2017年06月14日 17:00

【A.T. カーニー調査】 新興国小売市場の参入魅力度ランキング、2017年版の首位はインド、2位は中国。

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経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、6月5日、世界の新興国小売市場に関する最新調査「2017年グローバル・リテール・デベロップメント指数(以下GRDI: The 2017 Global Retail Development Index)」の結果を発表し、参入魅力度の高い新興国・発展途上国上位30カ国をランキングした。

経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、6月5日、世界の新興国小売市場に関する最新調査「2017年グローバル・リテール・デベロップメント指数(以下GRDI: The 2017 Global Retail Development Index)」の結果を発表し、参入魅力度の高い新興国・発展途上国上位30カ国をランキングした。

今回、首位となったのは昨年2位だったインドで、過去数年間の規制緩和と相まって、強力なGDP成長率、中産階級の増加が順位を上げる大きな要因となった。今回の2位は中国で、経済成長は全体的に鈍化してはいるものの、市場規模および小売業の継続的な進化は投資において非常に魅力的な市場であり続けている。

今回で16回目となる調査で明らかになったのは、英国のEU離脱や米トランプ大統領の ”アメリカ・ファースト” に見られる自国第一主義的な高まりや、地政学的環境の変化の中、グローバル展開している小売業者が先の見えにくい状況に直面していることである。急速な成長と洗練を続ける現地の小売業者との激しい競争や、小売技術やEコマースの進歩により、戦略を再考することを余儀なくされているのである。その結果、昨年、新しい市場へ参入したり既存市場で拡大した小売業者の数が少なかっただけでなく、多くの小売業者が自らの足跡と物流網の検証を行い、店舗数を削減したり、あるいは市場から完全撤退した。


2017年 新興国小売市場への参入魅力度ランキング

順位 国名
1   インド
2   中国
3   マレーシア
4   トルコ
5   UAE アラブ首長国連邦
6   ベトナム
7   モロッコ
8   インドネシア
9   ペルー
10  コロンビア
11  サウジアラビア
12  スリランカ
13  ドミニカ共和国
14  アルジェリア
15  ヨルダン
16  カザフスタン
17  コートジボワール
18  フィリピン
19  パラグアイ
20  ルーマニア
21  タンザニア
22  ロシア
23  アゼルバイジャン
24  チュニジア
25  ケニア
26  南アフリカ
27  ナイジェリア
28  ボリビア
29  ブラジル
30  タイ


本調査を担当した、A.T. カーニーのパートナーである、ハナベン=シャバットは、こう述べている。
「2017年のGRDIは、地政学的状況とそのビジネスへの影響を物語っています。小売業者は今後の政府動向が不透明であったり政治的リスクが高い国や地域への展開をためらっているのです。」

GRDIは、小売企業がグローバル市場での成長戦略を定め、参入市場の選定や優先順位付けを行う際の材料となるべく、新興市場の参入魅力度を測るもの。マクロ経済および小売業独自の変数をもとに、「カントリーおよびビジネス・リスク」「市場魅力度」「市場飽和度」「参入緊急度」という4つの観点から評価、数値化し、上位30か国をランキングしている。
今年の調査では、モバイルショッピングの急成長、およびその世界的小売展開への影響に関する項目が特別に設けられた。多くの発展途上市場で、モバイルリテールがオンラインショッピングの主要形態となっているからである。

同じく本調査を担当し、A.T. カーニーのパートナー、マイク・モリアーティは、こう述べている。
「小売業者が世界展開について考えるうえで、そしてバリューチェーンにおけるその役割を考えるうえでもモバイルショッピングは挑戦的な課題と言えます。より多くの小売業者が、将来の展開計画の一部としてモバイルを使用するようになるでしょう。」


地域別の概要
◆アジア地域: 
規模と勢いという点において、アジアは世界の小売業やブランド食品・飲料、パーソナルケア製品、アパレル、ファッション、高級品販売拡大の原動力である。アジア地域では、1位のインドと2位の中国を含め、ランキング上位10カ国に5カ国が入っている。インドは経済が急成長しており、消費の増大、人口の都市化、中産階級の成長によってランキング1位となった。長年にわたってランキング首位であった中国は、市場の成熟、GDP成長率の低下によって下落しているが、国の規模や継続的な成長は依然として印象的で、Eコマースはかなりの規模である。ベトナム(6位)は昨年11位より急上昇し、そのリベラルな出資法もあって、小売拡大における重要市場として頭角を現している。この地域では、マレーシア(3位)における通貨の下落やインドネシア(8位)のインフレ率の上昇といった経済的な逆風にもかかわらず、その他のほとんどの国で近頃の小売売上高に順調な成長が見られている。2020年までに小売で6%の成長が見込まれるタイは、30位で今年再びランク入りした。

◆中央アジアならびに東欧: 
この地域で上位10位までに入ったのは1カ国だけで、経済状況や小売状況は様々に入り乱れている。トルコはこのランキングの中でもとくに興味深いケースの1つである。政治的に激動の年を迎え、多くの小売業者を躊躇させているものの、その小売売上高はGRDIにランキングされた国の中で3番目に高く、そして年齢層の若い都会的な人口を抱えている。ルーマニア(20位)は2016年には小売に高い伸びが見られた。また、2000万人の人口を抱え、広域東欧市場において自然にエントリーポイントの位置を占めるようになっている。ロシア(22位で変化なし)は景気後退からの回復途上であるが、中国人観光客によって高級品市場に伸びが見られるなど、いくつか明るい兆候が見られる。アゼルバイジャン(23位、昨年10位より下落)とカザフスタン(16位、昨年4位より下落)は、不透明な経済的見通しの中で消費支出が縮小し、今年のランキングでどちらも大きく下落した。それでも、両国には近年の小売業にとって明るい材料もあった。

◆中東地域: 
中東ならびに北アフリカは上位10カ国に2カ国が入ったが、この地域では明暗が分かれている。この地域は安全保障上の懸念と原油価格の低下が課題となる一方で、いくつかの世界的に革新的なプロジェクトの本拠地となっている。今年のランキング5位のアラブ首長国連邦(UAE)は、飽和状態にあるドバイの外側に成長機会があり、この地域における魅力的な市場であり続けている。モロッコ(7位)は再びランキングで上昇し、政府による海外投資誘致の取り組みのおかげで昨年の14位より上昇した。サウジアラビア(11位)は原油以外への経済の多様化に注力しており、小売業が注目されている。アルジェリア(14位)ではモールの拡大が、チュニジア(24位)では観光客流動の増大が小売の拡大を支えていた。この地域最大級の市場の1つであるエジプトは、重大な政治的リスクのために2017年のランキングには入らなかった。

◆中南米地域:
中南米地域では、上位10位に2カ国、上位30位に6カ国が入り、世界的な小売展開において依然として重要な地域となっている。しかし、この地域の国々は異なる方向に向かっているようだ。ペルー(9位)、コロンビア(10位)、パラグアイ(19位)、ボリビア(28位)などでは、強固なファンダメンタルズがランキングの上昇を支えている。一方で、この地域の巨人であるブラジルは、悲惨な景気後退と政治的危機の中で小売業績は過去10年間で最悪となり、これまでで最低の29位に下落した。しかし全体的としては、この数年間の持続的成長で消費に熱心な中産階級が増えたことで、経済的な減退の中にあっても小売には平均以上の成長が見られている。多くの国はまた、域内貿易市場の強化を目指した自由貿易協定により、自国市場を開放している。

◆サブ・サハラ(サハラ以南のアフリカ)諸国:
都市化や継続的な経済発展もあり、小売業者は長年サハラ以南のアフリカ諸国がもつ規模の大きさに魅力を感じてきた。しかし、今年ランキングの上位30位に入った5カ国は、すべて非常に異なった様相を見せており、独自のニュアンスを有している。17位のコートジボワール(小売売上高14億ドル)、21位のタンザニア(小売売上高17億ドル)、25位のケニア(小売売上高28億ドル)のような国々は、この地域における急成長市場として頭角を現している。また、市場飽和度が比較的低いことから、これらの国々におけるビジネスに伴うリスクを厭わない小売業者にとって良い投資機会となっている。ナイジェリア(ランキング27位、小売売上高109億ドル)は原油価格の下落、安全保障上の脅威、汚職など、いくつかの深刻な課題に直面している。カントリーリスクの高さが国の急成長に影を落とし、GRDIでは8ポイント下落した。南アフリカ(26位)は依然としてローカルプレーヤーが強く、そのため市場が飽和状態である。



2017年グローバル・リテール・デベロップメント指数(Global Retail Development Index)の最新版の報告書全文、ならびにバックナンバーはこちらから 【英語】
https://www.atkearney.com/consumer-products-retail/global-retail-development-index


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A.T. カーニー株式会社 JP.Inquiry@atkearney.com

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代表者
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