フロスト&サリバンは、ASEAN自動車市場の2017年の見通しをまとめました。今回の見通しでは、ASEAN主要自動車市場のタイ、インドネシア、マレーシアの展望についてまとめています。
■タイ:2017年の新車販売台数、前年比0.8%増の77万4,900台に微増の見通し
フロスト&サリバンの見通しでは、2017年のタイの新車販売台数は、前年比0.8%増の77万4,900台に微増する予測となっています。2017年にはタイ経済の成長が見込まれているほか、政府が注力するインフラ開発や「ファーストカープログラム」の買い替え制限期間の終了、新型車の投入などの成長要因が予想されるものの、国王の崩御による高級品の買い控えや洪水被害による商用車の販売減少によって、全体では2017年の自動車販売台数は前年比ほぼ横ばいとなる見込みです。
2017年にはタイ政府が進める36のインフラ開発計画や観光産業の活性化、デフレ圧力の緩和によって、タイ経済はおよそ3.2%の成長を遂げる見通しとなっています。また、タイ政府が進める2015年から2022年の8年にわたるインフラ開発計画によって、国際貿易や物流ニーズの増大が見込まれており、特にピックアップトラックと大型トラックの販売台数を刺激することが見込まれます。
2017年には、「ファーストカープログラム(初めて自動車を購入した人対象の税還付制度)」の買い替え制限期間の終了に伴う買い替え需要が、新車販売台数の拡大につながる見込みです。この買い替え需要による経済効果は330億バーツに上る見通しとなり、購買力や消費者マインドを上昇することで、乗用車の販売台数の促進が見込まれています。
「タイ市場は2017年も引き続き、エコカーやピックアップトラックが最量販セグメントとなるでしょう。2016年に導入されたCO2排出量ベースの新税制によって、非エコ大衆車やピックアップ車の価格が上昇した中で、エコカーはマイナス影響を受けませんでした」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門リサーチアナリスト、林更紗は述べます。
一方で、2016年のタイ国王崩御に伴い、高級品の買い控えや消費者マインドの低下によって、高級車を中心とした自動車の需要減退につながる可能性もあります。また、2016年12月に南部で発生した大規模な洪水被害により、道路インフラや農業が大きな被害を受けたことで、ピックアップ車の販売が大きな影響を受けることも予想されます。
■インドネシア:2017年の新車販売台数、前年比5.0%増の111万台に成長の見通し
フロスト&サリバンの分析では、2017年のインドネシアの新車販売台数は、前年比5.0%増の111万3,000台に成長する予測となっています。2017年のインドネシア経済は安定した成長が見込まれているほか、政府支出の拡大や積極的な消費マインド、民間投資や輸出増加、新型車の販売開始によって、2017年に自動車の需要が拡大する見通しとなっています。
2017年のインドネシア経済は、好調な消費動向や投資増加、政府支出の増加や輸出の改善によって、安定した成長が見込まれています。経済成長に伴い消費者マインドも改善し、LCGC(ローコスト・グリーンカー)をはじめ、MPV(多目的車)、SUV(スポーツ多目的車)も堅調な成長を遂げる見通しとなっています。2017年の政府支出のうち18.6%が交通及びインフラ開発に割り当てられ、ジャワ以外の地域への支出配分による地域経済への刺激が期待されています。インドネシア通産省によると、2017年の輸出額は5.6%の成長が見込まれており、これに伴い商用車の需要が増加する見通しとなっています。
「2017年に販売予定の消費者の関心を引く新型車とプロモーションキャンペーンも、新車販売台数の増加を促進するでしょう。MPVやSUV、サブコンパクトカーセグメントで新型モデルやモデルチェンジの販売開始が予定されています。さらに、2016年下半期に販売開始された新車モデルの売上も、2017年の新車販売台数の拡大に貢献するでしょう」と林は述べています。
2017年には、これまで審議中となっていたCO2低排出プログラム等の主要規制や自動車産業ロードマップが決定され、短中期的な市場成長の方向性がさらに明確に提示される見通しです。「一方で、インドネシア自動車市場の持続的な成長や世界的な逆風に立ち向かうためには、財政規律や継続的な構造改革が不可欠となります」と、林は述べます。「また、世界的な原油価格の上昇に伴い、燃料税や電力税が上昇する見通しであり、自動車組み立てや部品製造のコストにも影響を及ぼす可能性もあります。」
■マレーシア:2017年の新車販売台数、前年比1.9%増の59万1,100台に微増の見通し
フロスト&サリバンによる見通しでは、2017年のマレーシアの新車販売台数は、前年比1.9%増の59万1,100台となる予測となっています。2017年には原油価格の上昇によるマレーシア経済の回復や、通貨リンギットの安定、経済回復に伴う消費者マインドの高まりといった市場成長要因が見込まれるものの、リンギット安による部品価格や車両価格の上昇が市場の成長を阻害し、全体として新車販売台数は微増に留まる見通しとなっています。
「2016年に見られたリンギット下落は、2017年に回復が見込まれており、リンギットの安定は輸入部品や輸入完成車(CBU)モデルの価格の安定につながるでしょう。また、マレーシア経済の回復は自動車市場に明るい見通しをもたらすほか、自動車販売価格の引き下げ、雇用の創出や購買力の高まりにもつながり、結果として、乗用車の売上台数の増加が見込まれています」と、林は話します。
主要モデルの投入とプロモーションも、自動車市場を活性化することが期待されます。「2016年下半期に販売開始となったプロデュアの『Bezza』やプロトンの『Ertiga』により、2017年には省エネルギー車(EEV)を中心にした大衆車によって、全体市場の成長がけん引される見通しです」と、林は述べます。また、2017年にはホンダの「City」、「BR-V」、「Jazz」、トヨタの「Altis」、マツダの「CX-9」などの販売も予定されており、自動車販売台数の拡大に好影響をもたらすことが期待されます。
一方で、マレーシア国立銀行による自動車ローン政策の厳格化は、2017年にも引き続き販売台数に影響をもたらすことが予測されます。また、米国連邦準備制度理事会の金利引き上げ次第では、2017年はリンギット安に進行する可能性もあり、リンギット安による輸入車やKD部品の価格上昇が小売価格に転嫁する可能性もあります。
※新車販売台数には、乗用車と商用車が含まれます。
■補足資料:ASEAN自動車市場 2016年の概況
■2016年のタイ自動車市場
2016年のタイ自動車市場は前年比3.9%減の76万8,788台に留まりました。国内およびグローバル経済の停滞や政情不安、自動車物品税体系の変更、タイ国王の崩御による1年間の喪中期間と消費者マインドの低下が、新車販売台数の減少につながりました。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比8.8%減の27万9,827台に留まりました。農家や零細企業に対する経済刺激策や新型車・フェイスリフト車の投入が市場の成長をけん引した一方で、消費者マインドの低下や個人支出の減少によって、乗用車市場が縮小しました。トヨタは乗用車市場で引き続きトップシェアを維持していますが、過去3年連続で同社のシェアは減少しています。一方、ホンダやマツダがシェアを伸ばしています。
<商用車市場>
2016年の商用車の新車販売台数は、前年比0.8%減の48万8,961台に減少しました。観光業の成長が所得が増加し、ピックアップトラックの売上拡大に貢献した一方で、経済停滞や多くの地域を襲った干ばつが農産業に影響を及ぼした結果、商用車の総需要は減少しました。トヨタが商用車市場でトップシェアを占め、いすゞ自動車とフォードも、市場シェアをわずかに拡大しました。引き続き、トヨタといすゞ自動車が商用車市場で60%以上のシェアを保持しています。
■2016年のインドネシア自動車市場
2016年のインドネシアの新車販売台数は、前年比4.6%増の106万台に増加しました。2016年のインドネシア経済成長やインフレ統制、通貨ルピアの安定などが国内消費を拡大し、乗用車の需要が増加しました。一方で、産業全体の輸出減少や物価下落によって商用車市場がさらに縮小し、3年連続で減少しました。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比15.9%増の85万4,000台に成長しました。トヨタやダイハツによる新車モデルやモデルチェンジなどの新型車投入により、LCGCの販売が大幅に増加し、SUVとMPVも売上を伸ばしました。トヨタは「Calya」や「Sienta」といった新車の投入によって、乗用車市場で引き続きトップのシェアを占めています。ホンダは「Mobilio」、「BR-V」、「HR-V」によって堅調にシェアを伸ばし、トヨタに続いて2番目のシェアを占めています。
<商用車市場>
2016年の商用車の新車販売台数は、前年比25.5%減の20万6,000台に減少しました。グローバル全体での商用車需要の低迷や輸出需要の低迷、鉱業・製造業を中心とした不良債権率の増加により、商用車市場は縮小しました。2016年の商用車市場では、三菱自動車がトップシェアを占める一方で、スズキ自動車とダイハツ工業のシェアが下落しました。日野自動車といすゞ自動車が、他社との価格競争によってシェアを拡大しています。
■2016年のマレーシア自動車市場
2016年のマレーシアの新車販売台数は前年比13.0%減の58万124台に減少しました。これには、国内の経済停滞や通貨リンギット下落、自動車ローン審査の厳格化や消費者マインドの低下による需要減退が背景にあります。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比13.0%減の51万4,545台に減少しました。2016年も引き続きプロドゥアが乗用車市場で39.9%のトップシェアを占め、ホンダは続いて17.6%のシェアを占めています。ホンダのシェア拡大に伴い、プロトンのシェアは3位に転落しました。ホンダの「HR-V」の堅調な売上やモデルチェンジの投入によって、SUVのセグメントが8.0%と最も強固な成長を見せています。
<商用車市場>
2016年の商用車市場は、前年比13.0%減の6万5,579台に留まり、経済停滞に伴う景況感の停滞が、商用車の需要低下につながりました。一部のインフラ開発プロジェクトの遅延により、ピックアップトラックや他のトラックの売上が減少しました。商用車市場ではトヨタの市場シェアが6.7%減となるも、依然としてトップシェアを占め、商用車市場の販売をけん引しています。いすゞ自動車がモデルチェンジの投入で急激にシェアを伸ばしたほか、ピックアップトラックの堅調な売上拡大が日産のシェア拡大に貢献しました。
<高級車市場>
2016年のマレーシア自動車市場全体の減少にも関わらず、高級車市場は前年比3.9%増となりました。メルセデスベンツが同市場で48.1%のシェアを占め、BMWが36.4%と2番目のシェアを占めています。
■ASEAN自動車市場の2017年の見通しに関するさらに詳しい資料のご提供は、下記までお問い合わせ下さい。
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フロスト&サリバンは、独自のリサーチに基づいて企業のビジネスを成長に導くグローバルな知見を提供し、ビジネスの新たな成長機会の創出からイノベーションの実現までを支援する、リサーチとコンサルティング機能の両方を兼ね備えた企業のナレッジパートナーです。世界40拠点以上のグローバルネットワークを軸に、世界80カ国ならびに300に及ぶ主要な全てのマーケットを網羅することで、メガトレンドや海外新興市場の台頭、テクノロジーの進化などのグローバルな変化に対応し、企業がグローバルなステージでビジネスを成功させるための360度の視点に基づいた知見を提供しています。 http://www.frostjapan.com
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フロスト&サリバン ジャパン株式会社
広報担当:辻 安奈
〒107-6123 東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル23階
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■タイ:2017年の新車販売台数、前年比0.8%増の77万4,900台に微増の見通し
フロスト&サリバンの見通しでは、2017年のタイの新車販売台数は、前年比0.8%増の77万4,900台に微増する予測となっています。2017年にはタイ経済の成長が見込まれているほか、政府が注力するインフラ開発や「ファーストカープログラム」の買い替え制限期間の終了、新型車の投入などの成長要因が予想されるものの、国王の崩御による高級品の買い控えや洪水被害による商用車の販売減少によって、全体では2017年の自動車販売台数は前年比ほぼ横ばいとなる見込みです。
2017年にはタイ政府が進める36のインフラ開発計画や観光産業の活性化、デフレ圧力の緩和によって、タイ経済はおよそ3.2%の成長を遂げる見通しとなっています。また、タイ政府が進める2015年から2022年の8年にわたるインフラ開発計画によって、国際貿易や物流ニーズの増大が見込まれており、特にピックアップトラックと大型トラックの販売台数を刺激することが見込まれます。
2017年には、「ファーストカープログラム(初めて自動車を購入した人対象の税還付制度)」の買い替え制限期間の終了に伴う買い替え需要が、新車販売台数の拡大につながる見込みです。この買い替え需要による経済効果は330億バーツに上る見通しとなり、購買力や消費者マインドを上昇することで、乗用車の販売台数の促進が見込まれています。
「タイ市場は2017年も引き続き、エコカーやピックアップトラックが最量販セグメントとなるでしょう。2016年に導入されたCO2排出量ベースの新税制によって、非エコ大衆車やピックアップ車の価格が上昇した中で、エコカーはマイナス影響を受けませんでした」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門リサーチアナリスト、林更紗は述べます。
一方で、2016年のタイ国王崩御に伴い、高級品の買い控えや消費者マインドの低下によって、高級車を中心とした自動車の需要減退につながる可能性もあります。また、2016年12月に南部で発生した大規模な洪水被害により、道路インフラや農業が大きな被害を受けたことで、ピックアップ車の販売が大きな影響を受けることも予想されます。
■インドネシア:2017年の新車販売台数、前年比5.0%増の111万台に成長の見通し
フロスト&サリバンの分析では、2017年のインドネシアの新車販売台数は、前年比5.0%増の111万3,000台に成長する予測となっています。2017年のインドネシア経済は安定した成長が見込まれているほか、政府支出の拡大や積極的な消費マインド、民間投資や輸出増加、新型車の販売開始によって、2017年に自動車の需要が拡大する見通しとなっています。
2017年のインドネシア経済は、好調な消費動向や投資増加、政府支出の増加や輸出の改善によって、安定した成長が見込まれています。経済成長に伴い消費者マインドも改善し、LCGC(ローコスト・グリーンカー)をはじめ、MPV(多目的車)、SUV(スポーツ多目的車)も堅調な成長を遂げる見通しとなっています。2017年の政府支出のうち18.6%が交通及びインフラ開発に割り当てられ、ジャワ以外の地域への支出配分による地域経済への刺激が期待されています。インドネシア通産省によると、2017年の輸出額は5.6%の成長が見込まれており、これに伴い商用車の需要が増加する見通しとなっています。
「2017年に販売予定の消費者の関心を引く新型車とプロモーションキャンペーンも、新車販売台数の増加を促進するでしょう。MPVやSUV、サブコンパクトカーセグメントで新型モデルやモデルチェンジの販売開始が予定されています。さらに、2016年下半期に販売開始された新車モデルの売上も、2017年の新車販売台数の拡大に貢献するでしょう」と林は述べています。
2017年には、これまで審議中となっていたCO2低排出プログラム等の主要規制や自動車産業ロードマップが決定され、短中期的な市場成長の方向性がさらに明確に提示される見通しです。「一方で、インドネシア自動車市場の持続的な成長や世界的な逆風に立ち向かうためには、財政規律や継続的な構造改革が不可欠となります」と、林は述べます。「また、世界的な原油価格の上昇に伴い、燃料税や電力税が上昇する見通しであり、自動車組み立てや部品製造のコストにも影響を及ぼす可能性もあります。」
■マレーシア:2017年の新車販売台数、前年比1.9%増の59万1,100台に微増の見通し
フロスト&サリバンによる見通しでは、2017年のマレーシアの新車販売台数は、前年比1.9%増の59万1,100台となる予測となっています。2017年には原油価格の上昇によるマレーシア経済の回復や、通貨リンギットの安定、経済回復に伴う消費者マインドの高まりといった市場成長要因が見込まれるものの、リンギット安による部品価格や車両価格の上昇が市場の成長を阻害し、全体として新車販売台数は微増に留まる見通しとなっています。
「2016年に見られたリンギット下落は、2017年に回復が見込まれており、リンギットの安定は輸入部品や輸入完成車(CBU)モデルの価格の安定につながるでしょう。また、マレーシア経済の回復は自動車市場に明るい見通しをもたらすほか、自動車販売価格の引き下げ、雇用の創出や購買力の高まりにもつながり、結果として、乗用車の売上台数の増加が見込まれています」と、林は話します。
主要モデルの投入とプロモーションも、自動車市場を活性化することが期待されます。「2016年下半期に販売開始となったプロデュアの『Bezza』やプロトンの『Ertiga』により、2017年には省エネルギー車(EEV)を中心にした大衆車によって、全体市場の成長がけん引される見通しです」と、林は述べます。また、2017年にはホンダの「City」、「BR-V」、「Jazz」、トヨタの「Altis」、マツダの「CX-9」などの販売も予定されており、自動車販売台数の拡大に好影響をもたらすことが期待されます。
一方で、マレーシア国立銀行による自動車ローン政策の厳格化は、2017年にも引き続き販売台数に影響をもたらすことが予測されます。また、米国連邦準備制度理事会の金利引き上げ次第では、2017年はリンギット安に進行する可能性もあり、リンギット安による輸入車やKD部品の価格上昇が小売価格に転嫁する可能性もあります。
※新車販売台数には、乗用車と商用車が含まれます。
■補足資料:ASEAN自動車市場 2016年の概況
■2016年のタイ自動車市場
2016年のタイ自動車市場は前年比3.9%減の76万8,788台に留まりました。国内およびグローバル経済の停滞や政情不安、自動車物品税体系の変更、タイ国王の崩御による1年間の喪中期間と消費者マインドの低下が、新車販売台数の減少につながりました。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比8.8%減の27万9,827台に留まりました。農家や零細企業に対する経済刺激策や新型車・フェイスリフト車の投入が市場の成長をけん引した一方で、消費者マインドの低下や個人支出の減少によって、乗用車市場が縮小しました。トヨタは乗用車市場で引き続きトップシェアを維持していますが、過去3年連続で同社のシェアは減少しています。一方、ホンダやマツダがシェアを伸ばしています。
<商用車市場>
2016年の商用車の新車販売台数は、前年比0.8%減の48万8,961台に減少しました。観光業の成長が所得が増加し、ピックアップトラックの売上拡大に貢献した一方で、経済停滞や多くの地域を襲った干ばつが農産業に影響を及ぼした結果、商用車の総需要は減少しました。トヨタが商用車市場でトップシェアを占め、いすゞ自動車とフォードも、市場シェアをわずかに拡大しました。引き続き、トヨタといすゞ自動車が商用車市場で60%以上のシェアを保持しています。
■2016年のインドネシア自動車市場
2016年のインドネシアの新車販売台数は、前年比4.6%増の106万台に増加しました。2016年のインドネシア経済成長やインフレ統制、通貨ルピアの安定などが国内消費を拡大し、乗用車の需要が増加しました。一方で、産業全体の輸出減少や物価下落によって商用車市場がさらに縮小し、3年連続で減少しました。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比15.9%増の85万4,000台に成長しました。トヨタやダイハツによる新車モデルやモデルチェンジなどの新型車投入により、LCGCの販売が大幅に増加し、SUVとMPVも売上を伸ばしました。トヨタは「Calya」や「Sienta」といった新車の投入によって、乗用車市場で引き続きトップのシェアを占めています。ホンダは「Mobilio」、「BR-V」、「HR-V」によって堅調にシェアを伸ばし、トヨタに続いて2番目のシェアを占めています。
<商用車市場>
2016年の商用車の新車販売台数は、前年比25.5%減の20万6,000台に減少しました。グローバル全体での商用車需要の低迷や輸出需要の低迷、鉱業・製造業を中心とした不良債権率の増加により、商用車市場は縮小しました。2016年の商用車市場では、三菱自動車がトップシェアを占める一方で、スズキ自動車とダイハツ工業のシェアが下落しました。日野自動車といすゞ自動車が、他社との価格競争によってシェアを拡大しています。
■2016年のマレーシア自動車市場
2016年のマレーシアの新車販売台数は前年比13.0%減の58万124台に減少しました。これには、国内の経済停滞や通貨リンギット下落、自動車ローン審査の厳格化や消費者マインドの低下による需要減退が背景にあります。
<乗用車市場>
2016年の乗用車の新車販売台数は、前年比13.0%減の51万4,545台に減少しました。2016年も引き続きプロドゥアが乗用車市場で39.9%のトップシェアを占め、ホンダは続いて17.6%のシェアを占めています。ホンダのシェア拡大に伴い、プロトンのシェアは3位に転落しました。ホンダの「HR-V」の堅調な売上やモデルチェンジの投入によって、SUVのセグメントが8.0%と最も強固な成長を見せています。
<商用車市場>
2016年の商用車市場は、前年比13.0%減の6万5,579台に留まり、経済停滞に伴う景況感の停滞が、商用車の需要低下につながりました。一部のインフラ開発プロジェクトの遅延により、ピックアップトラックや他のトラックの売上が減少しました。商用車市場ではトヨタの市場シェアが6.7%減となるも、依然としてトップシェアを占め、商用車市場の販売をけん引しています。いすゞ自動車がモデルチェンジの投入で急激にシェアを伸ばしたほか、ピックアップトラックの堅調な売上拡大が日産のシェア拡大に貢献しました。
<高級車市場>
2016年のマレーシア自動車市場全体の減少にも関わらず、高級車市場は前年比3.9%増となりました。メルセデスベンツが同市場で48.1%のシェアを占め、BMWが36.4%と2番目のシェアを占めています。
■ASEAN自動車市場の2017年の見通しに関するさらに詳しい資料のご提供は、下記までお問い合わせ下さい。
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