NHK-FM青春アドベンチャーでラジオドラマ化され、絶大な人気を誇った伝説のショートショート集。ノベルス版の『笑う20世紀』は、古書店ではプレミア値がついていて入手困難だったが、ついに電子書籍で復刊ということになる。また、巻末には、オリジナルの「単行本あとがき」に続いて、新たに執筆した「電子版あとがき」が収録されている。
<『笑う20世紀 赤』内容紹介>
一見したところ、どこにでもある私鉄沿線駅前の風景だ。だがここは、並の駅前商店街ではない。それは、この街に住んでいる俺が一番よく知っている。
俺の目の前に、真赤なハッピ姿の男があらわれた。
「社長。寄っていかない?」
「い、いや……あの……」
俺がしどろもどろで答えると、男はたたみかけてくる。
「ね。社長! ウチは可愛いコ、いっぱいそろってるよ。みんなこの春、看護学校を出たばかりのピチピチギャル。どうせ脈をとられるのなら若いコのほうがいいでしょ。八時までに入れば追加料金なしのポッキリで定期健康診断ができるから……」
「結構です!」
(「恐怖の駅前商店街」より)
・恐怖の駅前商店街
・新聞が来た日
・ドラマチックな恋
・ヨセ・オブ・ドリームス
・南関東大地震
<『笑う20世紀 青』内容紹介>
店は混んでいるようだ。奥から別のホステスが出てきて、
「ごめんなさい。少し待っていただけると席をご用意しますから」
と、俺たちを控え室に案内しようとする。
すると高木は胸ポケットから何かを出して、ちらりとホステスに見せた。クレジットカードのようだった。
ホステスは急に、半分あけかけた控え室のドアをすぐに閉めた。
「席ができました。どうぞこちらへ」
表情も変えず、俺たちを店内へ連れていく。さっき半分あいたドアから俺はたしかに見たのだが、控え室には先客がいた。なのに、俺たちのほうを先にしたのだ。
(「メンデレビウム・カード」より)
・メンデレビウム・カード
・ゲンゴ十番勝負
・現代人は病んでいる
・清き一票
・たぬきのくじ
<『笑う20世紀 黄』内容紹介>
たばこの箱をひと回り大きくしたサイズ。
黒いプラスチック製で、表面にスイッチらしいものはない。
側面にON・OFFのための簡単なスイッチと赤いボタンがついている。
上部には、赤い半透明のプラスチックで保護された、小さな真空管のようなものがついていた。
持ってみると、軽かった。
「なぁに、これ」
「それは、ガイガーカウンターだよ。ガイガーカウンターというのは放射能を測定する機械なんだ」
「ま!」
やがて恵子が冷蔵庫の中から食品を出して、テーブルに並べた。
「ようし、さがっていろ。危険だ」
俊郎はその一つ一つに、神妙な顔でガイガーカウンターをあてていく。
(「パパのガイガー」より)
・パパのガイガー
・借りもの競走
・火事男
・古典芸能の夕べ
・こおろぎ橋
【関連サイト】
・グリフォン書店
http://itunes.apple.com/jp/app/id429342467?mt=8&ls=1
【お問い合わせ】
株式会社コベック
ホームページ:http://www.wisebook.jp/
TEL:03-5287-1866
FAX:03-6273-9004
電子メール:sales@kovec.co.jp
<『笑う20世紀 赤』内容紹介>
一見したところ、どこにでもある私鉄沿線駅前の風景だ。だがここは、並の駅前商店街ではない。それは、この街に住んでいる俺が一番よく知っている。
俺の目の前に、真赤なハッピ姿の男があらわれた。
「社長。寄っていかない?」
「い、いや……あの……」
俺がしどろもどろで答えると、男はたたみかけてくる。
「ね。社長! ウチは可愛いコ、いっぱいそろってるよ。みんなこの春、看護学校を出たばかりのピチピチギャル。どうせ脈をとられるのなら若いコのほうがいいでしょ。八時までに入れば追加料金なしのポッキリで定期健康診断ができるから……」
「結構です!」
(「恐怖の駅前商店街」より)
・恐怖の駅前商店街
・新聞が来た日
・ドラマチックな恋
・ヨセ・オブ・ドリームス
・南関東大地震
<『笑う20世紀 青』内容紹介>
店は混んでいるようだ。奥から別のホステスが出てきて、
「ごめんなさい。少し待っていただけると席をご用意しますから」
と、俺たちを控え室に案内しようとする。
すると高木は胸ポケットから何かを出して、ちらりとホステスに見せた。クレジットカードのようだった。
ホステスは急に、半分あけかけた控え室のドアをすぐに閉めた。
「席ができました。どうぞこちらへ」
表情も変えず、俺たちを店内へ連れていく。さっき半分あいたドアから俺はたしかに見たのだが、控え室には先客がいた。なのに、俺たちのほうを先にしたのだ。
(「メンデレビウム・カード」より)
・メンデレビウム・カード
・ゲンゴ十番勝負
・現代人は病んでいる
・清き一票
・たぬきのくじ
<『笑う20世紀 黄』内容紹介>
たばこの箱をひと回り大きくしたサイズ。
黒いプラスチック製で、表面にスイッチらしいものはない。
側面にON・OFFのための簡単なスイッチと赤いボタンがついている。
上部には、赤い半透明のプラスチックで保護された、小さな真空管のようなものがついていた。
持ってみると、軽かった。
「なぁに、これ」
「それは、ガイガーカウンターだよ。ガイガーカウンターというのは放射能を測定する機械なんだ」
「ま!」
やがて恵子が冷蔵庫の中から食品を出して、テーブルに並べた。
「ようし、さがっていろ。危険だ」
俊郎はその一つ一つに、神妙な顔でガイガーカウンターをあてていく。
(「パパのガイガー」より)
・パパのガイガー
・借りもの競走
・火事男
・古典芸能の夕べ
・こおろぎ橋
【関連サイト】
・グリフォン書店
http://itunes.apple.com/jp/app/id429342467?mt=8&ls=1
【お問い合わせ】
株式会社コベック
ホームページ:http://www.wisebook.jp/
TEL:03-5287-1866
FAX:03-6273-9004
電子メール:sales@kovec.co.jp