2023年3月29日、日本・東京 - 化学業界のグローバルリーダーであるSABIC(日本法人:SHPPジャパン合同会社、東京都千代田区)は本日、同社のULTEM(tm)(ウルテム、PEI:ポリエーテルイミド)1000樹脂がBeijing LLVision Technology社(以下、LLVision)のAR(拡張現実)スマートグラスに採用されたことを明らかにした。LLVision社の聴覚障がい者や翻訳ツール利用者に向けたLEION Hey ARスマートグラスは、音声を文字に変換してレンズにリアルタイムに表示することができる字幕メガネである。SABICの強靱かつ軽量で非ハロゲン難燃性を備えたULTEM 1000樹脂は、薄肉の中空形状に成形されARスマートグラスのテンプル(メガネフレームの耳に掛けるつる)部品に採用されている。中空形状の内部にはリチウムイオン電池と高速多言語翻訳を可能にするコンピュータチップなど複数のコンポーネントが搭載されている。LLVision社では、ユーザーが長時間快適に装着できるようテンプル部品の重量を最小限に抑えられるとともに、高い強度によってテンプル部品への主要コンポーネントの内蔵が可能となることからULTEM樹脂の採用を決めた。
LLVision社の共同創設者でハードウェア部門のリーダーを務めるLiang Xianglong氏は「私たちは設計の初期段階で、市場で最も軽いARスマートグラスの開発を目標に定めました。お客様の快適性を追求する上では1グラム単位で軽量化を図ることが重要です。しかしながら、光学モジュール、マイクやコンピュータチップなど、ARスマートグラスに必要なすべてのコンポーネントを内蔵することは非常に難しい課題でした。私たちは、世界20社以上に及ぶサプライヤーの材料を比較し試験を行った結果、SABICのULTEM樹脂が最も軽量で、強度、弾性、非ハロゲン難燃性の面でも優れていることが分かりました。ULTEM樹脂を採用することで、私たちはLEION Heyグラスの総重量をわずか79gに抑えることができました」と話している。
世界保健機関(WHO)によると、約15億人(世界人口の約20%)が聴覚障がいを抱えており、その数は2050年までに25億人に増えると予測されている。また、新型コロナウイルス感染症に対する各種規制の緩和に伴い、国際コミュニケーションのニーズも高まっている。LEION Heyグラスは、これらのニーズに対応することができる。このARスマートグラスは、聴覚に障がいを持つ方々が抱えている、騒がしい環境では声が聞き取りにくい、会話相手がマスクを着用していると唇の動きから言葉を理解する読唇術が使えないといった問題の解決に貢献する。さらにLEION Heyグラスは、複数言語が使用される職場環境での円滑なコミュニケーションを促進する。これによって、日常生活やビジネス環境におけるより積極的な交流に寄与する。
LLVision社は、自動音声認識テクノロジーとAI(人工知能)を活用することで、音声翻訳のミリ秒単位での作成、送信、表示を実現している。このARグラスは、テンプル部品に内蔵されたコンピュータチップが音声入力をテキストデータに変換し、スマホアプリとワイヤレス接続することでユーザー認証を行う機能を備えている。
テンプルの軽量化
LLVision社の材料選定プロセスにおいて、SABICのULTEM樹脂はテンプル部品の素材として一般に広く利用されている非晶性ポリアミド(PA)樹脂などを上回る性能を示した。SABICのポリエーテルイミド(PEI)樹脂であるULTEMは延性と剛性のバランスに優れており、また薄肉成形によってPAと比べ最大30%の軽量化と同時に部品搭載スペースの確保も実現している。この高機能樹脂は、PAに比べて寸法安定性にも優れているため効率的な組み立てが可能であり、加えて剛性と強度を兼ね備えていることから、テンプル部品は装着者の頭部をしっかりとホールドすることができる。ULTEM樹脂の難燃性は電子部品を組み込んだデバイスの安全性を高め、また非ハロゲン難燃性であることから健康や環境に悪影響を及ぼす塩素や臭素を使用していない。
このたびLLVision社が採用したULTEM 1000樹脂は非強化の汎用グレードであり、高耐熱性、高強度、高弾性および幅広い耐薬品性を備えている。また、ULTEM 1000樹脂は難燃性に優れており、難燃性に関するUL94規格においてV0、V2および5VAに適合している。SABICは、カスタマイズしたグレー色のULTEM樹脂をLLVision社に供給している。またSABICでは、ULTEM樹脂以外にも顧客の設計ニーズに応じて、メガネのフレームやテンプル部品に適した幅広い樹脂のポートフォリオを取り揃えている。
SABICのスペシャリティー事業部でULTEM樹脂・添加剤ビジネスマネジメント担当ディレクターを務めるScott Fisherは「LLVision社のARスマートグラスは、さまざまな人々の容易かつ正確なコミュニケーションを促進する画期的で効果的なソリューションです。SABICの高性能ULTEM樹脂は10年以上にわたってアイウェア用途に採用され、製品の設計や製造における課題に対処してきました。ユーザーテストの結果、ULTEM樹脂の軽量性や高強度といった特性は、ARスマートグラスや通常のアイウェアメーカーにさまざまなメリットを提供することができます。LLVision社とは、再生可能原料を用いて認証を取得したバイオベースのULTEM樹脂を使用した次世代バージョンのLEION Heyスマートグラスで、再び協力できることを楽しみにしています」と話している。
SABICについて
SABIC(サウジ基礎産業公社)は、サウジアラビアのリヤドに本社を置く化学製品のグローバルカンパニーである。SABICはアメリカ大陸、ヨーロッパ、中東およびアジア太平洋地区を拠点として、化学品、汎用製品、高機能性プラスチックス、肥料、金属といった製品の世界規模での生産活動を行っている。
SABICでは解決すべき課題の特定やソリューションの開発を通して、建設、医療機器、包装、肥料、電気電子、輸送機器、クリーンエネルギーといった主要アプリケーションに携わる顧客をサポートしている。
SABICの2022年の純利益は165.3億サウジ・リヤル(44.1億米ドル)。2022年の総売上高は1,984.7億サウジ・リヤル(529.2億米ドル)。2022年末の総資産は3,130億サウジ・リヤル(834.6億米ドル)。2022年の生産量は6,100万トン。
SABICは世界50か国以上で事業を展開し、3万1,000人を上回る従業員を全世界で雇用している。SABICでは、イノベーションと独創性の育成を促進するため、グローバルで9,948件の特許取得および特許出願を行っているほか、5つの主要地域(アメリカ、ヨーロッパ、中東、東南アジア、北東アジア)においてイノベーションのハブとなる研究開発のリソースを有している。
https://www.sabic.com/
SHPPジャパン合同会社について
SABICは、2020年4月1日付で日本法人の称号をSABICジャパン合同会社からSHPPジャパン合同会社に変更しました。
LLVision社の共同創設者でハードウェア部門のリーダーを務めるLiang Xianglong氏は「私たちは設計の初期段階で、市場で最も軽いARスマートグラスの開発を目標に定めました。お客様の快適性を追求する上では1グラム単位で軽量化を図ることが重要です。しかしながら、光学モジュール、マイクやコンピュータチップなど、ARスマートグラスに必要なすべてのコンポーネントを内蔵することは非常に難しい課題でした。私たちは、世界20社以上に及ぶサプライヤーの材料を比較し試験を行った結果、SABICのULTEM樹脂が最も軽量で、強度、弾性、非ハロゲン難燃性の面でも優れていることが分かりました。ULTEM樹脂を採用することで、私たちはLEION Heyグラスの総重量をわずか79gに抑えることができました」と話している。
世界保健機関(WHO)によると、約15億人(世界人口の約20%)が聴覚障がいを抱えており、その数は2050年までに25億人に増えると予測されている。また、新型コロナウイルス感染症に対する各種規制の緩和に伴い、国際コミュニケーションのニーズも高まっている。LEION Heyグラスは、これらのニーズに対応することができる。このARスマートグラスは、聴覚に障がいを持つ方々が抱えている、騒がしい環境では声が聞き取りにくい、会話相手がマスクを着用していると唇の動きから言葉を理解する読唇術が使えないといった問題の解決に貢献する。さらにLEION Heyグラスは、複数言語が使用される職場環境での円滑なコミュニケーションを促進する。これによって、日常生活やビジネス環境におけるより積極的な交流に寄与する。
LLVision社は、自動音声認識テクノロジーとAI(人工知能)を活用することで、音声翻訳のミリ秒単位での作成、送信、表示を実現している。このARグラスは、テンプル部品に内蔵されたコンピュータチップが音声入力をテキストデータに変換し、スマホアプリとワイヤレス接続することでユーザー認証を行う機能を備えている。
テンプルの軽量化
LLVision社の材料選定プロセスにおいて、SABICのULTEM樹脂はテンプル部品の素材として一般に広く利用されている非晶性ポリアミド(PA)樹脂などを上回る性能を示した。SABICのポリエーテルイミド(PEI)樹脂であるULTEMは延性と剛性のバランスに優れており、また薄肉成形によってPAと比べ最大30%の軽量化と同時に部品搭載スペースの確保も実現している。この高機能樹脂は、PAに比べて寸法安定性にも優れているため効率的な組み立てが可能であり、加えて剛性と強度を兼ね備えていることから、テンプル部品は装着者の頭部をしっかりとホールドすることができる。ULTEM樹脂の難燃性は電子部品を組み込んだデバイスの安全性を高め、また非ハロゲン難燃性であることから健康や環境に悪影響を及ぼす塩素や臭素を使用していない。
このたびLLVision社が採用したULTEM 1000樹脂は非強化の汎用グレードであり、高耐熱性、高強度、高弾性および幅広い耐薬品性を備えている。また、ULTEM 1000樹脂は難燃性に優れており、難燃性に関するUL94規格においてV0、V2および5VAに適合している。SABICは、カスタマイズしたグレー色のULTEM樹脂をLLVision社に供給している。またSABICでは、ULTEM樹脂以外にも顧客の設計ニーズに応じて、メガネのフレームやテンプル部品に適した幅広い樹脂のポートフォリオを取り揃えている。
SABICのスペシャリティー事業部でULTEM樹脂・添加剤ビジネスマネジメント担当ディレクターを務めるScott Fisherは「LLVision社のARスマートグラスは、さまざまな人々の容易かつ正確なコミュニケーションを促進する画期的で効果的なソリューションです。SABICの高性能ULTEM樹脂は10年以上にわたってアイウェア用途に採用され、製品の設計や製造における課題に対処してきました。ユーザーテストの結果、ULTEM樹脂の軽量性や高強度といった特性は、ARスマートグラスや通常のアイウェアメーカーにさまざまなメリットを提供することができます。LLVision社とは、再生可能原料を用いて認証を取得したバイオベースのULTEM樹脂を使用した次世代バージョンのLEION Heyスマートグラスで、再び協力できることを楽しみにしています」と話している。
SABICについて
SABIC(サウジ基礎産業公社)は、サウジアラビアのリヤドに本社を置く化学製品のグローバルカンパニーである。SABICはアメリカ大陸、ヨーロッパ、中東およびアジア太平洋地区を拠点として、化学品、汎用製品、高機能性プラスチックス、肥料、金属といった製品の世界規模での生産活動を行っている。
SABICでは解決すべき課題の特定やソリューションの開発を通して、建設、医療機器、包装、肥料、電気電子、輸送機器、クリーンエネルギーといった主要アプリケーションに携わる顧客をサポートしている。
SABICの2022年の純利益は165.3億サウジ・リヤル(44.1億米ドル)。2022年の総売上高は1,984.7億サウジ・リヤル(529.2億米ドル)。2022年末の総資産は3,130億サウジ・リヤル(834.6億米ドル)。2022年の生産量は6,100万トン。
SABICは世界50か国以上で事業を展開し、3万1,000人を上回る従業員を全世界で雇用している。SABICでは、イノベーションと独創性の育成を促進するため、グローバルで9,948件の特許取得および特許出願を行っているほか、5つの主要地域(アメリカ、ヨーロッパ、中東、東南アジア、北東アジア)においてイノベーションのハブとなる研究開発のリソースを有している。
https://www.sabic.com/
SHPPジャパン合同会社について
SABICは、2020年4月1日付で日本法人の称号をSABICジャパン合同会社からSHPPジャパン合同会社に変更しました。