必見!プレスリリースが“炎上”しないために広報担当者が知っておくべきこと
企業のCMや広告の“炎上騒動”は多々ありますが、近年、大炎上となりやすいテーマとして「ジェンダー炎上」が挙げられます。
ジェンダー炎上とは、企業が発信するCMや広告が「男らしさ」「女らしさ」といった性別(ジェンダー)について偏見や差別的なメッセージが込められていると多くの人に認識された結果、SNSを中心とした世間一般から大批判が巻き起こり収集がつかなくなってしまう現象をいいます。
誰もが聞いたことのある大企業や言葉・表現のプロであるはずの出版社や大手民放テレビ局でさえも炎上してしまうことがある昨今、決して対岸の火事ではありません。
プレスリリースは広告とは異なりますが、新商品や新サービスの提供開始のプレスリリースを作成する時は、あらかじめ社内で決定したキャッチコピーや説明文を用いるケースが多いと思います。そう考えると、プレスリリース配信をきっかけと広報部発の炎上が起こる可能性もゼロとはいえません。
それでは、ジェンダー炎上の原因となるジェンダー差別(男女差別)に、ルッキズム(外見差別)、エイジズム(年齢差別)を加え、改めてその意味とリスクや対策について考えてみましょう。
1 ジェンダー差別(男女差別・性差別主義)
ジェンダー差別とは、社会的・文化的な役割としての「男女の性」(ジェンダー)を理由に人を差別することをいいます。
そして、ジェンダー差別を生み出す原因のひとつに、「パイロットは男性」「保育士は女性」といった人々の固定的な性別役割分担意識(ジェンダー・バイアス)が挙げられます。いわゆる「男らしさ」「女らしさ」というものです。
内閣府男女共同参画局は、2021年5月に様々な「職業」や「社会生活場面」を想定したフリーイラスト素材を公開し、世の中の性別による役割分担の固定観念の解消に努めています。
<表現例>
・女性にうれしい「ご飯少なめセット」や「男のガッツリ丼」をご用意!
・男の子用にブルー、女の子用にはピンクを販売します。
・クリニック開院のチラシに医者は男性、看護師に女性のイラストを使用する。
2 ルッキズム(外見差別・外見至上主義)
ルッキズムは、外見にもとづく差別で、「外見至上主義」とも言われます。差別意識がなくても、「美しすぎる○○」などのように、容姿の美しさを過剰に褒め讃えることもルッキズムに該当するので注意しましょう。
また、こうしたルッキズム的な思想のひとつに、肥満や薄毛、肌質など容姿のコンプレックスを必要以上に煽り商品を訴求する「コンプレックス広告」が挙げられます。(下記、表現例の◎が該当)
国内大手ポータルサイトのYahoo!JAPANでは、2020年9月に「コンプレックス部分を露骨に表現したもの」の広告出稿禁止を適用し始めるなど、規制の動きは広がりを見せています。
<表現例>
・弊社の高身長で爽やかなイケメン営業マンがご案内します。
・美人ぞろいの接客スタッフがお待ちしています!
◎デブで非モテだった私が○○で激ヤセ大変身!
◎この夏、剛毛で外も歩けないあなたに朗報!○○除毛クリーム新発売
3 エイジズム(年齢差別・年齢至上主義)
エイジズムとは、年齢にもとづいた差別をすることです。若年層や中年に対しても使われますが、特に高齢者差別や老人蔑視を指すとのことです。
たしかに人は年齢を重ねるごとに健康状態や体質が変化しますが、侮蔑的な表現や決めつけはご法度です。
<表現例>
・「若いから頼りない」と言わせない、鉄板スーツコーデ!
・職場で不快な「オジサン臭」も撃退!空間消臭○○新発売!
・ITに弱いシニア世代にもぴったり!○○サービス提供開始
まずは1~3の表現について、これまでに配信した自社のプレスリリースを中心に、SNS上の発信内容、オウンドメディアのコラム、広告表現などをふり返ってみてはいかがでしょうか。
しかし、問題の本質は、単に言葉や表現に気をつければいいという表面的なことではありません。
また、企業によってはプレスリリースを作成する段階では、広報担当者の一存でキャッチコピーや表現を変更できない場合も。
そこでここからは、炎上問題の本質と社内チェック体制の構築についてご紹介します。
炎上問題の本質とは
1~3の表現を読み、人のよっては「この表現のどこが問題なの?」「実際そうなんだし、これくらいいいじゃないか」「神経質な時代だ」などと感じた方もいるかもしれません。良いか悪いかは別として、裏を返せば、それだけ私たちが育ってきた時代の社会通念や環境、メディアから得た情報による無意識下の刷り込みや思い込みが強固であるということでしょう。
もちろん、いつの世も万人が納得し称賛する表現というものはありません。しかし、少なくともこうしたジェンダー差別等の炎上問題を考える上で大切なことは、企業が「表現の正解」を模索することではなく、価値観や物事の在り方を一方向に固定化しようとする姿勢そのものが問われていることを自覚することなのかもしれません。
世界(特に先進国)の価値観や1990年後半から2000年代生まれの「Z世代」の若者の意識は、驚くほどのスピードで「ジェンダーフリー」「多様性」「個としての選択」にシフトしている一方、ジェンダーギャップ後進国の日本(※1)では、ジェンダー平等に対する意識の世代間格差が大きいことが課題となっています。
企業として差別をする意図はまったくなかったとしても、「この企業は差別的なのではないか」と世間一般に“思われた”時点で、企業ブランドやイメージを大きく損なってしまうリスクがあるということを肝に銘じておきましょう。
(※1)「世界経済フォーラム」が2021年3月に発表した世界各国の男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数」で、日本は156カ国のうち120位で、G7では最下位。
「危機管理広報」の対応として、社内のチェック体制を構築することが大切
今回は、プレスリリースがジェンダー炎上の原因にならないように、という視点でお話ししていますが、本来はプレスリリース上だけでどうにかなる問題ではありません。
というのも、冒頭文でもご紹介したとおり、商品開発の段階でコンセプトやターゲティング、パッケージデザインなどおおよそのマーケティング戦略は決定していることがほとんどだからです。同時にそれは取引先への営業資料や自社ホームページ、広告などの制作物へとどんどん派生し、広報担当者がプレスリリースを書く頃にはキャッチコピーや表現を見直すことは困難でしょう。
仮に炎上すれば、その発端が広告であれプレスリリースであれ、対応窓口となるのは広報部です。そのため、危機管理広報(不祥事や想定外のトラブルなど企業の危機的状況に対処するための広報)への備えを万全にする意味でも、あらかじめトラブルの事前防止策を構築しておくことが大切です。
事前防止策として、他社の炎上事例を共有・分析する研修をしたり、具体的な確認事項を洗い出した「事前チェックシート」を作成し、商品開発部や宣伝・マーケティング部など他部署間との連携をとりながら、ぜひ企業全体で取り組んでいきましょう。
いかがでしたか?
今回取り上げたジェンダー差別に関わらず、プレスリリースを書く上で、多角的かつ客観的な視点を持つことは欠かせません。特にプレスリリースを初めて書く人や広報を社内ひとりで担当している方は、ぜひ第3者による添削の機会を設けてみてはいかがでしょうか。社外の人への添削依頼が情報漏洩の観点から難しい場合は、プロの添削支援サービスを活用してみるのもおすすめです。
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