川端康成文学賞、萩原朔太郎賞など、数々の受賞作を持つ、詩人・作家の小池昌代。本書に通底するテーマは〈いのち〉。表題の「産屋」とは、「出産および産後のある期間、産婦がこもる小屋、部屋をいう。著者にとってエッセイの執筆は痛みを伴うことである。しかし、痛みを超えて生み出された作品であるからこそ、言葉には強い魂が宿る。詩人である著者の視点は、常人よりも解像度が高い。彼女のフィルターを通して私たちは〈いのちの向こうにあるもの〉〈肉体の発するエロス〉〈時と時の間隙〉〈言葉の脆さと強さ〉を味わうことができる。著者の肉体から放たれる言葉は、小気味よい快感をもたらす……。
《あー、うーん、ありがとう、あったかーい、きもちいーい。産むときの女たちは、とても気持ちがよさそうだ。その声が、私の耳に、愛し合うときの艶声のように聞こえる。--やがて股の間から、めりめりと赤ん坊の濡れた頭が出てきて、ああと思う。ああ、蓋が開いた--》--「産屋」より
■小池昌代 プロフィール■
1959年東京都・深川で生まれる。7~8歳頃、「詩」に出会う。中学の時に初めて物語を執筆。梶井基次郎『檸檬』についての読書感想文が東京都のコンクールに入選、書くことの面白さに目覚める。津田塾大学国際関係学科卒業後、法律雑誌の編集に長くたずさわりながら詩作。1988年第一詩集『水の町から歩きだして』(思潮社)刊行。1989年ラ・メール新人賞受賞。1997年詩集『永遠に来ないバス』(思潮社)刊行、現代詩花椿賞受賞。1999年詩集『もっとも官能的な部屋』(書肆山田)刊行、高見順賞受賞。2001年エッセイ集『屋上への誘惑』(岩波書店)刊行、講談社エッセイ賞受賞。2007年短篇集『タタド』(新潮社)刊行、表題作「タタド」で川端康成文学賞受賞。2008年詩集『ババ、バサラ、サラバ』(本阿弥書店)刊行、小野十三郎賞受賞。2010年詩集『コルカタ』(思潮社)刊行、萩原朔太郎賞受賞。編著に『通勤電車でよむ詩集』(NHK出版生活人新書)、『おめでとう』(新潮社)があるほか、『それいけしょうぼうしゃ』(講談社)、『森の娘マリア・シャプドレーヌ(岩波書店)など翻訳絵本も手がける。近刊は連作短編集『自虐蒲団』(本阿弥書店)、長編小説『厩橋』(角川書店)など。
●書名 『散文集 産屋』
●本体:2,200円(税別)
●著者:小池昌代
●四六判上製 232ページ
●清流出版 編集部(担当 高橋 与実)
電話: 03-3288-5405
FAX: 03-3288-5340
MAIL: takahashi@seiryupub.co.jp
《あー、うーん、ありがとう、あったかーい、きもちいーい。産むときの女たちは、とても気持ちがよさそうだ。その声が、私の耳に、愛し合うときの艶声のように聞こえる。--やがて股の間から、めりめりと赤ん坊の濡れた頭が出てきて、ああと思う。ああ、蓋が開いた--》--「産屋」より
■小池昌代 プロフィール■
1959年東京都・深川で生まれる。7~8歳頃、「詩」に出会う。中学の時に初めて物語を執筆。梶井基次郎『檸檬』についての読書感想文が東京都のコンクールに入選、書くことの面白さに目覚める。津田塾大学国際関係学科卒業後、法律雑誌の編集に長くたずさわりながら詩作。1988年第一詩集『水の町から歩きだして』(思潮社)刊行。1989年ラ・メール新人賞受賞。1997年詩集『永遠に来ないバス』(思潮社)刊行、現代詩花椿賞受賞。1999年詩集『もっとも官能的な部屋』(書肆山田)刊行、高見順賞受賞。2001年エッセイ集『屋上への誘惑』(岩波書店)刊行、講談社エッセイ賞受賞。2007年短篇集『タタド』(新潮社)刊行、表題作「タタド」で川端康成文学賞受賞。2008年詩集『ババ、バサラ、サラバ』(本阿弥書店)刊行、小野十三郎賞受賞。2010年詩集『コルカタ』(思潮社)刊行、萩原朔太郎賞受賞。編著に『通勤電車でよむ詩集』(NHK出版生活人新書)、『おめでとう』(新潮社)があるほか、『それいけしょうぼうしゃ』(講談社)、『森の娘マリア・シャプドレーヌ(岩波書店)など翻訳絵本も手がける。近刊は連作短編集『自虐蒲団』(本阿弥書店)、長編小説『厩橋』(角川書店)など。
●書名 『散文集 産屋』
●本体:2,200円(税別)
●著者:小池昌代
●四六判上製 232ページ
●清流出版 編集部(担当 高橋 与実)
電話: 03-3288-5405
FAX: 03-3288-5340
MAIL: takahashi@seiryupub.co.jp