松谷化学工業株式会社
ニュースリリース
2015年12月3日
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松谷化学工業、長崎県立大学、長崎大学
「各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響」について 共同研究結果を発表
-日本食物繊維学会「第20回学術集会」において-
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でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカー 松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市 代表取締役社長:松谷晴世 以下、松谷)は、このたび長崎県立大学、長崎大学と当社研究所による希少糖共同研究チームが、自然界に存在量の少ない「希少糖」の一種「プシコース」(英名:アルロース)とプシコースと類似の構造を有する希少糖である「タガトース」、「ソルボース」がそれぞれラットの脂質代謝に及ぼす影響に関する比較研究の結果を一般社団法人日本食物繊維学会「第20回学術集会」において口頭発表したことをお知らせします。なお、本研究は世界で初めて行われたものです。
本研究発表は、日本食物繊維学会「第20回学術集会」会期中の2015年11月29日(日)(会期:2015年11月28日(土)~29日(日) 会場:那食品工業株式会社 かんてんぱぱガーデン)で行われました。
研究発表の概要は下記のとおりです。
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【研究発表概要】
学会名:日本食物繊維学会「第20回学術集会」(http://jdf.umin.ne.jp/)
演題番号:2-4 発表形式: 一般講演
セッション日時: 2015年11月29日(日) 10:02~10:16 会場:かんてんぱぱガーデン内かんてんぱぱ西ホール
【演題名】
「各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響」
【研究目的】
肥満や糖尿病などの生活習慣病は近年増加しており、その原因の一つとして「フラクトース」を含む甘味料の過剰摂取があげられます。希少糖は、自然界に存在量の少ない単糖とその誘導体です。希少糖の一種の「プシコース」は、これまでに肝臓での脂肪合成を抑制することや白色脂肪組織重量を減少することがラットにおいて確認されています。しかし、「プシコース」以外の希少糖による脂質代謝への影響は、更なる詳細な比較検討が必要です。そこで本研究では、「プシコース」及びプシコースと類似の構造をもつ希少糖である「タガトース」及び「ソルボース」をラットに摂取させて、血清や肝臓脂質濃度、脂肪合成関連酵素活性等を測定することにより、各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響を比較することを目的としました。
【研究方法】
試験食はコントロール食(AIN-93G組成)のβ-コーンスターチの3パーセントを各実験試料(フラクトース、プシコース、タガトース、ソルボース)で置換しました。1週間予備飼育した5週齢のSprague-Dawley系雄ラットにこれらの試料を自由摂食させ、2日毎に体重と食餌摂取量を測定しました。飼育終了後、非絶食下で屠殺し、肝臓および脂肪組織の重量、血清脂質、グルコース濃度、インスリン、レプチンおよびアディポネクチン濃度を測定しました。また、肝臓における脂肪合成酵素と脂肪酸酸化酵素の活性を測定しました。
【研究結果・考察】
4週間の飼育終了後の体重および摂食量にはすべての群間で差は認められませんでした。臓器重量において、白色脂肪組織重量は希少糖摂取でコントロール食摂取より低いことが示されました。
血清脂質に関して、トリグリセリド濃度はソルボース群でコントロール群に対して低い傾向を示し、コレステロール濃度はすべての群間で差が認められませんでした。インスリン濃度はコントロール群よりプシコース群で低い傾向を示しましたが、タガトース群およびソルボース群では変動しませんでした。
レプチン濃度は希少糖を添加したすべての群でコントロール群と比較して低い傾向にありました。アディポネクチン濃度はソルボース群で有意に低く、プシコースおよびタガトース群ではコントロール群と同じレベルでした。肝臓トリグリセリド濃度にすべての群間で差は認められませんでした。
肝臓における脂肪酸合成に関わる酵素に対しても様々な影響が示されました。まず、脂肪酸合成酵素(Fatty acid synthase)の活性はタガトース群においてコントロール群より高い傾向を示し、プシコース群およびソルボース群においては低い傾向で、タガトース群より有意に低値でした。また、リンゴ酸酵素(Malic enzyme)の活性はプシコース群およびソルボース群においてタガトース群と比較して有意に低いことが示されました。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの活性はプシコース群でコントロール群およびタガトース群より有意に低値を示しました。ホスファチジン酸ホスファターゼの活性はプシコース群とソルボース群でコントロール群より有意に低値でしたが、タガトース群では高い傾向でした。一方、脂肪酸酸化に関わる酵素の活性は、すべての群間で差が認められませんでした。
以上の結果から、プシコースとソルボースは脂肪合成酵素の活性を抑制し、一方、タガトースは上昇させましたが、血清と肝臓トリグリセリド濃度にはいずれも影響がありませんでした。プシコースはこれまでの結果と同様に白色脂肪組織重量を低下させました。したがって、これら希少糖は構造的に類似するものの、脂質代謝に異なる影響を与えることが示唆されました。
以上
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「希少糖」(レアシュガー Rare Sugar)について:
「希少糖」とは、自然界に微量にしか無い、希少な単糖およびその誘導体の総称として、国際希少糖学会によって定義され、また各種希少糖を大量生産する道すじが何森教授(当時)によって示されました。量は非常に少ないのですが、種類は多く、自然界に50種以上存在しています。キシリトールも希少糖の一種です。
近年、香川大学ほか研究機関による希少糖の大量生産技術の確立により研究が進み、様々な生理活性が発見されました。特に、希少糖の一種である、ノンカロリーで甘味度は砂糖の7割程度の「プシコース」(英名:アルロース)には、食後血糖上昇抑制作用、内臓脂肪蓄積抑制作用やアンチエイジング効果が認められています。また、「アロース」には血圧上昇抑制作用、抗酸化作用などの生理活性のほかアンチエイジング効果も認められており、医薬品や機能性食品、化粧品などへの応用開発が進められています。
2010年、松谷化学工業と株式会社希少糖生産技術研究所(本社:香川県木田郡三木町 代表取締役社長:何森 健 HP:http://www.izumoring.com/) は、プシコースなどの希少糖類を含む希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」の開発に世界で初めて成功しました。これまでの香川大学との研究調査により、「レアシュガースウィート」が脂肪蓄積抑制効果や糖代謝改善作用などへの効果を持つことが報告されており、肥満予防などメタボリックシンドロームに対する効果が期待されています。なお、2011年11月には国際希少糖学会第5 回国際シンポジウムにおいて「レアシュガースウィート」のヒトでの12 週間連続摂取による体脂肪低減効果とその安全性が報告されています。
松谷化学工業株式会社(http://http://www.matsutani.co.jp)について:
松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市北伊丹5丁目3番地 代表取締役社長:松谷晴世)は、でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカーとして、加工でん粉や難消化性デキストリンをはじめとする食物繊維等の製造・販売、希少糖および関連製品の研究開発・製造、販売を行っています。当社は、でん粉加工のパイオニアとして、新しい機能を有するでん粉やその分解物など食品製造に不可欠な機能性の高い素材を多岐にわたり研究開発を行っており、お客様のニーズにお応えする「手軽で」「美味しい」「体に良い」加工食品を創造するための機能と、「安全」「安心」「安定」した品質を持つ食品素材「食用でん粉」「加工でん粉」「澱粉分解物」を提供いたします。
本ニュースリリースに関するお問い合わせは:
株式会社レアスウィート/松谷化学工業株式会社 広報東京事務局
TEL:03-6804-1012 Eメール:pr@raresweet.co.jp
ニュースリリース
2015年12月3日
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松谷化学工業、長崎県立大学、長崎大学
「各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響」について 共同研究結果を発表
-日本食物繊維学会「第20回学術集会」において-
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でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカー 松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市 代表取締役社長:松谷晴世 以下、松谷)は、このたび長崎県立大学、長崎大学と当社研究所による希少糖共同研究チームが、自然界に存在量の少ない「希少糖」の一種「プシコース」(英名:アルロース)とプシコースと類似の構造を有する希少糖である「タガトース」、「ソルボース」がそれぞれラットの脂質代謝に及ぼす影響に関する比較研究の結果を一般社団法人日本食物繊維学会「第20回学術集会」において口頭発表したことをお知らせします。なお、本研究は世界で初めて行われたものです。
本研究発表は、日本食物繊維学会「第20回学術集会」会期中の2015年11月29日(日)(会期:2015年11月28日(土)~29日(日) 会場:那食品工業株式会社 かんてんぱぱガーデン)で行われました。
研究発表の概要は下記のとおりです。
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【研究発表概要】
学会名:日本食物繊維学会「第20回学術集会」(http://jdf.umin.ne.jp/)
演題番号:2-4 発表形式: 一般講演
セッション日時: 2015年11月29日(日) 10:02~10:16 会場:かんてんぱぱガーデン内かんてんぱぱ西ホール
【演題名】
「各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響」
【研究目的】
肥満や糖尿病などの生活習慣病は近年増加しており、その原因の一つとして「フラクトース」を含む甘味料の過剰摂取があげられます。希少糖は、自然界に存在量の少ない単糖とその誘導体です。希少糖の一種の「プシコース」は、これまでに肝臓での脂肪合成を抑制することや白色脂肪組織重量を減少することがラットにおいて確認されています。しかし、「プシコース」以外の希少糖による脂質代謝への影響は、更なる詳細な比較検討が必要です。そこで本研究では、「プシコース」及びプシコースと類似の構造をもつ希少糖である「タガトース」及び「ソルボース」をラットに摂取させて、血清や肝臓脂質濃度、脂肪合成関連酵素活性等を測定することにより、各種希少糖がラットの脂質代謝に及ぼす影響を比較することを目的としました。
【研究方法】
試験食はコントロール食(AIN-93G組成)のβ-コーンスターチの3パーセントを各実験試料(フラクトース、プシコース、タガトース、ソルボース)で置換しました。1週間予備飼育した5週齢のSprague-Dawley系雄ラットにこれらの試料を自由摂食させ、2日毎に体重と食餌摂取量を測定しました。飼育終了後、非絶食下で屠殺し、肝臓および脂肪組織の重量、血清脂質、グルコース濃度、インスリン、レプチンおよびアディポネクチン濃度を測定しました。また、肝臓における脂肪合成酵素と脂肪酸酸化酵素の活性を測定しました。
【研究結果・考察】
4週間の飼育終了後の体重および摂食量にはすべての群間で差は認められませんでした。臓器重量において、白色脂肪組織重量は希少糖摂取でコントロール食摂取より低いことが示されました。
血清脂質に関して、トリグリセリド濃度はソルボース群でコントロール群に対して低い傾向を示し、コレステロール濃度はすべての群間で差が認められませんでした。インスリン濃度はコントロール群よりプシコース群で低い傾向を示しましたが、タガトース群およびソルボース群では変動しませんでした。
レプチン濃度は希少糖を添加したすべての群でコントロール群と比較して低い傾向にありました。アディポネクチン濃度はソルボース群で有意に低く、プシコースおよびタガトース群ではコントロール群と同じレベルでした。肝臓トリグリセリド濃度にすべての群間で差は認められませんでした。
肝臓における脂肪酸合成に関わる酵素に対しても様々な影響が示されました。まず、脂肪酸合成酵素(Fatty acid synthase)の活性はタガトース群においてコントロール群より高い傾向を示し、プシコース群およびソルボース群においては低い傾向で、タガトース群より有意に低値でした。また、リンゴ酸酵素(Malic enzyme)の活性はプシコース群およびソルボース群においてタガトース群と比較して有意に低いことが示されました。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの活性はプシコース群でコントロール群およびタガトース群より有意に低値を示しました。ホスファチジン酸ホスファターゼの活性はプシコース群とソルボース群でコントロール群より有意に低値でしたが、タガトース群では高い傾向でした。一方、脂肪酸酸化に関わる酵素の活性は、すべての群間で差が認められませんでした。
以上の結果から、プシコースとソルボースは脂肪合成酵素の活性を抑制し、一方、タガトースは上昇させましたが、血清と肝臓トリグリセリド濃度にはいずれも影響がありませんでした。プシコースはこれまでの結果と同様に白色脂肪組織重量を低下させました。したがって、これら希少糖は構造的に類似するものの、脂質代謝に異なる影響を与えることが示唆されました。
以上
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「希少糖」(レアシュガー Rare Sugar)について:
「希少糖」とは、自然界に微量にしか無い、希少な単糖およびその誘導体の総称として、国際希少糖学会によって定義され、また各種希少糖を大量生産する道すじが何森教授(当時)によって示されました。量は非常に少ないのですが、種類は多く、自然界に50種以上存在しています。キシリトールも希少糖の一種です。
近年、香川大学ほか研究機関による希少糖の大量生産技術の確立により研究が進み、様々な生理活性が発見されました。特に、希少糖の一種である、ノンカロリーで甘味度は砂糖の7割程度の「プシコース」(英名:アルロース)には、食後血糖上昇抑制作用、内臓脂肪蓄積抑制作用やアンチエイジング効果が認められています。また、「アロース」には血圧上昇抑制作用、抗酸化作用などの生理活性のほかアンチエイジング効果も認められており、医薬品や機能性食品、化粧品などへの応用開発が進められています。
2010年、松谷化学工業と株式会社希少糖生産技術研究所(本社:香川県木田郡三木町 代表取締役社長:何森 健 HP:http://www.izumoring.com/) は、プシコースなどの希少糖類を含む希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」の開発に世界で初めて成功しました。これまでの香川大学との研究調査により、「レアシュガースウィート」が脂肪蓄積抑制効果や糖代謝改善作用などへの効果を持つことが報告されており、肥満予防などメタボリックシンドロームに対する効果が期待されています。なお、2011年11月には国際希少糖学会第5 回国際シンポジウムにおいて「レアシュガースウィート」のヒトでの12 週間連続摂取による体脂肪低減効果とその安全性が報告されています。
松谷化学工業株式会社(http://http://www.matsutani.co.jp)について:
松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市北伊丹5丁目3番地 代表取締役社長:松谷晴世)は、でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカーとして、加工でん粉や難消化性デキストリンをはじめとする食物繊維等の製造・販売、希少糖および関連製品の研究開発・製造、販売を行っています。当社は、でん粉加工のパイオニアとして、新しい機能を有するでん粉やその分解物など食品製造に不可欠な機能性の高い素材を多岐にわたり研究開発を行っており、お客様のニーズにお応えする「手軽で」「美味しい」「体に良い」加工食品を創造するための機能と、「安全」「安心」「安定」した品質を持つ食品素材「食用でん粉」「加工でん粉」「澱粉分解物」を提供いたします。
本ニュースリリースに関するお問い合わせは:
株式会社レアスウィート/松谷化学工業株式会社 広報東京事務局
TEL:03-6804-1012 Eメール:pr@raresweet.co.jp