マルチプラットフォーム統合デバイスを多くの加入者に提供するという約束を通信事業者が果たせずにいることから、このところFMCに対する逆風が強まっています。しかし、通信とメディア分野が専門の調査会社Informa Telecoms and Mediaは、こうした問題はあるものの、FMCを利用する加入者の数は2013年に1億9,000万人を突破するとの見通しを示しています。
新たなサービスを誇大に宣伝するという傾向は、移動体通信業界の好ましくない性質であり、ユーザーの期待に沿うことができなかった場合、サービスそのものが酷評されるといった事態もしばしば発生します。FMCも、ユーザーの期待を裏切るような誇大宣伝の一例といえるでしょう。
同社が発行した調査報告書「FMC and Convergence Service Strategies: The evolution of the value proposition - 3rd edition」の著者であるPaul Merry氏は、2013年までにFMCを利用する加入者数はある程度増えるものの、世界市場全体のなかでこれらの加入者が占める割合は5%程度にとどまるとの見通しを示しています。しかし、これ以上に深刻なのは、通信事業者がFMCの収益事業化に失敗しているという点です。Merry氏は、「このような環境では、FMCの実現に向け作業を開始することの是非が厳しく問われることになります」と指摘しています。
今後はフェムトセルベースの加入者が急増し、2013年の時点で全体の46%を占める見通しですが、今後FMCユーザーの大半を占めることになると見られているのは、デュアルモード機能搭載のデバイスを使って各種のサービスにアクセスするデバイスベースのユーザーです。デバイスベースFMCユーザーのうち、音声サービスと一緒にデータサービスも利用するユーザーの割合は、2009年時点で30%程度ですが、2013年には42%に増えると予想されています。
【 英文市場調査報告書 】
FMC and Convergence Service Strategies: The evolution of the value proposition - 3rd edition
FMCおよびコンバージェンスサービス戦略(第3版)
http://www.gii.co.jp/japanese/itm77007-fmc-convergence.html
出版社Informa Telecoms & Media
出版日2009/01
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