一般社団法人情報処理学会(会長:富田達夫)は、我が国のコンピュータ技術発達史上の貴重な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図るために、2008年度より情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定制度を設けています。
第8回目となる本年度は、10件の情報処理技術遺産と1件の分散コンピュータ博物館を認定し、史料の所有者をお招きして認定式を行うことになりましたので、お知らせいたします。
■期日 2016年3月10日(木)15:50~16:35
■会場 慶應義塾大学 日吉キャンパス(横浜市港北区日吉4-1-1)特別会場 藤原洋記念ホール(協生館2F)
●認定制度制定の背景と目的
情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を当会ホームページの中の「コンピュータ博物館」に掲載して、紹介してきました。約1,700点の写真を含めてその史料点数は3,000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるなど、多数の方々にご利用いただいております。
しかしながら、それら史料の大半はすでに実物としては存在しておりません。コンピュータ技術の急速な発展や利用環境の変化の中で、古い技術や製品の意義が見失われ、廃棄されて急速に失われつつあります。情報処理学会では、現存する貴重な史料をコンピュータに特化した実博物館などで保存すべきと考えて各方面に働きかけるなど努力してきましたが、残念ながら未だ実現の可能性がみえません。
このような状況の中で、わずかに残っている貴重な史料の保存を図るとともに、我が国のコンピュータ技術の発展を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことが急務と考えております。その一助として、情報処理技術遺産の認定制度を設けました。
また、小規模ながら、貴重な史料を保存・展示しておられる資料室やコレクションが日本各地に点在いたします。それらをネットワーク化して利用を拡大することも有意義であると考え、併せて分散コンピュータ博物館の認定制度も設けました。
コンピュータ博物館:http://museum.ipsj.or.jp/
情報処理技術遺産 :http://museum.ipsj.or.jp/heritage/index.html
●2015年度認定リスト
<情報処理技術遺産>10件
1)物理乱数発生装置群
製造者:(株)日立製作所、(株)東芝、東京エレクトロン デバイス(株)、他
製造年:1950年頃~2010年
統計数理研究所の研究業務で製作された10点ほどの物理乱数発生装置と関係資料からなる集合遺産であり、世界的にも類を見ないものである。
2)KDC-1論理パッケージ
製造者:(株)日立製作所
製造年:1960年
京都大学と日立製作所で共同開発され、我が国の大学初の計算センターで共同利用されたKDC-1の構成部品。
3)NEACシリーズ 2200モデル500論理パッケージ
製造者:日本電気(株)
製造年:1965年
世界初の全IC化した商用コンピュータの論理パッケージ。
4)TOSBAC-1100D
製造者:東京芝浦電気(株)(現・(株)東芝)
製造年:1966年
1964年に発表された初期のオフコンで、紙テープベースの伝票発行機。トランジスタ方式。
5)TTL論理回路カード(FACOM 230-60搭載)
製造者:富士通(株)
製造年:1968年
1968年に出荷した、マルチプロセッサシステムとして世界に先駆けICを全面採用したFACOM 230-60の構成部品である。
6)DIPS4150形磁気ドラム記憶装置
製造者:日本電信電話公社(現・日本電信電話(株))、(株)日立製作所
製造年:1969年
NTTのDIPS-1用の補助記憶装置として、浮動ヘッド技術を適用した磁気ドラム記憶装置である。記憶容量は4MB。
7)HITAC 8800部品類
製造者:(株)日立製作所
製造年:1972年
汎用機HITAC 8000シリーズの最上位機HITAC 8800の論理パッケージ、コアメモリ、システムコンソール等。
8)磁気バブルメモリ製品群およびBUBCOM80
製造者:富士通(株)
製造年:1978年~1989年
1970年代後半から80年代に使われたバブルメモリの、製造工程、製品モジュールおよびパソコンの展示群である。
9)if800モデル30
製造者:沖電気工業(株)
製造年:1981年
初期の本格的なビジネス向けパソコンで、プリンターを内蔵している。
10)HITAC S-810論理パッケージ
製造者:(株)日立製作所
製造年:1983年
我が国で最初に完成し、出荷された本格的なスーパーコンピュータS-810の論理パッケージ。
<分散コンピュータ博物館>1件
1)情報・システム研究機構 統計数理研究所 計算機展示室
統計数理研究所で使用された各種コンピュータおよび周辺装置を展示。研究機関における情報処理機器利用の変遷をよく保存している。
<本件に関するお問い合わせ>
企業名:一般社団法人情報処理学会
担当者名:会誌編集部門 TEL:03-3518-8371 Email:editj@ipsj.or.jp
第8回目となる本年度は、10件の情報処理技術遺産と1件の分散コンピュータ博物館を認定し、史料の所有者をお招きして認定式を行うことになりましたので、お知らせいたします。
■期日 2016年3月10日(木)15:50~16:35
■会場 慶應義塾大学 日吉キャンパス(横浜市港北区日吉4-1-1)特別会場 藤原洋記念ホール(協生館2F)
●認定制度制定の背景と目的
情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を当会ホームページの中の「コンピュータ博物館」に掲載して、紹介してきました。約1,700点の写真を含めてその史料点数は3,000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるなど、多数の方々にご利用いただいております。
しかしながら、それら史料の大半はすでに実物としては存在しておりません。コンピュータ技術の急速な発展や利用環境の変化の中で、古い技術や製品の意義が見失われ、廃棄されて急速に失われつつあります。情報処理学会では、現存する貴重な史料をコンピュータに特化した実博物館などで保存すべきと考えて各方面に働きかけるなど努力してきましたが、残念ながら未だ実現の可能性がみえません。
このような状況の中で、わずかに残っている貴重な史料の保存を図るとともに、我が国のコンピュータ技術の発展を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことが急務と考えております。その一助として、情報処理技術遺産の認定制度を設けました。
また、小規模ながら、貴重な史料を保存・展示しておられる資料室やコレクションが日本各地に点在いたします。それらをネットワーク化して利用を拡大することも有意義であると考え、併せて分散コンピュータ博物館の認定制度も設けました。
コンピュータ博物館:http://museum.ipsj.or.jp/
情報処理技術遺産 :http://museum.ipsj.or.jp/heritage/index.html
●2015年度認定リスト
<情報処理技術遺産>10件
1)物理乱数発生装置群
製造者:(株)日立製作所、(株)東芝、東京エレクトロン デバイス(株)、他
製造年:1950年頃~2010年
統計数理研究所の研究業務で製作された10点ほどの物理乱数発生装置と関係資料からなる集合遺産であり、世界的にも類を見ないものである。
2)KDC-1論理パッケージ
製造者:(株)日立製作所
製造年:1960年
京都大学と日立製作所で共同開発され、我が国の大学初の計算センターで共同利用されたKDC-1の構成部品。
3)NEACシリーズ 2200モデル500論理パッケージ
製造者:日本電気(株)
製造年:1965年
世界初の全IC化した商用コンピュータの論理パッケージ。
4)TOSBAC-1100D
製造者:東京芝浦電気(株)(現・(株)東芝)
製造年:1966年
1964年に発表された初期のオフコンで、紙テープベースの伝票発行機。トランジスタ方式。
5)TTL論理回路カード(FACOM 230-60搭載)
製造者:富士通(株)
製造年:1968年
1968年に出荷した、マルチプロセッサシステムとして世界に先駆けICを全面採用したFACOM 230-60の構成部品である。
6)DIPS4150形磁気ドラム記憶装置
製造者:日本電信電話公社(現・日本電信電話(株))、(株)日立製作所
製造年:1969年
NTTのDIPS-1用の補助記憶装置として、浮動ヘッド技術を適用した磁気ドラム記憶装置である。記憶容量は4MB。
7)HITAC 8800部品類
製造者:(株)日立製作所
製造年:1972年
汎用機HITAC 8000シリーズの最上位機HITAC 8800の論理パッケージ、コアメモリ、システムコンソール等。
8)磁気バブルメモリ製品群およびBUBCOM80
製造者:富士通(株)
製造年:1978年~1989年
1970年代後半から80年代に使われたバブルメモリの、製造工程、製品モジュールおよびパソコンの展示群である。
9)if800モデル30
製造者:沖電気工業(株)
製造年:1981年
初期の本格的なビジネス向けパソコンで、プリンターを内蔵している。
10)HITAC S-810論理パッケージ
製造者:(株)日立製作所
製造年:1983年
我が国で最初に完成し、出荷された本格的なスーパーコンピュータS-810の論理パッケージ。
<分散コンピュータ博物館>1件
1)情報・システム研究機構 統計数理研究所 計算機展示室
統計数理研究所で使用された各種コンピュータおよび周辺装置を展示。研究機関における情報処理機器利用の変遷をよく保存している。
<本件に関するお問い合わせ>
企業名:一般社団法人情報処理学会
担当者名:会誌編集部門 TEL:03-3518-8371 Email:editj@ipsj.or.jp