ダメなプレスリリースの雛形を元に書き方を解説[新店舗オープン編]
【解説シリーズ!】では、各プレスリリースの内容に合わせて、ダメなサンプルリリースをもとに注意すべきポイントを解説しています。
過去に紹介したダメなプレスリリースの雛形を元に解説している記事はこちら
今回で15回目となる【解説シリーズ!】のテーマは「新店舗オープン」です。
プレスリリースの題材となる趣旨は以下の通りです。
飲食店の経営および飲食店コンサルタント業務を行う株式会社●●●●は、20xx年4月2日(月)、JR××線の××駅から徒歩1分の場所に地鶏料理専門店「■■■■」をオープンする。また、オープンに先駆け、20xx年3月x日(月)とx日(金)の17:00〜20:00にメディア向けの試食会も開催する。
タイトル
まずはタイトルです。
1地鶏料理専門店「■■■■」20xx年4月2日オープン 庭園を望む和の空間で、名物「××地鶏のもも炭火焼き」を堪能!
店舗の立地が不明
店舗オープンのプレスリリースにおいて、地元メディアにお店の存在を認知してもらうことは重要です。しかし、このタイトルでは店舗が世界のどこにオープンしたのかがまったく分かりません。
メールでプレスリリースを受信するメディアの多くは、タイトルだけを読み、瞬時にそのニュース性を判断します。ちなみに、タイトルは30〜50文字以内が推奨されています。限られた文字数の中で、メディア含め多くの人が地域を認知できるよう工夫しましょう。
適切なタイトルの例の2では、ある程度知名度のある最寄駅から立地を表現しました。
余談ですが、コンビニエンスストアのように多店舗出店している場合は、「○○○三丁目」のように知名度の低い地域名になりがちで地元民以外の人にはピンとこないことも。そんな時は市区町村名を補足し『○○市内3店舗目「■■■■ ○○○三丁目店」オープン」のように表現すると伝わりやすくなります。
メディア向け試食会の案内がない
本来、「店舗オープンの告知」と「メディア向け試食会の開催案内」はそれぞれ配信テーマが異なるため、個々にプレスリリースを作成することをおすすめします。
しかし、企業によってはさまざまな事情により、ひとつのプレスリリースにまとめて発表する場合も。そのようなケースでは、せっかくの「メディア向け試食会の案内」がタイトルから漏れている例を目にします。
理由としては、広報担当者が記者向け内覧会(プレスプレビュー)の重要性を理解しておらず補足情報扱いをしている、プレスリリース本文のすべてを読んでもらえることを前提としてタイトルには書いていない、などが考えられます。
3のように簡潔に書き加えましょう。(タイトル冒頭でも可)
地鶏料理専門店「■■■■」20xx年4月2日オープン2<××駅徒歩1分>庭園を望む和の空間で、名物「××地鶏のもも炭火焼き」を堪能!3【メディア向け試食会3月x日(x)・x日(x)のご案内】
本文
続いて本文です。
飲食店の経営および飲食店コンサルタント業務を行う株式会社●●●●(本社:東京都港区 代表取締役社長:▲▲ ▲▲、以下「●●●●」)は、20xx年4月2日(月)、JR××線の××駅から徒歩1分の場所に地鶏料理専門店「■■■■」をオープンします。
4日本における鶏肉の需要は近年××傾向にあるものの、一方で××××××の課題を抱えています。
●●●●は、地鶏料理専門店「■■■■」の運営を通してこうした課題の解決に貢献するとともに、日本各地の鶏料理の食文化を伝承していくことで、ブランド地鶏の普及推進活動に取り組むことを目的として、この度のオープンに至りました。
■■■■は、「××××××××××××」をコンセプトに、お客様が××できる××です。
名物は、濃い旨みと柔らかくジューシーな肉質が特徴の××地鶏(××県)を使用した「××地鶏のもも炭火焼き」(×××円)です。××産の完熟柚子を使った自家製ゆず胡椒が、さらに肉の味を引き立てます。
アルコールメニューは、鶏料理と相性の良い日本酒や焼酎を豊富に取り揃えています。
約40種類のアルコールとソフトドリンクから2時間飲み放題メニュー(×××円)も。
また、ノンアルコールのカクテルやチューハイも用意しています。甘さを抑えすっきりとした味わいが人気の「生搾り ノンアルレモンサワー」(×××円)は食事にぴったりです。
【店舗概要】
[店名]地鶏料理専門店「■■■■」
[住所] 〒×××-×××× 東京都××区1-2-3 ××ビル 1F
(以下、【店舗概要】の他項目は省略)
【メディア向け試食会の開催】
20xx年4月2日(月)のオープンに先駆け、20xx年3月x日(月)とx日(金)の17:00〜20:00(受付開始16:30)にメディア向けの試食会を開催します。
<申込方法>
(1)〜(7)の記載のうえ、20xx年3月x日(金)までにメールにてお申し込みください。
担当者より追ってご連絡差し上げます。
(1)企業名
(2)媒体名
(3)氏名
(4)参加人数
(5)電話番号
(6)メールアドレス
(7)参加希望日<3月x日(月)またはx日(金)から選択>
<申込先> info@example.jp
(以下、【会社概要】と【報道関係者向けお問い合わせ先】の記載へ続く)
オープン経緯から書き始めている
時たま、4のように本文冒頭からお店への熱い想いや開店経緯を長文で書き連ねるプレスリリースを目にします。
しかし、プレスリリースの構成は一般的な「起承転結」ではなく、結論を先に書く「結起承転」のスタイルが原則です。始めにお店のコンセプトや特長について書き、経緯や背景は適切な本文の例の6のように後半に記載しましょう。
お店の雰囲気について説明がない
メニューやサービス内容の説明はするものの、お店の雰囲気を“言語化”していないプレスリリースをよく見かけます。
お店の雰囲気については、店舗の外観や内装が分かる画像を掲載すれば一目瞭然なのですが、メディアが記事を書く時はテキストとして表現することを念頭に置きましょう。
例えば、画像だけでは壁紙が真っ白なのかオフホワイトなのかは断言できないですし、取材に訪れていもいない店の雰囲気については語りようがありません。
大切な情報は画像だけに頼らず、6のようにきちんと言語化して説明することも大切です。
■■■■は、「××××××××××××」をコンセプトに、お客様が××できる××です。
名物は、濃い旨みと柔らかくジューシーな肉質が特徴の××地鶏(××県)を使用した「××地鶏のもも炭火焼き」(×××円)です。××産の完熟柚子を使った自家製ゆず胡椒が、さらに肉の味を引き立てます。
アルコールメニューは、鶏料理と相性の良い日本酒や焼酎を豊富に取り揃えています。
約40種類のアルコールとソフトドリンクから2時間飲み放題メニュー(×××円)も。
また、ノンアルコールのカクテルやチューハイも用意しています。甘さを抑えすっきりとした味わいが人気の「生搾り ノンアルレモンサワー」(×××円)は食事にぴったりです。
5店内はくつろげる和の空間で、落ち着いたベージュの壁紙とぼんぼりをイメージした大きな照明が印象的な内装です。テーブル席からは中庭の庭園が望め、ゆっくりとお食事を楽しむことができます。
メニューの注文は、客席からお客様自身がタッチパネル式のタブレット端末を操作し料理を注文する「セルフオーダーシステム」を導入しています。
<コースメニュー>※一部抜粋
■×××コース【120分飲み放題付き】全7品 4,500円
■×××コース【90分プレミアム日本酒飲み放題付き】全8品 5,500円
全メニュー一覧はこちらからご覧ください。
http://www.example.jp
※表示価格はすべて税込です。
【店舗概要】
[店名]地鶏料理専門店「■■■■」
[住所] 〒×××-×××× 東京都××区1-2-3 ××ビル 1F
(以下、【店舗概要】の他項目は省略)
6【店舗オープンの背景】
日本における鶏肉の需要は近年××傾向にあるものの、一方で××××××の課題を抱えています。
●●●●は、地鶏料理専門店「■■■■」の運営を通してこうした課題の解決に貢献するとともに、日本各地の鶏料理の食文化を伝承していくことで、ブランド地鶏の普及推進活動に取り組んで参ります。
【メディア向け試食会の開催】
20xx年4月2日(月)のオープンに先駆け、20xx年3月x日(月)とx日(金)の17:00〜20:00(受付開始16:30)にメディア向けの試食会を開催します。
<申込方法>
(1)〜(7)の記載のうえ、20xx年3月x日(金)までにメールにてお申し込みください。
担当者より追ってご連絡差し上げます。
(1)企業名
(2)媒体名
(3)氏名
(4)参加人数
(5)電話番号
(6)メールアドレス
(7)参加希望日<3月x日(月)またはx日(金)から選択>
<申込先> info@example.jp
(以下、【会社概要】と【報道関係者向けお問い合わせ先】の記載へ続く)
以上が「新店舗オープン」に関するプレスリリースを作成する上でのポイントです。
店舗オープンのプレスリリースは、「新規性」がありそれだけでニュース性が高い情報です。
しかし、それに甘んじてチラシのようにお店の宣伝臭が全面に押し出された書き方になると、一気にメディアからは嫌悪感を持たれてしまうリスクがあります。
お店への親近感を感じてもらいつつ、「企業の公式文書」としての役割をきちんと果たすプレスリリース作りに努めましょう。
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