2010年12月20日 12:00

ゲームに欠かせないイラストの世界

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ゲームを構成する多くの要素のうち、ユーザーの関心を真っ先に引き付けるのは、何といっても視覚を刺激するグラフィックだろう。ゲームの発展と密接な関係にあるデジタル技術の発展に最も多くの影響を受け、またその効果が大きいのもやはりグラフィック。

ゲームを構成する多くの要素のうち、ユーザーの関心を真っ先に引き付けるのは、何といっても視覚を刺激するグラフィックだろう。ゲームの発展と密接な関係にあるデジタル技術の発展に最も多くの影響を受け、またその効果が大きいのもやはりグラフィック。韓国のオンラインゲームは1996年にサービスを開始した『風の王国』から15年にわたり、グラフィック的に多くの発展を遂げた。しかし、ここで抜きにしては語れないものがある。ゲームグラフィックの根幹になるゲームの設定デザイン、すなわちイラストである。


ゲームの第一印象を決定するイラスト
2008年にNCソフトの新作『ブレード&ソウル』が初めて公開された当時、韓国だけでなく全世界のユーザーから大反響を得た。最大の関心は断然グラフィック。既に『創世記戦』、『マグナカルタ』シリーズによって有名になっていたイラストレーターのキム・ヒョンテが作り上げた魅力的なキャラクターを、元のイラストタッチそのままにデジタル映像に移したグラフィックは、ユーザーや業界関係者を驚かせるのに十分だった。

当時、ゲームのプレー映像が一部公開されはしたが、既にユーザーはグラフィック以外の要素に目もくれなかった。これこそまさに視覚的な効果が持つ力である。グラフィック的に優れたゲームは、ひとまず強力な武器を一つ持っていることになる。視覚的に合格点を取れば、ユーザーとゲームの間にあるハードルはグッと低くなる。このような肯定的効果はイラストから始まる。

通常はゲームを公開するとき、一番最初に見せるものの一つがイラストである。イラストの完成度によってゲームの第一印象が決まったりもする。日本の国民的ゲームとされる『ドラゴンクエスト』シリーズが初めから人気を得られたのには、イラストの力も大きく働いたとみられる。RPGという慣れないジャンルの上、初めて接するタイトルのゲームがユーザーに難なく受け入れられたのは、『ドクタースランプ』や『ドラゴンボール』で当代最高の人気を得ていた鳥山明のイラストのおかげだった。

韓国製オンラインゲームとしては『ラグナロクオンライン』がイラストで成功を収めた最初のケースに挙げられる。人気漫画家イ・ミョンジンの『ラグナロク』をもとに開発された『ラグナロクオンライン』は、原作漫画とは違って可愛いタイプのキャラクターを前面に出したイラストと、これをベースにしたゲームグラフィックで多くの人気を集めている。当時の他オンラインゲームと差別化され、「明るくて可愛い」コンセプトのイラストとグラフィックは海外市場、特に日本で大成功を収める基盤になった。『ラグナロクオンライン』の代表モンスター「ポリン」をはじめとするキャラクターをもとに作られた様々な商品が人気を集め、飛ぶように売れたりもした。


原作に頼った初期のオンラインゲーム
『風の王国』、『リネージュ』、『ラグナロクオンライン』。これらはすべて韓国オンラインゲーム史に節目を刻んだゲームであるという共通点とあわせ、漫画を原作にしているというもう一つの共通点がある。初期のオンラインゲーム開発市場で重視されたのは、システムの完成度だった。また、開発条件上、専門的なシナリオライターやゲームイラストレーターを確保するというのは贅沢に近かった。そこで多くの開発業者が選んだのは原作の借用だった。

原作漫画をもとにゲームを開発する場合、世界観とシナリオを別途構想する必要がなく、漫画家のイラストをそのまま活用できるという長所があったため、様々な面で効率的だった。また、原作のファンをゲームに引き込めるという付加的な効果も期待できる。上で例に挙げた『ラグナロクオンライン』の場合、むしろゲームのほうが原作漫画より人気が高く、逆にゲームがきっかけとなって漫画に接した人も多かった。

しかし、初期のゲームでは、ゲームグラフィックに原作の面影がほとんどない場合が多かった。原作のイメージをゲームの中で表現するには、当時のグラフィック技術に限界があったためである。このような問題は、単に原作をもとにしたゲームにだけ起こったのではない。きれいなキャラクターのイラストに引かれてゲームを始めたものの、実際のゲームに登場したキャラクターは期待に及ばず、乖離感を感じさせたりもした。
(写真説明:可愛いキャラクターイラストで海外からも大きな人気を得たRagnarok Online)


グラフィックの発展とイラストの進化
2Dゲームの場合、初期から登場人物のカットインなどでイラストが使われたりもしたが、実際にイラストのキャラクターをゲーム上で動かすには多くの困難があった。これはグラフィック技術が3Dに移行しても同じだった。イラストではきれいで魅力的だったキャラクターも、ひとたびデジタルの世界に入ると滑らかな曲線は消え失せ、ギザギザの粗い画像でしか表現できなかった。それが当時におけるグラフィック技術の限界だった。このような表現の限界を少しでもカバーすべく一時流行したのが3等身、6等身に縮小されたデザインのキャラクターだった。

幸いにもデジタル分野の技術は日進月歩に発展し、デジタル産業の最前線にあるゲームはその恩恵を真っ先に受けるようになった。『リネージュ』神話の正統な後継者『リネージュ2』をはじめ、『ミュー奇蹟の大地』 で3Dオンラインゲーム市場を主導したウェブゼンの『SUNオンライン』、日本の有名イラストレーターを起用した『グラナド・エスパダ』、『タワー オブ アイオン』にいたるまで、韓国のオンラインゲームはグラフィック的に飛躍的な発展を遂げ、イラストをそのままゲームの中に移したようにリアルなグラフィックを表現しはじめた。

過去においてもゲームを論じるのにグラフィック的な要素は無視できなかっただろうが、ゲームを評価する優先順位には入らなかった。しかし、実際と同じゲームグラフィックが実現できる今となっては、グラフィックがゲームの完成度に非常に大きな比重を占めるようになった。ましてや多くのユーザーが公開されたグラフィックだけでゲームを評価し、今後のゲームサービスに大きな影響を及ぼしたりもする。

グラフィック技術の発展はイラストにも影響を及ぼした。かつて技術的な限界があったときは、それに合わせてゲーム上で動かせるレベルの簡単なイラストを描く場合が多かった。しかし、技術の発展によって表現の限界が広がるにつれ、イラストもますます精巧になり、独特なコンセプトの絵も通用するようになってきた。

(写真説明:技術の発展はイラストとあまり違わないグラフィックを具現できるようにした)

イラストとグラフィックの役割分担
初期にオンラインゲーム市場が形成される当時は、イラストレーターがゲームのグラフィック作業まで全部担当する場合が多かった。同じ2D作業である上に、別途グラフィック作業の人材を雇うほどの余裕がない開発会社がほとんどでもあったため、業界全般でよく見られる現象だった。しかし、ゲームグラフィックが2Dから3Dに移行する中で事情が少し変わってきた。

イラストという基本的に2Dの作業をするかたわら、3Dグラフィックまで手がけるというのは簡単ではなかったため、イラストレーターとグラフィックデザイナーという細かい業務区分が具体化されはじめた。もちろん、イラスト作業をしながら3Dデザインも手がけるグラフィックデザイナーがいないわけではないが、全般的にはこの二分野がそれぞれ特化・分離されるようになった。

グラフィック作業という足かせから自由になったイラストレーターは、以前より専門的かつ自律的に自分だけのイラストを完成させていける基盤ができた。実際に、ゲームが公開されたイラストだけでユーザーの関心を引くケースが増えた。これとあわせ、イラストも単なるゲーム向けの設定資料にとどまらず、それ自体で価値を持つようになりはじめた。

技術の発展によって表現範囲が広がり、専門性をもって集中できる環境が形成される中、ゲームのイラストは商業的な効果と共に芸術的な価値も高まった。このように、ゲームのイラストが一つの専門分野として認められるようになり、美術系学科を卒業した多くの人がゲーム業界に飛び込んでいる。こうした人材によって現在、韓国のゲームイラスト分野は質的・量的にますます発展を重ねている。


(写真説明:ゲームイラストがより専門化され、自分だけの画風を持つイラストレーターが登場し始めた)

芸術的に成長したゲームイラスト
海外では早くから、ゲームイラストレーターが一つの専門職として認められてきた。ゲーム・コンテンツ産業が発達した日本の場合、前述した『ドラゴンクエスト』の鳥山明のように、一つのゲームシリーズを象徴するイラストレーターも数多く輩出してきた。韓国の場合もゲームイラストの水準が上がるにつれて有名イラストレーターが登場し、特定のゲームを代表するケースが出てきている。

韓国のゲームイラストを語る上で抜きにできないイラストレーターがNCソフトのキム・ヒョンテである。『創世記戦』から始まって『マグナカルタ』、最近の『ブレード&ソウル』にいたるまで、韓国を代表する重厚なゲームの前面には、いつでも彼のデザインしたキャラクターの存在があった。長い間ゲームイラストレーターの仕事をしながら自分だけの絵を完成させたキム・ヒョンテは、韓国だけでなく海外でも名をとどろかせている。日本ではイラスト集を出版し、高い人気を集めたりもした。

ゲームイラストについて作品性を評価し、賞を授与する「ドミナンス・ウォー」という授賞式がある。世界的に注目されるゲームイラストが出品されるこの授賞式で、2008年と2009年には韓国のイラストレーターが大賞を獲得したりもした。それだけでなく、世界で高い人気を集めているオンラインゲーム『ワールド・オブ・ウォークラフト』でも、韓国人のイラストレーターが活躍している。最近「G-Star2010」が開催されたとき、ブリザード社のブースでは韓国人イラストレーターを招待してサイン会が開かれたりもした。
(写真説明:G-star 2010でサイン会を開いた'World of Warcraft'の韓国人イラストレーター)

総合コンテンツゲームの位置
日増しに発展している韓国製ゲームのイラストは、今や海外でも認められている。実際に最近、英語圏のゲーム壁紙専門サイトから問い合わせがあった。韓国メディアのゲーム記事に使われたイラストで壁紙を制作したいという内容だった。該当サイトでイラストを要請したゲームはキム・ヒョンテのように既に有名なイラストレーターの作品でも、かといって広く知られている人気ゲームでもなかった。サービスを始めて間もないFMStudioのウェブゲーム『Lord War』と、北米でのサービスを準備中のGamePrix社製『Divine Soul』といった新作ゲームだったが、イラストだけを見て連絡してきたというわけである。イラストがゲームを代表して広める手段として活用できるという良い例である。

しかし、ゲームイラストが芸術的に価値を認められ、外部からいくら良く評価されたとしても、忘れてはならないことがある。ゲームイラスト本来の目的として、あくまでもゲームをよく表し、ゲームの中に溶け込める作品でなければならないという点である。どんな芸術作品よりすばらしい絵を完成させたとしても、実際のゲームとは全くかけ離れているとすれば、その作品はゲームイラストとしての価値を持たないことになる。また、ゲームで実際に使われるイラストの場合、ゲームの中で具現化される姿まで考慮しなければならない。

ゲームイラストは決してたやすい分野ではない。実際のゲームに適用できる実用性とイラスト自体の芸術性の狭間で、頭を絞らなければならない。この専門分野で今や韓国のイラストレーターも少しずつ頭角を現してきている。別の見方をすれば、ゲームという単一コンテンツに局限されていた韓国のゲーム市場で、もう一つの可能性を見出したと考えることができる。

実際にゲームは技術的な要素と文学、芸術的な要素などが総合的に合わさった複合コンテンツである。それだけに未来のコンテンツ産業において他の分野と結合させ、シナジー効果を引き出せる要素が多い。ゲームイラストの発展は、韓国のゲーム産業がゲーム自体の発展とあわせ、新しいコンテンツを派生させられるほど成長したことを示す良い例である。



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