2008年の日中共同世論調査では、日中両国民の相手国への認識について、対照的な結果が明らかになりました。この1年間で日中首脳会談の再開など、政府間の関係改善が定着する中で、中国人は対日イメージを大幅に改善させていますが、日本人は様々な設問において中国へのイメージを悪化させています。
こうした対照的な傾向の背景には、中国は政治の動きを軸に対日イメージを作りますが、日本人は生活の視点から中国のイメージを作り始めていることがあります。「日中関係の発展を妨げる問題」に対する両国民の回答結果で、5割近い日本人が「中国産品の安全性の問題」を挙げており、「食の安全」に対する不安が日本人に大きいこと、中国人の中でもその不安があることが分かりました。
一方で、両国民間の直接交流はほとんど進まず、両国民が認識のほとんどを自国のメディア報道に依存している構造はこの1年間変わっていません。その結果、中国人の多くが日本の支配的な思想を軍国主義と見るなど、相互認識のギャップは今なお根強く残っています。日中関係は政府間レベルで改善が定着していますが、国民レベルではまだまだ課題が大きいことが浮き彫りになっています。
こうした対照的な傾向の背景には、中国は政治の動きを軸に対日イメージを作りますが、日本人は生活の視点から中国のイメージを作り始めていることがあります。「日中関係の発展を妨げる問題」に対する両国民の回答結果で、5割近い日本人が「中国産品の安全性の問題」を挙げており、「食の安全」に対する不安が日本人に大きいこと、中国人の中でもその不安があることが分かりました。
一方で、両国民間の直接交流はほとんど進まず、両国民が認識のほとんどを自国のメディア報道に依存している構造はこの1年間変わっていません。その結果、中国人の多くが日本の支配的な思想を軍国主義と見るなど、相互認識のギャップは今なお根強く残っています。日中関係は政府間レベルで改善が定着していますが、国民レベルではまだまだ課題が大きいことが浮き彫りになっています。
≪現状の日中関係に関する認識は対照的な結果≫
「両国関係をどう見るか」に対する回答は対称の様相を示し、「悪い」と回答する日本人は5割弱であるのに対し、「良い」と回答する中国人は5割強で、昨年から大幅に増えました。「日中関係が今後良くなっていく」と答えた中国人が8割を超え、日本人は「変わらない」との回答が、「良くなっていく」との回答を上回りました。
日本の有識者は一般の日本人とは異なり、日中関係が「良い」と判断する人は5割弱おり、前年と比べ大幅に改善しています。ただ、今後「良くなっていく」との回答は半数を超えるものの、前年から大きく減少しました。
中国の大学生も一般の中国人と同じく、「良い」との回答が大幅に増えました。
≪日本に対する認識は「軍国主義」≫
中国で支配的な政治思潮に関して一般の日本人の中で最も多いのは「社会主義、共産主義」で、「軍国主義」、「全体主義(一党独裁)」が続きます。昨年の調査と比べては大きく変動はしておらず、「全体主義(一党独裁)」が昨年のから増えた程度となりました。これに対して、日本の政治思潮で最も多い回答は、昨年同様「軍国主義」です。続いて「資本主義」、「平和主義」が続きます。「民主主義」との回答は1割にも達しません。
≪「報道・言論の自由」は、日中ともに規制が働いているとの認識≫
日本人の大多数が「中国には報道や言論の自由はない」「報道が実質的には規制されている」と答え、有識者ではその比率は更に高まります。他方、中国人の1割強が「日本には言論や報道の自由はない」と考えており、過半数が日本の報道は「実質的には規制されている」と回答しています。中国人大学生の中で、「日本には言論や報道の自由はない」と感じている人は少数ですが、過半数が「実質的に規制されている」と回答しています。
≪日中両国民とも、中国製食品について不安感≫
日本人の大多数が自国の食料自給率を向上させるべきだと考え、中国人の半数が、同様の回答をしています。また、中国製食品の安全性についても、日本人の大多数が不安を感じており、中国人も、4割弱が自国の食品について不安を感じているという結果になりました。
調査結果の詳細については、言論NPOのホームページ( http://www.tokyo-beijingforum.net/ )をご覧ください。
≪日中共同世論調査とは≫
2005年の8月、言論NPOは、反日デモ直後の北京で両国の有識者が本音で議論を行う「北京-東京フォーラム」を立ち上げました。その際、私たちが何度も中国側と交渉を重ね実現したのが、この共同世論調査です。世論調査の実現にこだわったのは、両国が最も深刻な時期での両国民の認識を明らかにしたかっただけではなく、この対話を両国民の意識を反映させながら進めることで、相互理解をより深めたいと考えたからです。 このような大規模な世論調査が日中共同で行われ、かつその内容が公開されるということは画期的なことであり、中国の民意を把握する上で世界のメディアやシンクタンクもこの内容を活用しています。
≪2008年調査概要≫
□日本世論調査
調査地域:日本全国
調査対象:18歳以上(高校生除く)の男女
抽出方法:日本全国で50地点。1地点の標本数は20。性・年代別の回収構成比が、平成17年国勢調査の日本全国の構成比にあうように割り当てる
調査方法: 訪問留置回収法、1000有効回収標本
調査期間:6月11日から7月6日
□中国世論調査
調査地域:北京、上海、成都、瀋陽、西安の5都市
調査対象:18歳以上で当該都市に一年以上居住している男女
抽出方法:多層式無作為抽出方法 (メディア・広告関係者除く)
調査方法:調査員による面接聴取法、1557標本(5都市合計)
調査期間:6月28日から7月15日
□日本有識者調査
調査対象:言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者2000人
有効標本:400 標本
調査期間:6月下旬から7月上旬
□中国学生調査
調査対象:北京大学、清華大学、中国人民大学、国際関係学院、外交学院の学生
有効標本:1037標本
調査期間:6月下旬から7月上旬
≪「東京-北京フォーラム」とは≫
本フォーラムは、2005年夏、反日デモ直後の北京で、非営利組織である言論NPO、中国4大メディアの一つチャイナデイリー及び北京大学が共同で立ち上げました。フォーラムは、日中間で毎年行われる共同世論調査を軸に、両国民の意識を取り入れ、日中間の課題に正面から向き合い、本音で対話する議論の舞台を民間で作り出すことを目的にしています。中国ではこれを「公共外交」の舞台とし、国務院新聞弁公室や対外友好協会が全面的にバックアップしています。これは民間対話の舞台としての役割だけでなく、政府関係者なども加わり、共通の課題解決のために討議する場という意味でもあり、トラック1.5と位置付けられています。参加者は両国の有識者、政治家、メディア関係者など各界を代表するオピニオンリーダーです。東京と北京で毎年交互に開催されており、2015年まで継続して行うことが合意されており、これまでに3回に亘って開催されています。
特に、第2回大会(2006年8月)は、外交を停止状態に追い込んでいた日中関係を改善へと動かす歴史的会議となり、安倍政権発足直後の、5年ぶりとなる首脳会議(2006年10月8日)へ道を開きました。
【認定特定非営利活動法人言論NPO概要】
所在地:〒102-0027 東京都中央区日本橋1-20-7
設立:2001年11月 代表者:工藤泰志
【お問合せ先】
特定非営利活動法人言論NPO
TEL:03-3548-0511
FAX:03-3548-0512
担当:宮浦
「両国関係をどう見るか」に対する回答は対称の様相を示し、「悪い」と回答する日本人は5割弱であるのに対し、「良い」と回答する中国人は5割強で、昨年から大幅に増えました。「日中関係が今後良くなっていく」と答えた中国人が8割を超え、日本人は「変わらない」との回答が、「良くなっていく」との回答を上回りました。
日本の有識者は一般の日本人とは異なり、日中関係が「良い」と判断する人は5割弱おり、前年と比べ大幅に改善しています。ただ、今後「良くなっていく」との回答は半数を超えるものの、前年から大きく減少しました。
中国の大学生も一般の中国人と同じく、「良い」との回答が大幅に増えました。
≪日本に対する認識は「軍国主義」≫
中国で支配的な政治思潮に関して一般の日本人の中で最も多いのは「社会主義、共産主義」で、「軍国主義」、「全体主義(一党独裁)」が続きます。昨年の調査と比べては大きく変動はしておらず、「全体主義(一党独裁)」が昨年のから増えた程度となりました。これに対して、日本の政治思潮で最も多い回答は、昨年同様「軍国主義」です。続いて「資本主義」、「平和主義」が続きます。「民主主義」との回答は1割にも達しません。
≪「報道・言論の自由」は、日中ともに規制が働いているとの認識≫
日本人の大多数が「中国には報道や言論の自由はない」「報道が実質的には規制されている」と答え、有識者ではその比率は更に高まります。他方、中国人の1割強が「日本には言論や報道の自由はない」と考えており、過半数が日本の報道は「実質的には規制されている」と回答しています。中国人大学生の中で、「日本には言論や報道の自由はない」と感じている人は少数ですが、過半数が「実質的に規制されている」と回答しています。
≪日中両国民とも、中国製食品について不安感≫
日本人の大多数が自国の食料自給率を向上させるべきだと考え、中国人の半数が、同様の回答をしています。また、中国製食品の安全性についても、日本人の大多数が不安を感じており、中国人も、4割弱が自国の食品について不安を感じているという結果になりました。
調査結果の詳細については、言論NPOのホームページ( http://www.tokyo-beijingforum.net/ )をご覧ください。
≪日中共同世論調査とは≫
2005年の8月、言論NPOは、反日デモ直後の北京で両国の有識者が本音で議論を行う「北京-東京フォーラム」を立ち上げました。その際、私たちが何度も中国側と交渉を重ね実現したのが、この共同世論調査です。世論調査の実現にこだわったのは、両国が最も深刻な時期での両国民の認識を明らかにしたかっただけではなく、この対話を両国民の意識を反映させながら進めることで、相互理解をより深めたいと考えたからです。 このような大規模な世論調査が日中共同で行われ、かつその内容が公開されるということは画期的なことであり、中国の民意を把握する上で世界のメディアやシンクタンクもこの内容を活用しています。
≪2008年調査概要≫
□日本世論調査
調査地域:日本全国
調査対象:18歳以上(高校生除く)の男女
抽出方法:日本全国で50地点。1地点の標本数は20。性・年代別の回収構成比が、平成17年国勢調査の日本全国の構成比にあうように割り当てる
調査方法: 訪問留置回収法、1000有効回収標本
調査期間:6月11日から7月6日
□中国世論調査
調査地域:北京、上海、成都、瀋陽、西安の5都市
調査対象:18歳以上で当該都市に一年以上居住している男女
抽出方法:多層式無作為抽出方法 (メディア・広告関係者除く)
調査方法:調査員による面接聴取法、1557標本(5都市合計)
調査期間:6月28日から7月15日
□日本有識者調査
調査対象:言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者2000人
有効標本:400 標本
調査期間:6月下旬から7月上旬
□中国学生調査
調査対象:北京大学、清華大学、中国人民大学、国際関係学院、外交学院の学生
有効標本:1037標本
調査期間:6月下旬から7月上旬
≪「東京-北京フォーラム」とは≫
本フォーラムは、2005年夏、反日デモ直後の北京で、非営利組織である言論NPO、中国4大メディアの一つチャイナデイリー及び北京大学が共同で立ち上げました。フォーラムは、日中間で毎年行われる共同世論調査を軸に、両国民の意識を取り入れ、日中間の課題に正面から向き合い、本音で対話する議論の舞台を民間で作り出すことを目的にしています。中国ではこれを「公共外交」の舞台とし、国務院新聞弁公室や対外友好協会が全面的にバックアップしています。これは民間対話の舞台としての役割だけでなく、政府関係者なども加わり、共通の課題解決のために討議する場という意味でもあり、トラック1.5と位置付けられています。参加者は両国の有識者、政治家、メディア関係者など各界を代表するオピニオンリーダーです。東京と北京で毎年交互に開催されており、2015年まで継続して行うことが合意されており、これまでに3回に亘って開催されています。
特に、第2回大会(2006年8月)は、外交を停止状態に追い込んでいた日中関係を改善へと動かす歴史的会議となり、安倍政権発足直後の、5年ぶりとなる首脳会議(2006年10月8日)へ道を開きました。
【認定特定非営利活動法人言論NPO概要】
所在地:〒102-0027 東京都中央区日本橋1-20-7
設立:2001年11月 代表者:工藤泰志
【お問合せ先】
特定非営利活動法人言論NPO
TEL:03-3548-0511
FAX:03-3548-0512
担当:宮浦