2015年06月01日 13:00

【A.T. カーニー調査】 2015年新興国小売市場の参入魅力度ランキング、トップは中国。地政学的リスクの低さに支えられアジア地域が健闘

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経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、本日、世界の新興国小売市場に関する最新調査「2015年グローバル・リテール・デベロップメント指数」の結果を発表し、参入魅力度の高い国上位30カ国をランキングした。 1位が中国、2位ウルグアイ、3位チリ、と上位3カ国は順位は入れ替わったものの、昨年と同じ顔ぶれとなった。

「2015年グローバル・リテール・デベロップメント指数(以下GRDI: Global Retail Development Index)」調査は2001年より毎年実施。小売企業がグローバル市場での成長戦略を定め、参入市場の選定や優先順位付けを行う際の材料となるべく、新興市場の参入魅力度を測るもの。マクロ経済および小売業独自の25の変数をもとに、「市場魅力度」「カントリーリスク」「市場飽和度」「参入緊急度」という4つの観点から評価、数値化し、上位30か国をランキングしている。


2015年 新興国小売市場への参入魅力度ランキング
順位 - 国名(カッコ内は昨年の順位)
1  中国(2)
2  ウルグアイ(3)
3  チリ(1)
4  カタール(ランク外)
5  モンゴル(ランク外)
6  ジョージア(7)
7  UAE アラブ首長国連邦(4)
8  ブラジル(5)
9  マレーシア(9)
10  アルメニア(6)
11  トルコ(11)
12  インドネシア(15)
13  カザフスタン(10)
14  スリランカ(18)
15  インド(20)
16  ペルー(13)
17  サウジアラビア(16)
18  ボツワナ(26)
19  パナマ(14)
20  コロンビア(21)
21  ロシア(12)
22  アゼルバイジャン(30)
23  ナイジェリア(19)
24  フィリピン(23)
25  ヨルダン(22)
26  オマーン(17)
27  クウェート(8)
28  コスタリカ(24)
29  メキシコ(25)
30  アンゴラ(ランク外)

※ 2015年グローバル・リテール・デベロップメント指数(Global Retail Development Index)のレポート全文はこちら 【英語】www.grdi.atkearney.com


地域別の概要
◆アジア地域: 
5年ぶりにトップに返り咲いた中国の小売市場規模は、2018年までに米国を追い抜いて世界最大となり、さらに2022年までに米国の小売市場規模の2倍(8兆米ドル)に達すると予測されている。
“小さな宝石”と呼ばれ可能性を秘めたモンゴル(5位)や、マレーシア(9位)、インドネシア(12位)やインド(15位)、フィリピン(24位)がランク入り。特にインドは、マルチブランド(総合小売業)に対する外国直接投資規制があるものの、安定した経済とビジネス環境の改善が期待されている。他の地域に比べ地政学的リスクが低いことを背景に今年はアジアの新興国小売市場の参入魅力度が高まる結果となった。
さらに、Eコマース(電子商取引)の成長は衰え知らずで、インターネットの普及とオンライン・サービスの向上により、アジア地域のEコマース市場は前年比25%増となり、アジアでの市場規模(5250億米ドル)はいまや北米(4830億米ドル)を凌駕した。小売業者にとって、アジア地域での成長の鍵がオンラインという状況はこの先も続くと思われる。

◆中央アジアならびに東欧: 
ジョージア(旧・グルジア)が6位、アルメニア10位、カザフスタン13位と昨年よりも若干順位を下げた国もあるが、小売市場が未飽和状態のため商機にあふれている。中でもアゼルバイジャンはカスピ海沖油田からの収入により凄まじい経済発展を遂げており、世界中の高級ブランドが参入をもくろんでいるホットな市場である。
一方、ロシアは景気低迷や政治的緊張の高まりから、昨年12位から今年は21位と大きく順位を下げる結果となったが、GDPでは世界第6位と、依然無視できない市場である。

◆中東地域: 
政治・経済の両面でとてつもない激変に直面した1年。UAE(7位)のマーケットはすでに飽和状態、ヨルダン(25位)はカントリーリスクが増大、クウェート(27位)は原油価格の下落が国の経済に打撃を与えるなど、ネガティブな要因がGRDIランキングに如実に反映された。
こうしたなか、前年のランク外から今年4位に初登場したカタールは、経済的に安定し、一人当たりのGDPも消費意欲も高く、もはや注目せずにはいられない市場となった。人口の自然増化に加え、エクスパット(居住外国籍ビジネスマン)など社会人口も増加傾向にあり、さらに2022年のサッカーワールドカップ開催に備えた空港の拡張や地下鉄建設などのインフラ整備が経済成長を後押ししている。

◆中南米地域: 
昨年に比べ少しずつ順位を落としウルグアイ(2位)、チリ(3位)、ブラジル(8位)の3カ国がトップ10入り。 コモディティ・ブームの終焉、深く根差した構造的な問題への懸念、2014年GDPのマイナス成長、景気の先行き不安からの消費意欲の落ち込み、と経済成長に陰りが見えているうえ、政情不安な国も存在する地域である。 しかしながら、中流階級の増加や、ブラジル、コロンビア、ペルーにおける第二都市は発展・拡大中、と小売業者にとっての商機もなくはない。

◆サブ・サハラ(サハラ以南のアフリカ)諸国:
巨大な潜在力を秘めた地域である。今年のGRDIにはボツワナ(18位)、ナイジェリア(23位)、アンゴラ(30位)、と3カ国がランク入りしているが、近い将来、さらに3カ国(ザンビア、ナミビア、ガーナ)がランク入りするものと予想される。この地域では、家計所得の上昇、急速な都市化、中流層の拡大が顕著で、経済成長が期待できる。

【この件に関するお問合せ先】
A.T. カーニー株式会社 JP.Inquiry@atkearney.com

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TEL
03-6890-5001
業種
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