プレスリリースでSDGsを謳う前に〜真の取り組みで企業価値を高める〜
2015年に採択されたSDGs
2015年に国連加盟国全てが採択したSDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で2030年までに世界をより持続可能な方向に向かわせるための国際的な目標群です。
SDGsは合計17の目標からなり、それぞれが異なる地域や社会における持続可能な開発に焦点を当てています。これらの目標は、貧困撲滅、健康と福祉の改善、教育の普及、ジェンダー平等、清潔な水と衛生、持続可能なエネルギーへのアクセス、経済成長と雇用の促進、産業とイノベーションの推進、不平等の削減、持続可能な都市とコミュニティの構築、気候変動対策、海洋と海の保護、陸上生態系の保全、平和と公正の促進、パートナーシップの推進などの領域をカバーしています。
2019年8月付でSDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドラインが改定され、ホームページや店舗でもカラフルな画像を見かけるようになりました。
近年問題視されているSDGsウォッシュとは
しかし、近年、企業や組織が持続可能なイメージを装いながら、その取り組みが実際には表面的な取り組みに過ぎず逆に悪影響を与えている場合が増えています。SDGsに関連する取り組みに見せかけることで、企業や組織が自らのイメージを改善しようとする試みは「SDGsウォッシュ」と呼ばれ、その影響は持続可能性の本質に対する信頼を損ない、逆に効果的な取り組みを妨げることにつながっています。
いくつかの例をあげてみましょう。
1環境への影響を考慮していない製品の販売:
プラスチック製品の販売を行っている企業が、SDGsに関連する取り組みを公表しつつも、そのプラスチック製品が環境への負荷を増加させている。
2社会的責任の欠如:
衣料品ブランドがSDGsに関連する広告を展開しつつも、その製品を製造する工場で労働者の権利が侵害されている。
3環境に配慮したイメージのみの取り組み
企業が森林保護活動に関連する広告を出す一方で、その実態は環境破壊を引き起こす事業を継続している。
SDGsウォッシュによって消費者やステークホルダーからの信頼を失い、企業のイメージが損なわれ、企業のブランド価値や市場競争力が低下する可能性があります。また、本当の意味での持続可能な開発への取り組みや本質的な解決策が混乱し、偽りの解決策や表面的な取り組みが広まることで、本来の持続可能な開発の推進が阻害されることもあるでしょう。
プレスリリースでSDGsを謳う際に
他のコラムでも紹介していますが、プレスリリースとは企業や組織が自らの取り組みや成果を報告するための公式文書です。しかしながら近年、SDGsウォッシュが進む中で、プレスリリースにおけるSDGsへの言及も問題視されるようになってきています。
昨今プレスリリースでもSDGsという言葉をよく見ますが、企業はプレスリリースでSDGsをどのように伝えるべきでしょうか?重要なのは、見せかけではなく、真のコミットメントを示すことです。
- 具体的な目標と取り組みを明確に示す
- 定量的なデータを用いて効果を説明する
- 第三者による認証や評価を得る
- 継続的な取り組みであることを強調する
これらのポイントを踏まえることで、SDGsウォッシュを避け、真の意味で企業価値を高めることができます。
見せかけのSDGsではなく本質的なSDGsの実現には、表面的な取り組みではなく、持続可能性の原則に基づいた継続的な行動が不可欠です。SDGsウォッシュによってその価値が損なわれることは避けなければなりません。
企業や組織は、SDGsに対する真のコミットメントを示し、その取り組みを透明かつ誠実に報告することが重要であり、それによってSDGsを利用して自らのイメージを洗練するのではなく、本当の意味での持続可能性に貢献することが可能となるでしょう。