2014年5月、イプソス・ビジネス・コンサルティング(以下、IBC)は最新の予測で、多くの評論家が考えている以上に、タイの自動車産業の見通しは明るいと発表した。
最新の統計では、2014年4月のタイ自動車生産台数は126,730台で、対前年比で25.64%減となった。この生産の減少を考慮した上で、IBCは2014年の年間自動車の総生産台数を、2013年の249万台から15.7%減の210万台となる予測を発表した。
IBCは、小型商用車(1トンクラスのピックアップトラック)は特にオーストラリア、南アフリカそして南アメリカでの需要が依然として多く、海外への輸出市場は期待通りの成果を出しているとしている。実際、タイ工業連盟は最新のデータで、2014年3月の全体の輸出台数は2013年に比較し1万台増加したと発表している。
IBCのASEAN及びオーストラリアの統括責任者であるコリン・キングホーンは、輸出市場は好調であるものの、国内需要を妨げる要因がいくつかあると述べた。「自動車産業は、依然としてタイ政府の『First Carプログラム』に対応している。2013年6月以降、国内市場の乗用車及び商用車の需要はかなり減少しており、事実2013年の国内総販売台数は132万台と、2012年の143万台から8%減少した。」
しかし、IBCは『First Carプログラム』の影響は今年の下半期には少なくなると期待している。
また、IBCタイの責任者であるサンピチット・ソンパイサンは、タイの家計負債の上昇レベルを指摘し、自動車産業は各家庭の負債が与え得るインパクトに注意すべきだと話した。「タイ銀行発表の最新データでは、家計負債の対GDP比率は2013年には82.3%にも上り、2012年の77.3%から上昇している。自動車産業にとってのリスクは、金融機関がローンの事前審査と承認の基準をより厳格にしなければならないことだ。そして、それが国内需要へ波及的に影響してくることである。」
ソンパイサンはさらに、自動車業界のキープレーヤーはこの状況に対処すべき点と課題を正確に認識していると付け加えた。
大型トラック市場が矢面に立つ
主な大型トラックメーカーが2014年は35%~40%の需要減を予測していることを受けて、IBCは国内における大型トラック市場が停滞の矢面に立たされると予測している。ここ数か月の政治的混乱によって、建設や大規模インフラ工事に対する投資の遅れがネガティブに働き、それが当該市場に比較的大きく影響している。ソンパイサンは、「タイの自動車市場全体の落ち込みは、自動車業界内での大型トラックの需要減にも繋がり、大型トラックメーカーにとっては更に良くない事態となっている。」と述べた。
将来の見通し
2014年に直面する課題は重大であり、最近の生産及び販売統計を見ても勢いが無くなっているものの、IBCは自動車産業全体が立ち直る時間はまだあると考えている。コリン・キングホーンは、ダイムラーはメルセデス・ベンツのコンパクトモデルA180の販売促進により、2014年第一四半期の売上が25%増えたと指摘し、更に自動車メーカーの何社かは2014年に新モデル発表を控えていると述べた。トヨタはAltisの新モデル、ホンダはCityとJazzの新モデルを2014年に発表する予定で、「トヨタ、ホンダに加え、最新の日産NavaraやX-trail、三菱Triton、そしてMazda3など、停滞する国内需要に自動車産業が対抗する余地はあると見ている。」とキングホーンは述べた。
自動車業界全体としてエコカー生産に対する投資が計画されており、またフォルクスワーゲンとタタ・モーターズがタイへの投資を検討しているなど、タイの自動車産業における中・長期的な見通しは依然として明るい。キングホーンは、サプライチェーンにおけるどのパーツも世界水準で生産することが可能で、どこへでも輸出がしやすい国は東南アジアでは唯一タイであると述べ、タイのユニークさを強調した。キングホーンは、インドネシアも自動車生産においては有力で、戦略的に重要な場所に成長していると認めた上で、「インドネシアが、現在のタイと同様の水準でバリューチェーン全体を構築するまでに数年はかかるだろう。その間に、タイは自動車産業全体にとってのグローバルハブのポジションを更に強化できる。課題は、政府と自動車産業が協力して、早急に投資家からの信頼を取り戻し、ASEANに訪れる新しいチャンスを活用するために準備を整えることだ。」と述べた。
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GreenBook Research Industry Trend Survey 2014で最もイノベイティブなリサーチ会社の第3位に選ばれました。
Ipsos in Japanホームページ: http://www.ipsos.jp/
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古川 尚子
Ipsos Business Consulting
Ipsos in Japan
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shoko.furukawa@ipsos.com
最新の統計では、2014年4月のタイ自動車生産台数は126,730台で、対前年比で25.64%減となった。この生産の減少を考慮した上で、IBCは2014年の年間自動車の総生産台数を、2013年の249万台から15.7%減の210万台となる予測を発表した。
IBCは、小型商用車(1トンクラスのピックアップトラック)は特にオーストラリア、南アフリカそして南アメリカでの需要が依然として多く、海外への輸出市場は期待通りの成果を出しているとしている。実際、タイ工業連盟は最新のデータで、2014年3月の全体の輸出台数は2013年に比較し1万台増加したと発表している。
IBCのASEAN及びオーストラリアの統括責任者であるコリン・キングホーンは、輸出市場は好調であるものの、国内需要を妨げる要因がいくつかあると述べた。「自動車産業は、依然としてタイ政府の『First Carプログラム』に対応している。2013年6月以降、国内市場の乗用車及び商用車の需要はかなり減少しており、事実2013年の国内総販売台数は132万台と、2012年の143万台から8%減少した。」
しかし、IBCは『First Carプログラム』の影響は今年の下半期には少なくなると期待している。
また、IBCタイの責任者であるサンピチット・ソンパイサンは、タイの家計負債の上昇レベルを指摘し、自動車産業は各家庭の負債が与え得るインパクトに注意すべきだと話した。「タイ銀行発表の最新データでは、家計負債の対GDP比率は2013年には82.3%にも上り、2012年の77.3%から上昇している。自動車産業にとってのリスクは、金融機関がローンの事前審査と承認の基準をより厳格にしなければならないことだ。そして、それが国内需要へ波及的に影響してくることである。」
ソンパイサンはさらに、自動車業界のキープレーヤーはこの状況に対処すべき点と課題を正確に認識していると付け加えた。
大型トラック市場が矢面に立つ
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将来の見通し
2014年に直面する課題は重大であり、最近の生産及び販売統計を見ても勢いが無くなっているものの、IBCは自動車産業全体が立ち直る時間はまだあると考えている。コリン・キングホーンは、ダイムラーはメルセデス・ベンツのコンパクトモデルA180の販売促進により、2014年第一四半期の売上が25%増えたと指摘し、更に自動車メーカーの何社かは2014年に新モデル発表を控えていると述べた。トヨタはAltisの新モデル、ホンダはCityとJazzの新モデルを2014年に発表する予定で、「トヨタ、ホンダに加え、最新の日産NavaraやX-trail、三菱Triton、そしてMazda3など、停滞する国内需要に自動車産業が対抗する余地はあると見ている。」とキングホーンは述べた。
自動車業界全体としてエコカー生産に対する投資が計画されており、またフォルクスワーゲンとタタ・モーターズがタイへの投資を検討しているなど、タイの自動車産業における中・長期的な見通しは依然として明るい。キングホーンは、サプライチェーンにおけるどのパーツも世界水準で生産することが可能で、どこへでも輸出がしやすい国は東南アジアでは唯一タイであると述べ、タイのユニークさを強調した。キングホーンは、インドネシアも自動車生産においては有力で、戦略的に重要な場所に成長していると認めた上で、「インドネシアが、現在のタイと同様の水準でバリューチェーン全体を構築するまでに数年はかかるだろう。その間に、タイは自動車産業全体にとってのグローバルハブのポジションを更に強化できる。課題は、政府と自動車産業が協力して、早急に投資家からの信頼を取り戻し、ASEANに訪れる新しいチャンスを活用するために準備を整えることだ。」と述べた。
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