スマートカードの枚数は、来年末までに世界の人口を凌ぐと見られています。エレクトロニクス市場を専門とする英国の調査会社IMS Researchは、このほど発行したスマートカード市場に関する調査報告書「The Worldwide Market for Smart Cards and Semiconductors in Smart Cards - 2008 Edition」の中で、スマートカードのインストールベースが2009年中に世界の人口を上回り、全ての人々が平均1枚以上のスマートカードを所有する時代が訪れると予測しています。
1983年に実用化されたスマートカードは、当初は比較的地味な存在でしたが、25年後の現在、一人当たり平均1枚以上のスマートカードを所持するというレベルにまでインストールベースを拡大しており、2009年末には70億枚を突破する見通しです。ちなみに、世界の人口が70億人に達するのは2011年以降になると考えられています。また利用状況も、これまでは特定の市場や国に偏っていましたが、用途の拡大に伴い、かつてないほど幅広い地域で使われるようになっています。
同報告書の執筆者であるAlex Green氏は、スマートカードの用途について、「現在多くの人々が、携帯端末に組み込んで使用するSIMカードという形態のスマートカードを所持しています。SIMカードはすべての携帯端末で必要というわけではありませんが、来年末までに27億枚が使われるようになると思われます。」と述べています。
「携帯電話以外で70億枚を超えるインストールベースの一翼を担うと思われるのは、銀行や政府/医療関係の市場です。これらの市場のインストールベースは、いずれも年内に10億枚の水準を突破する見通しです。銀行は、セキュリティを強化し、詐欺行為を減らすためにスマートカードの導入を進めており、政府機関も、スマートカードを使った大規模な国内インフラ整備プロジェクトを推進しているため、どちらの市場も急成長を続けると思われます。生体認証パスポート、自動車免許証、すべての国民を対象としたIDカードスキーマ、医療用スマートカードなどは、後者の典型的な例といえるでしょう。」とGreen氏。
さらにスマートカードは、小売業界のロイヤルティカードのほか、有料TVの限定受信用カード、テレフォンカード、交通機関や施設へのアクセスなどにも利用されるようになっており、今後5年以内に100億枚の大台を突破する見通しです。
【 英文市場調査報告書 】
The Worldwide Market for Smart Cards and Semiconductors in Smart Cards - 2008 Edition
世界のスマートカード&スマートカードIC市場
http://www.gii.co.jp/japanese/iz72358-smart-card.html
出版社IMS Research
出版日2008/08
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