に暮らせるよう、先頭に立って新しい治療法を探求しています。加盟企業の新薬研究開発に対する投資額は、2000年からの累計では6000億ドル以上に達し、2016年単独でも推定で655億ドルになりました。
●米国研究製薬工業協会(PhRMA)日本オフィス
PhRMA日本オフィスは、米国PhRMAの会員である研究開発志向の製薬企業の日本法人で構成されており、画期的新薬が開発できる環境や患者さん中心の医療制度の確立に向けて25年以上に渡って活動を続けています。加盟企業は、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社、アッヴィ合同会社、MSD株式会社、セルジーン株式会社、日本イーライリリー株式会社、バイオジェン・ジャパン株式会社、ファイザー株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、ムンディファーマ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社(五十音順)の10社です。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA)
ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置くEFPIAは、欧州で事業を展開する製薬業界の団体です。EFPIAに直接加盟する国の団体は33団体、主要な医薬品企業は42社ですが、EFPIAは世界中の人々のクオリティ・オブ・ライフを改善する新薬の開発・提供に専念する1,900社の声も代弁しています。
詳細については下記URLをご参照ください。
●欧州製薬団体連合会(EFPIA) Japan
2002年4月に設立されたEFPIA Japanには、日本で事業展開している欧州の研究開発志向の製薬企業24社が加盟しています。2016年の加盟各社の総売上高は、日本の製薬市場の売上の約22%を占めています。EFPIA Japanの使命は、“革新的な医薬品・ワクチンの早期導入を通じて、日本の医療と患者さんに貢献する”ことです。EFPIAは常に“患者さん優先”に注力することで日本の医療向上に向けて政策決定者との対話を強化することを目指しています。
PhRMA日本オフィスホームページ http://www.phrma-jp.org
PhRMAホームページ http://www.phrma.org
PhRMA日本オフィスFacebook https://www.facebook.com/phrmajapanoffice
EFPIA JAPANホームページ http://efpia.jp/index.html
EFPIAホームページ http://www.efpia.eu/
【本件に関するお問い合わせ】
米国研究製薬工業協会(PhRMA)広報事務局
(株式会社ジャパン・カウンセラーズ内)
TEL:03-3291-0118
FAX:03-3291-0223
E-mail:phrma_pr@jc-inc.co.jp