メディアに嫌われるプレスリリースNG事例
今回のテーマは「メディアに嫌われるプレスリリースNG事例」です。
プレスリリースは、企業の最新の活動をメディアにお知らせする公式文書です。このようなプレスリリースを出したら、メディアの方々に悪い印象を与えるだけでなく、企業価値を下げてしまいますよという事例をご紹介します。下記でご紹介する事例は実際にあったプレスリリースの事例ですので、ぜひ参考にしてみてください。
プレスリリースの内容が古い
タイトル
原料は全て天然成分の基礎化粧品●● 好評発売中!
本文
化粧品販売を手掛ける●●株式会社は、2013年4月より基礎化粧品●●を発売しています。基礎化粧品●●の原料は全て天然成分であるためお肌に優しく、子供からお年寄りまで幅広い世代に安心してご利用いただけます。また、販売から2年が経ち、敏感肌の方からもとても好評をいただいています。
以下略
このような事例はとてもよく見ますね。既存商品の紹介というパターンです。プレスリリースは、新しいニュースをお伝えするものですので、商品の発売開始ならばニュースバリューはありますが、発売中といったいわゆる既存商品の紹介というだけでは、ニュースバリューは全くありません。2年も前に発売された商品を最新の媒体で紹介するでしょうか?
例えば、お肌が乾燥する時期に合わせたキャンペーンを開催するなど、新しい切り口を考えプレスリリースにニュースバリューを持たせるのはどうでしょう。季節と絡めたネタはメディアの方も結構注目してますよ!
時節の挨拶はプレスリリースではない
タイトル
謹賀新年のご挨拶 ●●株式会社
本文
あけましておめでとうございます。
一昨年から好評をいただいております基礎化粧品●●の原料は、全て天然成分であるためお肌に優しく、子供からお年寄りまで広い世代に愛用されております。
本年も社員一同、精進してまいりますので●●株式会社を宜しくお願い申し上げます。
以下略
年明けの第一営業日によくみるパターンです。時節のご挨拶をどのようにメディアは記事にすればよいのでしょうか。どのような記事が書けるでしょうか?書けませんよね?このような時節のご挨拶は、自社のホームページにお知らせとして出しておきましょう。
また、年末年始の営業日のお知らせをプレスリリースとして出してくる企業もたまに見かけますが、こちらもプレスリリースとしては不適切です。公開は自社ホームページに留めておきましょう。
プレスリリースの書き方がまるでメールマガジン調
タイトル
これであなたもモテ肌美人?お肌に優しい基礎化粧品●●使ってぷるぷる肌になっちゃおう♪
本文
もう基礎化粧品●●使ってる?
あの子がモテるのには理由があった?
なんであんなにぷるぷるなお肌なんだろう?
そんな疑問を一発解決するには、クリックしてみてね♪
http://www.●●.com
いまなら激安セール中だよ!もう基礎化粧品●●買うしかないでしょ?
以下略
BtoC向けの商品を取り扱う企業によくみられるパターンです。おそらくユーザー向けに配信しているメールマガジンをそのままプレスリリースとして出したかったのでしょう。
メールマガジンであれば、このような文体でも全く問題ないと思います。しかしながら、プレスリリース(企業の公式文書)として、軽い印象を与える口語調の文章は不適切ですし、広告のような宣伝文句もメディアに良い印象を与えません。
メールマガジンもプレスリリースもTPOをわきまえた対応が大切ですね。
パソコンによる文章の変換ミス
タイトル
減量は全て天然成分の基礎化粧品●● 2015年7月8日に全国の薬局で発売開始
本文
化粧品販売を手掛ける●●株式会社は、2015年7月8月に基礎化粧品●●を、全国の薬局で発売を開始します。基礎化粧品●●の原料は全て天然成分であるためお肌に優しky、子供からお年寄りまで幅広い世代に安心てご利用いただけます。
以下略
最近では、プレスリリースをパソコンで作成する方が大半だと思いますが、手軽に文章を作成できる反面、起こりやすいのが変換ミスです。文章の流れを見れば、おそらく誤字であると予想がつくのですが、あくまでもプレスリリースは企業の公式文書。公式発表にミスは許されません。また、脱字も気を付けたいところ。人の脳は文章を補ってくれるのですらすら読めてしまうのです。
このようなミスは、第3者に読んでもらうと発見できますよ!
タイトル・・・「減量」正しくは「原料」
本文2行目・・・「優しky」正しくは「優しく」
本文3行目・・・「安心て」正しくは「安心して」
プレスリリースと宣伝の混同
タイトル
この機会に買わなきゃ損。原料は全て天然成分の基礎化粧品●● 激安スーパーセール開催
本文
化粧品販売を手掛ける●●株式会社は、2015年7月8月に基礎化粧品●●の、激安スーパーセールを開催します。普段絶対に値引きをしない●●を、ぜひこの機会にまとめ買いを。
ご購入はこちらのURLから30秒で完了です。お申し込みは今すぐ!
http://●●.com
以下略
プレスリリースには、客観性が求められます。自社の商品がすばらしいということを言いたいのは非常によく分かるのですが、プレスリリースは宣伝ではありません。「激安スーパーセル」だと何%オフなのかわかりませんよね?「60%オフ」のように具体的数値にするのがプレスリリースにおける正解です。また、「ぜひこの機会にまとめ買いを。」や「お申し込みは今すぐ!」等の宣伝文句もプレスリリースとして不適切です。
専門用語の頻出
タイトル
エモリエント作用をサポート。モイスチャーバランスを整える基礎化粧品●●2015年7月8日に全国の薬局で発売開始
本文
化粧品販売を手掛ける●●株式会社は、モイスチャーバランスを整える基礎化粧品●●を、2015年7月8月に全国の薬局で発売を開始します。
基礎化粧品●●は、エモリエント作用を徹底的にサポート。break outを防ぎ、驚異のwhc(water holding capacity)で皮膚にうるおいを与えます。
以下略
上記の事例を読んで、文章を理解できますか?
よく「プレスリリースを読むメディアの人は専門の人だから、その人達が分かれば問題無いよ」という声を聞きますが、果たしてそうでしょうか?プレスリリースを受け取った全ての方が専門用語を理解できるとは限りません。また近頃ではプレスリリースは一般消費者の目に留まることも十分考えられます。
専門用語はできる限り使用せず、どうしても使用する場合は、説明する文章を付けることをおすすめします。
エモリエント:皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかくすること。
モイスチャーバランス:肌の角質層の水分,皮脂,自然保湿因子のバランスのこと。
break out:大人にきび
water holding capacity:水分保持力
文章が丁寧すぎるプレスリリース
タイトル
ミネラルウォーター「南極の天然水」を新発売
本文
天然水販売を手掛ける●●株式会社は、2019年1月10日に「南極の天然水」を発売致します。「南極の天然水」は実際に南極の氷を解凍したものをそのまま詰め込んだ商品でございます。数億年前からの生命の息吹を感じていただけますと幸いでございます。
以下略
丁寧に書きたくなる気持ちはわかるのですが、ここまで丁寧だと逆に読みにくくなってしまいます。上記の場合【発売致します。→発売します。】【商品でございます。→商品です。】【感じていただけますと幸いでございます。→感じてください。】とするだけで、非常に読みやすくなります。
「である調」で書くと上からな印象を与えてしまうこともあるので、過剰な丁寧語は避け【ですます調】で書くと良いでしょう。
メディア掲載を依頼する文言が入っている
タイトル
無人配達サービス「無人ハイタッツ」2019年1月10日サービス開始
本文
宅配事業を手掛ける●●株式会社は、2019年1月10日に無人配達サービス「無人ハイタッツ」のサービスを開始します。無人配達サービス「無人ハイタッツ」は全自動運転車を使用したこれまでにない新しいサービスです。
メディアの皆様にはぜひ取り上げていただきますようお願い致します。
画像などご希望の方はお問合せください。
以下略
このようなプレスリリースを受け取った場合どう思うのかを、メディアの方々に聞いてみました。記事にするかを決めるのはメディアなので、掲載を依頼されても中身にニュースバリューが無ければ記事にしないし、売り込み臭がして逆に掲載しないかも。画像があるなら、自社サーバーやファイル共有サービスに画像一式をアップし、ダウンロードできるURLを記載するなど初めからプレスリリース内で完結してほしい。というご意見をいただきました。ドリームニュースであれば、添付資料にファイルをアップして配信することができます。
取り上げて欲しい気持ちをぐっと抑え、誇大することなく事実を過不足なく記載することに徹しましょう。
実績の数値が細かすぎる
1本目 タイトル
アプリゲーム「パズルでポン」10,000ダウンロード突破
2本目 タイトル
アプリゲーム「パズルでポン」11,000ダウンロード突破
3本目 タイトル
アプリゲーム「パズルでポン」12,000ダウンロード突破
実績発表のプレスリリースは良くみかけますが、上記のように細かく何回も配信することはメディアも良い印象を持ちません。ある程度まとまった数値を実績として発表しましょう。また、「突破した」だけではなく、突破してどうしたのか、例えば「突破記念キャンペーンをします。」のような新しい活動を付け加えるようにしてください。
いかがでしたでしょうか。
プレスリリースはやたらむやみに配信するものではありません。ネタをどうつくるか、書き方やタイミングなどを細かく考えて、メディアに取り上げられるにはどうしたらよいかを熟考し、戦略的に配信するものです。プレスリリースを配信する前に、この内容で本当に問題ないか、配信してよいものかをもう一度考えてみましょう。プレスリリースは企業の活動を世に広める公式文書なのですから。