近年通信業界では、LTEとモバイルWiMAXとの「戦い」が大きな話題になっています。モバイルWiMAX支持派は、この技術の標準規格である802.16eをベースにしたネットワークがすでに世界中で多くの加入者を獲得しつつあるのに対し、LTEネットワークの商業運用が始まるのは3年以上先になると主張しています。これに対しLTE陣営は、移動体通信事業者の多くが3Gネットワークへの投資を最大限に生かすため、4Gネットワークの導入を控えたいと考えており、大規模なLTE商業ネットワークのロールアウトが3~4年先になると見られているのはこのためであると反論しています。いずれの標準も、将来的には一定レベルの成功を収めると思われますが、さまざまな理由から、モバイルWiMAXが本格的に普及するまでの道のりは、LTEよりもはるかに険しいと言わざるを得ません。
3Gネットワークの標準化プロジェクトである3GPPは、GSMの進化に関するロードマップのなかでLTEを4G標準規格と位置づけています。また、世界のセルラーネットワークの大半がGSM方式であるという事実も、モバイルWiMAX陣営にとっては好ましくない材料といえるでしょう。モバイルWiMAXの大規模な普及が期待できないということになれば、モバイルデバイスのメーカーも、モバイルWiMAXアプリケーションをサポートする製品の開発に二の足を踏むからです。
モバイルWiMAXは、既存の移動体通信技術との下位互換が確保されていないという問題も抱えています。モバイルWiMAXネットワークも、他のあらゆるセルラーネットワークと同様、一朝一夕で整備できるわけではありません。当面モバイルWiMAXネットワークのサービスが利用できるのは、大きな町や大都市地域に限定される可能性が高いため、モバイルデータネットワークのサービス地域拡大に取り組んでいる移動体通信事業者は、結果的にWiMAXとCDMAの両方に対応するデュアルモードデバイスを提供する必要に迫られるでしょう。そうなった場合、Beceem、Sequans、IntelなどのWiMAXチップベンダーは、WiMAXネットワークのサービス地域がある程度の規模に拡大するまで、WiMAX専用デバイスの開発にゴーサインを出すことができなくなってしまいます。場合によっては、複数のモバイルチップセットメーカーにロイヤルティを支払ってまでデュアルモードデバイスを市場に投入するべきかどうか、携帯端末OEMの側で判断を迫られる場面が来るかもしれません。
エレクトロニクス市場を専門とする英国の調査会社IMS Researchが発行した調査報告書「The Worldwide Market for WiMAX & Competing Products - 2008 Edition」では、世界のWiMAXおよび競合製品の市場について、規格・利用ケース・周波数帯域・CPEタイプ・国/地域別に調査分析し、2013年までの市場予測、市場影響因子、各種規格の動向、バックホール、半導体市場の動向、主要サプライヤーのプロファイルなどを提供しています。
【 英文市場調査報告書 】
The Worldwide Market for WiMAX & Competing Products - 2008 Edition
WiMAXおよび競合製品の世界市場
http://www.gii.co.jp/japanese/iz75201-wimax-compet.html
出版社IMS Research
出版日2008/09
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