水産物総合卸売商社の株式会社クラハシ(本社:広島県福山市、代表:天野文男)は、福山大学との共同研究を基盤に、沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設で展開している「完全養殖シロギスプロジェクト」について、2024年11月29日(金)に沖縄で開催された「令和6年日本水産増殖学会」にて、シロギス養殖技術の進展と課題を発表し、持続可能な水産業への新たな一歩を共有しました。
◆水産業界の未来を議論する学会にて、プロジェクトに携わる若手社員が発表
当社は、11月29日から30日にかけて沖縄で行われた「令和6年日本水産増殖学会」において、「完全養殖シロギスプロジェクト」についての学会発表をおこないました。この学会は国内外の研究者や水産業関係者が集い、水産業界の未来を議論する重要な場です。今回の学会では、沖縄県内の陸上養殖施設を拠点に展開するシロギスの完全養殖事業に、当初から現地沖縄で携わってきた若手社員が中心となって発表をおこない、多くの関心を集めました。
シロギス養殖における「完全養殖」とは、卵から成魚までの一貫した育成を可能にする技術で、これにより、天然資源に依存しない持続可能な生産が可能となります。当社は、福山大学の技術指導のもと、仔魚にとって生命線である餌のワムシの生産管理や餌の摂餌方法について広島県立総合技術研究所からも指導を受け、技術力をさらに向上させてきました。
今回の発表では、親魚養成と採卵、親魚の育成方法や採卵における技術的な進展、効率的かつ安定したシロギスの種苗生産の実現に向けた取り組み、成長促進の工夫や課題の克服など養殖技術の現状、などをテーマに掲げ議論されました。
『びんごの姫』ブランドとして出荷される完全養殖のシロギスは、天然シロギスの漁獲が減少するオフシーズンに市場を活性化させる新たな可能性を示唆しています。この取り組みは、地域経済の発展と水産業の持続可能性を両立するモデルケースとして、国内外から注目を集めています。
◆ブランド魚『びんごの姫』の完全養殖の出荷 安定した供給・価格が可能に
福山大学では、2015年からシロギスの生態や特徴を研究し、産卵期のコントロールや高成長・安定的な飼育技術の開発をおこなってきました。当社は2018年から実証化に参画し、沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設にて、福山大学で生まれた稚魚を育て、成長した親魚が産んだ卵を孵化させて飼育する「完全養殖」の取り組みを進めてきました。
伊平屋島の施設では、冬場の水温も瀬戸内海と比較しても非常に高く、シロギスの出荷の目安とされる15cm以上に成長するまで通常2~3年かかるところ、1年弱で育ち効率的な養殖が可能です。
しかし、養殖開始当初は、夏場の高温で仔魚が全滅してしまうなど試行錯誤が続き、事業として養殖に取り組むにはいくつもの困難がありました。特に、現地の若い養殖担当の社員は養殖に関しては素人で、毎日オンラインで福山大学の指導を受けながら、必死に命と向き合ってきました。2022年4月には、養殖場に隣接した水温管理のできる沖縄種苗研究センターを創設し、親魚の採卵を開始。現在は伊平屋島漁協が所有する陸上養殖水槽を活用した養殖をおこない、初の本格出荷を迎えた昨年は1万尾を初出荷。2年目の本年は10万尾を出荷するに至りました。
◆福山大学と産学連携「養殖シロギスプロジェクト」 高級魚を1年中安定供給
シロギスはパールピンクや虹色に輝いて見える魚体の美しさから、“海の女王”と呼ばれています。また、くせや臭みがなく熱を通しても身が締まらないことから、刺身や昆布締め、天ぷらやフライなど、食材としての価値も高い人気の魚です。春から夏にかけて水揚げされ、秋以降は品薄のシーズンオフとなり高値で流通する高級魚でもあります。近年は漁獲量が10分の1に激減し、市場での不足を補うため代替として近縁種が輸入されていますが、国産シロギスの上品な甘さやくせのない淡白な味わいには及びません。
そこで当社は、これまで養殖の対象になっていなかったシロギスの完全養殖により、オフシーズンに高品質なシロギスを安定供給させることで、シロギスのおいしさを一年中味わっていただくことが可能になると考え、福山大学のプロジェクトに参画しました。『びんごの姫』は養殖なので傷がほぼなく、鮮度も良好に保てるため、身質は天然物と同様かそれ以上と、非常に高い評価を受けています。
当社は今後も、福山大学との共同研究を継続し、沖縄をはじめとする地域と連携することで『びんごの姫』を国内のみならず海外輸出も視野に入れて事業展開するほか、これまで養殖の対象とされていなかった魚種にも着目して展開を拡大することで、新たな経営の柱にしたいと考えています。当社は今後も「完全養殖シロギスプロジェクト」をはじめとした養殖事業を拡大し、未来の海のために持続可能な漁場への取り組みに貢献していきたいと考えています。
【「完全養殖シロギスプロジェクト」の経緯】
2015年:福山大学にてプロジェクト開始。
2018年:クラハシが参画。
子会社のマリンリンク(沖縄県伊平屋村)を通じ、陸上養殖水槽にて養殖を開始。
2022年春:沖縄県伊平屋村の養殖場に温度管理ができる「種苗センター」を新設。
採卵や、仔魚の中間育成のため小型水槽15基を整備。
2021・22年:試験的に出荷。高値が付き、味も好評を得る。
2023年3月:ブランド名を「びんごの姫」と命名。ブランドサイトを立ち上げる。
https://www.kurahashi.co.jp/initiatives/bingonohime/
2023年11月2日 :広島県庁にて試食会を開催。
2023年11月:沖縄県伊平屋村の陸上養殖場にて初水揚げ。福山卸市場より1万尾初出荷。
2024年11月:2年目は10万尾を出荷。
【会社概要】
社名 :株式会社クラハシ
代表 :代表取締役社 天野 文男
本社所在地:〒721-0942広島県福山市引野町1-1-1 福山市地方卸売市場内
TEL :084-941-3510
設立日 :2006年3月23日
URL :https://www.kurahashi.co.jp/
資本金 :100,000千円
従業員数 :約150名(正社員110名)
事業内容 :福山市地方卸売市場・水産物荷受(広島県公認)水産物及び関連商品、冷凍食品等の卸売
【株式会社クラハシとは】
当社は、1896(明治29)年創業の藤井商店を、1946(昭和21)年に倉橋商店として受け継ぎ、1958(昭和33)年に法人化、1972(昭和47)年に現社名となりました。1950(昭和25)年の市場移転に伴い、備後地方の台所「福山地方卸売市場」に入場し本社を構えてから50年余り、水産物部門で「荷受」と呼ばれる大卸業務をおこなっています。地域拠点型の中心的荷受を目指しながら、生鮮水産品や加工・冷凍食品の集荷と、量販店や飲食店などに提案型販売をおこなう食品総合卸売商社として事業を展開しています。
当社は、水産と冷凍食品を中心にスーパーマーケットへの直接販売、鮮魚の加工提案、魚の養殖をおこなうなど“開発する総合卸売商社”として事業展開を進めています。SDGsが取り上げられるより以前から、乱獲や温暖化により瀬戸内の漁獲量が激減していることを受け、「獲る漁業から育てる漁業へ」という思いを実現する形で、「備蓄事業」や「養殖」に着手。さらに、昨今減少傾向にある“魚食”の啓発として、生物多様性の観点では天然資源を絶やさない努力を前提とした上で、養殖飽和魚種ではない、前例のない新たな魚種の養殖が重要な鍵になると考え、減少を続ける天然資源を鑑み、養殖魚は天然魚が増えるための調整魚と銘打ち、引き続養殖事業に尽力していきます。
当社は、11月29日から30日にかけて沖縄で行われた「令和6年日本水産増殖学会」において、「完全養殖シロギスプロジェクト」についての学会発表をおこないました。この学会は国内外の研究者や水産業関係者が集い、水産業界の未来を議論する重要な場です。今回の学会では、沖縄県内の陸上養殖施設を拠点に展開するシロギスの完全養殖事業に、当初から現地沖縄で携わってきた若手社員が中心となって発表をおこない、多くの関心を集めました。
シロギス養殖における「完全養殖」とは、卵から成魚までの一貫した育成を可能にする技術で、これにより、天然資源に依存しない持続可能な生産が可能となります。当社は、福山大学の技術指導のもと、仔魚にとって生命線である餌のワムシの生産管理や餌の摂餌方法について広島県立総合技術研究所からも指導を受け、技術力をさらに向上させてきました。
今回の発表では、親魚養成と採卵、親魚の育成方法や採卵における技術的な進展、効率的かつ安定したシロギスの種苗生産の実現に向けた取り組み、成長促進の工夫や課題の克服など養殖技術の現状、などをテーマに掲げ議論されました。
『びんごの姫』ブランドとして出荷される完全養殖のシロギスは、天然シロギスの漁獲が減少するオフシーズンに市場を活性化させる新たな可能性を示唆しています。この取り組みは、地域経済の発展と水産業の持続可能性を両立するモデルケースとして、国内外から注目を集めています。
◆ブランド魚『びんごの姫』の完全養殖の出荷 安定した供給・価格が可能に
福山大学では、2015年からシロギスの生態や特徴を研究し、産卵期のコントロールや高成長・安定的な飼育技術の開発をおこなってきました。当社は2018年から実証化に参画し、沖縄県伊平屋島の陸上養殖施設にて、福山大学で生まれた稚魚を育て、成長した親魚が産んだ卵を孵化させて飼育する「完全養殖」の取り組みを進めてきました。
伊平屋島の施設では、冬場の水温も瀬戸内海と比較しても非常に高く、シロギスの出荷の目安とされる15cm以上に成長するまで通常2~3年かかるところ、1年弱で育ち効率的な養殖が可能です。
しかし、養殖開始当初は、夏場の高温で仔魚が全滅してしまうなど試行錯誤が続き、事業として養殖に取り組むにはいくつもの困難がありました。特に、現地の若い養殖担当の社員は養殖に関しては素人で、毎日オンラインで福山大学の指導を受けながら、必死に命と向き合ってきました。2022年4月には、養殖場に隣接した水温管理のできる沖縄種苗研究センターを創設し、親魚の採卵を開始。現在は伊平屋島漁協が所有する陸上養殖水槽を活用した養殖をおこない、初の本格出荷を迎えた昨年は1万尾を初出荷。2年目の本年は10万尾を出荷するに至りました。
◆福山大学と産学連携「養殖シロギスプロジェクト」 高級魚を1年中安定供給
シロギスはパールピンクや虹色に輝いて見える魚体の美しさから、“海の女王”と呼ばれています。また、くせや臭みがなく熱を通しても身が締まらないことから、刺身や昆布締め、天ぷらやフライなど、食材としての価値も高い人気の魚です。春から夏にかけて水揚げされ、秋以降は品薄のシーズンオフとなり高値で流通する高級魚でもあります。近年は漁獲量が10分の1に激減し、市場での不足を補うため代替として近縁種が輸入されていますが、国産シロギスの上品な甘さやくせのない淡白な味わいには及びません。
そこで当社は、これまで養殖の対象になっていなかったシロギスの完全養殖により、オフシーズンに高品質なシロギスを安定供給させることで、シロギスのおいしさを一年中味わっていただくことが可能になると考え、福山大学のプロジェクトに参画しました。『びんごの姫』は養殖なので傷がほぼなく、鮮度も良好に保てるため、身質は天然物と同様かそれ以上と、非常に高い評価を受けています。
当社は今後も、福山大学との共同研究を継続し、沖縄をはじめとする地域と連携することで『びんごの姫』を国内のみならず海外輸出も視野に入れて事業展開するほか、これまで養殖の対象とされていなかった魚種にも着目して展開を拡大することで、新たな経営の柱にしたいと考えています。当社は今後も「完全養殖シロギスプロジェクト」をはじめとした養殖事業を拡大し、未来の海のために持続可能な漁場への取り組みに貢献していきたいと考えています。
【「完全養殖シロギスプロジェクト」の経緯】
2015年:福山大学にてプロジェクト開始。
2018年:クラハシが参画。
子会社のマリンリンク(沖縄県伊平屋村)を通じ、陸上養殖水槽にて養殖を開始。
2022年春:沖縄県伊平屋村の養殖場に温度管理ができる「種苗センター」を新設。
採卵や、仔魚の中間育成のため小型水槽15基を整備。
2021・22年:試験的に出荷。高値が付き、味も好評を得る。
2023年3月:ブランド名を「びんごの姫」と命名。ブランドサイトを立ち上げる。
https://www.kurahashi.co.jp/initiatives/bingonohime/
2023年11月2日 :広島県庁にて試食会を開催。
2023年11月:沖縄県伊平屋村の陸上養殖場にて初水揚げ。福山卸市場より1万尾初出荷。
2024年11月:2年目は10万尾を出荷。
【会社概要】
社名 :株式会社クラハシ
代表 :代表取締役社 天野 文男
本社所在地:〒721-0942広島県福山市引野町1-1-1 福山市地方卸売市場内
TEL :084-941-3510
設立日 :2006年3月23日
URL :https://www.kurahashi.co.jp/
資本金 :100,000千円
従業員数 :約150名(正社員110名)
事業内容 :福山市地方卸売市場・水産物荷受(広島県公認)水産物及び関連商品、冷凍食品等の卸売
【株式会社クラハシとは】
当社は、1896(明治29)年創業の藤井商店を、1946(昭和21)年に倉橋商店として受け継ぎ、1958(昭和33)年に法人化、1972(昭和47)年に現社名となりました。1950(昭和25)年の市場移転に伴い、備後地方の台所「福山地方卸売市場」に入場し本社を構えてから50年余り、水産物部門で「荷受」と呼ばれる大卸業務をおこなっています。地域拠点型の中心的荷受を目指しながら、生鮮水産品や加工・冷凍食品の集荷と、量販店や飲食店などに提案型販売をおこなう食品総合卸売商社として事業を展開しています。
当社は、水産と冷凍食品を中心にスーパーマーケットへの直接販売、鮮魚の加工提案、魚の養殖をおこなうなど“開発する総合卸売商社”として事業展開を進めています。SDGsが取り上げられるより以前から、乱獲や温暖化により瀬戸内の漁獲量が激減していることを受け、「獲る漁業から育てる漁業へ」という思いを実現する形で、「備蓄事業」や「養殖」に着手。さらに、昨今減少傾向にある“魚食”の啓発として、生物多様性の観点では天然資源を絶やさない努力を前提とした上で、養殖飽和魚種ではない、前例のない新たな魚種の養殖が重要な鍵になると考え、減少を続ける天然資源を鑑み、養殖魚は天然魚が増えるための調整魚と銘打ち、引き続養殖事業に尽力していきます。
<クラハシの最新の取り組み>
こだわりの逸品をEC販売「贅沢至高」
消費者には瀬戸内の新鮮な高級食材をネットで手軽に購入できる一方で、魚の価値を「価値通りに販売」することで生産者の安定した所得につながる仕組み作りに寄与。
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目利きと触れ合う、地域交流の場「尾道朝市」
毎月第二・第四土曜日の午前7時~9時に尾道市場で朝市を開催中。「鮪の解体ショー」などを実施し、子どもには「魚食」を啓発、高齢者には「人との関り」を提供する。
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