プレスリリースを書く前に知っておくべき「薬機法」と虚偽・誇大広告への厳罰化【2021年8月改正薬機法】
2021年8月に施行された改正薬機法(旧薬事法)に、新たに課徴金(かちょうきん)制度が導入されて1年以上が経ちました。とはいえ、ネット上の違法広告はまだ数多く存在していて、依然として深刻な社会問題となっています。
2022年9月、消費者庁は大手健康食品メーカーに対し、販売するサプリメントにおいて景品表示法違反(優良誤認)で措置命令の行政処分を下した事例がありました。
中でも、措置命令の対象となった「表示媒体」のひとつにサプリメント新発売に関するプレスリリースが含まれていたことについては広報・PR業界や有識者から驚きの声が上がりました。
ネット上に掲載されるプレスリリースが法律上の「広告」に該当するか否かについては以前から議論が分かれていましたが、今回の事例を機に改めて広報担当者も知識をアップデートしていく必要があるでしょう。
「カイセイ薬機法?カチョウキン?」と疑問に思った広報担当者の方は、ぜひ理解しておきたい法令のひとつです。
そこで今回は「プレスリリースを書く前に知っておくべき「薬機法」と虚偽・誇大広告への厳罰化【2021年8月改正薬機法】」をご紹介します。
薬機法って何?規制対象と虚偽・誇大広告の禁止について
薬機法(旧薬事法)の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、薬機法の規制対象は以下の5つです。(以下「医薬品等」といいます。)
(1) 医薬品(2)医薬部外品(3)化粧品(4)医療機器(5)再生医療等製品
これらの製造販売には厚生労働大臣もしくは都道府県知事による承認が必要となります。
そして、薬機法66条1項では医薬品等について承認された範囲を逸脱する表現の広告を禁止しています。
薬機法第66条1項(虚偽・誇大広告の禁止)
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
減らない誇大広告に課徴金(売上一部没収)導入、厳罰化へ
これまでも薬機法に違反した者には懲役や罰金が科されていましたが、罰金の水準は個人・法人ともに最大200万円に留まっていました。ところが多少の罰金を払ったとしても違法行為で得られる不当利益を重視する違反者に対する抑止効果が低かったことから、新たに課徴金(かちょうきん)制度が導入されました。
ここでいう課徴金は平たくいうと、違法な虚偽・誇大広告で儲けた利益の一部を事業者から没収する制度です。(課徴金は「行政処分」の一種で、刑事罰の一種である「罰金」とは異なります。)
つまり経済的利得に対する是正措置であり、違反がバレたとしても「儲けたもん勝ち」や「逃げ得」を許さないということですね。
<参考>
【厚生労働省】課徴金制度の導入について
薬機法の課徴金っていくら?
原則、違反行為者は違反期間における対象商品の売上額の4.5%を納めなければなりません。ただし、課徴金額が225万円(対象品目の売上5,000万円)未満の場合は徴収が免除される他、同一事案に対し景品表示法(※)違反(優良認表示や有利誤認表示に該当)に対する課徴金納付命令(売上額の3%)を受けている場合は減額されるなど、例外はあります。
(※) 正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。略称は景品表示法、景表法。所管は消費者庁。
薬機法の罰則対象者は誰?
医薬品等について虚偽・誇大広告を表示してしまった場合、誰が罰則を受けるのでしょうか。
答えは、なんと個人・法人を問わずその違反広告に関わった「全ての人」です。
薬機法66条1項に「何人も」とあるように、広告主に限らず、広告業務を請け負った広告代理店やアフィリエイター、ブロガー、広告を掲載するメディアやプラットフォーマーなど関係者全員が対象となります。
広告の一義的な責任はもちろん広告主にあるわけですが、改正薬機法が施行された2021年8月以降は広告代理店や掲載メディア等にも課徴金が課されるリスクが出てきました。広告・PR業界における広告掲載基準の厳格化の流れは、これまで以上に加速していくことでしょう。
規制対象外の健康食品や雑貨が薬機法違反になることも
ここまで、薬機法の規制はあくまで医薬品等に限ると解説しましたが、規制対象外の商品にもかかわらず薬機法違反となってしまうケースをご紹介します。
- 健康食品(例:サプリメントや栄養補助食品等)なのに医薬品と誤認されるような効能効果をうたった広告
- 雑貨に分類される美容器具なのに医療機器であるかのような名称や性能をうたった広告
【薬機法第68条】では未承認の医薬品や医療機器の広告を禁止しています。
違反すると刑罰(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、あるいはその両方が科される)の対象となる可能性があります。また、景品表示法における優良誤認表示と判断される恐れもあります。
まとめ
いかがでしたか?
企業が薬機法に抵触しないためにも、弁護士などの専門家と共に社内研修やガイドラインの策定するなど、あらかじめ健全な広告作りができる制度を整えましょう。
※本コラムの記載内容は、2022年10月現在の法令等に基づいています。
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