2010年12月20日 12:00

オンラインゲームのトレンド

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オンラインゲームが本格的にサービスを始めてから今年で15年目。急速に発展するIT技術に劣らず、ゲーム市場にも多くの変化が起こった。ビデオゲーム市場では既に二回の世代交代が行われ、市場の版図自体が変わったりもした

オンラインゲームが本格的にサービスを始めてから今年で15年目。急速に発展するIT技術に劣らず、ゲーム市場にも多くの変化が起こった。ビデオゲーム市場では既に二回の世代交代が行われ、市場の版図自体が変わったりもした。オンラインゲーム市場も同様で、『風の王国』から『ブレード&ソウル』にいたるまで多くの変化を経てきた。『リネージュ』のようにユーザーから根強い人気を得ているゲームがあるかと思えば、日の目を見ないうちに消えていったゲームも多い。特に、新しいコンセプトに挑んで多くの人気を得たゲームは、ゲーム市場のトレンド自体を変化させたりもした。


MMORPG
最初のグラフィックベースのオンラインゲーム『風の王国』は、同時に最初のMMORPGでもあった。『風の王国』のバトンを引き継いだ『リネージュ』は、本格的なMMORPGの時代を開いた。『リネージュ』の成功とこれに続く数多くの亜流作リリースは、MMORPGといえばオンラインゲームという認識につながった。そうした中で1999年にリリースされた『フォートレス2』、2001年にリリースされた『クレイジーアーケード』などが多くの人気を集めたが、『ミューオンライン』、『ラグナロクオンライン』と続いたMMORPGのラインナップを凌駕するほどではなかった。

2003年には『リネージュ』の続編『リネージュ2』がリリースされ、MMORPG中心のオンラインゲーム市場が続いた。しかし、栄光の時代が永遠には続かなかった。2004年にネクソンがリリースしたカジュアルレースゲーム『カートライダー』はゲーム市場に波紋を投げかけ、MMORPG中心だった市場構造を崩しはじめた。

ここに『リネージュ』、『ミューオンライン』、『ラグナロク』の黄金時代を再現するBIG3として注目されたネクソンの『ZerA』、ウェブゼンの『SUNオンライン』、IMC Gamesの『グラナド・エスパダ』といった大型プロジェクトが次々に失敗を重ね、失敗のない領域と考えられていたMMORPGが限界に行き着いたのではないかという懸念の声が高まった。差別化されておらず適当な完成度のMMORPGがあふれる中、ユーザーはMMORPGというジャンルに食傷感を抱きはじめたのである。

2000年代半ばに入り、ユーザーは長い時間を投資しなければならず、意味のない繰り返しを強いられるシステムなど、定型化されてきたMMORPGに飽きつつあった。BIG3として注目されたゲームの場合も、ゲーム自体の完成度が足りなかったというよりは、従来のMMORPGに飽きたユーザーが求めていた新鮮さを見せられなかったことが、失敗のより大きな理由だった。

(写真説明:今でもMMORPG市場の先導している'Leneage')

カジュアルゲーム
ネクソンは低年齢層から高い人気を得ていたカジュアルゲーム『クレイジーアーケードBnB』のキャラクターを活用したカジュアルレースゲーム『カートライダー』を、2004年にリリースした。『カートライダー』は簡単な操作と軽いタッチでありながらも深みのある面白さで、急速にオンラインゲーム市場を掌握していった。サービスを始めて1年にもならない短期間で韓国内の加入者数が1千万人を突破し、国民的ゲームの地位にまで上りつめる勢いを見せた。

誰でも難なくプレーでき、時間の合間を縫って手軽に楽しめるカジュアルゲームの特性は、MMORPGに飽きていたオンラインゲームのユーザーに新しい活力を吹き込んでくれた。実は『カートライダー』の前に、『フォートレス2』も国民的ゲームと呼ばれるほど多くの人気を集めていた。ただ、『フォートレス2』が人気を集めていた当時はMMORPG市場の全盛期で、急激に成長している時期でもあった。単純に人気ゲームの一つが市場の版図を変えられる状況ではなかった。

『カートライダー』がリリースされた時期の市場は停滞していた。ゲームもユーザーもマンネリに陥っていた状況で、『カートライダー』が突破口を提示した形になる。限界に見えていた市場で新たな可能性を見出したゲーム開発会社は、先を争ってカジュアルゲームの開発に力を入れはじめた。しかし、残念ながらカジュアルゲームもまた、MMORPGと同じ道をたどってしまった。数多くの亜流作であふれかえり、カジュアルゲーム市場もその人気を長くは保てなかった。
(写真説明:カジュアルゲームの時代を開いた'カートライダー')

FPS
3Dグラフィックがゲームに本格的に使われるようになるにつれ、登場しはじめたゲームジャンルも多い。FPS(First Person Shooter)ジャンルのゲームは1人称で進められる特有の視点により、2Dグラフィックでは表現に限界があった。2002年は日韓ワールドカップが開催された年だが、韓国ゲーム史においては初の韓国製FPSが開発された年でもある。

ドラゴンフライ社で開発した『カルマオンライン』は、世界的に人気を集めていたFPSゲームをオンライン向けに開発した韓国最初のFPSゲームだった。オンラインに最適化された環境で、韓国の実情に合わせて開発されたゲームなだけに、『カルマ』は韓国で大人気を博す。しかし、低いグラフィッククオリティと頻繁なエラー、さらに決定的なこととしては有料化転換の失敗により、大きな困難にぶつかる。その上ライバルゲームが人気を得るようになり、結局2006年にサービスを終了してしまった。

『カルマ』の人気を受け継いだのは、カルマの開発会社ドラゴンフライで開発したもう一つのFPS『スペシャルフォース』だった。2004年にサービスを開始した『スペシャルフォース』は、『カートライダー』と共にオンラインゲーム市場を両分し、MMORPG一辺倒の市場トレンドを一度に変えてしまった。しかし、これといったライバルもなく独走していたカートライダーとは異なり、スペシャルフォースには強力なライバルが登場しはじめた。

『カルマ』と『スペシャルフォース』の成功で一足遅く競争に飛び込んだゲームの中には、現在も韓国のゲーム順位で上位圏にランクされている『サドンアタック』があった。2005年に市場に参入したゲームハイの『サドンアタック』は、市場を先占した『スペシャルフォース』より優れたグラフィックを打ち出し、人気を集めた。その後、韓国のFPS市場では『A.V.A』、『ウォーロック』、『コンバットアームズ』、『クロスファイア』など良質のゲームが持続的に登場し、現在もその人気を保っている。
(写真説明:後発だったが、最高の座にあった'Special force'を追い越し、その座を自分のものにした'サドン・アタック')


ACTION
韓国オンラインゲーム市場の変化を大きく見れば、草創期におけるMMORPG一辺倒の市場からカジュアルゲームの時代を少しの間経て、FPSの時代が到来したとみることができる。もちろん、その過程で『フリースタイル』や『オーディション』のように他のジャンルでも大人気を博したゲームはあるが、草創期の『フォートレス2』のように市場のトレンドをリードするにはやや足りない面があった。それでは、現在の韓国オンラインゲーム市場のトレンドは何だろうか。

2005年にネオプルは『アラド戦記』という2D横スクロールアクションゲームをリリース。オンラインゲームでありながら、昔のゲームセンターで見られた横スクロールアクションゲームのようなアクション性を強調した『アラド戦記』は、韓国だけでなく中国でも最上位圏にランクされる人気ゲームになった。また、アクションは現在韓国のオンラインゲームが打ち出しているトレンドキーワードでもある。

MMORPGの沈滞期にあっても、市場には絶えず新作がリリースされた。過去の失敗を教訓として様々な試みも続いた。ユーザーの行動がゲームの世界に反映されるゲーム、大規模な対人戦を強調したゲームなどが市場に挑んだが、半分の成功を収めるにとどまった。最近ではMMORPGをプレーするのに80%以上の比率を占める戦闘システムに突破口を見出そうとするゲームが増えている。

2009年に大韓民国ゲーム大賞での大賞を含めて6冠王に輝いた『マビノギ英雄伝』が現在、ゲーム市場のトレンドを最もよく示していると言える。優れたグラフィックをベースにアクションに重点を置いたゲームプレーが、現在の韓国オンラインゲームのトレンドである。MORPGの『マビノギ英雄伝』、『ドラゴンネスト』は言うまでもなく、開発中の『ブレード&ソウル』、『TERA』、『Divine Soul』などもすべて似たようなコンセプトを持っている。

オンラインゲーム市場を主導する韓国のトレンドは、世界市場でも通じている。『マビノギ英雄伝』は北米で『Vindictus』という名前で人気を集めており、『ドラゴンネスト』も中国市場で最高の人気を博している。『ブレード&ソウル』や『Divine Soul』など開発中のゲームに対する海外市場の関心は、既に何度にもわたって報道されている。
(写真説明:優れたゲーム性で2010大韓民国ゲーム大賞で6部門受賞した'マビノギ英雄伝')

明日のトレンド?
現在の韓国ゲーム市場は何回かのトレンド変化を経て、様々なジャンルのゲームが共存する市場を形成した。多様性の確保は、韓国だけでなく全世界のユーザーに多様な好みに合うゲームが提供できるという点で、非常に重要な部分である。そのような意味から、ゲーム市場のトレンドは業界を一つの方向に偏らせる悪影響がある反面、新しい多様性が作り出せる一つの機会にもなる。

最近の「G-Star2010」で公開されたゲームのうち、現在のトレンドであるアクションとはまた別の方向からアプローチしているMMORPGがある。艦隊戦という独特な戦闘システムを披露したXLGamesの『ArcheAge』は、新しい道を開拓している。その道を韓国を代表するゲーム開発者、ソン・ジェギョン代表が突き進んでいる。最後にソン・ジェギョン代表との短いインタビューを掲載する。


Q. NCソフトを退社してかなり長いブランクがありましたが、その間どう過ごしていましたか。
A. 実は開発中のゲーム『ArcheAge』について今年初めて公開されましたが、2006年から構想にとりかかり、2007年から本格的に開発に着手しましたので、かなり時間が経ったことになります。その前にはレースゲームを作ったり、他のゲームを楽しんだりしました。

Q. 韓国を代表する、また第1世代のオンラインゲーム開発者として、『風の王国』を開発した当時と現在のゲーム開発環境はどれだけ、どのように変わったと思いますか。
A. 『風の王国』を開発した当時は、開発環境という用語を使うのがきごちないほど足りないものが多い状況でした。今ではテクノロジーも非常に発展して人材もかなり増えましたが、その分競争も熾烈で負担が増えるようになりました。

Q. 現在の韓国ゲーム市場は15年前と比べて数値的に途方もない発展を遂げました。このような発展は実際に肌で感じられますか。
A. はい。11月にG-Star2010に出展しましたが、非常に発展したことを改めて実感しました。

Q. 現在の韓国ゲームの人気順位を見れば、『リネージュ』がいまだに上位圏を占めています。過去のゲームがこのように長い間上位圏にとどまる理由は何だと思いますか。また、このような現象をどのように見ていますか。
A. オンラインゲームという市場を初期に開拓したゲームですので、先占効果があるのだと思います。また、MMORPGというジャンルの特性上、ゲームを楽しんでいるうちにゲームの中で知り合った友達同士のソーシャルネットワークが生じるという面もあるでしょう。さらには、持続的に行われるアップデートがユーザーに絶えず楽しみを与えてくれるのだと思います。

Q. ここ何年かは大成功を収めたゲームがありませんでした。期待されていたゲームも、いざサービスが始まると期待ほど満足させてはくれませんでした。その原因はどこにあると思いますか。
A. そうですね。私もゲームを開発中でユーザーの判断を仰がなければならない立場ですから、答えにくい質問ですね。ただ、従来のゲームの長所を取り入れた上で、短所と思われる点について差別化されたコンテンツで補完したものを披露する計画です。
(写真説明:ソン・ジェギョン(現XLGamesの代表理事)

1992年-KAIST電算学科修士課程卒業
1992~1993年-MUDゲーム'ジュラー紀公園'開発
1993年-NEXONを共同設立
1995~1996年-世界初のMMORPG、「風の王国」を開発およびサービス
1998年-Leneageを開発
2000~2003年-NCSoft副社長、開発総括を担当
2003年-XLGames創立、現XLGamesの代表理事
2005年6月-XL1Neowizとパブリッシング契約を締結
2006年~-次世代MMORPG、'Arc age'開発中

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