背景
日本では、従来より血管性認知症が最も多いと言われていましたが、最近ではアルツハイマー型認知症の方が多くなってきています。アルツハイマー型認知症は、加齢とともに増加する傾向がより顕著なので、高齢化社会が進行するにつれて、アルツハイマー型認知症患者の数が激増することが容易に予想されます。今現在、その原因解明は十分ではなく、有効な薬も開発されていません。
ここで大きな問題となるのは、アルツハイマー型認知症の介護負担が非常に重いことです。血管性認知症患者の場合と異なり、夜の徘徊や異常行動をするレベルに達すると、家族の介護負担は一気に増加します。とても1人で介護できる状態ではなくなり、不幸な結果を招いているニュースも多々目にします。この介護負担を少しでも軽減できれば、介護者にとって大きな助けになります。
光療法で介護負担を低減
認知症患者は、夜寝られない不眠症を伴います。特に、アルツハイマー型認知症患者の場合は、夜の徘徊や異常行動をとるために、周りの介護者の負担が極端に重くなってしまいます。それに対して、高照度光療法は(以下、光療法)、概日リズム、つまり一日の夜と昼のリズムを整える働きがあり、夜は睡眠、昼は覚醒にそれぞれ集中させる効果があります。したがって、アルツハイマー認知症患者の夜の徘徊を低減する効果が期待できるので、周りの介護者の負担は大幅に軽減されるわけです。
これらの事実は、意外に世間一般には広く知られていません。しかし、実際には、光療法を認知症の患者に適用して成果が上がることを確認している文献は、10年以上前から出されています。これらの文献を見ると、光療法を実施することにより、アルツハイマー病や認知症患者の夜の睡眠と昼の覚醒がそれぞれ集中するようなり、健全な概日リズムを刻むように改善していることがわかります。但し、アルツハイマー型認知症の程度が重度になると効果が出にくくなるので、早めに始めることが重要なポイントのようです。
アルツハイマー型認知症の徘徊・介護と光療法に関する詳しい情報や文献に関しては、こちら http://portal.lighttherapy.jp/patient/post_98.html に詳しく掲載されています。
いずれにしても、認知症患者に昼と夜のメリハリがついて、通常の時間帯で生活出来るようになると、本人の体調も良くなりますし、その介護を行う人々の負担がどれだけ軽減されるか計り知れません。副作用がほとんどない治療法なので、重い介護負担を考えると、積極的に取り入れるのが得策でしょう。但し、光療法は、患者が中・重度の白内障を患っている場合は、本人が余計に眩しく感じるので、医師の診断を受けた方が良いようです。
残念ながら、光療法にはアルツハイマー病の治療効果はなく、症状の進行を止めることはできません。あくまでも、概日リズム(昼夜のメリハリ)の改善によって、その時点で健全な生活リズムを刻むことができることにより、本人の体調がよくなり、周りの人の介護負担が軽減できるということです。
光療法推進委員会では、ここで述べた情報を様々な方法で一般介護家庭に発信することにより、本人の体調改善と、介護負担を減らすことに貢献できればと考えています。
関連情報: 「高齢者の不眠」 http://portal.lighttherapy.jp/patient/post_97.html
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