ウイングアーク1st株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長CEO:内野弘幸)は、富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社(本社:神奈川県海老名市、代表取締役社長:石井健児)が、鈴鹿事業所における生産現場で不良を出さない取り組みとして、情報活用ダッシュボード「MotionBoard」によるリアルタイムモニタリングの仕組みを構築し、活用していることを本日お知らせします。
【富士ゼロックスマニュファクチュアリングについて】
富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社は、厳しい経営環境下において強靭な企業体質への変革と、高品質・低コスト・短納期などの生産力強化を目指し、国内4拠点(鈴鹿、富山、新潟、竹松)に分散していた生産機能を再編・統合することにより2010年に誕生しました。
富士ゼロックスにおける日本国内の製造事業会社として、プリンター・デジタル複合機およびトナーや感光体、転写ベルトなどキーコンポーネントの製造、および機種の組立生産を行っています。
【導入の背景】
同社では、従来、生産現場の状況を主に設備からのデータによりリアルタイムで可視化できるシステムは存在していましたが、手書きを伴う帳票で運用をしていた部分はその対象ではありませんでした。基幹システムで扱わないデータは項目や書式などが標準化されておらず、各ラインの独自の判断で作業者が日報に手書きし、この手書き日報をあらためてExcelに入力のうえ、1次加工、2次加工を行うなど煩雑な手間がかかっていました。また、作成するレポートは“管理のための管理”という色合いが濃く、品質向上のためのデータ活用は不十分でした。
こうした経緯から着目したのが、「BIを活用した生産現場でのリアルタイムモニタリング」による課題解決です。 「ConMas i-Reporter」※と「MotionBoard」を連携させることで、その仕組みを実現しました。
また、この新しい仕組みと従来からのリアルタイムで可視化できるシステムを連携させ、発展させていく予定です。
※株式会社シムトップスのiPadを使用した、デジタル入力と手書きを融合させた記録・報告・閲覧ソリューション
【導入効果】
2015年8月より、複合機部品の製造ラインで本格的な活用を開始しました。
1. 複合機部品製造ラインでの品質管理適用事例
複合機部品の同製造ラインでは、各自が作成した日報を回収し、Excelに入力するという手間をかけていました。さらに、これらの入力後のデータをグラフ化し、発生した不良の原因を推定、現場を確認し、実際に対策を打つまでには2 ~ 3日のリードタイムを要していました。
日々の作業日報を紙からiPadによるダイレクト入力に変更したことにより、それまで毎日80分を費やしていたExcelへの手入力の工数を0分へと完全になくすことに成功しました。このときの入力においては、全員が戸惑うことなくデータ入力を行えるように、これまで使ってきた紙の帳票レイアウトを、そっくりそのままiPad上に再現しました。
一方、入力されたデータのアウトプットは、全体責任者および各ラインのリーダー、品質責任者のPCやiPadのダッシュボード画面に、過去24時間分のデータが自動的に集計され、各工程の不良発生頻度が「赤(多発)」「黄(注意)」「青(良好)」のサインで示されます。「赤」や「黄」のアラートが表示された場合は、ダッシュボード上にはその手がかりとなる様々なKPIの推移もリアルタイムで示されるので、これに基づいて、その場で対処すべきことを判断できるようになりました。従来に比べて最大15バッチ以上も前の工程で不具合の状況をつかみ、その場で対処することが可能となり、“不良を作り続けない仕組み”を実現しました。
2. 電子基板製造ラインでの品質・生産性改善事例
コピー機や複合機などの電子基板の製造ラインではSMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)や画像による検査など自動化が進んでいるものの、コネクタ部分のはんだ付けや目視検査など人手に頼っている部分も残っています。
検査の担当者は、約30秒に1枚のタクトタイムで製造ラインを流れてくる電子基板をチェックし、不良を発見した場合に、不良内容を紙(手組修理シート)に記載して貼付するという一連の作業を行い、修理工程に回していました。また、その日の生産を終えたあと、まとめてデータ入力を行っており、システム上でラインごとの実績を把握できるのは、そのさらに2~4日後になっていました。
不良情報をiPadからダイレクトに入力できるようにするとともに、そのデータを最小限のタイムラグでMotionBoardの画面に表示する仕組みを構築することにより、検査工程における作業時間のバラツキが見えるようになりました。不良が連続的に発生すると、検査待ち品が滞留して後ろの工程の作業者に手待ちが生じるという、いわゆる“ラインよどみ”をリアルタイムに把握でき分析の結果、よどみの原因の特定に成功しました。よどみ改善として手組工程への品質フィードバックや検査判定ごとの仕組みを見直すことで、よどみがなくなり、ラインの残業時間が毎日約1時間も減りました。リアルタイムのデータが、生産性改善につながりました。
【今後について】
リアルタイムモニタリングの仕組みは生産現場で様々な効果を上げ始めています。現在は複数のラインでのリアルタイムモニタリングに向けた取り組みを進めている過程にあります。同社は、生産現場における徹底した品質向上を目指し、不良を出さない「良品条件」を探求し続ける考えです。
<執行役員 鈴鹿事業所長 古川 雅晴様のコメント>
「確実に不良が少なくなってきたという効果を実感しています。しかしながら、まだまだ私たちの期待値には届いていません。不良を出さないための対処をタイムリーに行えるようになりましたが、それは何らかの不具合が発見されてからの話です。私たちが目指しているのは、『不良そのものを作らない』ことなのです。私たちは『良品条件』と呼んでいますが、『これさえ守っていれば絶対に不良は作らない』という条件が必ずあるはずです。それが明らかになっていないために、不良が発生しているのです。それを解き明かして、引き当てていくことが、MotionBoardを生産現場で活用することの本当の目的です」
詳細については下記URLをご参照ください。
■事例紹介
http://www.wingarc.com/product/usecase/detail.php?id=185
■動画インタビュー
https://youtu.be/trctMwVkA6Q
<製品・サービスに関するお問い合わせ先>
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