フロスト&サリバンは、2016年のASEAN(東南アジア諸国連合)自動車市場の見通しを発表しました。今回の分析では、ASEANの主要自動車市場となる、マレーシア、タイ、インドネシアの展望をまとめています。
マレーシア:2016年の新車販売台数、前年比1.44%減の64万8000台の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のマレーシア自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比1.44%減の64万8000台となる予測となっています。
2016年の新車販売台数の減少の予測は、経済的圧力、通貨リンギット安、自動車価格の上昇やローン承認の引き締めが主な要因となっています。「自動車OEMはコスト上昇に伴い、自動車価格の引き上げに迫られています。原油価格の大幅下落や、通貨リンギット安が続いた場合、OEMや部品サプライヤーに多大な圧力をもたらすことになるでしょう」とフロスト&サリバンの自動車・交通運輸部門VP、ビベック・バイダは述べています。
一方で明るい見通しとしては、2016年に発売予定の主要モデルが、自動車の販売台数を促進することが期待されます。マレーシアの国家自動車政策(NAP)下の低燃費自動車(EEV)の国内生産に対する様々なインセンティブの継続や現地生産は、自動車OEMが競争性を高め、販売価格を維持する手助けになることが見込まれます。
タイ:2016年の新車販売台数、前年比1.3%減の78万台に減少の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のタイ自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比1.3%減の78万台となる予測となっています。この見通しの背景は、不安定な世界経済や輸出セクターに対する課題や高い家計債務に基づいています。
低水準の民間投資や消費の落ち込み、不安定な世界経済により、タイの向こう5年間の国内総生産(GDP)成長率は3.5%に留まる見通しとなっています。「付加価値の高い仕事の不足や、生産性の制限、ベトナムなどの国からの投資における競争の欠如、さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向けた圧力が、タイ経済に影響をもたらしています」とバイダは述べています。
タイでは自動車保有台数が1000人当たり175台に近付きつつあるほか、、廃車規定の不在により、タイ自動車市場は飽和状態に到達しつつあります。都市人口が年間平均2.3%増で急速に成長しているほか、インフラの整備と自動車の需要のミスマッチも自動車所有を抑制する要因となっています。また、輸出セクターにおける不安定さは2016年も継続し、自動車の販売台数にさらに影響を及ぼす見込みです。
その一方で、自動車OEMは新型車の投入に合わせて販売プロモーションをタイで展開する予定であり、小型SUV(スポーツタイプ多目的車)やクロスオーバー車の人気も高まっています。
新型車やモデルチェンジは主要セグメントの売上を促進することが期待されており、これにはホンダの10代目「シビック」、フォードの「フォーカス」フェースリフト、トヨタ自動車の「イノーバ」と「ビオス」、日産自動車の「マーチ」、三菱自動車の「ミラージュ」、スバルの「インプレッサ」が含まれます。
また、中所得者層の拡大や、タイ政府の2015年から2022年までの3兆3000億バーツ相当の8カ年インフラ開発計画は、短中期的に自動車需要を促進することが期待されます。
さらに、タイの自動車セクターは多大な設備容量や輸出志向、グローバルのサプライチェーンとの強固な連携により、同市場の自発的な勢いとスケールメリットを生み出しています。「タイ政府のエコカー政策やEV(電気自動車)振興策といった積極的な刺激策は、自動車市場減退を緩和し、自動車産業の長期的な成長に向けた投資誘致につながるでしょう」とバイダは述べます。
インドネシア:2016年の新車販売台数、前年比4.3%減の96万9100台に減少の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のインドネシア自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比4.3%減の96万9100台に減少する見通しとなっています。新車販売台数の減少は、主にインドネシア経済の落ち込みが要因として挙げられます。商品市場の停滞や価格の低迷、通貨ルピア安が、自動車の販売台数減少の主な要因となっています。
「米国の金利引き上げや中国経済の混乱がさらに通貨ルピア安を推し進め、パーツやコンポーネンツおよび完成車の輸入価格の引き上げにつながっています。これは、多くの車種の価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。輸入された完成車の中でも、特に高級車の価格が上昇する可能性があります。ローコスト・グリーンカー(LCGC)は、現地生産の割合が高いため、価格上昇の影響を最も受けにくいモデルとなります」とバイダは述べます。
その一方で、経済特別地域(SEZ)への投資に向けたインセンティブや、8%増のインフラ支出、中小企業に対する開発支援、予定されている税金の引き下げ、外国投資における制限の撤廃などは、インドネシア政府が5~6%増を目指す商用車の需要拡大につながることが期待されます。インドネシア政府は経済活性化に向けた政策を打ち出しており、これが商用車の需要拡大につながることが期待されます。
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フロスト&サリバンについて:
フロスト&サリバンは、独自のリサーチに基づいて企業のビジネスを成長に導くグローバルな知見を提供し、ビジネスの新たな成長機会の創出からイノベーションの実現までを支援する、リサーチとコンサルティング機能の両方を兼ね備えた企業のナレッジパートナーです。世界40拠点以上のグローバルネットワークを軸に、世界80カ国ならびに300に及ぶ主要な全てのマーケットを網羅することで、メガトレンドや海外新興市場の台頭、テクノロジーの進化などのグローバルな変化に対応し、企業がグローバルなステージでビジネスを成功させるための360度の視点に基づいた知見を提供しています。 http://www.frostjapan.com
本件に関するお問い合わせ先:
フロスト&サリバン ジャパン株式会社 担当:辻
〒107-6123 東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル23階
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マレーシア:2016年の新車販売台数、前年比1.44%減の64万8000台の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のマレーシア自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比1.44%減の64万8000台となる予測となっています。
2016年の新車販売台数の減少の予測は、経済的圧力、通貨リンギット安、自動車価格の上昇やローン承認の引き締めが主な要因となっています。「自動車OEMはコスト上昇に伴い、自動車価格の引き上げに迫られています。原油価格の大幅下落や、通貨リンギット安が続いた場合、OEMや部品サプライヤーに多大な圧力をもたらすことになるでしょう」とフロスト&サリバンの自動車・交通運輸部門VP、ビベック・バイダは述べています。
一方で明るい見通しとしては、2016年に発売予定の主要モデルが、自動車の販売台数を促進することが期待されます。マレーシアの国家自動車政策(NAP)下の低燃費自動車(EEV)の国内生産に対する様々なインセンティブの継続や現地生産は、自動車OEMが競争性を高め、販売価格を維持する手助けになることが見込まれます。
タイ:2016年の新車販売台数、前年比1.3%減の78万台に減少の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のタイ自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比1.3%減の78万台となる予測となっています。この見通しの背景は、不安定な世界経済や輸出セクターに対する課題や高い家計債務に基づいています。
低水準の民間投資や消費の落ち込み、不安定な世界経済により、タイの向こう5年間の国内総生産(GDP)成長率は3.5%に留まる見通しとなっています。「付加価値の高い仕事の不足や、生産性の制限、ベトナムなどの国からの投資における競争の欠如、さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向けた圧力が、タイ経済に影響をもたらしています」とバイダは述べています。
タイでは自動車保有台数が1000人当たり175台に近付きつつあるほか、、廃車規定の不在により、タイ自動車市場は飽和状態に到達しつつあります。都市人口が年間平均2.3%増で急速に成長しているほか、インフラの整備と自動車の需要のミスマッチも自動車所有を抑制する要因となっています。また、輸出セクターにおける不安定さは2016年も継続し、自動車の販売台数にさらに影響を及ぼす見込みです。
その一方で、自動車OEMは新型車の投入に合わせて販売プロモーションをタイで展開する予定であり、小型SUV(スポーツタイプ多目的車)やクロスオーバー車の人気も高まっています。
新型車やモデルチェンジは主要セグメントの売上を促進することが期待されており、これにはホンダの10代目「シビック」、フォードの「フォーカス」フェースリフト、トヨタ自動車の「イノーバ」と「ビオス」、日産自動車の「マーチ」、三菱自動車の「ミラージュ」、スバルの「インプレッサ」が含まれます。
また、中所得者層の拡大や、タイ政府の2015年から2022年までの3兆3000億バーツ相当の8カ年インフラ開発計画は、短中期的に自動車需要を促進することが期待されます。
さらに、タイの自動車セクターは多大な設備容量や輸出志向、グローバルのサプライチェーンとの強固な連携により、同市場の自発的な勢いとスケールメリットを生み出しています。「タイ政府のエコカー政策やEV(電気自動車)振興策といった積極的な刺激策は、自動車市場減退を緩和し、自動車産業の長期的な成長に向けた投資誘致につながるでしょう」とバイダは述べます。
インドネシア:2016年の新車販売台数、前年比4.3%減の96万9100台に減少の見通し
フロスト&サリバンによる2016年のインドネシア自動車市場の分析では、2016年の新車販売台数は前年比4.3%減の96万9100台に減少する見通しとなっています。新車販売台数の減少は、主にインドネシア経済の落ち込みが要因として挙げられます。商品市場の停滞や価格の低迷、通貨ルピア安が、自動車の販売台数減少の主な要因となっています。
「米国の金利引き上げや中国経済の混乱がさらに通貨ルピア安を推し進め、パーツやコンポーネンツおよび完成車の輸入価格の引き上げにつながっています。これは、多くの車種の価格に大きな影響を及ぼす可能性があります。輸入された完成車の中でも、特に高級車の価格が上昇する可能性があります。ローコスト・グリーンカー(LCGC)は、現地生産の割合が高いため、価格上昇の影響を最も受けにくいモデルとなります」とバイダは述べます。
その一方で、経済特別地域(SEZ)への投資に向けたインセンティブや、8%増のインフラ支出、中小企業に対する開発支援、予定されている税金の引き下げ、外国投資における制限の撤廃などは、インドネシア政府が5~6%増を目指す商用車の需要拡大につながることが期待されます。インドネシア政府は経済活性化に向けた政策を打ち出しており、これが商用車の需要拡大につながることが期待されます。
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フロスト&サリバンについて:
フロスト&サリバンは、独自のリサーチに基づいて企業のビジネスを成長に導くグローバルな知見を提供し、ビジネスの新たな成長機会の創出からイノベーションの実現までを支援する、リサーチとコンサルティング機能の両方を兼ね備えた企業のナレッジパートナーです。世界40拠点以上のグローバルネットワークを軸に、世界80カ国ならびに300に及ぶ主要な全てのマーケットを網羅することで、メガトレンドや海外新興市場の台頭、テクノロジーの進化などのグローバルな変化に対応し、企業がグローバルなステージでビジネスを成功させるための360度の視点に基づいた知見を提供しています。 http://www.frostjapan.com
本件に関するお問い合わせ先:
フロスト&サリバン ジャパン株式会社 担当:辻
〒107-6123 東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル23階
電話:03-4550-2215/FAX:03-4550-2205/E-mail: anna.tsuji@frost.com
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