2017年09月27日 16:00

【A.T. カーニー調査】 10年後の消費者は「物質的な豊かさ」ではなく「人とのつながりや影響力」を重視、 「信頼」「影響力」「パーソナライゼーション」が消費のカギ

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経営コンサルティング会社A.T. カーニーは、2017年9月25日、「将来の消費者に関するグローバル調査」の結果を発表した。本調査は、米国、英国、フランス、ドイツ、日本、インド、中国の7カ国、7,000人超を対象に、嗜好や消費行動について尋ねたもの。現在の消費に関する統計分析ではなく、消費の要因となる消費者の行動、個人の価値観、影響力を深く理解し、10年後の消費者像を予想することを目的としている。

経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、2017年9月25日、「将来の消費者に関するグローバル調査」の結果を発表した。本リリースは、その要約の日本語版である。

本調査は、米国、英国、フランス、ドイツ、日本、インド、中国の7カ国における7,000人超の消費者を対象に、消費の嗜好や消費行動について尋ねたものだ。本調査は、単に現在の消費に関する統計分析を行うのではなく、消費の要因となる消費者の行動、個人の価値観、影響力をより深く理解し、10年後の消費者像を予想することを目的としている。

「未来の消費者」像を理解する上でポイントとなるのは、人口動態の変化、価値観の変化、ハイパー・コネクティビティ(人とモノがインターネットを介して常につながること)だ。 2027年には、全人口の3分の1が「ジェネレーションZ(1998年~2016年生まれ)」になる。

将来のターゲットであるこの層は、人種や性の違いを超越した寛容さを持つことから「ユニークであることがかっこいい」という価値観を持ち、革新的なビジネスの創業者に憧れるような社会起業家精神がある。景気後退局面で育つ人が多いため勤労意識が高く、教育についてもみずから情報にアクセスして教養を得るという意識を持つなど、責任感が強い。また、真のデジタルネイティブであり、デジタル・プラットフォームによって常にだれかとつながっている。本調査でも、回答者の44%がソーシャルネットワークに積極的に参加しており、特に中国とインドではその割合が高いことが分かった。

本調査から、未来の消費パターンを決定する3つの原則が明らかになった。

1、信頼:
本調査で、消費者は大手企業・ブランドに対する信頼を失っていることが明らかになり、これは特に欧米で顕著だった。下のグラフは「大手企業・ブランドへの信頼がほとんど/まったくない」と回答した人の割合だ。5年前は、多い国でも30~40%がそう答えただけだったが、現在では50~60%近くまで上昇している国が目立つ。中国とインドでは、品質と「クールさ」を理由に大手ブランドへの信頼感が相対的に高かったものの、すべての調査対象国で5年前より信頼が低下している。また、若い消費者は、環境に配慮し、社会的意識が高いブランドを好み、こうした商品であれば割高でもよい(プレミアムを支払ってもよい)と回答したジェネレーションZは7割を超えている。
2、影響力: 
消費者が「いつでもどこでもつながる」ことで、個々人の声が市場全体に影響を与えることになる。インターネット上のインフルエンサーを味方につけられるブランドが力を持つのは明白だ。ジェネレーションZの54%が、購買の意思決定がブロガーやビデオ・ブロガーの影響を受けていると回答した。
3、パーソナライゼーション:
ビッグデータを活用して消費者のオーダーメイドの要求に答え、企業を成功に導くのがパーソナライゼーションだ。 回答者の 33~45%が、自身に見返りがあるならば企業にデータを提供したいと答えている(見返りの例: 自分に合った商品を推薦してくれる)。国別に見ると、中国(45%)、米国(41%)、英国(40%)は高く、ドイツは個人情報を明らかにする意欲が最も低い(33%)。
本調査を主導したA.Tカーニーのパートナー、ミリコ・ワーシュンは、次のように分析する。

消費パターンが「物質的な豊かさ」を重視するモデルから、人とのつながりや影響力を大切にする「影響力」モデルへと世界中で変化してきている。これまでの消費者は「何を所有しているか」で定義され、企業は静的なビジネスモデルと大きなトレンドに従い、広告費を投じるなどして、「すべての人に合った」マスマーケティング戦略を実行すれば顧客のニーズを満たすことができた。

しかし、「影響力」モデルでは、インフルエンサーを味方につけ、消費者の「小さなシグナル」を即座に理解して、進化するトレンドや需要にタイムリーに対応する瞬発力を養う必要がある。消費者の価値観に合致して信頼性が高く、インフルエンサー・マーケティングにも長けたニッチなブランドが、大手ブランドの市場シェアをも脅かしている。とはいえ、スポーツウェアメーカーのアディダスがインフルエンサーと連携して成功した例が示すように、大手ブランドにも機会はある。マイクロ・インフルエンサー、顧客、ビジネスパートナー等の関与をうまく引き込み、ブランドへの情熱を育むコミュニティを構築する必要がある。

*本レポート日本語版の全文:https://www.atkearney.co.jp/the-consumers-of-the-future
*同英語原文:https://www.atkearney.com/consumer-goods/article?/a/atkearney-global-future-consumer-study

■調査概要
本調査は、米国、英国、フランス、ドイツ、日本、インド、中国の7カ国からそれぞれ約1,000人(合計7,000人超)の均等に分布する消費者を対象に、2017年5月に実施された。回答者は、各国における国勢調査人口基準に基づいて選択した。調査対象者の年齢分布は、ジェネレーションZ(18~19歳)を20%含めるなど、若年層に重点を置いた。男性と女性はほぼ同数とし、各国における所得別の構成比は国勢調査に応じた割合に設定した。

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